2024年6月24日、MinisforumはRyzen 9 8945HS搭載のミニPC「UM890 Pro」を発売しました。
スペック
■ UM890 Pro | |
CPU | Ryzen 9 8945HS |
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メモリ | 32/64GB DDR5-5600 |
ストレージ | 1TB NVMe SSD |
インターフェース | USB Type-C(USB4)×2 OCulink ×1 USB 3.2 Gen2×4 HDMI 2.1 DisplayPort 1.4 2.5GbE 有線LAN×2 オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
サイズ | 127×130×66.6mm |
特徴
「UM890 Pro」は「UM790 Pro」のCPUアップデートモデル…ではなく、構成的には「UM780 XTX」のCPUアップデートモデルと見たほうがいい製品です。
名称的な前世代となる「UM790 Pro」比だとOCulinkが追加されたり、インターフェース構成が変わったりと大きな変化なのですが、「UM780 XTX」比だとCPU以外の違いはなく、「XTX」から「Pro」に流用された形となります。
ただし「UM780 XTX」の特徴であったバックライト・エッチングシートはなくなりました。
CPU
「UM890 Pro」のCPUはRyzen 8000シリーズからRyzen 9 8945HS。
Ryzen 8000シリーズは2023年12月に発表されたCPUですが、CPUおよびGPUアーキテクチャはRyzen 7040シリーズと同じZen4+RDNA3となっています。
Ryzen 9 8945HSは、内容的にはRyzen 9 7940HSとほぼ同じ。違いといえるのはNPU(XDNA)が強化された点だけです。
Ryzen 9 8945HSはまだサンプル数が少なく、ベンチマーク結果も参考程度ですが、PassMarkスコアはRyzen 9 7940HSと誤差レベルです。
ただ、AMDは2024年6月3日、COMPUTEX 2024の開幕前日のオープニング基調講演で「Strix Point」のコードネームで開発している「Ryzen AI 300」シリーズを発表しています。
「Ryzen AI 300」シリーズは、最大12コアのZen5 CPU、CDNA 3.5に対応したGPU(RDNA 3.5)、単体で50TOPSの性能を持つNPU「XDNA 2」と全面的に刷新され、Copilot+ PCに対応。搭載製品は早ければ7月にも登場するとされています。
なので、ミニPCに来るのは少し後になるとはいえ、最新世代のCPUを目当てとするのであれば待ったほうがいいでしょう、
メモリとストレージ
「UM890 Pro」のラインナップは、ベアボーン(メモリ・ストレージ・OSライセンスなし)、32GB+1TB、64GB+1TBの3種類。
メモリはSO-DIMM DDR5-5600が2スロットで、最大96GB(48GB×2)まで対応します。
ストレージはGen4 SSD。内部的にはデュアルGen4 SSDスロットを持っています。
その他
無線LANはWi-Fi 6E(802.11ax)+BT5.3。
有線LANはデュアル2.5GbE。
電源アダプターはDC19Vとだけ書かれていますが、おそらくは120Wと思われます。
外観
インターフェースです。
前面と背面にUSB4が1ポートずつあり、背面にはOCulinkも搭載。
映像出力はHDMI 2.1+DisplayPort 1.4+デュアルUSB4の4画面出力に対応します。
MinisforumはOCulinkに対応した外付けGPUドッキングステーション「DEG1」を発売していて、OCulinkに積極的なメーカーです。
内部イメージ。
デュアルSSDスロットに、メモリもカバーできるSSD用のファン付きヒートシンクを内蔵します。
冷却は「UM790 Pro」のCold Wave 2.0からCold Wave 2.2にアップデート。といっても「UM780 XTX」とは同じもののようです。
いまいちどう違うのかは不明ですが、より静音になっているようです。
まとめ
「UM890 Pro」の記事執筆時点の価格は以下の通り。
ベアボーン:82,380円
32GB+1TB:111,980円
64GB+1TB:126,390円
金額的には「UM790 Pro」より1万円前後、「UM780 XTX」より2.2~2.6万円程度高くなります。
「UM790 Pro」と比べればいろいろ変更されているので価格は分かります。
しかしRyzne 7とRyzen 9では性能的に大きな開きがあるわけではないので、「UM780 XTX」と比べてしまうと価格に見合っただけのものを見出すのはちょっと難しいです。
前述したようにすでに次世代の「Ryzen AI 300」シリーズが控えているわけで、コストをかけずRyzen 8000世代の製品を発売したというのが実情でしょう。
なので、実際のところはひとまず「UM780 XTX」でしのいで次世代CPU搭載モデルを待つ、というほうが現実的でしょう。スタンドもついてきますしね。
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