「iPlay60 Pad Pro」は、12.1インチ2.5Kの大画面にリフレッシュレート90Hz、33W急速充電など、格安系とは思えないほどポテンシャルが高い、動画視聴に適したタブレットです。

これまでの格安系タブレットのWUXGA/2000×1200、18W充電から大幅なスペックアップということで、思わず初回販売で購入してしまったので、チェックしていきましょう。
ALLDOCUBE iPlay60

■ iPlay60 Pad Pro | |
CPU | Helio G99 |
---|---|
メモリ | 8GB(+拡張12GB) |
ストレージ | 128GB UFS |
画面 | 12.1インチ IPS WQXGA |
インターフェース | USB Type-C(2.0)×1 microSD |
カメラ | 前:800万画素 後:1600万画素 |
wi-fi | Wi-fi 5+BT5.2 |
4G/5G | 4G対応 FDD:B1/2/3/4/5/7/8/12/17/20/28A/28B/66 TDD:B34/38/39/40/41 |
バッテリー | 10,000mAh 33W急速充電 |
サイズ | 278×180×7.4mm |
重さ | 587g |
GoodPoint
✔ 12.1インチの大画面(タブレットとしては)
✔ 動画視聴に耐える音質のスピーカー
✔ 33W充電対応
BadPoint
✖ 稼働時間が短い
✖ 輝度を上げると熱を持つ
✖ 無線LANはWi-fi 6非対応
パッケージ
・電源アダプタ
・USB CtoCケーブル
・ユーザーマニュアル
・カードスロット取り出しピン
技適は、技適番号までしっかり記載されています。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(219-239108)
技適の結果を見ると、認証は令和5年4月27日、相互承認(MRA)で認証を受けています。
モジュール部のみで認証をとっているようで、資料ではiPlay50の画像が使われていますね。ちなみに「iPlay60 Pad Pro」はT1201、「iPlay60」のモデル名はCUL3JTです。
気になるのは…T1202,T1301,T1401,T1501というのがあるんですよね。
「iPlay60 Pad Pro」の後継および、13~15インチクラスも予定しているってことでしょうか。
インターフェース
インターフェースは電源ボタン・音量ボタンともに短辺にあります。
スピーカーは左右2個ずつのクアッドスピーカーで、Type-C端子はスピーカーを避ける位置となっています。分かりにくいですが、左右のスピーカー位置は対象ではなく、ちょっとずれています。
聞いている分にはずれは感じません。
パフォーマンス
「iPlay60 Pad Pro」のSoCはMediaTek Helio G99。
ARM Cortex-A76が2コア、Cortex-A55が6コアのbig.LITTLE構成で、GPUはMali-G57 MC2(2コア)。
格安系上位モデルで人気の高いSoCです。
とはいっても結構制限もあって、例えば無線LANはWi-fi 5までしか対応しないとか、ストレージはUFS 2.2までとか、”ちょっといいスペック”ができないSoCでもあります。
AnTuTu(v10)のスコアは総合36.6万点、CPU11.3万点、GPU6.1万点。
他のHelio G99機は40万点を超えることもあるので、やや低めです。
GeekBench6ではシングル723点、マルチで1966点。スコア的には同じHelio G99搭載の「iPlay50 Pro」がシングル724点、マルチで2015点だったので、G99としては平均的なスコアとなります。
PC系CPUと比べると、Core i5-7200UやCore i3-8130Uが1800点なので、それよりちょっと高いくらいの性能ということになります。
最近のCPUだとCeleron J4125が1500点前後、Celeron N5095が2200点程度です。
メーカー | Alldocube | Alldocube | Alldocube | Amazon | |
---|---|---|---|---|---|
モデル名 | iPlay60 Pad Pro | iPlay50 Pro | iPlay60 | Fire Max 11 | |
CPU | Helio G99 | Helio G99 | UNISOC T606 | MT8188 | |
メモリ | 8GB | 8GB | 4GB(+8GB) | 4GB | |
ストレージ | 128GB UFS2.2 | 256GB UFS2.2 | 128GB | 64GB | |
OS | Android 14 | Android 12 | Android 13 | Fire OS 8.3 | |
AnTuTu (v9) | 総合 | 350198 | 359132 | 220858 | 305191 |
CPU | 97792 | 103082 | 61327 | 113253 | |
GPU | 82499 | 85789 | 21583 | 58655 | |
MEM | 66843 | 73038 | 80043 | 54045 | |
