Khadasと言えばSBC(シングルボードコンピューター)のメーカーですが、実は2023年8月にモジュール型のWindowsミニPCをクラウドファンディングしています。
今回レビューするのはそのミニPCこと「Mind」です。
結構中身が面白いので記事を書いててもおかしくないのですが、なぜか書いてなかったんですよね…
また、周辺機器である「Mind Graphics」についてもレビューしています。
Khadas Mind
CPU | Core i7-1360P Core i5-1340P |
---|---|
メモリ | 16~32GB LPDDR5-5200 |
ストレージ | 512GB~1TB NVMe Gen4 SSD |
インターフェース | USB Type-C(Gen2)×1 USB Type-C(2.0)×1 USB3.2 Gen2×2 HDMI 2.0 Mind Link |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
バッテリー | 5.55WHr |
サイズ | 146×105×20mm |
重さ | 450g |
GoodPoint
✔ SBCに通じる薄型デザイン
✔ 薄いけどデュアルストレージ対応
✔ 筐体品質が高い
✔ 小容量ながらバッテリー内蔵
BadPoint
✖ ファンはうるさめ
✖ 本体のインターフェースが少ない
パッケージ
・電源アダプタ
・USB C to Cケーブル
・マニュアル
「Mind」のインターフェース
■前面
・電源ボタン
■背面
・USB Type-C(2.0、USB PD対応)
・USB Type-C(Gen2、USB PD対応)
・HDMI 2.0
・USB3.2 Gen2×2
インターフェースは背面に集中。
薄型なので2段にはできず、USBが計4ポートにHDMIが1ポートと、かなり限られています。
特筆ポイントが底面の「Mind Link」
インターフェースモジュールの「Mind Dock」や、グラフィックモジュールの「Mind Graphics」と接続できます。
クラウドファンディング時のQ&Aによると、PCIe Gen4 x4とのこと。規格としての「Mind Link」はPCIe Gen5 x8までサポートするとのことなので、後継機が登場した時にはさらに高速に接続できるでしょう。
周辺機器である「Mind Dock」はデスクトップ版GeForce RTX 4060 Tiを内蔵しますが、接続はPCIe Gen4 x8なので、「Mind Link」なら半分の速度が出ることになります。
「Mind」のパフォーマンス
試用機の搭載CPUはCore i5-1340P。
TDPが28Wと高めで、12コア16スレッド(4P8E)のCPUです。
総合
PassMarkスコアは思ったより高め。さすがにHシリーズには及びませんが、普段使い+α程度です。ゲーム系だとちょっと心許ないかも。
3月31日にリリースされたばかりのCrystalMark Retroでも計測。
比較データが不足しているので、参考程度です。
CPU
上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド
CINEBENCHだとCore i5-11400Hなど旧世代のHシリーズに近いスコアが出ています。
GPU
グラフィックはXe-LPアーキテクチャ(80EU)、基本的には第11世代Tiger Lakeから3世代にわたり同じアーキテクチャを使用しています。
細かな改良は加えられていて、Core i5-1135G7では1.30GHzだった動作周波数は、Core i5-1340Pでは1.45GHzまで引き上げられています。
Core i9-13900H、Core i7-13700Hは同じアーキテクチャながら96EU、1.50GHz動作なので、スコア差もおおよそ適当な範囲と言えます。
ストレージ
「Mind」のストレージはWD(Western Digital) SN740の512GBモデル。
WDのSSDは世間的にも評価が高く、耐久性に優れています。
参考 Western Digital PC SN740 NVMe SSD ※PDF
CrystalDiskMarkでは、リード5,000MB/s、ライト4,000MB/s。
試用上はリード5,000MB/s、ライト4,000MB/sなので、仕様ぴったりですね。
外観
外箱は「Mind」の実物大画像だけのシンプルなもの。
底面にはスペックシールとロゴシール。
再掲ですがパッケージもシンプル。
マニュアル。ウェブ上でも公開されています。
参考 Mind:Khadas Support
いわゆる中華フォントが使われています。
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。
筐体
本体です。
インターフェース。
天面にはロゴ。
底面。
Mind Linkにはゴムカバーが付いています。
真ん中にはセカンドSSDスロット(2230サイズ)。
蓋は磁石で留められています。
重さは440g弱。本体が小型なので、持ったら通常のミニPCよりずっしり感があります。
サイズ感
手持ちのミニPC(GEEKOM A7およびMINISFORUM UN1290)と比較。
幅は「A7」の1.3倍くらい、厚みは半分くらいと、かなりコンパクト。
むしろスマホの方が近いサイズという。
内部
今回の「Mind」はメーカーからのレンタル品なので内部は開けていません。
代わりに製品ページでの内部イメージ図を。ファンの奥にあるのが小型バッテリーです。
内部スペースが狭く、エアフローはあまり良くありません。高速なファンを使うことで吸気力を上げ、頑張って冷却しています。
システム
起動前
「Mind」のUEFIはF7から起動。
UEFI画面はBIOS型。
ちょっと面白いのがここ。オンボードLPDDR5なので、2GB×8という構成となっています。
システム情報
システム情報。
