2020年10月14日、小型PCメーカーのMINISFORUMは、クラウドファンディングサイトのIndiegogoにて第10世代(Ice Lake)のCore i3-1005G1を搭載したNUCサイズPC「X35G」のファンディングを開始いたしました。
スペック
■MINISFORUMX35G | |
CPU | Core i3-1005G1 |
---|---|
メモリ | 16GB DDR4-3200 |
ストレージ | 256GB NVMe SSD or Optane+1TB HDD (M.2×2+2.5inch) |
USB | TB3×1、3.0×2、2.0×2 |
network | 802.11ax+BT5.1 1GbE×2 |
サイズ | 136.4×121.1×38.9mm |
ラインナップ
メモリ | ストレージ | Optane | 価格 | 価格(円) |
16GB | なし | なし | 349ドル | 36,910円 |
16GB | 256GB SSD | なし | 399ドル | 42,176円 |
16GB | 1TB HDD | 16GB | 429ドル | 45,332円 |
16GB | 1TB HDD | 1TB | 449ドル | 47,441円 |
特徴
「X35G」はサードメーカー製としては珍しい、Thunderbolt3を搭載したミニPCです。
しかも上記ラインナップに記載のとおり、3万円台から購入できるという格安さです。
CPUには第10世代Ice LakeのCore i3-1005G1を搭載しています。
これ、Core i5-1035G4とかも選択肢にあったらうれしかったのですが…
Core i3-1005G1については「IdeaPad S145(Intel)」でレビューしています。
Core i3-1005G1はメモリをグラフィックと共有するため、一般的にメモリは速く、容量が大きく、デュアルチャンネル構成が良いとされています。
「IdeaPad S145(Intel)」はメモリはわずか4GBでDDR4-2400、シングルチャネルと条件がかなり悪いものでした。
対して「X35G」のメモリは16GBでDDR4-3200(数字が大きいほど速い)、デュアルチャンネルと理想の条件となっています。そのため、スコアはかなり違うものとなるでしょう。
ストレージは選択式です。
2.5インチが1台と、M.2 SSDが2台(NVMeとSATA)のトリプルストレージが可能です。
ラインナップではOptane MemoryとHDDを組み合わせたモデルなども用意されています。
上記ラインナップに従うと256GB SSDが50ドルとなってしまうわけですが、おそらくはWindowsのOS代も込みになるものと思われます。
ただ、その辺の説明がしっかりとはされていないんですよね。
CHUWIなどはファンディング慣れしていますが、この辺りは経験の差が出ているなぁと。
▲インターフェースです。
Thunderbolt 3はフロント側についています。
フロント側のUSB Type-AはUSB3.1 Gen2対応です。
背面のUSBが2.0しかない点は気になりますが、デュアルLANのデュアルディスプレイとなっています。TB3まで使えばトリプルディスプレイも可能です。
画像にもありますが、GPU Boxなどを使ったeGPU(外付けGPU)でグラフィック能力をブーストすることも可能です。
ちなみにThunderbolt 3端子からの給電ができるので、USB PD対応ハブなどを使えば電源アダプタ不要で使うこともできます。
▲内部構造です。
トリプルストレージになっていることが確認できますね。
MINISFORUMのベンチマークだと、SATAはほぼ限界の550MB/sまで出て、NVMeは2550MB/sまで出たようです(PCIe x4接続なので、もっといいSSDを使えば3000MB/sも狙えるとは思います)。
ついでに言うと、サイド吸気、サイド排気らしいことも確認できます。
▲底面側を開けるとCPU。メモリも直付けです。
実際はヒートシンクとファンに覆われています。
…普通は底面を開けたらメモリやストレージにアクセスできる構造になっているものですが…
そういえば上の内部画像でも2.5インチは天面側ですね…
なお、Wi-fiはCPU側の画像右上側にあります。
オンボードではなく、M.2 2230カードなので交換は可能ですが、最初から802.11ax(Wi-fi 6)対応カードが搭載されるので交換する機会はなさそうです。
…ところでアンテナはどこにあるんだろう…?
▲ヒートシンクとファンはこんな感じ。
TDP25W対応だそうですが、それなら上位CPUを搭載してほしかった。
▲いろいろな角度から見たところです。
底面にも隙間があるので、ここからも吸気しそうな雰囲気です。
▲パッケージです。
電源アダプタとVESAマウンタはよくある構成ですが、HDMIケーブルとDisplayPortケーブルも付属するようです。
なお電源は36Wと低めです。Thudenrbolt 3デバイスを使うときは(特に10GbEアダプタなど)消費電力に注意する必要があります。
…通常は65Wとか余裕を持たせるものだと思うのですが…
▲一応、振動テストや落下テスト、温湿度テストはクリアしているようですが、具体的な数字は何も書かれていません。
穿った見方をすれば5cmの高さでも落下テストと言い張ることはできますし、常温・適湿でも温湿度は温湿度なので、数字も書いてほしいところです。
まとめ
MINISFORUMは香港に本拠地を構える、2012年に設立した企業です。がじぇっとりっぷではスティックPCで一度取り上げたことがありますね。
INDIEGOGOには慣れていない感じですが、実は8月にRyzen 5 3550Hを搭載したNUCサイズPCのファンディングも行っており、「X35G」は2機種目だったりします(個人的に微妙だったため記事にはしていません)。
個人的にはTB3搭載で16GBメモリ組み込みで約3.7万円、Windowsも込みのフルセットで約4.2万円からというのはかなり割安だと思います。
ちなみにIntel NUCのCore i3-10110U搭載モデルはベアボーン(メモリ・ストレージ・OSなし)で3.5万円なので、メモリ分くらいは安い計算です。完成品だともっと差は開きます。
Intel NUCはComet Lake搭載モデルだけでIce Lake搭載モデルはラインナップされていない点も、「X35G」の希少性を高めています。
ただIntelはグラフィックの性能が大幅に上がった「Tiger Lake」を搭載するNUC(Panther Canyonと呼ばれるらしい)を準備しているという噂もあります(現時点では発表時期の予想すらありませんが)。
その時はThunderbolt 4が搭載されることは確実だと思うので、あとは4.2万円でIce Lake+TB3というところに満足できるかどうかですね。
関連リンク
The New Core! Intel 10nm Minis !:INDIEGOGO
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