Hanyeは中国瀋陽に運営本部を置くメーカーで、本国の社名は瀋陽逐世貿易有限公司。設立は2003年と古いようですが、日本進出ははっきりとは分からないものの、2020年頃のようです。
SSDについては2022年頃から国内取り扱いがあるようで、「蝉族」についてはMonsterStorageと同時期の2023年初めころから販売しています。
今回レビューする「HE70」もその一つ。実は購入は2023年4月なので、ちょっと放置しすぎました。まぁ記事掲載時点も販売されていますし、モジュールの変更があったという話もないので、参考にはなるかと。
Hanye HE70
![](https://gadgetrip.jp/wp-content/uploads/2024/12/hane_he70_2tb_hs_spec.jpg)
■ HE70-2TBNHS1 | |
容量 | 2TB |
---|---|
接続 | PCIe Gen 4.0 x4 NVMe 1.4 |
転送速度 | リード:7,450MB/s ライト:6,700MB/s |
NAND | YMTC 232L NAND |
キャッシュメモリ | なし |
耐久性 | 1500TBW |
保証 | 5年 |
本体外観
箱は横型。
スリーブはプラ製。
マニュアルは日本を拠点とする代理店が作成したようで、日本語もばっちり。
JNHは嘉年華株式会社のブランドで、Hanyeの他にV-Colorなどの代理店にもなっています。
ただし、サポートに関してはあまり評判がよくなく、不良品に当たった場合は基本的にはAmazonの返品制度を利用した方がいいようです。
本体裏表。
ヒートシンクは以前にレビューしたVerbatim「Vi7000G」と同じものですね。
![](https://gadgetrip.jp/wp-content/uploads/2024/06/vervatim_vi7000_4tb_eyecatch-160x107.jpg)
ヒートシンクは上下をねじ止めしています。
横から見ると、熱伝導シリコンシートが挟まっているのが確認できます。
中を確認するために、ヒートシンクをオープン。
本体は2チップNANDの片面実装で、MonsterStorage「MS950G75PCIe4-02TB」と全く同じモノに見えます。
![](https://gadgetrip.jp/wp-content/uploads/2023/12/monsterstorage_ms950_eyecatch-160x107.jpg)
コントローラーはMaxio MAP1602A-F3C。
NANDは全く読めませんが、YMTC製です。
fidで見ると、YMTCの232層 3D TLC NANDであることが確認できます。
MAP1602+YMTC 232Lは、記事執筆現在でも格安中華M.2 SSDに多いパターンです。
ぶっちゃけ、この時点で大体の性能が予測できますね。
チェック環境
検証はLenovo「IdeaCentre Mini Gen8」と、システムとしてMonsterStorage「MS950(2TB)」を使用。
![](https://gadgetrip.jp/wp-content/uploads/2023/07/ideacentre_mini_gen8_eyecatch-160x107.jpg)
容量は1907.71GB。
CrystalDiskInfoの情報です。
「MS950」と同じNVMe 1.4接続となっています。
ちなみにNVMeのバージョンは転送速度とはあまり関係がなく、そもそもが通信プロトコルの規格名です。なので、バージョンによって使えるコマンドセットや機能に差があります。
ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…
ベンチマーク
自然空冷状態で、エアフローのしっかりしたデスクトップ機に比べると、若干不利な環境となります。
また、機材の限界として、7,000MB/s付近が上限となります
CrystalDiskMark
CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。
シーケンシャルでリード6,937MB/s、ライト6,642MB/sを記録。上記の通り、リードは機材側の限界で、ライトも仕様に届かず。
とはいえ、十分に高速と言える範囲です。
64GiB時はシーケンシャルライトがやや落ち込み、ランダムリード・ランダムライトが半分程度まで落ち込んでいます。
この症状自体はDRAMレスSSDはよく見られるため、何か異常があるというわけではありません。
4Kランダムのレイテンシ(1GiB時)は54.58μsとやや遅め。この辺りはCPU直結とか遅延要素を徹底的に排除しないと実力が見えないところなので、モバイル向けCPUならこんなものと言えるかと。
AS SSD Benchmark
AS SSD Benchmarkでは総合5137ポイントと高得点。
h2testw
h2testwは、1.9GB/sでスタート。「MS950(2TB)」が2.1GB/sだったので、心持ちスロースタートですね。
「MS950(2TB)」と同様、300GB(15%)を過ぎたあたりでややペースダウン。
1.5TBを超えたあたりで負荷(使用率)が高くなり、速度が落ち始めました
そのまま、負荷率72~75%、書き込み速度600MB/s台でフィニッシュ。
トータルでは、書き込みは平均1.08GB/s、読み込みは平均1.60GB/sでした。
「MS950(2TB)」よりやや低いものの、誤差とか個体差とかで済む範囲。ヒートシンクで逆に熱がこもったんじゃないの?って考察もできそうです。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
グラフを見た感じ、リード・ライトともに2MBがピークですね。
