2021年7月18日、SBCメーカーのRadxaはRockchip RK3568を搭載した、ラズパイサイズのSBC「ROCK 3 Model A」を発表いたしました。「ROCK 3A」は公式でも使われている略称となります。
開発者向けサンプルはすでに用意、一般向けの販売は8月下旬となります。
リリースノート New ROCK 3A brought to you by Radxa and Rockchip:radxa forum
スペック
■ROCK 3 Model A | |
SoC | Rockchip RK3568 4コア A55@2GHz |
---|---|
メモリ | 2~8GB LPDDR4-3200 |
ストレージ | eMMC(オプション) microSD M.2 Key-M |
インターフェース | Type-C(給電)×1 USB 3.0×2 USB 2.0×2 HDMI microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | M.2 Key-E |
モデル名 | Rock 3A |
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メーカー | radxa |
発売日 | 2021/08 |
価格 | 35ドル(2GB) 55ドル(4GB) 75ドル(8GB) |
価格(日本円) | |
CPU | Rockchip RK3568 (4コア) (2.0GHz A55 x4) |
GPU | Mali-G52 2EE |
NPU | 0.8TOPS |
メモリー | 2〜8GB LPDDR4 |
サポートOS | Debian 10 |
有線LAN | 1GbE x 1 (PoE対応) |
Wi-fi | M.2 Key-E |
Bluetooth | |
チップ | |
ストレージ | 32~128GB eMMC(オプション) M.2 Key-M(2280) x1 microSD |
USB | 3.0 x 2 2.0 x 2 |
GPIO | 40pin x 1 |
映像 | HDMI MIPI DSI x 1 |
カメラ | MIPI-CSI x 1 |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | |
消費電力 | |
電源 | Type-C |
幅 | 85mm |
奥行き | 56mm |
高さ | |
その他 | PD/QC対応 |
特徴
「ROCK 3A」は基本的に「ROCK Pi 4」の弟分で、「ROCK Pi 4」での経験をもとに改善が盛り込まれています。
またRadxaではこれまで「ROCK Pi」シリーズを展開していましたが、「ROCK 3A」では意図的に名称から”Pi”を外しています。
これはラズパイクローンを作るのではなく、ラズパイとは違う方向性を目指していることを示しているのだそうです。
SoCについて
「ROCK 3A」はSoC(PCでいうところのCPU)にRockchip社のRK3568を搭載しています。
RK3568は2020年11月に開催されたRockchip Developer Conference 2020で発表されたばかりの、本当に最新のSoCで、AI向けNPUを内蔵した、AIoTプロセッサという位置づけになります。
構成としては4コアのCortex-A55に、GPUはMali-G52 2EE、さらに0.8TOPSのNPUも搭載しています。
がじぇっとりっぷでは同SoCを採用したSBCとしてFirefly「ROC-RK3568-PC」などを紹介しています。
性能面ではGeekBenchスコアは弟分のRK3566(CPU部は同じ)がRaspberry Pi 4に搭載されるBroadcom BCM2711とほぼ同等で、0.8TOPSのNPUを搭載している分、AIoT用途にはRK3566/RK3568に分がありそうです。
参考:February Update: Show and Tell:Pine64
メモリとストレージ
メモリはLPDDR4-3200で、2/4/8GBのラインナップが用意されます。
ストレージはmicroSDのほか、背面にあるM.2 Key-Mを使ったM.2 NVMe SSD、そしてオプションでeMMCに対応しています(eMMCモジュールは別売り)。
また、M.2 Key-MはPCIe 3.0 x2接続となっています。
もちろんストレージ専用というわけではないので、変換アダプタを介して遊んだりもできそうです。
その他
Wi-fiはM.2 Key-Eで提供され、カードは付属しませんが802.11ax(Wi-fi 6)にも対応します。
日本では技適の問題から別で用意できる方がありがたいですね。
公式では、Google Coralカードを挿したい人もいそうだし、とコメントされています。
有線LANは1GbEですが、PoEに対応しています。
電源はType-C接続で、QC/USB PDに対応しています。
OSは発表時点では技術チームのToybricチームが管理するDebian 10が動き、ほかのディストリビューションも随時対応していくとのこと。
インターフェース
表側にはM.2 Key-Eがどーんと右1/3くらいを占めています。
MIPI-CSIとMIPI-DSIは「Rock Pi 4」と互換性を持たせています。
背面には外向きのM.2 Key-Mと、その下にmicroSDスロットが付いています。
M.2スロットの上にはeMMCのコネクタも見てていますね。
価格と発売日について
冒頭にも書きましたが、一般向けの「ROCK 3A」の発売日は8月下旬となっています。
価格も公表されていて、以下のようになっています。
・メモリ4GB:55ドル(約6,100円)
・メモリ8GB:75ドル(約8,300円)
この価格設定は「Raspberry Pi 4」と同じなので、かなり意識した値付けですね。
ROCK 3 Model Bについて
「Model A」があるならということで、2021年7月19日には「Model B」についてもアナウンスというかチラ見せしています。
「ROCK 3B」はRK3568搭載とメモリがLPDDR4-3200という点は共通なものの、Pico-ITXフォームファクタ(100×75mm)を採用した、まったくの別物として設計されています。
「ROCK 3B」ではやってみたかったことを盛り込んでいるとのこと
・ボタンなどのユーザーインターフェースは前面に向ける
・将来的には16/32GBのオンボードメモリを見据えたサイズ・設計
・複数LANポート、複数ディスプレイが可能
・M.2 2280 SSDを搭載できる
・M.2 2242 LTE/5Gカードを搭載できる
これらを盛り込んだ結果、「ROCK 3B」の特徴は以下のようになりました。
・SATAポート搭載
・LTE/5Gカードに対応したM.2 Key-Bスロット搭載
・M.2 SSDはPCIe3.0 x1接続に
・Wi-fiはオンボードモジュールを使用
出来上がったボードはこんな感じに
ただしこれらはまだ試作段階で、これを叩き台にアイデアと意見を募集しています。
参考 ROCK 3B ideas and discussion:radxa forum
まとめ
「ROCK 3A」は価格面とサイズはラズパイ4と同じ、性能面ではラズパイ4と同等にNPUを追加、インターフェース面ではラズパイ4にはないM.2スロットやeMMCソケットがあるという、対抗馬としては面白いものとなっています。
ただし、価格は一緒ですが「ROCK 3A」はWi-fiが付いていません。
この点もWi-fi 6カードが乗るという利点を考えると、許容範囲と言えます。
radxa製品はまともな国内入手ルートがなく、一番手軽な購入方法となるのがAliExpress経由というのが弱点ではありますが、ここ最近のSBCでは(個人的に)かなり楽しみな一台です。
関連リンク
New ROCK 3A brought to you by Radxa and Rockchip:radxa forum
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