2018年8月28日、クラウドファンディングサイトのIndiegogoに魚眼レンズを4方向計8個備えた、8K解像度で360°動画を撮影できるVRカメラ「Max」が登場しました。
6月頃にKickstarterでも出ていたのですが、その時は完全にスルーしていました。
スペック
モデル名 | Detu |
メーカー | MaxMobile |
価格 | 2299ドル |
360°画像 | 11520×5760(12K) 7680×3840(8K) |
360° 3D画像 | 11520×11520(2x12K) 7680×7680(2x8K) 3840×3840(2x4K) |
360°ビデオ | 7680×3840@30fps(8K) 3840×1920@30/60/120fps(4K) H.265/H.264 video encoding |
360° 3Dビデオ | 7680×7680@30fps(2x8K) 3840×3840@30/60/120fps(2x4K) |
ライブストリーミング | 4K@30fps(2D/3D) |
ファイル規格 | RAW,JPG,MP4 |
レンズ | F2.2 195°x195° Fisheyeレンズ x8 |
レンズ間距離 | 63.5mm |
センサー | Sony IMX477 Exmor x8 (1/2.3インチ BSI CMOSセンサー) |
シャッタースピード | 0.5秒〜1/8000秒 |
HDR | センサーHDR デジタルHDR |
ブレ補正 | 6軸 |
ISO | 100-6400 |
ホワイトバランス | 2500K-10000K オート/マニュアル |
ストレージ | SDカードx2 |
音声入力 | 内蔵マイク x4 AUX |
インターフェース | HDMI(4K@30fps、プレビュー用) RJ45(ライブストリーミング用) MicroUSB(データ転送及び4Gモデム用) Wi-fi(2.4/5GHz) 1/4インチ三脚穴 |
GPS | ○ |
電源 | 4800mAhバッテリー DC 12V / 5A |
稼働時間 | 最大45分(バッテリー時) |
モバイルアプリ | iOS Android |
素材 | アルミニウム PC |
幅 | 172mm |
奥行き | 172mm |
高さ | 130mm |
重量 | 2.0kg |
特徴
「Max」のデザインは、初見時「なにこれ?」ってなります。
がじぇっとりっぷは最初、ファミコンロボの頭を想像しました(実際は全然違いますが)。
そしてスペックもダントツというか盛りだくさんすぎて、びっくりします。
これまで360°カメラとかVRカメラとか数多く登場していますが、これと戦えるのは「Insta360 Pro」「Insta360 Pro 2」くらいじゃないかと思います。値段は段違いですが。
実際、Indiegogoには出てきませんが、360°カメラ特化メディア”360 Rumors”のCEOへのインタビューでは「Insta360 Pro」をライバル視していることが伺えます。
その「Max」のカメラセンサーにはSony製のIMX477が8機搭載されています。
IMX477のスペックは以下のようになっています。
モデル | IMX477 |
メーカー | Sony |
最大解像度 | 12.35メガピクセル 4056×3040 |
フレームレート | 12M@60fps 10bit 4K2K@60fps 10bit 1080p@240fps 10bit |
センサータイプ | CMOS 裏面照射型 |
シャッタータイプ | ローリングシャッター |
インターフェース | MIPI DPHY 4lane(8.4Gbps) |
HDR | DOL-HDR(60fps) SME-HDR(30fps以下) |
パッケージ | 10.7 x 8.5 x 1.62mm |
発表日 | 2016/12 |
センサースペックからすると、どうやって2x12Kを出しているのかわからないですが、CEOインタビューでそう答えているので間違ってはないはずです。
本当、どうやっているんだろう…?ちなみに公式サイトのスペック表には2x12Kはありません。
「Max」は一部の解像度についてはカメラ内で画像をつなぎ合わせる(リアルタイム連結)ことができるので、本体から360°動画のライブストリーミングができます。
解像度ごとの処理方法は以下となっています(こちらは公式サイトベースです)。
360°画像 | 11520×5760 (12K) (リアルタイム連結) 7680×3840 (8K) (リアルタイム連結 or 後処理連結) |
360°動画 | 7680×3840@30fps (8K) (後処理連結) 3840×1920@60/120fps (4K) (後処理連結) 3840×1920@30fps (4K) (リアルタイム連結/ライブストリーミング) |
360°3D画像 | 7680×7680 (2x8K) (後処理連結) 3840×3840 (2x4K) (リアルタイム連結) |