UX | 103064 | 97223 | 57905 | 79283 | |
AnTuTu (v10) | 総合 | 367797 | 416037 | 完走できず | 400934 |
CPU | 115534 | 138802 | 完走できず | 162579 | |
GPU | 61557 | 79883 | 完走できず | 61898 | |
MEM | 78502 | 97627 | 完走できず | 83452 | |
UX | 112204 | 99725 | 完走できず | 93005 | |
GeekBench 4 | シングル | – | 2527 | 1477 | – |
マルチ | – | 7115 | 4315 | – | |
Compute | – | 5627 | 3735 | – | |
GeekBench 5 | シングル | 546 | 548 | 313 | 705 |
マルチ | 1772 | 1835 | 1262 | 2026 | |
Compute | 1493 | 1544 | 517 | 1039 | |
GeekBench 6 | シングル | 723 | 724 | 379 | 948 |
マルチ | 1966 | 2015 | 1362 | 2331 | |
Compute | 1307 | 1295 | 452 | 1024 | |
GeekBench ML | CPU | 398 | 263 | 124 | インストール不可 |
GPU | 174 | 470 | 67 | インストール不可 | |
NPU | 完走できず | 完走できず | 149 | インストール不可 | |
3DMark | Wild Life | 1084 | 1246 | 420 | 1104 |
Wild Life Unlimited | 1231 | 1231 | 422 | 1086 | |
Wild Life EX | 341 | 344 | 91 | 323 | |
Wild Life EX Unlimited | 337 | 336 | 101 | 311 | |
Sling Shot | 3285 | 3522 | 2268 | 3495 | |
Sling Shot Unlimited | 3722 | 3780 | 2452 | 3685 | |
Sling Shot EX | 2435 | 2593 | 2274 | 2411 | |
Sling Shot EX Unlimited | 2616 | 2640 | 2498 | 2521 | |
Steel Nomad L | 134 | 132 | メモリ不足 | メモリ不足 | |
Steel Nomad L Unlimited | 134 | 131 | メモリ不足 | メモリ不足 | |
IceStorm | Maxed out | Maxed out | Maxed out | Maxed out | |
IceStorm EX | Maxed out | Maxed out | Maxed out | Maxed out | |
IceStorm Unlimited | 33288 | 32695 | 16939 | 33912 | |
PassMark | System | 9314 | 9766 | 5302 | 10925 |
CPU | 25840 | 4744 | 2412 | 5371 | |
Memory | 15564 | 16196 | 12047 | 25356 | |
Disk | 63864 | 57356 | 99553 | 24240 | |
2D | 19030 | 23207 | 13244 | 59916 | |
3D | 25553 | 21681 | 13724 | 19241 | |
ブラウザ | jetstream2 | 80.278 | 68.892 | 54.4 | 79.168 |
BaseMark | 363.38 | 290.9 | 229.75 | 300.28 | |
WebXPRT3 | – | 98 | – | – | |
WebXPRT4 | 83 | 72 | 57 | 84 | |
MotionMark | 609.22 | 98.31 | 372.81 | 513.61 | |
Octane | 25058 | 22248 | 13537 | 32081 | |
Speedometer 2.0 | 76.8 | 42.6 | 45.5 | 93.8 | |
Speedometer 3.0 | 5.01 | 3.71 | 3.38 | 6.33 | |
PCMark | Work 3.0 | 9871 | 8875 | 完走できず | 6353 |
Battery (100%) | 3h10m | 7h48m | 完走できず | 7h16m | |
Battery (50%) | 6h53m | 15h55m | 完走できず | 18h50m | |
Burnout | 12.4 | 12.7 | 7.6 | 26.3 | |
AI-Benchmark | 200 | 70.5 | 37.3 | 302 | |
