QCYは2009年に設立したイヤホン・スピーカーの専門メーカー、Dongguan Hele Electronics Co., Ltd.のブランドで、がじぇっとりっぷでも何度かレビューしています。
QCYは高くても5,000円前後、モノによっては2,000円台と格安の価格帯を主戦場としてきました。
そのQCYの製品で初めてLDAC(無線ハイレゾ規格)に対応したのが、今回レビューする「AilyBuds Pro+」(型番:HT10)です。
「H3」は有線でのハイレゾに対応していましたが、無線ハイレゾは初です。
QCY AilyBuds Pro+
GoodPoint
✔ 長時間装着でも疲れにくいインナーイヤー型
✔ 最大クラスの13mmドライバ
✔ LDAC対応
✔ AIアダプティブオーディオが強い
BadPoint
✖ 本体の再生時間はやや短め
✖ 防水は低めのIPX4
クーポンコード:2TZH4B6K
使用期限:2024/6/30 23:59 JSTまで
スペック
モデル | BH23HT10A |
---|---|
Bluetoothバージョン | v5.3 |
対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
対応プロファイル | HFP、A2DP、AVRCP |
ドライバー径 | 13mm |
周波数 | 20Hz-20kHz |
バッテリー容量 | 27mAh(本体) 350mAh(ケース) |
バッテリー駆動時間 | 約5時間 約4時間(ANCオン) |
バッテリー駆動時間 (ケース込) | 約28時間 約23時間(ANCオン) |
充電時間 | 約1時間(本体) 約2時間(ケース) |
充電端子 | USB Type-C |
防水&防塵規格 | IPX4(本体) -(ケース) |
重量 | 本体:約4.2g ケース込:約36.8g |
パッケージ
・充電ケース
・充電ケーブル(約20cm)
・取扱説明書
操作について
設定 | |
---|---|
電源オン・オフ | 1.5秒長押し ケースに入れる |
ペアリング | 蓋を開け、ケースボタン3秒長押し (LEDが片方点滅、片方点灯) |
出荷時設定 | 蓋を開け、ケースボタン10秒長押し (LEDが赤点滅) |
ANC | 右を1.5秒長押し |
ゲームモード | 左を1.5秒長押し |
アシスタント | 左を3回タップ |
音楽 | |
再生/停止 | (右/左) 2回タップ |
次の曲 | 右を3回タップ |
通話 | |
電話に出る/切る | 右を2回タップ |
着信拒否 | 1.5秒長押し |
操作体系はずいぶんと簡素で、誤操作を防ぐために一回タップには何も割り当てられておらず、また音量操作は本体からはできません(アプリからのカスタマイズで変更可能)。
まぁ音量は一度決めたらそうそう変更することもないので、実用面では支障はないのですが。
音楽関係は「再生/停止」と「次の曲」の二つのみ。使用頻度を考えると最低限この二つがあればいいかなと。
長押しにANCが割り当てられているのは、何気にうれしいところ。
3回タップに割り当てられているイヤホンもありますが、時々失敗していたので、長押しのほうが確実性が高いです。
使ってみた
接続について
「AilyBuds Pro+」はLDAC対応がウリのイヤホンです。
当然、Xperia 1 IIとはちゃんとLDAC接続になりました。
アプリについて
スマホアプリとして「QCY」が用意されています。
ゲストモードが用意されていて、ユーザー登録なしでも全機能使えるのは、素晴らしいですね。
デバイス情報とファームウェアアップデート。
アップデートは2分程度で終わります。
“サウンド”画面ではイコライザーとANCの設定。
「AIオーディオ(AIアダプティブオーディオ)」と「アダプティブANC」は選択すると最適化が行われ、装着状態の評価も行われます。
効果を十全に発揮させるには”装着状態が優秀”となる必要があります。
デフォルト(左)と「AIオーディオ」(右)では、「AIオーディオ」のほうが低音強めになっています。
前述の通り、操作方法もカスタマイズ可能。
おすすめは”音声アシスタント”を”曲戻し”に変更することです。
かけ心地
「AilyBuds Pro+」はAirPodsなどと同じ、イヤーピースのないインナーイヤー型。
イヤーピース型(カナル型)が耳穴で支えるのに対し、耳甲介と呼ばれる耳のふちにひっかける形となります。
カナル型に比べれば押し広げられた感(圧迫感)が少なく、比較的長時間の装着にも耐えられます。
ちなみに。がじぇっとりっぷはカナル型が苦手で、ファイナルオーディオ(現final)「Piano Forte II」(2010年)の頃からインナーイヤー型を多く使っています(最近はオープンイヤー型になりましたが)。
やっぱりインナーイヤー型は楽ですね。
音質について
音質はQCYが推奨している設定、イコライザーを「AIオーディオ(AIアダプティブオーディオ)」、ANCを「アダプティブANC」モードで確認しています。
