【レビュー】COUMI M10:アプリと合わせて自分好みの音を作るヘッドホン

ウェアラブル

2021年3月21日、オーディオメーカーのCOUMIがオーバーイヤー型のヘッドホン「M10(型番:BT-350)」を発売いたしました。

発売されたばかりの製品ですが、がじぇっとりっぷではCOUMI様よりサンプル機をいただいたので、実際に使い心地や音質を見ていきたいと思います。
サンプル機を提供いただいたCOUMI様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。

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COUMI M10 BT-350

GoodPoint
マルチポイント接続対応
専用のイコライザーアプリ
長時間バッテリー
ハードケース付き

BadPoint
aptX HDの恩恵は感じにくい
初期の音はいまいち
デザインが安っぽい

COUMI M10のメーカーは「深セン市班威智能科技有限公司(Shenzhen Benwei Intelligent Technology Co.,Ltd)」で、COUMIはブランド名です。

ロゴでは”M”が小文字になっていますが、記述上はすべて大文字になるようです。

代表取締役社長の魏永寧(Ben Wei)氏はBluetoothイヤホンのEMS/ODM供給で知られるDongguan Koppo Electronics(庫珀)社の設立者でもあるので、COUMIは子会社、もしくは社内企業を使った自社ブランドという位置づけのようです。

スペック

モデルBT-350
チップセットQualcomm QCC3034
接続方式有線、Bluetooth
Bluetoothバージョンv5.0
対応プロファイルA2DP v1.2、AVRCP v1.4、
HFP v1.6、HSP v1.2
対応コーデックaptX、aptX HD、AAC、SBC
通信距離約10m
ドライバーユニットφ40 mm
再生周波数帯域20Hz – 20,000Hz
ノイズキャンセリング方式CVC8.0 (通話のみ)
音楽再生時間(本体)約 50 時間
スタンバイ最大 400 時間
充電時間約 2 時間
バッテリー容量720 mAh
防水規格非対応
重量約 300 グラム
サイズ50×166×200mm

外観

外箱の表裏です。
細かいスペックまで書かれていますが、一つ気になる点が。

技適マークはあれども、技適番号がないんですよね。
他に技適に関する記載もなく、調べても出てこないのが気になるところです。

箱を開けるとキャリーケース(ハードケース)。かなりしっかりしたもので、これだけでもそれなりのお値段になりそうです。

当たり前ですが専用キャリーケースなのでサイズはぴったりです。

クイックスタートガイドとサンクスカード2種。
サンクスカードはこれまでのCOUMI製品と同じ、ユーザー登録で次回40%オフと、保証期間が30か月に延長される(通常は12か月)というものです。

ケーブルは充電用のUSBケーブルと、有線接続用のAUXケーブルが付属。ケーブル自体は安っぽいです。

本体はいまいち高級感がないデザイン。

ハウジングにはロゴ入りの金属ステッカー。
アクセントにしたいのでしょうが、微妙に歪んでいるのであまり反射がきれいじゃないので、かえって安っぽさを強調しているんですよね…

インターフェースは右に集められています。
左から、音量+、再生、音量-、3.5mmジャック、LEDインジケータ、USB Type-C端子、マイク穴となっています。
マイクは通話の他、CVC(Clear Voice Capture、通話ノイズキャンセリング)にも使われます。

充電するとインジケーターが赤く光ります。
ステータスに合わせて赤と青が点灯したり点滅したりしますが、たぶん充電中か充電完了かくらいしか使われないでしょう。

なお、バッテリーの連続稼働時間は最大50時間となっています。ワイヤレスイヤホンだとケース込みなら同じくらいになりますが、数時間ごとにケースに戻す必要性を考えると、本体だけで50時間はいいですね。

イヤーパッドはふんわり柔らかめ。

アームの内側にはシリアルナンバーの入ったシール。
シリアルナンバーはこれしかないので、剥がれたら終わりです。
上の白い部分はコーティング剥げです。汚れかと思ってこすったら剥げが広がりました。

ヘッドバンドは35mm(左右合わせて70mm)伸びます。
ステンレスバンドはデザインとしているのでしょうが、指紋が付きやすいし、見た目がチープな印象になりますね…

