2022年08月15日、小型家電メーカーのLieshengは、クラウドファンディングサイトのmakuakeで、自社ブランド(Haylou)初の骨伝導イヤホン「PurFree (モデル型番:BC01)」のファンディングを開始しました。
今回はその「PurFree」について試用する機会を得られましたので、レビューしていきたいと思います。
機材を提供いただいたLiesheng社様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
激しい運動に耐える究極のフィット感!防水IP67&高速充電!高性能骨伝導イヤホン:makuake
Haylou PurFree
GoodPoint
✔ 骨伝導でも聞ける音質
✔ 長時間聴いていても疲れない
✔ aptX対応
BadPoint
✖ 充電ケーブルが細くて不安
✖ 駆動時間がやや短め
スペック
製品名 | Haylou PurFree |
---|---|
モデル | BC01 |
チップ | Qualcomm QCC3044 |
Bluetoothバージョン | v5.2 |
対応プロファイル | A2DP/AVRCP/HFP/HSP |
対応コーデック | SBC/aptX |
ワイヤレス範囲 | 約10m |
バッテリー駆動時間 | 約9.5時間(音楽再生) 約8時間(通話) |
充電時間 | 約1.5時間 |
急速充電 | 10分で2時間 |
バッテリー容量 | 165mAh |
充電端子 | 独自マグネット式 |
防水&防塵規格 | IP67 |
重量 | 28g |
フレーム素材 | チタン |
その他 | デュアルデバイス接続 |
Haylouについて
HaylouはDongguan Liesheng Electronic Technology(本社:中国広東省)が展開するブランドです。
Liesheng technologyはDongguan Hele Electronicsの子会社として、XiaomiやShunwei(中国のベンチャーキャピタル)、Qimingなどの投資を受けて2015年5月に設立しました。
当初はOEM企業として「Redmi Airdots」などの生産を担当、現在もXiaomiがメイン顧客のようです。
2017年3月、同社のブランドとしてHaylouが誕生、ODMとしてスマートウォッチとワイヤレスイヤホンを中心に製品展開をしています。
「PurFree」は同社初の骨伝導イヤホンとなります。
パッケージ・外観
外箱です。
イヤホンの箱って結構凝った感じのものが多いです。
底面には技適番号。
技適番号は「018-220121」です。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(005-102773):総務省
技適情報を見ると、海外の認証機関との相互承認ではなく、日本国内の証明機関で認証を行っています。
内箱はブック型にオープン。
パッケージ全体です。
紙はマニュアル(英語・中国語)と、クイックガイドです。
付属品
充電端子は独自形状。
ケーブルがかなり細いので、断線が心配です。ケーブル単体での購入ができるとうれしいのですが…
耳栓。
周りがうるさいときや音に集中したいときに併用するものですが、そんなときはTWS(完全ワイヤレスイヤホン)を使う気が…
まぁ、普通に耳栓として使えるので、あって困るものではありません。
本体
本体全景。
骨伝導イヤホンはスピーカーをこめかみに押し付ける都合上、形状記憶ワイヤで固定するのでこの形はだいたい共通ですね。
スピーカーのところの銀の丸いものは多機能ボタンです。
内側には認証マーク。
反対側には認証情報と基本スペック。
右の底面には充電端子と音量ボタンです。
マイクは2か所。
声を拾うマイクと、通話時のノイズキャンセリング用ですね。
充電中はLEDが光ります。
充電完了すると消灯します。
重さは仕様上は28g。実測では27.7gでした。
他社と比較
がじぇっとりっぷでは過去にShokz(Aftershokz)の骨伝導イヤホンをレビューしているので、比べてみましょう。
「Aeropex」との比較
耳かけはやや深く、角度が微妙に違います。
スピーカー部分も半回りほど大きいです。
「OpenRun Pro」との比較
耳かけの形はよく似ています。
スピーカーは「OpenRun Pro」はだいぶ薄型になっています。
操作について
基本操作 | |
---|---|
電源オン | 音量+を2秒長押し |
電源オフ | 音量+を2秒長押し |
ペアリング | 電源オフ状態から 音量+を5秒長押し |
音楽 | |
再生 | 1回クリック |
停止 | 1回クリック |
次の曲 | 再生中に2回クリック |
前の曲 | 再生中に3回クリック |
通話 | |
応答 | 1回クリック |
終了 | 1回クリック |
その他 | |
音声アシスタント | 2秒長押し |
言語の変更 | 音量+、-、ボタンを 同時に1秒長押し |
バッテリー残量 | 再生停止中に音量ボタンクリック (+でも-でもよい) |
イコライザ切り替え | 音楽再生中に 音量+と-を同時長押し |
マルチポイント接続 | ペアリングモード中に ボタンと音量+を同時長押し |
マルチポイント終了 | ペアリングモード中に ボタンと音量-を同時長押し |
使ってみた感想
接続について
接続は非常にシンプルで、電源オフの状態から[音量+]ボタンを5秒長押し(「Welcome to Haylou」といわれても押したまま)すればペアリングモードに入ります。
スマホやPCなどから選択すればすんなりと接続されます。
かけ心地について
かけ心地は「OpenRun Pro」に近い感じです。
「Aeropex」はやや深くてスッポンという感じにはまるのですが、「PurFree」はすとんと耳の上に落ちて、そのまま動かなくなる感じです。
どっちがいいというわけではないのですが、十分に固定されています。
締め付けは「OpenRun Pro」よりやや強いものの、長時間装着していてもきつくない程度です。