AiTuTu v2 | 総合 | 77981 | 80165 | 52537 | 497964 |
Image | 29655 | 30230 | 26008 | 18804 | |
Object | 32940 | 33053 | 25265 | 81548 | |
SR | 15386 | 16882 | 1264 | 237612 |
他の製品との比較。
「iPlay50 Pro」はなぜかブラウザ系ベンチマークのスコアが低かったのですが、「iPlay60 Pad Pro」はそんなこともなく、かなり良好なスコアを出しています。
ストレージ
「iPlay60 Pad Pro」のストレージは128GB UFS2.2。最近では256GBも増えてきましたが、いまだ標準は128GBなので、特に少ないということもありません。
microSDも対応しています。
カードスロットはmicroSD+nanoSIMのコンボスロット。
ストレージ速度の計測結果。
#1が内部ストレージ、#2がmicroSD(SanDisk Extreme Pro 128GB)です。
内部ストレージはリード512MB/s、ライト181MB/s。
同じHelio G99を搭載する「iPlay50 Pro」のリード610MB/s、ライト180MB/sに比べるとやや遅めです。
microSDはリード21MB/s、ライト17MB/sで「iPlay50 mini/iPlay50 Pro」の半分もありません。
単にハズレ個体なのか、使用頻度が少ないからグレードを落としなのかは不明です。
使ってみた
ディスプレイ
「iPlay60 Pad Pro」のディスプレイは12.1インチWQXGA(2560×1600)。
ハイエンドクラスでは2.5Kは割と多いのですが、格安系だとDOOGEE「T30 Pro/Ultra」くらいしかなく、珍しい部類です。
しかも、リフレッシュレートは90Hz。おそらく2.5K/90Hzは現時点で他にありません。
明るさごとの比較(マニュアルモードで設定を固定して撮影)。「iPlay60 Pad Pro」は最大輝度が550nitsと、タブレットとしてはかなり明るいディスプレイを採用しています。
0%でも結構明るく、これ以上下げられないのか―って感想になります。
100%はかなり明るく、屋外でも使えるレベル。
USB顕微鏡で拡大してみます。
一般的な液晶に多い、くの字型のタイルです。
サウンド
「iPlay60 Pad Pro」はクアッドスピーカーを内蔵。
大画面動画視聴タブレットだけあって、実際に聞いてみるとタブレットのスピーカーにしては割と高音質。
音量100%はビビリ音が入るので、90%にするのがいい感じ。タブレットでもここまで音が出るのかとびっくりします。
へたに安いスピーカーをつなぐよりは音がいいんじゃないかな?って思えるレベル。
タブレットゆえに低音は弱めですが、それでも思った以上に低いところまで出ています。
中音はややガラガラとした、あまり素直じゃない音。かといってそれが不快とはならず、音楽だと揺らぎとして感じ、映画・動画ではだみ声とかガラガラ声だとかをうまく際立たせてくれます。
高音はエッジが立ったというか、ややキンキン気味の音。言い方を変えると輪郭がはっきりしているので、セリフがはっきりします。
人によっては女性の声がキンキン過ぎると感じるかも。
動画
「iPlay60 Pad Pro」のWidevineはL1で、VOD(動画配信)サービスのHD画質視聴に対応。
NetflixのHD再生にも対応していますが、契約していないので未確認です。
Amazon PrimeではFHD(1080p)再生表示を確認。12.1インチと一回り大きい画面なのと、比較的高輝度な液晶ということもあって、かなり見やすいです。
輝度100%、音量90%で視聴すると予想以上に没入感が高く、これを体験すると多分10インチには戻れなくなると思います。
ただ問題もあって、画面が明るい=高消費電力なわけで、本体が結構熱を持ちます。
ゲーム
PUBG
PUBGは選択できるのは”HDの高”まで。これは他のHelio G99機と同じですね。
原神
原神は、”最低”画質で”スムーズ”、”低”画質で”非常に高い”になりました。
他のG99機だと「”最低”画質で”スムーズ”、”低”画質で”やや高い”、”中”画質で”非常に高い”」だったので、2.5Kな分、負荷も高いようです。
カメラ
カメラはリアが1600万画素(4640×3480)、フロントが800万画素(3264×2448)です。
下の画像は幅800に縮小した以外の加工はしていません。
リアカメラでの撮影。やや赤みがかっていますが、なかなかに自然な色合い。
等倍での切り抜き。
細かい字も読めなくはないですね。
フロントカメラでの撮影。
左右反転もなく、色味は自然。しかしフロントカメラはオートフォーカス非対応で、フォーカスが全然取れておらず、ボケボケな画に。
個人的に問題を感じたのがアプリ。
がじぇっとりっぷは昔ながらの3ボタンナビゲーションで使っていたのですが、ホームボタンと撮影ボタンがかぶっています。
なので、うまく撮影ボタンの端っこを押さないとホーム画面になるという。
撮影ボタンも小さいので、ここは改善してほしいところですね。
バッテリー
「iPlay60 Pad Pro」のバッテリーは10,000mAhと、大型筐体だけあって大容量です。
