2024年5月21日、ASUSはIntelのNUC事業を引き継いだ後、初の製品となる「ASUS NUC Proシリーズ」を発表、5月30日に発売しました。
「NUC Proシリーズ」をざっくり分類すると、Core Ultraを搭載した「NUC 14 Pro」、Core Ultra+アルミシャーシの「NUC 14 Pro+」、第13世代CPUの「NUC 13 Pro」、ファンレスの「NUC 13 Rugged」の4シリーズに分かれます。
さらに「NUC 13 Pro」と「NUC 14 Pro」は2.5インチベイの有無で”Tall”モデルと”Slim”モデルがあります。ここはIntel時代と同じですね。
いずれもメモリ・ストレージ・OSのないベアボーンで、「NUC 14 Pro」と「NUC 14 Pro+」は同じボードを使っているようです。
「NUC 13 Pro」はIntel時代に発売されたものをそのまま再販していて、「NUC 13 Rugged」はファンレス防塵の甲病向け製品なので、この記事では「NUC 14 Pro」と「NUC 14 Pro+」を取り上げます。
dGPUを搭載する「NUC 14 Performance」は記事執筆時点では国内発表はなく、代わりに「ROG NUC」が8月9日に発売されました。
スペック
■ NUC 14 Pro | |
CPU | Core Ultra 7 165H(Tallのみ) Core Ultra 7 155H Core Ultra 5 135H Core Ultra 5 125H Core 3 100U(Slimのみ) |
---|---|
メモリ | SO-DIMM DDR5-5600×2 |
ストレージ | M.2 Gen4 SSD (2280) M.2 Gen4 SSD (2242) 2.5インチSATA (Tallのみ) |
インターフェース | USB Type-C(TB4)×2 USB Type-C(Gen2x2)×1 USB3.2 Gen2×3 USB2.0×1 HDMI 2.1×2 2.5GbE 有線LAN |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
電源 | 120W(U5/U7) 90W(C3) |
サイズ | 117×112×54mm(Tall) 117×112×37mm(Slim) |
重さ | 570g(Tall)/480g(Slim) |
■ NUC 14 Pro+ | |
CPU | Core Ultra 9 185H Core Ultra 7 155H Core Ultra 5 125H |
---|---|
メモリ | SO-DIMM DDR5-5600×2 |
ストレージ | M.2 Gen4 SSD (2280) M.2 Gen4 SSD (2242) |
インターフェース | USB Type-C(TB4)×2 USB Type-C(Gen2x2)×1 USB3.2 Gen2×3 USB2.0×1 HDMI 2.1×2 2.5GbE 有線LAN |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
電源 | 150W(U9) 120W(U5/U7) |
サイズ | 144×112×41mm |
重さ | 800g |
特徴
「NUC 14 Pro」はIntelの「NUC 13 Pro」にASUSテイストを足したような外観で、従来の4×4インチサイズのNUCです。
「NUC 14 Pro+」は過去のASUSとも違う、陽極酸化アルミニウムシャーシを採用した現代的なデザインが特徴となっています。
スペック表にもある通り、搭載できるCPUに少し差があり、「NUC 14 Pro+」ではCore Ultra 9 185Hを選択できます。
CPU
CPUはMeteor Lakeのコードネームで知られるCore Ultraシリーズおよび下位のCore 3 100Uを搭載します。
Core UltraはCPUコアを4nm相当のIntel 4、それ以外を5nm/6nmのTSMC N5/N6で製造する、タイル(チップレット)構造となっています。
ハイブリッドアーキテクチャはP+E+LPEの3層になり、グラフィックアーキテクチャがIntel ArcベースのXe-LPGに、さらにNPUも内蔵しました。
Core Ultra 9 185HはCore Ultra 7 155Hと同じ16コア22スレッド(6P8E2LPE)ながら、TDPが45-115Wと高く(155Hは28-64W)、その分きっちり性能も高くなっています。
AMD系の主力となるRyzen 7 8845HSとほぼ同じスコアで、かつグラフィックは5%ほど上回ります。
ただゲームでの実測だといまいち伸びないという話もあり、最適化やドライバの成熟が待たれます。
メモリとストレージ
「NUC 14 Pro」「NUC 14 Pro+」はベアボーンキットなので、メモリ・ストレージ・OSはありません。
メモリはSO-DIMM DDR5-5600が2スロット。
ストレージはM.2 2280とM.2 2242が1スロットずつの、デュアルストレージに対応。どちらもGen4 x4接続です。
これに加えて「NUC 14 Pro」のTallモデルは2.5インチSATA×1を追加したトリプルストレージに対応します。
その他
無線LANはWi-fi 6E。チップはIntel AX211D2Wです。オンボードチップなので換装はできません。
有線LANは2.5GbE。
電源は120Wが基本で、「NUC 14 Pro」のCore 3 100Uモデルが90W、「NUC 14 Pro+」のCore Ultra 9 185Hモデルが150Wです。
第13世代での話ですが、Core i9-13900Hでは120Wで足りていなかったので、このクラスが150Wになれば十全に性能を発揮できるでしょう。
外観
まずは「NUC 14 Pro」から。
インターフェースはIntel時代のNUCを踏襲していて、デュアルHDMIにThunderbolt4×2の豪華仕様。フロントは従来のUSB3.2 Gen2×2に加えてUSB3.2 Gen2x2が追加されて3ポートとなっています。
Slimモデルは2.5インチベイがなくなり薄型。
「NUC 14 Pro+」は筐体サイズが5×4インチとやや長方形となっています。
樹脂筐体の「NUC 14 Pro」に対して陽極酸化アルミニウムシャーシを採用、放熱性が良くなっています。
インターフェースは同じで、ボード自体は同じであることが伺えます。
インターフェース上部の排気口がないのは、「NUC 14 Pro+」は底面吸気・側面排気となっているためです。
「NUC 14 Pro」を見ればわかりますが、CPUは天面側。
「NUC 14 Pro+」ではヒートパイプで筐体左右のヒートシンクに熱を運び、底面側のファンの排気で冷やす構造です。
このファンはついでにメモリとストレージも冷やすようになっているので、メモリ・ストレージは冷えない「NUC 14 Pro」に比べて高負荷に強くなっています。
底面はツールレスで開けられます。
が、蓋の下には金属プレート、あるいは底面ファンがねじ止めされているので、結局ドライバーは必要という…
ボードはこんな感じ。
M.2 SSDはねじ止めではなくプラスチックピンで止めます。
「NUC 14 Pro」のCPUファンです。「NUC 14 Pro+」の画像はありません。
まとめ
記事執筆時点での価格は「NUC 14 Pro」は72,788円(Core 3 100Uモデル)から、「NUC 14 Pro+」は103,354円(Core Ultra 5 125Hモデル)から。
ベアボーンキットであることを考えればちょっと高めですが、いつものASUS価格でもあります。
Intelが事業撤退し、ASUSが引き取った形で今後が不安視されていたNUCですが、ASUSテイストを加えた純粋な後継機種である「NUC 14 Pro」に加えて、これまでとは全く違うスタイルの上位機種「NUC 14 Pro+」を出してきたのは、いい意味で期待を裏切ってきました。
NUCファンもこれなら納得でしょう。
あとは…NUCシリーズではないRyzen搭載モデルがどうなるかが気になるところです。
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