安すぎない? StarFive Tech「VisionFive 2」はメモリ8GBで64ドルからのRISC-V

シングルボード

2022年8月23日、StarFive TechはクラウドファンディングサイトのKickstarter上で、RISC-VプロセッサのStarFive JH7110を搭載したSBC「VisionFive 2」のファンディングを開始しました。

VisionFive 2 – open source quad-core RISC-V dev board:Kickstarter

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スペック

■ VisionFive 2
CPUStarFive JH7110
メモリ2~8GB LPDDR4
ストレージmicroSD
eMMC
NVMe SSD
インターフェースUSB 3.0×2
USB 2.0×2
HDMI
1GbE 有線LAN×2
microSDXC
オーディオジャック
wi-fiなし
サイズ100×72mm

特徴

「VisionFive 2」は名前の通り、先代に「VisionFive 1」があります(がじぇっとりっぷでは記事にしていません)。
というか、RISC-Vボードについても初めて取り上げます。

ざっくり説明すると、RISC-Vとは2010年に登場した、オープンソースライセンスで提供されている命令セットアーキテクチャ(ISA)です。

位置づけとしてはIA-64アーキテクチャとかx86アーキテクチャ、ARMアーキテクチャと並ぶくくりになります。
ちょっと違うのは、x86やARMはハードウェア実装であるのに対し、RISC-Vはハードウェア実装とソフトウェア実装の両パターンが存在する点でしょうか。

AMDやクアルコム、Googleなど名だたるIT企業がRISC-Vのサポートに名乗りを上げていて、UbuntuやDebianなどがRISC-Vをサポート、Androidも動作デモが登場しています。

Wi-fi内蔵マイコンとして有名なESP32も、Xtensaアーキテクチャ(とでも呼ぶべきもの)を使っていましたが、ESP32-S2ではULP(サブプロセッサ)にRISC-Vを採用、ESP32-C3ではメインプロセッサもRISC-Vアーキテクチャを採用しています。

現在のマーケットではARMアーキテクチャが隆盛を誇っていますが、ライセンス回りが割と面倒(独自カスタムが実質的に厳しい)なことやライセンス料の問題から、資金力に乏しい新興メーカーがRISC-Vに切り替える事例が増えてきています。
もう一つは、オープンソースライセンスゆえに制裁を受けにくいことから、中国企業が積極的に取り込んでいます。

今でこそ動き始めの段階ですが、今後はARMとRISC-VはiPhone(iOS)とAndroidのような関係になると予想されています。

SoCについて

「VisionFive 2」に搭載されるSoCはStarFive JH7110
StarFive、つまり「VisionFive 2」はCPUの製造メーカーが自社でボードまで作っているということです。

StarFive Tech(赛昉科技)は2018年設立のRISC-V専門企業です。
と言っても1から全部やっているわけではなく、設計部分はSiFiveなどに任せ、製品開発とエコシステムの構築に主眼を置いているようです。

JH7110はCPUコア部分にSiFive U74 (RV64GC)を採用した、1.5GHzの4コアSoCです。
GPU部分はImagination TechnologiesのBXE-4-32。性能は2.4GPixels/sとされています。
製造はTSMC 28nmプロセスで行われています。

ブロックダイアグラム図はこんな感じ。
サブプロセッサはSiFive S7 (RV64IMAC)、RTC(RealTime Controller)プロセッサはRISC-V SiFive E24 (RV32IMFC)と、RISC-Vコアで揃えています。

DDR4対応だったり、PCIeレーンを持っていたり、インターフェースは今時のSoCですね。

性能面ではラズパイ4には及ばないものの、グラフィック性能は比較的高いようです。

JH-7110
New generation of Intelligent vision processing platform.

メモリとストレージ

メモリは2GBから8GBまでのLPDDR4
ストレージは内蔵せず、microSD、eMMC、M.2 NVMe SSDに対応します。

その他

無線LANは非搭載でUSBドングルでの対応。
有線LANは1GbE×2です。“Super Early Bird”版のみ1GbE+100MbEになるとのこと。

OSはUbuntu、Fedora、Debian。
「VisionFive 2」用のカスタマイズ版が10月中旬にリリースされる予定です。

外観

インターフェースです。
正直、通常のARM系SBCと何ら変わりありません

ヒートシンク用のホールが見当たらないので、ラズパイ的に小型のヒートシンクを熱伝導シートで張り付けるスタイルになりそうです。

右上にあるUSB-Cは電源で、5V入力ですが30WまでのPD入力にも対応しています。
GPIOからの場合は15W(5V/3A)までです。
PoEモジュール併用でPoEも可能です。

背面はストレージ関係。
100×72mmとクレカより一回り大きいサイズなので、2280サイズのM.2 SSDが使えます(が、仕様的に接続はPCIe2.0 x1接続と思われます)。

eMMCはソケットこそあるものの、モジュールは販売していないので別途調達する必要があります。

SSDを装着するとこんな感じです。

サイズ感はこんな感じ。

まとめ

「VisionFive 2」の価格は上の表のとおり。
早期(Super Early Bird)だとメモリ8GBでも64ドル(約8,800円)です。日本だと送料が12ドルかかります。
それでも合わせて約10,000円(がじぇっとりっぷが出資した時点では10,021円)って安いなぁ…

ちなみに記事執筆時点ではストレッチゴールの1段階目がオープン、アドオンにWi-fi 6対応のUSBドングルが6.5ドルで追加とあるのですが、まだ公開されていません。

RISC-Vは技術というか周辺のエコシステムが発展途上、いうなればAndroidが登場したころに等しい状況です。

とはいえ各企業の力の入れ具合からも今後発展するのは確実なので、それなりに動くものを早い段階で触れてみるという意味ではちょうどいいボードではないかと思います。

ファンディング終了は9月22日、発送は2022年11月から2023年2月(選択したコースによる)です。

関連リンク

VisionFive 2 – open source quad-core RISC-V dev board:Kickstarter
ニュースリリース:StarFive ※中国語

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