Team「MP44」シリーズは、TeamのGen4 SSDシリーズのTLC NAND・高速モデルです。
派生として、最大5,000/4,500 MB/sの「MP44L」、QLC NANDを使った「MP44Q」なども登場しています。
今回は2TBモデルをベンチマークしてみました。
というか、購入したのは2023年8月なので、ちょっと放置しすぎですね…
Team MP44 TM8FPW002T0C101

■ Team TM8FPW002T0C101 | |
容量 | 2TB |
---|---|
接続 | PCIe Gen 4.0 x4 NVMe 1.4 |
転送速度 | リード:7,400MB/s ライト:6,400MB/s |
NAND | YMTC 232L TLC NAND |
キャッシュメモリ | 非搭載 |
耐久性 | 2500TBW |
保証 | 5年 |
参考 MP44 M.2 PCIe 4.0 SSD:Team Group Inc.
本体外観
箱はシンプルめ。
裏には窓があり、中身が見えるようになっています。
開けたところ。ねじは入っていません。
というか、箱のサイズは半分でもいいのでは?と思いますが、文章の入るスペースが足りないのかなぁ…
本体裏表。
「TM8FPW002T0C101」は片面実装です。
ラベルには”GRAPHENE”の文字があり、熱伝導に優れるグラフェンシートであることが明記されています。これ、書いていないSSDが多くて、単なるラベルなのかグラフェンシートなのか分かりづらいんですよね。
シートをはがしたところ。
NANDが4つにコントローラの、DRAMレスであることが分かります。
コントローラはMaxio MAP1602A-F3C。
NANDには「ATTYB122C0HGAA」の刻印。
fidを確認すると、YMTCの232層TLC NANDでした。
つまり、構成としてはMonsterStorage MS950(2TB)と全く同じということになります。

チェック環境
検証はLenovo「IdeaCentre Mini Gen8」と、システムとしててLexar「NM790(4TB)」を使用。
測定中は蓋を開けたまま、ヒートシンクレスで検証しています。


CrystalDiskInfoの情報です。
接続はNVMe 1.4。ファームウェアバージョンはSN11273。
ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…
ベンチマーク
また、機材の限界(Intel系CPUの制限)として、7,000MB/s付近が上限となります
CrystalDiskMark
CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。
シーケンシャルでリード6,958 MB/s、ライト6,578 MB/sを記録。上記の通り、リードは機材側の限界で、ライトは仕様をかなり上回っています。
64GiB時はリード6,853 MB/s、ライト6,106 MB/sで、ライトがかなり低くなっています。シーケンシャル128Kもかなり低いですね。
この症状自体はDRAMレスSSDはよく見られるため、何か異常があるというわけではありません。
4Kランダムのレイテンシ(1GiB時)は57.16μs。64GiB時は92.90μsとかなり遅くなっています。
同じコンポーネント・ファームウェアである「MS950(2TB)」とほぼ同じ内容ですね。
AS SSD Benchmark
AS SSD Benchmarkでは総合5083ポイント。奇しくも「MS950(2TB)」と同じスコアに(内容はちょっと違いますが)。
h2testw
全領域に書き込みをして速度を計測するh2testwは平均的な、2.1GB/sでスタート。
400GB付近で少し負荷が高まり、1.3GB/s台に落ち込んだので、SLCキャッシュは400GB(20%)程度に設定されている模様。
1.2TBを過ぎたあたりで負荷が高まり、速度も650MB/s程度まで落ち込み。
おそらくはTLCへの直接書き込み+SLCキャッシュからTLCへのデータ移動が行われているものと思われます。
そのままやや負荷が高い状態と600MB/s台を維持しながらフィニッシュ。
負荷も75%程度に収まっており、コントローラとしてはまだ余裕を残しています。
最終的には平均書き込みが1.01GB/s、読み込みが1.63GB/s。
終わってみれば、決していいとは言えないけれど、悪くもない数字に収まったという。なんだこれ。
SLCキャッシュは10%程度と他メーカーに比べて少ない設定になっていますが、そうは言っても400GBあるわけですから、実運用で不足することはまずないかと。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
2MBをピークとした山を描いています。
HD Tune Pro
HD Tune Proではリードは2,000MB/s強と1,800MB/s前後を繰り返す、不思議なグラフ。
「MS950(2TB)」とほぼ同じグラフですが、「MS950(2TB)」ほど綺麗ではありません。
ライトはやや乱れていますが、全域を通して2,000~2,500MB/sの範囲で安定しているとも言えます。
その他の計測結果は以下。
3DMark Storage Benchmark
3DMark Storage Benchmarkでは2231ポイント。
「MS950(2TB)」よりちょっと低めですが。誤差の範囲といえます。
ファイル転送(書き込み)
ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。
10GB(1GB×10)のファイル:3.954秒 (2589.782 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:38.188秒 (2681.471 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:639.855秒 (1600.363 MB/s)
1TB時がやや落ち込んでいます(それでも速い方です)が、10GB、100GBについては十分高速。これだけ出れば文句はありません。
温度について
温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
HWiNFOは合計3種類の温度センサーが見えていますが、HWMonitorではひとつしか見えていません。
HWiNFOのセンサー上はコントローラと思しきものが最大47度でした。…ちょっと低くない?
FLIR ONE PROでの計測では、表面温度は最大69.1℃。
「MS950(2TB)」最大63.8℃に比べて高めですが、グラフェンシートによる放熱がうまくいっているとみていいのかなと。
少なくとも、サーマルスロットリングが発生することはなさそうです。
まとめ
「TM8FPW002T0C101」は 評判のいい「蝉族」SSDで、ベンチマーク結果もそれにふさわしいものでした。
それでいてMonster storageなどの新興メーカーではなく、メモリー・ストレージ大手のTEAMグループ製品という信頼性が加わっています(といってもTeamは相性による当たり外れが大きいともいわれていますが…)。
「蝉族」は耐久性が不安視されていましたが、今のところ目立った故障情報もありません。
数少ない検証として、PC Watchにて行われた同じ蝉族のHIKSEMI「HS-SSD-FUTIRE 1024G」の検証では、1300TB書き込みまで正常、1600TB書き込みで異常ステータスになったとのことなので、2TBモデルなら2500TB書き込みくらいまでは(多分)大丈夫そうです。
1日2TB書き込んだとしても1250日(3.4年)かかるので、その前に時間劣化が来そうですが…

冒頭にも書きましたが、今回のレビュー品は2023年8月に購入したものです。
SSDは、仕様表に書かれていない範囲であればコンポーネントが変更されることがよくあり、現在の「TM8FPW002T0C101」がMaxio+YMTC 232層NANDであるとは限りません(3D TLC NANDとあるので、その部分は守られるかと)。
Teamではありませんが、最近の2TB SSDではコントローラはMAP1602でもNANDが232層ではなく128層というものが出回っているそうなので、その点だけ留意してください。
関連リンク
公式製品ページ:Team Group Inc.
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