HWiNFOによるCPU・GPU情報。
CPU詳細。
TDP、PL1は28Wに設定されています。
「Mind」は5.55WHrのバッテリーを内蔵していますが、バッテリー駆動はできず、電源ケーブルを抜くと自動的にスリープに移行します。
ゲームベンチマーク
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
CPU | Core i5-1340P |
---|---|
グラフィック | Intel Xe |
メモリ | 16GB LPDDR5-5600 |
ストレージ | 512GB |
[中量級] Street Fighter VI
2023年6月に発売し、全世界で300万本(2024年1月時点)を売り上げたストリートファイター6。
内蔵グラフィックではLOW/FHDでも30FPSに届かず、プレイはちょっと厳しそうです。。
[中量級] FF XIV 暁月の終焉
設定 | スコア | 評価 |
---|---|---|
1920×1080 最高品質 | 3446 | 設定変更 |
1920×1080 高品質 | 5010 | 普通 |
1920×1080 標準 | 6960 | やや快適 |
1280×720 高品質 | 8009 | 快適 |
1280×720 標準 | 10010 | 快適 |
FF XIVは画質を最低まで下げればぎりぎりプレイできるかなぁという程度。
[重量級] FF XV Windowsエディション
設定 | スコア | 評価 |
---|---|---|
1920×1080 高品質 | 1428 | 動作困難 |
1920×1080 標準品質 | 2049 | 重い |
1920×1080 軽量品質 | 2565 | やや重い |
1280×720 標準品質 | 2894 | やや重い |
1280×720 軽量品質 | 3510 | 普通 |
重量級のFFXVは、さすがにプレイ困難。最低画質/720pならなんとか動くかなぁといった程度。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力
アイドル時 | 11.1W |
---|---|
画面オフ時 | 10.2W |
スリープ時 | 3.1W |
充電(アイドル) | 15.8W |
充電(電源オフ) | 7.0W |
CINEBENCH(S) | 32.7W |
CINEBENCH(M) | 51.1W |
最大 | 54.3W |
最大(充電時) | 56.1W |
消費電力は、アイドル中が微妙に高め。
TDPが28Wなので、最大値は余裕で65Wの範囲に収まっています。
騒音
状況 | 音量 |
---|---|
電源オフ | 35.2dB |
アイドル | 37.6dB |
最大 | 50.1dB |
最大(側面) | 51.5dB |
騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
---|---|---|---|
うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 | 非常にうるさい |
60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 | 非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる | |
普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 | 大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
40 | 深夜の市内 図書館 | 多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 | |
静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 | 非常に小さく聞こえる |
20 | ささやき 木の葉のふれあう音 | ほとんど聞こえない |
薄いヒートシンクで熱をコントロールする関係上、ファンが強く(回転数が高い)、排気の風は50cmくらい離れた場所でもはっきり感じられるくらいに強いです。
そのため、「Mind」の騒音はかなり大きめ。コンパクトで卓上向けなのに、卓上で使うにはうるさいという…
温度
CPU温度は最大で84℃。ファンが強いので多少の余裕があります。
というか、少しでもファンを抑えたらあっさり90℃、95℃を超えそうです。
まとめ
「Mind」の記事執筆時点でのAmazonでの販売価格はCore i5-1340Pモデル(16+512)が115,999円。Core i7-1360Pモデル(32+1T)が159,999円。
ドッキングステーションの「Mind Dock」は25,999円、GeForce RTX 4060 TiにThunderbolt4ドック機能が付いた「Mind Graphics」は154,999円です。
正直なところ、「Mind」単品でしか使わないのなら普通のミニPCを買った方がメモリも換装できるし、インターフェースも豊富です。
とはいえ20mmという薄さは他にない特色ですし、スリープ状態で持ち歩ける点やMind Linkによる拡張は唯一無二です。
現状では周辺機器は「Mind Dock」と「Mind Graphics」しかないものの、ロードマップではタブレット風(というかバッテリー内蔵モバイルディスプレイと一体化)にする「Mind xPlay」、27インチか32インチの「Mind Studio Display」など、「Mind」エコシステムの展開を計画しています。
周辺機器が増えれば評価もまた変わってくるでしょう。
でもやっぱりちょっとうるさいので、ヒートシンクを大型化して低騒音なトールタイプがあってもよかったかなぁ…
「Mind Graphics」もレビューしています!