360°3D動画 | 7680×7680@30fps (2x8K) (後処理連結) 3840×3840@60/120fps (2x4K) (後処理連結) 3840×3840@30fps (2x4K) (リアルタイム連結/ライブストリーミング) |
「Max」の優れているところはこの画像連結で、スムーズというか、違和感がありません。
今までいくつかの3Dカメラの映像デモを見てきた中では、遠景は綺麗につながっていても近距離を通る人が途切れていたりすることがありましたが、「Max」の映像デモを見る限りではスムーズにつながっています。
画像連結における最小連結距離は、ライバル視している「Insta360 Pro」では5フィート(1.5m)と言われている一方、「Max」は1mだとか(動画時)。
確かに映像デモではカメラに向かってパンチするとか顔を寄せるとかしても破綻していません。
「Max」は各方向2つづつ、4方向の計8個のカメラを使っていますが、同方向のカメラの間の距離は人の瞳の間と同じくらいの63.5mmとなっています。
実際、定規片手に鏡の前で測ってみたら、ガジェットリップの場合は60mmちょっとくらいでした。
それもまた3Dに違和感がない理由の一つなのでしょう。
他にも「Max」にはAIが搭載されており、オブジェクトトラッキングやフェイストラッキングが行えるとのこと。
バッテリーは4800mAhで、Indiegogoでは最大60分となっていますが、CEOインタビューでは45分となっていましたので、短い方を記載しています。
バッテリー上部にはSDカードスロットらしきものも見えています。
最近ではあるのが当然のようになっているHDRも対応しています。裏面照射型センサーとF2.2レンズの組み合わせだけあってかなり明るくなります。
インターフェースについて、下から見上げた図です。
LANポートやUSB、HDMIが並んでいます。
三脚穴の周りは吸気口のようです。
モバイルアプリも完備。公式サイトにはWindows/Mac用アプリも並んでいますが、「Max」対応はまだのようです。
プランはシンプルに4つ。
基本セットの”Super Early Bird Kit”、三脚が追加された”Indiegogo Professional”、基本セットに吸盤スタンドが追加された”Street View Bundle”、基本セット×2に三脚、吸盤式スタンド、2台同時のバッテリー充電器が付いた”Dual Super Early Bird”です。
基本セットに含まれるプロテクトケースをつけるとこんな感じです。
このうち”Street View Bundle”では吸盤式のスタンドで車の屋根に装着してグーグルカーもどきができます。
というか、「Max」はGoogleストリートビュー認定を受けているとのことなので、実際にストリートビューカメラマンになることも夢じゃないようです。
なお、Indiegogoのタイトルでは「MaxMobile」となっているのですが、調べてみたところ、本体「Max」にUSBの4Gモデムがセットになるので「MaxMobile」ということのようです。
まとめ
Detuは2014年設立の中国浙江省の企業で、公式サイトを見る限りではこれまでに3つの360°カメラを発表しています。VRカメラについては「MAX」が初めてですね。
一つ前に当たる「F4 Plus」が同じセンサーとバッテリーを使用しているようで、こういうところで調達価格を下げているものと思われます。
とはいえ、「Max」の価格は2299ドル(3799ドルの40%オフ)と決して安いものではありません。
実際、個人で使用するにはハイスペック過ぎますし、企業ユースがメインとなると思います。
そう考えて、以前街なかでゼンリン版グーグルカーを見かけたのでそういうところが買うのかなと思ったら、ゼンリンはもっとすごかった。
調べた範囲ではゼンリンは4種類の計測車両を運用しているようです。
360°画像を専門に収集するのはそのうちの2種類(普通車と細道用の軽自動車)です。
「高精度計測車両」では高精度の緯度経度・標高側位、道路レーンやカーブ曲率、標高データなどを取得しています。
「レーザー計測車両」ではレーザーによる点群情報と360°カメラ映像を融合して道路のペイント、信号機、速度規制看板なども読み取った「高精度空間データベース」を作成し、自動運転技術に活用しているようです。
ゼンリンすげぇ。
なんか最後は話がずれてしまいましたが、8KのVR画像(Youtubeって8K4Kが見れるんですね…)は見ているだけでも面白いですよ。
関連リンク
Detu MaxMobile: First 3D 8K 360 VR Camera With AI – Indiegogo ※英語
Max – Detu公式サイト ※英語
source:360 Rumors
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