2023年4月18日、LenovoはRyzen 7030シリーズ(コードネーム:Barcelo-R)を搭載した軽量14インチノート「IdeaPad Slim 5 Light Gen 8(AMD)」を発売しました。
スペック
■ IdeaPad Slim 5 Light Gen 8(AMD) | |
CPU | Ryzen 7 7730U Ryzen 5 7530U Ryzen 3 7330U |
---|---|
メモリ | 8~16GB DDR4-3200 |
ストレージ | 256~512GB NVMe SSD |
画面 | 14.0インチ IPS FHD |
インターフェース | USB Type-C(Gen1)×1 USB 3.0×2 HDMI SDXC オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6+BT5.1 |
バッテリー | 47WHr |
サイズ | 324.1×215.7×17.1mm |
重さ | 1.17~1.24kg |
特徴
「IdeaPad Slim 5 Light Gen 8(AMD)」は”Light”の名の通り、軽量であることがポイントなノートです。
スタンダードな14インチノートはだいたい1.3~1.4kg台が多い(例えば”Light”の付かない「IdeaPad Slim 5 Gen 8」は1.46kg)のですが、この機種は1.17~1.24kgと一回り軽くなっています。
ただ軽量化はどこかに軽くした分のしわ寄せがくるわけで、見た感じだとバッテリーの小容量化、スピーカーユニットの小型化(音質に影響)、ファンユニットの小型化、ヒートパイプが一本になるなどが行われています。
削れるところは削った感じですし、高負荷時動作に多少影響がありそうです。
また、薄型軽量ながら堅牢性はMIL-STD 810Hに準拠していて、モバル用途を想定していることが伺えます。。
CPU
「IdeaPad Slim 5 Light Gen 8(AMD)」のCPUは、Ryzen 7030シリーズが使われています。
Ryzen 7030はBarcelo(Ryzen 5 5625U、Ryzen 7 5825U)のリフレッシュ版で、Zen3アーキテクチャ+Vegaアーキテクチャとなります。
多少の改良はあるとはいえ、製造プロセスも7nmのままですし、基本的にはBarceloの動作周波数向上版という位置づけですね。
性能についてはざっくりBarcelo世代の1割増し。Ryzen 3クラス(Ryzen 3 7330U)でもCore i7-1165G7を上回り、日常使用では実用的な性能を持っています。
グラフィックはまだデータがないのですが、動作周波数が1割強向上しているので、CPU同様に1割程度のスコアアップと見込まれます。
とはいえアーキテクチャがVegaなので、グラフィックもある程度求めるというのであれば、Ryzen 7035シリーズやRyzen 7040シリーズを搭載した製品を選ぶべきでしょう。
メモリとストレージ
メモリは8GBまたは16GBのDDR4-3200。オンボードで増設や換装はできません。
ストレージは256GBまたは512GBのM.2 SSD。問題は、QLC NANDと明記されていること。
QLC NANDは1セルに4bit、つまりは電圧を16段階にして書き込むという繊細さが求められます。
データ密度は高いのですがその反面、書き込み性能と耐久性に難があります。
通常使用の範囲であれば寿命が来る前に買い替え時期が来ますが、大容量ファイル書き込み時には速度低下や転送フリーズが発生するでしょう。
↓はQLC NAND SSDを試してみたレビューです。
その他
無線LANはWi-fi 6(802.11ax)対応。記載通りなら6GHz帯が追加されたWi-fi 6Eは非対応です。
Bluetoothはv5.1。
バッテリーは3セルの47WHr。稼働時間はRyzen 5 7530Uで17時間(JEITA2.0)とされています。実使用だと8~9時間くらいでしょうか。
7030Uシリーズは5600U/5800U→5625U/5825U→7030Uと2回の改良が加えられているため、電力最適化はかなり進んでいます。
