【レビュー】Verbatim Vi7000G(4TB):国内サポートがうれしいMaxio+YMTC232層なDRAMレスSSD

レビュー

Verbatim(バーベイタム)は、1969年にアメリカ・カリフォルニア州で設立され、8インチフロッピーの頃から記録メディアを手掛ける老舗企業です。
1990年に三菱化成株式会社に買収され、94年に三菱石油化学と合併し、三菱化学株式会社に社名を変更。
おそらく90年代からPCを触っている人には”AZO系有機色素CD-Rの三菱化学メディア”で通じるでしょう。がじぇっとりっぷもめっちゃ買ってました。

2009年から2010年にかけてMITSUBISHIブランドを終了、国内ブランドもVerbatimに切り替え。
2019年に台湾CMCマグネティクス(三菱化学メディアと提携してCD-Rを製造していた)の子会社に事業を売却、2020年にVerbatim Japan株式会社と社名変更して今に至ります。

要はとても信頼性が高いブランドってことです。
最近では記録メディアにとどまらず、USBケーブルやUSB PD充電器なども手掛けています。

そんなVerbatimから登場した高速M.2 SSDが、今回レビューする「Vi7000G」です。
海外では2023年7月頃から販売されているようです。

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Verbatim Vi7000G

■ Vi7000G 49369
容量4TB
接続PCIe Gen 4.0 x4
NVMe 2.0
転送速度リード:7,000MB/s
ライト:6,400MB/s
NANDYMTC 232L NAND
キャッシュメモリ
耐久性1400TBW
保証2年(USの場合)

本体外観

箱は海外感の高いものになっています。
販売代理店はI・O DATAです。

中箱は紙製。ねじは入っていません。

本体裏表。
「Vi7000G」はヒートシンク装着モデルです。

このヒートシンク、Hanyeと同じものが使われています。
といってもそもそもバリエーションがあまりないので、かぶることは多いです。

ヒートシンクを開けたところ。
シリコンパッドは高さの低いコントローラ部分だけ二重になっていて、ちゃんと熱が伝わるようになっています。

中身の裏表。
「WEARRANTY VOID IF REMOVED」のシールが目立っています。
裏面には「MAP1602A」の文字が。これって…

コントローラは一世を風靡したMaxio MAP1602Aでした。

NANDには「CD06DA41968」の刻印。

fidを確認すると、がっつりMaxio+YMTCの組み合わせでした。

チェック環境

検証はLenovo「IdeaCentre Mini Gen8」と、システムとしてMonsterStorage「MS950(2TB)」を使用。
測定中は蓋を開けたまま検証。

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CrystalDiskInfoの情報です。
接続はNVMe 2.0。ファームウェアの名前の形式が違いますが、上のfidでみるとSN12699相当となるようです。

NVMeのバージョンは転送速度とはあまり関係がなく、そもそもが通信プロトコルの規格名です。なので、バージョンによって使えるコマンドセットや機能に差があります。

ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…

ベンチマーク

ベンチマークは基本的にヒートシンクを装着した状態で計測しています。
また、機材の限界(Intel系CPUの制限)として、7,000MB/s付近が上限となります

CrystalDiskMark

CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。

シーケンシャルでリード6,971MB/s、ライト6,481MB/sを記録。上記の通り、リードは機材側の限界で、ライトは仕様通りに出ています。

64GiB時はシーケンシャルライトおよびランダムライトがやや落ち込み。特にランダム性能が半分程度まで落ち込んでいます。
この症状自体はDRAMレスSSDはよく見られるため、何か異常があるというわけではありません。

4Kランダムのレイテンシ(1GiB時)は56.53μsとやや遅め。64GiB時は100μsを超えています。
この辺りはCPU直結にするなど遅延要素を徹底的に排除しないと実力が見えないところなので、モバイル向けCPUとの組み合わせならこんなものと言えるかと。

AS SSD Benchmark

AS SSD Benchmarkでは総合3349ポイントとかなり低い点数に。
「NM790(4TB)」と同じような速度・スコアなので、4TBモデルはこのくらいが標準なのかも。

h2testw

h2testwも他のYMTC系とほぼ変わらず、2.1GB/sでスタート。

半分の2TBを超えても1.5GB/sを維持し…

700MB/s台の書き込み速度でフィニッシュ。

トータルでは、書き込みは平均1.10GB/s、読み込みは平均1.31GB/sでした。

ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
これもグラフの形が「NM790(4TB)」とそっくりで、中身的にほぼ同じものであることがわかります。

HD Tune Pro

HD Tune Proではリードは「NM790(4TB)」よりやや荒れていますがほぼ一定で、平均1,998MB/s。

ライトはやや乱れていますが、平均2,304MB/sでした。
「NM790(4TB)」では平均2,181MB/sだったので、ヒートシンクの効果、ファームウェアの差、個体差のいずれかかなと。

その他の計測結果は以下。

3DMark Storage Benchmark

3DMark Storage Benchmarkでは2570ポイント。
全体的に「MS950(2TB)」よりちょっとだけアクセスタイムが早く、転送速度もちょっと早い(といっても差は1桁%ですが)ですね。

ファイル転送(書き込み)

ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。

10GB(1GB×10)のファイル:3.483秒 (2939.994 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:38.408秒 (2666.111 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:393.726秒 (2600.793 MB/s)

「MS950(2TB)」と比べると10GB(2.842秒)はやや遅く、100GB(38.067秒)は同程度、1000GB(565.465秒)は圧倒的に早いという結果に。

「NM790(4TB)」と比べると10GB(3.644秒)、100GB(38.678秒)、1000GB(386.763秒)と同程度なので、同じYMTC系でも2TBと4TBでは傾向が違うことがわかります。

1TB転送時のタスクマネージャの様子。
アクティブ率が100%に達することもなく、CPUも含めて余裕をもって処理できていることが分かります。

温度について

「Vi7000G」はヒートシンクを装着しているため、表面温度は60度に届きませんでした

センサー上では最大64度。
HWMonitorでは3つあるセンサーのうち、一つしか拾えていません。

ヒートシンクなしだと、コントローラが最大104度弱まで上昇
同じMAP1602を採用するLexar「NM790」は最大でも66度程度だったので、グラフェンシールって意外と効果あったんだなぁ…

なお、H2testwによる全域書き込み中(転送速度2.0GB/s前後)では90度を超えない程度で推移したので、実用上は安全な範囲になるかと。

ちなみにセンサー上では最大81度。
温度センサーの位置があまりよくないような…?

まとめ

「Vi7000G」はYMTC 232層のM.2 SSDとして標準的な性能でした。
実のところ、Verbatimならもっと変わったものを出してくるかと期待していただけに、ちょっとがっかりしてたり。

コントローラの発熱が結構高めですがそもそもヒートシンク装着前提ですし、ヒートシンクを装着していれば冷却面でも問題ありません

国内代理店を務めるアイ・オー・データ機器がサポートする点はメリットですが、アイ・オー・データ内のブランドページにSSDの項目がないくらいには扱いがちっちゃいです。
あと保証期間が書かれていないのがちょっと怖いところ(USでは2年保証)。

個人的にはブランド買いもアリだとは思いますが、いまいち扱いがよくないのでおすすめはしづらいです。

関連リンク

公式製品ページ:Verbatim

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