ステンレスバンドの内側にはケーブルが通っていると思しきプラスチック部

意外と気付きにくいですが、イヤーパッドは内側に折り畳めます。

本体重量は265gでした。

操作について

これまでレビューしてきたCOUMI製品はすべて左右分離型のイヤホンで、左右のタッチボタンをうまく使い分けて操作する形でした。
COUMI M10は再生ボタンと音量ボタン(+と-)の三つのボタンを駆使して操作します。

動作操作
電源ON再生ボタン2秒長押し
電源OFF再生ボタン3秒長押し
音楽再生再生ボタン
一時停止再生ボタン
前の曲音量+ボタン長押し
次の曲音量-ボタン長押し
通話着信応答再生ボタン
通話終了再生ボタン
着信拒否再生ボタン1秒長押し
リダイアル再生ボタン2回押し
ミュート音量+-ボタン同時押し
音声アシスト再生ボタン1秒長押し

操作の中に、がじぇっとりっぷが苦手なリダイアルがあるんですよね…
これ本当に苦手で、レビュー中にも誤って実家にリダイアルしてしまいました(しかも焦ってブツ切り)。母よ、すみませぬ…

同じような悩みを抱える人は、Bluetoothの許可項目から通話をオフにしましょう。

使ってみた感想

かけ心地について

COUMI M10はヘッドホンなので、特に何も考えず装着できます。
イヤーカップは柔らかく、側圧もそれほど強くないので、数時間つけていても頭痛がするとかはありませんでした。

スイベル機構は105度くらいあるので、耳の角度に合わせてフィットします。

密閉型なので音漏れも少なく、外の音もかなり軽減されるので、集中したいときにはちょうど良さそうです。

ただ外で使うには車の音とか聞こえなくなって危険なので、環境音取り込みモードがあると助かったかも。

接続について

COUMI M10の接続は、これまでいくつものイヤホンで左右の片方しか接続されないという事態を経験してきたことを考えると、すごく拍子抜けするほどあっさりです。なにせ左右がつながっているので。

しかもマルチポイント接続対応で2台同時に接続が可能なので(音は片方の接続のみ)、いちいちあっちを切断して…みたいな手間があまりかかりません。

さらに、対応する製品であれば高音質なaptX HD(最大48KHz/24bit)での接続にも対応しています。

とはいえ、aptX(最大48KHz/16bit)でもCD(44.1kHz/16bit)と同レベルの音質が実現できますし(実際は不可逆圧縮通信なので、多少の劣化がある)、ハイレゾ音源でないとなかなか違いは感じ取りにくいです。

イコライザーアプリ

COUMIはスマホ向けに専用イコライザーアプリ「COUMI」を用意しています。

Coumi - Google Play のアプリ
Bluetooth EQイコライザーとEQ聴覚コンパニオンアプリ
‎App Storeに接続しています
‎Apple Musicに接続しています

固定されたモードはClassic、Pop、Jazz、Rock、Folkの5つ

カスタムモードは自動・手動がありますが、どちらも直接いじれるわけではなく、聞こえ具合を入力して、それをもとにアプリがパラメータを決めるという手順を取ります。
なのでなかなか思ったような設定にならず(惜しいところまではいく)、何度かテストをする羽目になりました。

音質について

まず大前提として、がじぇっとりっぷは10年以上ヘッドホンを使ってなく、他のヘッドホンとの比較ができません。そのため、価格なりの音かどうかという判断はしていません。

COUMI M10は、イヤホンには不可能な40mmという大口径のドライバを搭載しています。
オーバーヘッド型の密閉型ということもありますが、イヤホンとは比べ物にならないくらいにディティールがつかみやすく、迫力のある音が出ます

ノーマル状態

音質については大口径ですが中音・高音を中心とした音作りをしているようです。

といっても低音が出ていないというわけではなく、手持ちの機材でいえばCreative「Pebble」(口径:2.25インチ、出力:4W)よりもよほどしっかり出ています。
期待したほどではなく、重低音もいまいちですが、音の厚みは保てていて、薄っぺらい音になるのを防ぐ役割は果たせています。