音質、というか音の雰囲気はほかのイヤホンと違っていて、他のイヤホンが屋外のだだっ広いところで聞いている感じなのに対し、「AilyBuds Pro+」はちょっと広めのライブハウスで聞いているような感じ。
「AilyBuds Pro+」のドライバー径は13mm。
イヤホンとしては特大サイズといってもよく、開発者が内部空間を削りに削って実現しています。
音の傾向はドンシャリ。というか、イコライザーの設定がそうなっています。
大口径ドライバーを生かして低音・重低音は強め。
密閉型ではないのにかなりずっしりときます。オープンイヤーでは得られない重厚感です。
中音はあっさり。
「AIオーディオ」だと低音のほうがやや前に出てきますが、決して埋もれはせず、程よく主張しています。
男性ボーカルは中低音がしっかりと支え、高音寄りの女性ボーカルはしっとりとした声になります。
高音はキレがいいものの、抜け感というか広がりは弱いです。これと低音の近さが”ライブハウスで聞いている”感の大きな理由ですね。
広がりは薄いですがキンキン感がなく、長時間聞いていても疲れない音です。
全体としては解像感もよく、強めの低音が全体をまとめていて、高級イヤホンの一歩半手前くらいまで迫っています。
ただ、あくまで素晴らしいのは「AIオーディオ」の時で、「デフォルト」にすると途端にシャカシャカとした安っぽい音になる点は注意。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。
また、長時間にわたる大音量での視聴は聴覚障害を引き起こす可能性があります。
ANCについて
「AilyBuds Pro+」は耳をふさがないインナーイヤー型ながらノイズキャンセリング機能を内蔵。
さすがにカナル型ほどの無音化効果はないものの、意外なほどに音をカットしてくれます。
感覚としては車のエンジン音は半分程度に、タイヤの音は1/4くらいになります。工事音も扇風機の音も半分です。バイクの甲高いエンジン音は音域的に効果範囲外なのか消えません。
こう書くと大したことがないように見えますが、曲の邪魔をしない程度に低減されていてしっかり効果を感じられます。
ちょっと惜しいのが、ANCはデフォルトではオフなこと。毎回手動でオンにする必要があります。
装着状態で最適化させる都合上、電源オン時にANCオンにできないという事情は分かるので、次は着脱感知機能と合わせて自動で最適化まで持っていけるといいですね。
まぁ、右イヤホン1.5秒長押しでANCオンにできるので、そのくらいの手間を惜しむなって話ではありますが…
なお、外音取り込みモードはありません(というか、インナーイヤー型は自然と外音が入り込む)。
外観
外箱です。
裏面には技適番号も記載。
番号が二つありますが、空中線電力が違う以外の差は分かりませんでした。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(219-248003):総務省
パッケージ全体。
マニュアルは一枚ぺらのタイプ。
内容はばっちり日本語フォントで、文章も自然な日本語でした。
「Arcbuds」のオンラインマニュアルが中華フォントだっただけに、きっちり修正してきたところはとても好感が持てます。
ケース
ケースは丸く、コロンとした形。
底部に充電端子とリセットボタン。
このままワイヤレス充電器に置きたくなりますが、ワイヤレス充電は非対応です。
蓋は大きく開き、本体は取り出しやすいです。
本体
出したばかりの本体には大きな保護シールが。これどこを保護してるの?
“REMOVE”と書かれたシール。最初、本体にこういうロゴが入っているのかと勘違いしたくらい馴染んでいます。
というかタッチセンサー部にはこういうマークがついていてもいいんじゃないかなぁと。
うどん部(スティック部)は光沢樹脂で、ちょっとした高級感。
開口部は3か所。
通話マイクと充電端子。
内部には通話用のほかにANC用が二つ、計三つのマイクを内蔵しています。
重さは本体8.6g(片方4.3g)、ケース込みで37gとほぼ仕様通りでした。
まとめ
「AilyBuds Pro+」の価格は7,480円。記事執筆時点では20%オフクーポンで5,984円です。
QCYの中では高級品になりますが、それでも飛び抜けた高額にはなっていません。
というか、ここ数年イヤホンのレビューをしてきましたが、音質の上がりっぷりが半端なく、以前までの音と価格の相場観が通用しなくなっているなぁと。
メーカーが推しているだけあってAIアダプティブオーディオの効果は素晴らしいの一言に尽きますし、インナーイヤー型ながらノイズキャンセリングも及第点以上。
ワイヤレス充電や着脱検知などの周辺機能こそありませんが、「音を聞く」という部分には妥協のない、それでいて手ごろな価格を実現したイヤホンといえます。
クーポンコード:2TZH4B6K
使用期限:2024/6/30 23:59 JSTまで
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