おそらく「同じ稼働時間ならバッテリーを小さくできる→そうだ、軽量化しよう」みたいな流れだったんだろうなぁと。
外観
正面です。画面は14.0インチFHD(1920×1080)です。
“Light”の付かない「IdeaPad Slim 5 Gen 8」はWUXGA(1920×1200)になってるのに…
カメラは1080pにアップデートされています。
・USB 3.2 Gen1 Type-A
・HDMI
・USB 3.2 Gen1 Type-C
・オーディオジャック
・メディアカードリーダー
・USB 3.2 Gen1 Type-A
インターフェースはさすがにUSB2.0はありません。
欲を言えばUSB 3.2 Gen2が欲しかったところですが、”Light”の付かない「IdeaPad Slim 5 Gen 8」もUSB 3.2 Gen2はないので、仕方ないですね。
キーボードはIdeaPad系。
左右はメッシュになっていますが、その下の大半はインターフェース類です。
スピーカーはメッシュの一番下の辺りにあります。
2023年5月3日追記:画像は英字キーボードで、国内販売時はJIS配列となります。
内部はこんな感じ。
左右真ん中付近にある小さなユニットがスピーカーです。
比較として、”Light”の付かない「IdeaPad Slim 5 Gen 8」の内部。
スピーカーはバッテリー左右にあり、容積が全然違います。ヒートパイプも二本で、ファンも一回り大きく、冷却能力には明らかに差があります。
特徴の項目でも書きましたが、軽量化と引き換えに失っているものもあるわけです。
2023年5月3日追記:冷却能力が下がったのは確かですが、イコール力不足というわけではありません。余裕というかマージンが小さくなったとみるべきでしょう。おそらく高負荷時はファンを高回転させることで対応でき、性能低下はあったとしてもごくわずか。その代わり騒音が増すものと思われます。
まとめ
「IdeaPad Slim 5 Light Gen 8(AMD)」の価格は83,114円から。
軽量モデルとはいえ、前世代モデルにあたる「IdeaPad Slim 570(14″)」の価格が66,836円からだったことを考えると結構な値上がりです。
まぁ、”Light”の付かない直系後継機の「IdeaPad Slim 5 Gen 8」も79,860円からなんですけど。
軽量化というのは大きなポイントではありますが、現行品としてはやや古いアーキテクチャですし、今後上位の7035シリーズや7040シリーズを搭載した製品が待ち構えています。
よほど急いでいるのでなければ、2023年モデルが一通り出揃うのを待ってから検討すべきでしょう。
コメント
> BarceloにはなかったRyzen 3クラス
Ryzen 3 5425U搭載機種が日本でも少ないながら販売されています。
ご指摘ありがとうございます。
そういえば!Lenovo V15とか搭載していましたね。
完全に存在をなかったことにしてました。文言を削りました。
ヒートシンクの問題は、作業時に発生する熱と、その熱を充分に排出できるかで見るべきかと。
確かに、ヒートシンクの削減で、冷却効率は下がったと思いますが、これではカ不足なのかどうかが問題。
前世代等の使い方を検証した結果、CPUに負担をかける作業をしなさそうなユーザが多く、そこをターゲットにした可能性もあります。
なので、カ不足と断じるのは早計かも知れません。
冷却性能が下がっていることは事実ですが。
このモデルは、記事を拝見するところでは、CPUやSSDへの高負荷の作業には向いていない機種のようです。
つまり、ユーザの想定は、家庭用またはオフィスワーカの事務作業やオンライン会議等向け。
大容量ファイルを扱う作業や、その延長である動画編集には向かない様です。
そのため、クリエイタや一部ゲーマー向けでは無さそう。
その他、画像を見て気になったことは、エンターキーの形が、押しやすいものかどうか、人を選びそうなところでした。
コメントありがとうございます。
冷却能力については実は力不足とは書いていないんですよね。
そう読み取れることは確かなので、注釈を追記いたしました。
また、キーボードは表示画像は英語配列(Lenovoに限らず英語配列の画像を使いまわしていることが多いです)で、国内販売はJIS配列となります。(この点も追記いたしました)