クラウドファンディングのkickstarterに、ジンバル一体型のカメラ「IDOLCAM」が登場しました。記事執筆時点ですでに5万ドルの目標を達成しています。
スペック
モデル名 | idlecam |
価格 | 350〜399ドル |
センサー | Sony IMX117 1200万画素 |
レンズ | F2.8固定 |
ISO | 1600 |
動画解像度 | 4K(3860×2160) – 25/30fps 2.5K(2560×1440) – 30/60fps 1080p(1920×1080) – 30/60/120fps 720p(1280×720) – 30/60/120/240fps |
フォーマット | mp4(h.264コーデック) |
ビットレート | 60Mbps(4K/30fps) 30Mbps(1080p/60fps) |
オーディオ出力 | 128kbps サンプリング:48kHz(モノラル) |
静止画解像度 | 3M〜16M |
静止画モード | シングルショット セルフタイマー(3秒/5秒/10秒/30秒/60秒) |
タイムラプス | 1/2/5/10/20/30/60秒 |
連射性能 | 最大解像度時 3枚/秒 |
露出補正 | -2.0 ~ +2.0 EV |
ホワイトバランス | Auto / Incandescent / D4000 / D5000 / Daylight / Cloudy / D9000 / D10000 / Flash / Fluorescent / Water / Outdoor. |
ストレージ | microSD(最大64GB) Class10(U1) 推奨 4K撮影時はU3推奨 |
バッテリー | 1500mAh 着脱可能 |
バッテリー充電時間 | 1.5時間 |
撮影可能時間 | 135分(2.5K撮影時) 90分(ジンバルON時) |
ジンバル | 3軸 クローズループ制御 |
レンズ操作可能範囲 | チルト: -70° 〜 +90° パン: ±90° ロール: ±50° |
互換レンズ | マグネット式 M12レンズ ワイドアングルレンズ / フィッシュアイレンズ付属 |
液晶 | 180度可動(上下) |
アタッチメント | リングライト アニマルスポットライト |
重量 | 245g |
特徴
「IDOLCAM」は3軸ジンバルとワンタッチ交換レンズ、フリップディスプレイを備えた小型カメラです。
具体的なサイズは書かれていないものの、GoProサイズの本体にジンバルとレンズを取り付けたくらいのイメージです。
サイズ感とか動作感は以下の動画が分かりやすいです。
「IDOLCAM」と同じようなジンバル一体型だと軽く調べただけでもいくつか出てきます。
・DJI:OSMO (2015年10月発売)
・DJI:OSMO+ (2016年8月発売)
・FEIYUTECH:FYSM+K (2017年5月発売)
・REMOVU:REMOVU K1(RM-K1) (2018年4月5日発売)
ただ、どれもグリップタイプで、握って撮影するか、自転車・バイクのハンドルに固定するかくらいしか撮影スタイルがありません。
また、調べた範囲ではDJI社の「OSMO」以外はレンズは固定式で、スマホのクリップレンズみたいに後付けでワイドにしたりはできなさそうです。
その点、「IDOLCAM」では磁石アタッチメント方式でライトやレンズを取り付けることができます。
※DJI社の「OSMO」はカメラ部に「ZENMUSE X5」もしくは「ZENMUSE X5R」を選ぶことでマイクロオーフォーズレンズが使えます。
センサーはSONY製のIMX117。GoPro HERO4にも搭載されているセンサーですが、中国の10,000〜15,000円前後の格安アクションカメラにも使われています。クラス的には中の下くらいでしょうか。
画面はスマホで確認することもできる予定ですが(開発中)、本体にもディスプレイを備えています。
スペックシートの内容が薄くてディスプレイサイズも書いていないのですが、動画から判断するに2.4インチ位でしょうか。
上下方向に180度フリップするので、自撮り時にレンズの方を見ながら移り映りを確認することができます。これは他のジンバル一体型にはない長所です。
底面は平らで、テーブルなどの上において撮影することもできます。このとき、レンズの向きはアプリから操作できるようです。
また、カメラと同じ1/4インチ ネジ穴があるので、三脚や自撮り棒などを使うこともできます。
マグネット式のアタッチメントでリングライトやスポットライト(アニマル型)などを取り付けることができます。
現在のステータスは開発中となっていますが、4軸アームとバッテリーグリップ、近接レンズなどがあります。
この4軸アームはジンバルに使われるブラシレスモーターではなくスプリングなので、ブレや揺れがゆっくりになりますがピタッとは止まらないようです。
まとめ
実はこの「IDOLCAM」、掲載するかかなり悩みました。
というのも、公式の製品ページを見れば分かるのですが、謳い文句ばかりでろくに製品のスペックも書かれていないんですね。
Wi-fiの規格も、静止画の解像度も、それどころか本体のサイズすら書いていない。
kickstarterのFAQが一番詳しく書かれていたのですが、それでもスペックの段で欲しい部分が結構欠けていて、どうしたものかと悩みました。
さらに、前段で書いたように、似たようなスタイルのものはすでに発売されています。
仕様はしっかりと書かれている上、「IDOLCAM」より高性能です。
画質にしても「IDOLCAM」のセンサーはIMX117なので、数年前ならぎりぎりプロ仕様でしたが、現在だとユーチューバーの実況レベルでしょう。
がじぇっとりっぷの琴線に触れるガジェットではあるんですが、記事にするにはどうにもマイナスポイントが多すぎる。
で、悩んだ結果、「IDOLCAM」は”次世代のトイカメラ”と考えたらしっくりきました。
トイカメラって細かいスペック書かれてないですしね。
ちょっと話が変わりますが、トイカメラに限らず、コンデジも含めたカメラの売上は減少の一途を辿っています。
現象の主な要因はスマホの普及なわけで、そうしたらトイカメラやコンデジはスマホじゃ不可能なことをしないと売れないわけです。
(唯一、ミラーレス機がスマホ画質に満足できなくなったインスタ層に売れて持ち直しつつあるそうですが、それはまた別の話です)
そういう背景を考えた時、ジンバル一体型というのはスマホでは無理なことのひとつだなと。
かつて、スマホが本格的に普及し始めた2013年(iPhoneやXperia Zが発売された年ですね)にはSONYが”レンズだけカメラ”のQXシリーズを発売し、未だ貧弱なスマホカメラの代わりを目指しました。
翌年にはCASIOがアクションカメラのはしりみたいなセパレート型デジタルカメラの「EX-FR10」を発売しています。
どちらも当時のスマホではできなかったことをやっていて、このような対スマホの試行錯誤の延長に「IDOLCAM」は存在しているんじゃないかなぁと。
「IDOLCAM」の価格は350ドル(約3.75万円)とトイカメラの値段ではありませんが、今後はもっと安価なコンデジやトイカメラにもこのジンバル一体型というスタイルが広がっていくのではないか。
当然ながらスマホ用のジンバルというのも存在するので一筋縄ではいかないと思いますが、そんな可能性を感じさせてくれました。
関連リンク
Idolcam: 4K Camera with Gimbal and Interchangeable Lenses – kickstarter
Idolcam – 公式サイト
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