骨伝導イヤホンの常としてスピーカーの当たる位置で音が全然変わるというものがあるのですが、「PurFree」はワイヤーがちょっと硬め(ただ使い込んでいないだけかも)で調整しにくいのが難点と言えば難点ですね。
まぁ大体の場合は装着した時点で最適な状態になっているんですけど。
ものに当たってずれた場合などは、いったん外して付け直すのが一番確実な方法になります。
音質について
全体としてすごく柔らかいというかまろやかな音です。
こもった音というわけではなく、金属音とか破裂音が丸いです。
骨伝導は特性上音が丸くなりがちですが、鼓膜で聞いても丸い音でした。
人によっては物足りなく感じそうですが、脳に刺さるようなキンキン音が苦手な人にはいいかもしれません。
かといって音がぼやけるわけでもなく、聞きやすい音をしています。
小型ドライバーなイヤホン全般に言えることですが、低音は弱めです。
骨伝導イヤホンの場合、低音はこめかみをくすぐるので、あえてさらに弱めている感があります。
中音は割と豊か。というか、妙に音が詰まっています。
普通のイヤホンでこのくらい音が詰まっていたら高評価を得られるでしょう。まぁ、骨伝導となるのでだいぶ削られるのですが。
それでも骨伝導なのに普通のイヤホンと同じように聞こえるわけで。「PurFree」の音が優秀なことが分かります。
高音は伸びが限定的で、残響がスッと消えます。
音が出ていないというわけではないのですが、全然主張しません。
多少の物足りなさはありますが、必要以上に脳に響かないので長時間聴いていてもあまり疲れないのは良ポイントです。
上記を実際の音楽に当てはめると、バリトンくらい声の低い男性ボーカルは軽い声に、ソプラノなど伸びやかな女性ボーカルは物足りなく聞こえます。
逆に弱点が当てはまらない、中音域が中心の歌手や、はすっぱな声とかハスキーボイスだと全く違和感く聞けます。
元が柔らかな声のEnyaとかもいい感じです。あとゴスペラーズも。
人の声に対しては声の輪郭がはっきりしているうえ、女性の声のキンキンした部分が丸くなるので話し声は非常に聞きやすいです。
aptXについて
「PurFree」は高音質なaptX接続に対応しています。
とはいえ、正直なところハイレゾ音源でもないと明確な違いは感じません。
ハイレゾ音源だと音の輪郭に差が出るのですが、ストリーミングサービス程度だと気持ち情報量というか音の奥行きが増したかなぁといった感じで、自信をもって違うとは言い切れません。
まぁスマホだとデフォルトでaptX接続になりますし、ないよりあった方がいいかなといったところです。
音漏れについて
骨伝導イヤホンの性質上、音漏れはかなりあります。
聞いていてうるさすぎない音量70%でも曲によっては1メートル離れたところでも何を聞いているのか分かります。
こればかりは骨伝導の弱点かなと。
防水防塵について
「PurFree」の防水防塵性能はIP67です。
10の位が防塵性能、1の位が防水性能なので、防塵性能はIP6X、防水性能はIPX7とあらわされます。
IPX7:水深1mに30分浸漬しても有害な影響を受けない。
保護等級はJIS C0920:2003(IEC 60529:2001)で規格化されていて、防塵については最高ランク。
防水は上にIPX8がありますが、IPX8は水中カメラなど完全水中動作製品向け(基準もメーカーごとに設定)なので、非水中製品としては最上位と思って構わないでしょう。
まぁ要は、お風呂で使っても大体大丈夫(大体なのは、規格には水温が含まれないため)ということです。
駆動時間について
「PurFree」の駆動時間は仕様上は8時間です。
さすがに8時間つきっきりで測定はできなかったのですが、音量70%(装着していてうるさくない程度)でおよそ3時間30分経過で50%、7時間強で終了しました。
仕様には届かなかったものの、日常的な仕様では十分な長さです。
とはいえShokz製品は実測で12~13時間と長かったので、少々見劣りする点ではあります。
音域について
音域テストには「WaveGene」というアプリを使用しています。
※昨年末か今年の初めころに開発者サイトが閉鎖されましたが、archive.orgでダウンロードできます。
極低音域は弱く、音が認識できる下限は70Hz付近。
音量としては150Hzくらいから大きくなるもののの、200Hzくらいまではこめかみがくすぐったくなるので抑えめ。
200Hz~2,000Hzは澄んだ綺麗な音で、4,000Hzを超えると急に音量が下がり、6,500Hz以上はチリチリとしたノイズが混じります。まぁ音量が下がっているので曲に影響は出ない程度です。
がじぇっとりっぷの耳で聴きとれるのは14,000Hzくらいまで。面白いことに12,000Hz~14,000Hz付近は鼓膜で聞くより骨伝導の方がクリアです。
ト音記号の下のドの音:261Hz
基準のラの音:440Hz(442Hz)
男声:65.41Hz~466.16Hz
女声:164.81Hz~1174.66Hz
声の周波数と比べても、音質での評価とおおむね一致しますね。
4,000Hzから音量が下がるのが、「丸い音」の正体でしょう。
まとめ
骨伝導マイクは下は4,000円前後から、上は2万円程度で販売されています。
「PurFree」はクラウドファンディング商品なのでプランによって価格が変わりますが、記事執筆時点では定価15,200円のところ、税込・送料込み11,900円となっています。
価格的には真ん中くらいですが、聞き比べた限りでは「Aeropex」や「OpenRun Pro」にも劣らない音質で、コスパとしては結構いいんじゃないかと。
1万円オーバーなのでさすがに無条件にお勧めはできませんが、骨伝導イヤホンの場合はTWSとは基準が違います。
下手に安物を選んでいまいちな体験を得るくらいなら、このくらいの金は出した方がいいと思います。
「PurFree」のファンディング終了は2022年09月29日です。
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