2024年11月27日、小型PCメーカーのGPDは、クラウドファンディングサイトのINDIEGOGOで、Ryzen AI 300シリーズを搭載したUMPC「Pocket 4」のファンディングを開始しました。
Pocket 4: Modular full-featured Handheld AI PC:INDIEGOGO
スペック
■ Pocket 4 | |
CPU | Ryzen AI 9HX 370 Ryzen AI 9 365 Ryzen 7 8840U |
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メモリ | 16~64GB LPDDR5x-7500 |
ストレージ | 1~2TB M.2 Gen4 SSD |
画面 | 8.8インチ IPS WQXGA |
インターフェース | USB Type-C(USB4)×1 USB Type-C(Gen2)×1 USB3.2 Gen2×2 USB2.0×1 HDMI2.1 microSDXC 2.5GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
バッテリー | 44.8WHr |
サイズ | 206.8×144.5×22.2mm |
重さ | 770g |
特徴
「Pocket 4」はPocketシリーズの4代目です。初代「Pocket」は2017年、「Pocket 2」は2018年、「Pocket 3」は2021年なので、製品サイクルは3年くらいの周期にするのかな?単に開発リソースの都合ってのもあるかもしれませんが。
CPU
「Pocket 4」のCPUはRyzen AI 9 HX 370、Ryzen AI 9 365、またはRyzen 7 8840U。
前2つは2024年に登場した、AMDのモバイル向けCPU最上位クラス。Ryzen 7 8840UはRyzen 7 7840UのAI強化版です(といっても10TOPS→16TOPSですが)。
Ryzen AI 9 HX 370とRyzen AI 9 365はZen5+Zen5cアーキテクチャで、Ryzen AI 300シリーズは最大12コア24スレッド、GPUも最大16CUと、Ryzen 8000シリーズ(最大8コア16スレッド/12CU)よりもコア数を増やして性能を延ばすという、やや脳筋的発想のCPUです。
NPUもRyzen AI 9 HX 370で50TOPS(CPU全体では80TOPS)と、CoPilot+の要件をクリアしています。
CPU性能は、コア数から違うのでかなり差があります。Ryzen AI 9 HX 370は名称通りHXシリーズと呼ぶにふさわしいスコアを叩き出しています。
「Pocket 3」のCPU(Core i7-1195G7)と比較すると、Ryzen 7 8840Uでも2.2倍、Ryzen AI 9 HX 370は3.3倍のスコアです。
グラフィックはCPU性能ほどではないものの、Ryzen AI 9 HX 370で2.1倍のスコア。
3年分の差って大きいですね…
メモリとストレージ
CPUとメモリとストレージの組み合わせは以下の通り。
Ryzen AI 9HX 370:64GB+2TB
Ryzen AI 9 365:32GB+2TB
Ryzen 7 8840U:16GB+1TB
メモリは一律でLPDDR5x-7500。
ストレージはGen4 SSD。シングルスロットで換装もできますが、片面実装のみの対応となります。
その他
無線LANはWi-fi 6E(802.11ax)対応。Bluetoothはv5.3。GPDは新しいものは積極的に取り入れるので、Wi-fi 7じゃないのかってとこに逆にびっくりしました。
有線LANは2.5GbEです。
バッテリーは44.8WHr。
充電は100WのUSB PD入力に対応。29分で50%の急速充電とされています。
外観
本体。
厚さは22.2mmなので、スタンダードノートと同じかちょっと厚いくらい。
ディスプレイは8.8インチWQXGA(2560×1600)。リフレッシュレートは144Hzで輝度は500nits。
Lenovoの8.8インチタブレット「Legion Y700 2023」と同じスペックです。
ディスプレイはT型ヒンジで、180度回転。タブレットスタイルにすることができます。
「Pocket 3」はスタイラスペンに対応しましたが、「Pocket 4」ではそのような記述が見当たらないため、タッチ操作のみの対応のようです。
多分あんまりペンを使う人がいなかったんだろうなぁ…
左上にある気泡っぽい丸が、500万画素(2592×1944)のカメラです。下の小さい丸は輝度センサーのようです。
キーボードは「Pocket 3」を踏襲。
一部は6段キーボードで、マウスパッドは右上。
「Pocket 3」では中央上部にあった電源ボタンは、指紋リーダー一体型となって前側面に移動しました。
インターフェース。
分かりにくいですが背面にはType-Cが2ポートあり、USB4+USB3.2 Gen2の組み合わせとなっています。
「Pocket 3」から導入された、拡張モジュール。
標準ではmicroSDリーダーが装着されており、オプションでRS-232、KVM、4G LTEの3種類のモジュールを追加購入できます。
個人的にはKVMモジュールが気になります。
KVMモジュールを使うと「Pocket 4」をキーボード付きモバイルディスプレイとして使うことができます。
冷却はシングルファン。
これでRyzen AI 9HX 370の冷却が追い付くのか、正直不安です。TDPは28Wなので、ぎりぎり何とかなりそう感はありますが…
まとめ
「Pocket 4」の価格は以下の通り。日本円表記は記事執筆時レートなので、時期によって変動します。
Ryzen AI 9HX 370+64GB+2TB:1355ドル (約20.2万円)
Ryzen AI 9 365+32GB+2TB:1057ドル (約16万円)
Ryzen 7 8840U+16GB+1TB:829ドル(約12.5万円)
拡張モジュール:14ドル~110ドル
なかなかのお値段ですね。Ryzen 7 8840UモデルはゲーミングUMPCと同等くらいなので、切り詰めてこの価格だったのでしょう。
性能的には普通にメインノートになりえますし、GPD G1などの外付けGPUを接続すれば、ゲーミングPCとして十分に活用できます。なんせ、ゲーミングノートに使うようなCPUを積んでいますから。
とはいえ、おそらく遠くないうちに、Ryzen AI 9HX 370を搭載した「Win 5」か「Win Max 2025」か、そんな感じのゲーミングUMPCが登場すると思うので、ゲーミング勢はしばし待ちですね。
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