バッテリーはディスプレイ輝度100%で3時間10分、輝度50%で6時間53分と、10インチクラスの半分程度。
液晶パネルは大きいほど(&輝度が高いほど)消費電力が多いのですが、それが如実に稼働時間に表れています。
なにせ輝度50%でも理屈上では275nits、一般的なタブレットが300~400nitsなので輝度50%でも十分な明るさですからね。なので輝度50%の稼働時間が他のタブレットの輝度100%の稼働時間に近いタイムとなっているのも納得です。
外観
外箱はかなり大きめ。
再掲ですがパッケージ全体。
同梱物
電源アダプタはPSE取得済み。最大で12V/1.67A(=20W)の出力です。
せっかく33W急速充電に対応しているのに、33W対応品じゃないのが不思議。でも考えてみれば、18W充電に対応しているのに同梱アダプタは10W出力が一般的なんですよね。変な慣習だ…
マニュアルはこれまでのALLDOCUBE製品同様、1枚ぺらの簡素なもので、中華フォントかの判別もできないくらいの量しか日本語が書かれていません。
本体
本体。
ベゼル幅は約7mmで平均的。画面サイズが大きい分、少し細く見えます。
インターフェース。
クアッドスピーカーは横置き時に左右に位置しています。
底辺にはキーボード接続用のPOGOピン。
ちなみにキーボードは、「12.1インチなら少し画面を話しても見えるし、Bluetoothキーボードでよくない?」という考えに至ったので、購入していません。
背面はこれまでのALLDOCUBE製品同様、グレー一色。
カメラはそこそこ出っ張っています。
保護フィルムは標準で張られていますが、ちょっと爪でこすっただけでも跡が残るので、いいフィルムとは言えません。
真面目に使うのであればフィルムは張り替えた方がいいでしょう。我が家ではPDA工房のフィルムに張り替えて使っています。めっちゃ滑りがよくなり、元のフィルムは何だったのか…ってなります。
重さは593.5g。
サイズの割には結構軽量ですがさすがに結構重くて、持ちながら使うにはちょっときついものがあります。まぁこのサイズを持って使うって考える人は、そういないでしょうが。
比較
「iPlay60」(11インチ)と比べても、一回り以上大きいサイズ。
画面のサイズ感の違い。
YouTubeのHDR動画を再生したところ。
HDRモードになるわけではないのですが、それでもiPlay60(上)と比べると明るさと鮮やかさが全然違います。
システム
「iPlay60 Pad Pro」はAndroidのカスタマイズディストリビューションとなる、「ALLDOCUBE OS 3.0」を搭載しています。
カスタマイズと言っても、素のAndroidだと不便なところを使いやすくしているとか、素のAndroidにはないけど便利な機能を追加しているとかで、使い勝手が全然違うというものではありません。
あと、さすがにタブレットUIとなっていますね。
横にしたらこんな感じ。
アプリ一覧。
独自アプリとして”File Transfer”というものが入っています。
ALLDOCUBE機の間でのファイルのやり取りをスムーズに行えるアプリだそう。
“設定”画面は素のAndroid準拠。
Android 12がベースのようです。
独自要素っぽいものはまとめられています。
スマートサイドバーを表示したところ。
アップデートは結構頻繁に来ます。
!?
衝撃のアップデート内容でしたが、手持ちのペン(「iPlay60」用ペン含む)はどれも反応なし。
単に規格が違うのか、上位モデル(メモリ12GBモデルがあとから発売された)のみなのか、それとも初回ロットでは実装されていなかったのか、詳細は不明です。ペン、使いたかったなぁ…
※2024年10月17日追記:専用スタイラスペンが発売されました。プロトコルははUSI 2.0のようです。「iPlay60」用ペンは調べた限りではUSI 1.0のようなので、もともと互換性がありませんでした。
まとめ
「iPlay60 Pad Pro」の価格は記事執筆時点でクーポン込み26,999円。
格安系上位のHelio G99に、大型で明るい2.5Kディスプレイに33W充電にと、タブレットとしても隙のないスペックなのに、よくこの価格で出せたなぁと感心します。
現状(記事執筆時点)では、「iPlay60 Pad Pro」に対抗できるような低価格タブレットは存在しません。
強いて言うならLenovo「Tab P12」(12.7インチ)が上位機種と言えるくらいでしょうか(値段は1.6倍ですが)。
タブレットは動画視聴がメインという層は間違いなく買いと言えますし、10インチでも目がしんどいという年齢の方にも向いています。
デメリットを上げるとすれば、大きいので保管時はちょっと邪魔ということくらいでしょうか(それでもノートPCよりはコンパクト)。
あとは2024年7月に登場したばかりの製品ながら、割と早くに次が出そうだなぁってことくらい?
先日Snapdragon 6 Gen1を搭載した「iPlay60 mini Turbo」が登場しましたが、ほぼ確実に全サイズにこの流れが来ると思うんですよね。

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