当たり前と言えば当たり前ですが、「MS950」と似た傾向を示しています。
HD Tune Pro
HD Tune Proではリードはオシロみたいな不思議な動きで、平均1,803MB/s。
ライトもやや乱れていますが似たような変な動きで、平均2,266MB/sでした。
変な動きのくせに速度はちゃんと出ているという…
その他の計測結果。
ランダムアクセスは1ms以下に収まっています。
3DMark Storage Benchmark
3DMaekでは2422ポイントとまずまずのスコア。
ファイル転送(書き込み)
ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。
10GB(1GB×10)のファイル:3.700秒 (2767.568 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:37.013秒 (2766.596 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:495.454秒 (2066.791 MB/s)
ファイル転送では1「MS950」と違う傾向に。
「MS950」は10GB:2.842秒でしたが、「HE70」は同じ速度を維持する方向で調節しているようです。
これは大容量になるほど分かりやすく、1TBのファイル移動時は「MS950」は565.465秒 (1810.899 MB/s)で、1分以上の差が生じています。
温度について
温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
HWiNFOは合計3種類の温度センサーが見えていますが、HWMonitorではひとつしか見えていません。
HWiNFOのセンサー上はコントローラと思しきものが最大58度でした。
サーモグラフィーで見ると、ヒートシンクからわずかに見えるコントローラ部付近が61.7度と結構低め。
エアフローの悪い環境でも一応ヒートシンクで放熱できていますし、よほどのことがない限りサーマルスロットリングは発生しなさそう。
まとめ
「HE70」は評判のいい「蝉族」なだけあって、スペック通りの性能を持っていますし、連続書き込みでも平均1GB/s以上と良好な結果を出しています。
書き込み耐性についてはPC Watchにて同じ蝉族のHIKSEMI「HS-SSD-FUTIRE 1024G」の検証が行われていて、仕様の8割程度の書き込みで異常ステータスになったとのこと。
少なくとも仕様の5~6割程度の書き込み量なら問題なく使えそうです。
![](https://gadgetrip.jp/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/86e3ab394334504bf8207413dc87e21e.jpg)
個人的には同じYTMC系なら米国のラボで検証試験を実施しているLexarを推しますが、価格を優先してMonsterStorageやHanye、あるいはHP FX700などを選んでも問題はないかと。
最近では一時期の特需が過ぎて値上がりしているものの、MAP1602+YMTC 232Lは異様なまでに性能がいいので、特価で見かけたら買っておいて損はないと思います。
関連リンク
おまけ
fid情報のテキスト版。スクリーンショットじゃなくてテキストでシェアして!って書かれていたので。
v0.34a OS: 10.0 build 22631 Drive : 0(NVME) Scsi : 1 Driver : W10 Model : Hanye HE70-2TBNHS1 Fw : HA02010B HMB : 32768 - 32768 KB (Enabled, 0 M) Size : 1953514 MB [2048.4 GB] LBA Size: 512 AdminCmd: 0x00 0x01 0x02 0x04 0x05 0x06 0x08 0x09 0x0A 0x0C 0x10 0x11 0x14 0x80 0x81 0x82 0x84 0xC1 0xC2 I/O Cmd : 0x00 0x01 0x02 0x04 0x05 0x08 0x09 Firmware id string[0C0] : MKSSD_100000000081933100,Oct 21 2022,10:40:04,MAP1602,1SSYAA4C Project id string[080] : r:/03WORK/02FALCONLITE/06CRAZAY9070/CS8192 Controller : MAP1602 NAND string : CYAxxTE1B1xC3B List may not be complete Ch0CE0: 0x9b,0xc5,0x58,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 1024Gb/CE 1024Gb/die Ch1CE0: 0x9b,0xc5,0x58,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 1024Gb/CE 1024Gb/die Ch2CE0: 0x9b,0xc5,0x58,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 1024Gb/CE 1024Gb/die Ch3CE0: 0x9b,0xc5,0x58,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 1024Gb/CE 1024Gb/die
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