関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
メーカー | Khadas | |
---|---|---|
モデル名 | Mind | |
CPU | Core i5-1340P | |
GPU | Iris Xe | |
メモリ | 8GB×2 | |
ストレージ | 512GB Gen4 | |
PassMark 9 | Total | 6532.3 |
CPU Single | 3974 | |
CPU Multi | 19869.6 | |
2D | 1035.4 | |
3D | 2948.2 | |
Memory | 3132.3 | |
Disk | 32124.6 | |
PassMark 11 | Total | 4457.7 |
CPU Single | 3730 | |
CPU Multi | 18505.5 | |
2D | 684 | |
3D | 2894.5 | |
Memory | 3225.1 | |
Disk | 35457.9 | |
3DMark | TimeSpy | 1563 |
Graphics | 1373 | |
CPU | 7310 | |
FireStrike | 4224 | |
Graphics | 4623 | |
Phisics | 16781 | |
Combined | 1526 | |
NightRaid | 14749 | |
Grapihics | 17301 | |
CPU | 8034 | |
WildLife | 10934 | |
Graphics | 65.48 fps | |
SteelNomad | 150 | |
Graphics | 1.51 fps | |
SteelNomadLight | 1051 | |
Graphics | 7.79 fps | |
CINEBENCH R15 | OpenGL | 81.48fps |
CPU(M) | 1456cb | |
CPU(S) | 242cb | |
CINEBENCH R20 | CPU(M) | 3441pts |
CPU(S) | 651pts | |
CINEBENCH R23 | CPU(M) | 9188pts |
CPU(S) | 1687pts | |
CrystalMark | Mark | 684385 |
ALU | 239429 | |
FPU | 114694 | |
MEM | 175743 | |
HDD | 105360 | |
GDI | 25143 | |
D2D | 5740 | |
OGL | 18276 | |
CrystalMark Retro | All | 9802 |
CPU-Single | 11840 | |
CPU-Multi | 75764 | |
2D-text | 10073 | |
2D-square | 18231 | |
2D-circle | 13722 | |
2D-image | 19299 | |
3D-scene1 | 1247 | |
3D-scene2 | 759 | |
3D-scene1-CPU | 169 | |
3D-scene2-CPU | 136 | |
GeekBench4 | Single | 7406 |
Multi | 29649 | |
OpenCL | 53188 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
GeekBench5 | Single | 1680 |
Multi | 8203 | |
OpenCL | 14899 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
GeekBench6 | Single | 2408 |
Multi | 8855 | |
OpenCL | 12578 | |
OpenCL(dGPU) | – | |
PCMark | ALL | 5520 |
Essensial | 10162 | |
Productivity | 7459 | |
DigitalContent | 6024 | |
VR Mark | 2041 | |
DQ(DX9) | 1920・最高 | – |
1280・標準 | – | |
FF XIV(DX11) 紅蓮 | 1920・最高 | 3598 快適 |
1920・高 | 5287 とても快適 | |
1920・標準 | 7435 非常に快適 | |
1280・高 | 8503 非常に快適 | |
1280・標準 | 10363 非常に快適 | |
FF XIV(DX11) 漆黒の反逆者 | 1920・最高 | 3640 快適 |
1920・高 | 5187 とても快適 | |
1920・標準 | 7144 非常に快適 | |
1280・高 | 8291 非常に快適 | |
1280・標準 | 9795 非常に快適 | |
FF XIV(DX11) 暁月の終焉 | 1920・最高 | 3446 設定変更 |
1920・高 | 5010 普通 | |
1920・標準 | 6960 やや快適 | |
1280・高 | 8009 快適 | |
1280・標準 | 10010 快適 | |
FF XIV(DX11) 黄金の遺産 | 1920・最高 | 2152 設定変更 |
1920・高 | 5093 普通 | |
1920・標準 | 5611 普通 | |
1280・高 | 6901 やや快適 | |
1280・標準 | 7552 やや快適 | |
FF XV(DX11) | 1920・高 | 1428 動作困難 |
1920・標準 | 2049 重い | |
1920・軽量 | 2565 やや重い | |
1280・標準 | 2894 やや重い | |
1280・軽量 | 3510 普通 | |
MHF(DX10) 大討伐 | 1920 | 9168 |
1280 | 16028 | |
Blue Protocol (DX12・1920) | 最高画質 | 1665 |
中画質 | 2402 | |
低画質 | 4365 | |
ブラウザ | jetstream2 | 281.526 |
BaseMark | 1099.15 | |
WebXPRT3 | – | |
WebXPRT4 | 291 | |
MotionMark | 1479.2 | |
SpeedMeter2.0 | 348 | |
SpeedMeter3.0 | 23.4 | |
octane | 88556 |
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