2024年12月6日、小型PCメーカーのGPDは、クラウドファンディングサイトのINDIEGOGOで、Ryzen AI 300シリーズを搭載したUMPC「WIN Max 2 2025」のファンディングを開始しました。
GPD WIN Max 2 2025 Handheld Gaming PC AI 9 HX 370:INDIEGOGO
スペック
■ WIN Max 2 2025 | |
CPU | Ryzen AI 9HX 370 Ryzen 7 8840U |
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メモリ | 32~64GB LPDDR5x-7500 |
ストレージ | 1~2TB M.2 Gen4 SSD |
画面 | 10.1インチ IPS WQXGA |
インターフェース | USB Type-C(USB4)×2 USB3.2 Gen2×2 OCuLink HDMI2.1 SDXC microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
バッテリー | 67WHr |
サイズ | 227×160×23mm |
重さ | 1005g |
特徴
「WIN Max 2 2025」はWIN Maxシリーズの5代目です。「Pocket」シリーズとは違い、毎年発売されています。
2020年:WIN Max – Core i5-1035G7
2021年:WIN Max(2021) – Core i7-1195G7 / Ryzen 7 4800U
2022年:WIN Max 2 – Ryzen 7 6800U / Core i7-1260P
2023年:WIN Max 2(2023) – Ryzen 7 7840U / Ryzen 5 7640U
2024年:WIN Max 2 2025 – Ryzen AI 9HX 370 / Ryzen 7 8840U
「WIN Max 2」からは画面が8インチ(1280×800)から10.1インチ(1920×1200)に大型化、その分筐体も一回り大きくなっています。
CPU
「WIN Max 2 2025」のCPUはRyzen AI 9 HX 370、またはRyzen 7 8840U。
Ryzen AI 9 HX 370は2024年に登場した、AMDのモバイル向けCPU最上位クラス。Ryzen 7 8840UはRyzen 7 7840UのAI強化版です(といっても10TOPS→16TOPSですが)。
Ryzen AI 9 HX 370はZen5+Zen5cアーキテクチャで、Ryzen AI 300シリーズは最大12コア24スレッド、GPUも最大16CUと、Ryzen 8000シリーズ(最大8コア16スレッド/12CU)よりもコア数を増やして性能を延ばすという、やや脳筋的発想のCPUです。
NPUもRyzen AI 9 HX 370は50TOPS(CPU全体では80TOPS)と、CoPilot+の要件をクリアしています。
CPU性能は、コア数から違うのでかなり差があります。Ryzen AI 9 HX 370は名称通りHXシリーズと呼ぶにふさわしいスコアを叩き出しています。
一方Ryzen 7 8840Uは前世代「WIN Max 2(2023)」の上位モデルとほぼ同じ性能。先代上位モデルが今代の下位モデルになるということで、分かりやすい性能アップとも言えます。
メモリとストレージ
CPUとメモリとストレージの組み合わせは以下の通り。
Ryzen AI 9HX 370:64GB+2TB
Ryzen 7 8840U:32GB+1TB
メモリは一律でLPDDR5x-7500。
ストレージはGen4 SSD。シングルスロットで換装もできますが、片面実装のみの対応となります。
その他
無線LANはWi-fi 6E(802.11ax)対応。Bluetoothはv5.3。
有線LANはありません。この辺りは業務向けの「Pocket 4」と違っていますね。
バッテリーは67WHr。
充電は100WのUSB PD入力に対応。20分で50%の急速充電とされています。
外観
本体全景。
ディスプレイは10.1インチWQXGA(2560×1600)。リフレッシュレートは60Hzで輝度は450nits。
…なんで業務用の「Pocket 4」(2.5K/144Hz/500nits)よりスペックが低いんだろう…そこは逆なのでは…?
と思ったのですが、コメントによると、10.1インチで高リフレッシュレートのパネルが見つからなかったそうです。ないならどうしようもないね。
ディスプレイはスタイラスペンにも対応。
筆圧4096段階をサポートとありますが、プロトコルについては言及なし。
インターフェース。
デュアルUSB4にOCuLinkと高速インターフェースが豪華です。
前世代はType-CはUSB4+USB3.2 Gen2だったので、ちょっとだけアップデートですね。
またオーディオアンプが変更されて音量アップ、放熱モジュールの変更など、見えないところも改良しているとのこと
カードリーダーはSD+microSDのデュアルスロット。
SDスロットはUHS-II対応で、最大312MB/sとされています。
一方microSDはUHS-I対応で、リード160MB/sまで。
OCuLink活用として、GPD G1によるグラフィック強化。
G1はRadeon RX 7600M XTを内蔵、CPUと同じAMD製なので相性もいいです。
キーボードは変更なし。
キーボードとゲームパッドが一体化したスタイルは、登場から数年経った現在でも唯一無二です。
底面には2230サイズながらM.2 Gen4 SSDスロットが用意されています。
オプションで4G/LTE対応(モジュール別売)も可能。
その場合はmicroSIMを本体内部に格納できます。
まとめ
「WIN Max 2 2025」の価格は以下の通り。日本円表記は記事執筆時レートなので、時期によって変動します。
Ryzen AI 9HX 370+64GB+2TB:1462ドル (約22.5万円)
Ryzen 7 8840U+32GB+1TB:958ドル (約14.8万円)
GPD G1:651ドル (約10.0万円)
スタイラスペン:30ドル (約5,500円)
「WIN Max 2(2023)」のRyzen 7 7840U/32GB/2TBモデルが1,049ドル(当時の相場で約14.1万円)だったので、8840Uモデルは90ドルの値下がりになりますが、日本円換算だと上がっているという。為替相場め…
Ryzen AI 9 HX 370搭載機はミニPC(メモリ32GB)でも16万円オーバー。そう考えるとメモリ64GBでディスプレイとバッテリーを内蔵して22万円台はそこまで高いとも言えません。
Ryzen AI 9 HX 370はモバイル向けCPUとしては性能も破格となったので、普段はディスプレイをつないでミニPC的に扱うということも十分に可能で、GPDもその点は意識しています。
ゲーム用とデスクトップ機と分けて買うことに比べれば、安いとも言えそうです。
あとはこれでディスプレイが高リフレッシュレートだったらなぁ…
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