2024年5月28日、LenovoはCore Ultra Series 1 (コードネーム:Meteor Lake)を搭載し、世界で初めてメモリにLPCAMM2を採用したモバイルワークステーション「ThinkPad P1 Gen 7」を発売しました。
スペック
■ ThinkPad P1 Gen 7 | |
CPU | Core Ultra 9 185H Core Ultra 7 165H Core Ultra 7 155H |
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メモリ | 16~3264 CAMM2 LPDDR5x-7500 |
ストレージ | 256GB~1TB NVMe SSD |
画面 | 16.0インチ IPS WUXGA/2.5K/4K |
インターフェース | USB Type-C(TB4)×2 USB Type-C(Gen2)×1 USB 3.2 Gen1×1 HDMI SDカードリーダー オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 7+BT5.4 |
バッテリー | 90WHr |
サイズ | 354.4×241.2×17.05mm |
重さ | 1.82kg |
特徴
「ThinkPad P1」は、モバイルワークステーションにおけるフラグシップモデルです。
初代モデルの頃からXeon+Quadro P2000を選べたり、ISV認証を取得していたりと、本格的な仕様でした。
インターフェースも初代からのテイストをそのまま受け継いでいて、買い換えてもスムーズに移行できるようになっています。
CPU
「ThinkPad P1 Gen 7」のCPUは、Core Ultra Series 1よりCore Ultra 9 185H、Core Ultra 7 165H、Core Ultra 7 155H。
Core Ultra 7 155HのみvPro非対応です。
グラフィックはdGPUを搭載し、RTX 4060/4070(ともに8GB)のほか、RTX 1000 Ada(6GB)、RTX 2000 Ada(8GB)、RTX 3000 Ada(8GB)を選択できます。
Core UltraのHシリーズは性能が高く、ハイエンドにふさわしいスコアを叩き出しています。
グラフィックも、これまで独走状態だったRyzenを抑えて内蔵グラフィックとしては最高レベルのスコアとなっています。
とはいえ「ThinkPad P1 Gen 7」はdGPUを搭載する機種なので、内蔵グラフィックの出番はそれほど多くないかもしれませんが…
なお、グラフィックボードのざっくり性能は、RTX 3000 Ada > RTX 4070 > RTX 2000 Ada >RTX 4060 > RTX 1000 Adaとなります。
実のところ先代の「ThinkPad P1 Gen 6」だとさらに上位のRTX 4000 Ada(12GB)、RTX 4080(12GB)、RTX 3500Ada(12GB)が選べたり。
なぜ選べなくなったのかまでは分かりません。
メモリとストレージ
メモリは16~64GB LPCAMM2 LPDDR5X-7500。
ストレージは256GBから1TBまでのM.2 Gen4 SSD。これも4TBまで選択可能。
TLC NANDであることが明記されていて、さらにセカンドストレージも選択し、RAID 0/1を組むこともできます。
ソケットではなく基板に直接ねじ止めとなったものの、ソケットがないのでSO-DIMMに比べて高さが抑えられ、単体でもデュアルチャネルであること、さらにはこれまでオンボードしかなかったLPDDRメモリをモジュール化できるというメリットがあります。
iFIxitの解説動画がわかりやすいです。
経緯としては、2023年初めにDELLが独自形状メモリモジュール「CAMM(Compression Attached Memory Module、直訳すると圧縮接続メモリモジュール)」を発表、2023年9月にSamsungがCAMMをLPDDRベースにした「LPCAMM」を発表、2023年12月には業界団体JEDECにおいて「CAMM2」が標準化されました。
唐突に”2″が付いたわけですが、”2″のない「CAMM」はあくまで独自規格であるという区別のため、というのが理由のようです。
ちなみに、DDR5 CAMM2とLPDDR5 CAMM2ではピン配置が違っていて互換性はないそう。
その他
無線LANはWi-fi 7(802.11be)、Bluetoothはv5.4。チップはIntel BE200です。
有線LANはありませんが、オプションでType-C to 2.5GbEアダプタを選択できます。
4G/LTEは削除され、先代まであったSIMカードスロットも消えました。
ついでにNFCも消えました。
バッテリーは4セルの90WHrで、動作時間は動画再生時で18.6時間、アイドル時は33.8時間(JEITA3.0、RTX 1000 Adaの場合)。
電源アダプタは170Wで、満充電まで1.72時間、60分で80%の急速充電に対応しています。
外観
本体です。
ディスプレイは16インチで、パネルは以下の3種から選びます
・1920×1200 IPS、100% sRGB、400nits、60Hz
・2560×1600 IPS、100% sRGB、500nits、165Hz
・3840×2400 有機EL、100% DCI-P3、400nits、60Hz、マルチタッチ、反射防止/汚れ防止
カメラ部分は厚みのあるコミュニケーションバーを「P1」シリーズとして初採用。
コミュニケーションバーはコロナ禍でリモートが増え、カメラが質を上げてほしいという要望から生まれたもので、500万画素カメラ+IRカメラを内蔵しています。
2.USB 3.2 Gen1 (Powered USB)
3.USB 3.2 Gen2 Type-C
4.セキュリティスロット
6.USB Type-C(Thunderbolt4)x2
7.HDMI
8.オーディオジャック
インターフェースは初代からThundebolt3×2を搭載していて、イーサネットコネクタがなくなるなどの変化はあるものの、おおよそのテイストは受け継いでいます。
「Gen7」では初めて右サイドがType-A+type-Cとなりました(先代まではType-A×2)。
また、「Gen3」から「Gen6」まであったSIMスロットも廃止となっています。
キーボードはテンキーなし。これも初代から続くこだわりです。
ヒンジは180度開きます。
内部はこんな感じ。中央のLPCAMM2が見慣れない感じです。
M.2 SSDは左右に配置されています。
まとめ
「ThinkPad P1 Gen 7」の価格は記事執筆時点で383,240円から。
プレミアムモデル(185H+64GB+1TB+RTX4070+4K有機EL)だと614,636円。とんでもなく高いです。
併売されている先代「ThinkPad P1 Gen 6」は下位モデル(Core i7-13700H+RTX A1000)で308,319円から。
価格に開きがありますが、もとからCore Ultra Hシリーズ製品は高くなりがちだし、世界初メモリ搭載なので、ある種の初物価格と考えればこんなものかなぁと。
ただ今後はMicrosoftの唱える「Copilot+ PC」(40TOPS以上のNPUを内蔵)に対応したCPU(コードネーム:Lunar Lake)が登場しますし、NPUを除いた性能やカスタマイズ性は「Gen6」のほうが上ですし(GPUの選択肢も多く、メモリも96GBまで選べる)、時期的にも微妙という。
「世界初」というのは興味深いポイントですが、安い買い物ではないのでじっくり考えるべきでしょう。
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