中音・高音は伸びやかさやクリアさよりもディテールにこだわった音となっていて、同じ人の声でもそこに含まれるざらつきとか揺らぎがしっかりと感じ取れ、生音感が強く出ています。

最初は薄布一枚はさんだようなこもりがありましたが、しばらく使っていると多少軽減されました。
また、アルゴリズム的には同じはずなのにaptXよりaptX HDの方がこもった感が強く出るので、ハイレゾ音源でなければaptXにするというのも手でしょう。

この時点の印象としてはドラマとか映画鑑賞向きかなと。

イコライザーアプリを使った場合

イコライザーアプリを使うと音質ががらりと変わり、印象も全く違ったものとなります。

Classic:高音域にさらに薄布がかかった感じ。
Pop:軽快だがシャカシャカした音になる
Jazz:ノーマルよりクリアでバランスの取れた音
Rock:重厚感が出るものの、厚い布越しのような音になる
Folk:Jazzよりもクリアになる反面、スカスカな音になる

マルチポイント接続をしていると、ノートPCで音楽再生しながらスマホでパラメータを変えるという真似ができます。
かなり音が変わるので、コロコロ変えながら聞いていると、結構楽しいです。

手動で調整すると別物かというくらいに音が良くなるので、あれこれ調整してみるといいでしょう。
がじぇっとりっぷの調整では、下のような感じが好みの音になり、一段どころか二段くらい上の音になります。

ざっくりとした影響は下のような感じです。

31Hz、62Hz:重厚感
250Hz、500Hz:音のクリアさ
4KHz、8KHz:音の伸びやかさ

この3か所を少し持ち上げるだけでノーマル状態のマイナス点が消え、グンと音が良くなります。

音質はデバイス側のチップや再生ソフトなど、視聴環境によっても大きく変化します。また、聴き手の好みやジャンルによっても左右されます。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。

音域について

音域テストには「WaveGene」というアプリを使用しています。

https://efu.jp.net/soft/wg/wg.html

スペック上の音域は20-20,000Hzですが、下は16Hzくらいから音というより振動を感じます。20Hzも聞き取れますが、音としてきっちり成り立っていると感じるのは30Hzくらいからですね。

定音のはずなのに200Hzくらいからわずかに揺らぎを感じますが、2000Hz付近までは素直な音です。

2000Hz付近からシャワシャワとしたノイズ、そして6500Hz付近からチリチリとしたノイズが目立つようになり、周波数音が聞こえるのは15,000Hzくらいまで。そこから上はノイズの音が強すぎて元音が聞き取れません。

多少の個体差はあるでしょうが、得意レンジは30-2000Hzくらいになるようです。

まとめ

COUMI M10の価格は4,799円です。5000円前後というのは新興のオーディオメーカーが好んで投入してくる価格帯で、古参メーカーも入門機を投入することが多く、競争が激しい価格帯です。

前述の通り、がじぇっとりっぷはここ10年くらいヘッドホンを使っていなかったので比較ができないのですが、そもそも価格に対する音質というのはメーカー問わず年々向上しています。
価格に見合った音がどのくらいなのかいまいちピンとこないわけですが、多分他メーカーも同じくらいには作り込んでいるでしょうし、音自体はそれほど差がないと思われます。

そうなると音以外でも勝負する必要があるわけですが、COUMI M10の場合はそれがハードケースとアプリということになります。

独立したイコライザーアプリがあるというのは結構便利で、イコライザー機能のない再生環境でも音を変えられるし、アプリごとに違う操作体系を覚える必要もありません
パラメータの設定次第では、同価格帯では一つ抜けた音になるというのも利点ですね。

その上で、記事執筆時点では製品には45%オフクーポンが発行されており、実質価格が2,639円だったりします。
…それはさすがに安すぎでは…?ハードケースなども考えると、利益出るんだろうか…

定価でもそれなりにおすすめ(少なくとも同価格帯のワイヤレスイヤホンよりはいい音ですよ!)ですが、クーポン価格で購入できる場合は文句なしにおすすめです。

関連リンク

製品ページ:COUMI

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