24インチ前後で180Hzというのはゲーミングモニターのスイートスポットで、多くのモニターメーカーから発売されています。
ラインナップを見ていると、機能やオプションを絞ってセール時は1万円台前半~半ばとなる格安系と、機能で特色を出しつつ2万円台で販売する独自系に分かれていて、今回レビューする「H25T7」は格安系に分類される、安価なゲーミングモニターです。
当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いています。
また、機材を提供いただいたKTC様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
KTC H25T7
画面サイズ | 24.5インチ |
---|---|
解像度 | FHD(1920×1080) |
表示色 | 1677万色(8bit) |
輝度 | 350cd/m2 (Typ) |
色域 | 128% sRGB |
リフレッシュレート | 180Hz |
応答速度 | 3ms (GtG) |
インターフェース | HDMI2.0×2 DisplayPort1.4×1 オーディオジャック |
サイズ | 558×406×137mm |
重さ | 4.45kg |
GoodPoint
✔ リフレッシュレート180Hz
✔ 非光沢パネル
✔ 予想以上に見やすい
✔ 価格を考えたら上等
BadPoint
△ ジョイスティックの位置が微妙
✖ スタンドはチルトのみ
✖ 脚が外せない
KTCとは
KTCは1995年に設立された、中華人民共和国広東省深センに本社を置く企業です。
正式会社名は「Shenzhen KTC Technology Co., Ltd.(深圳KTC科技有限公司)」で、日本国内では「KTC科技日本株式会社」として日本事業部を展開しています。
日本ではゲーミングディスプレイで進出しましたが、本国ではKTC Playとしてブランドを切り分けているようです。
公式サイトを見ると、本業としてはテレビ、商用ディスプレイ、医療用ディスプレイなどを手掛けていますね。
ただ日本ではKTCといえば工具メーカーの京都機械工具株式会社が先に来るので、ブランディングが大変そう…
外観
外箱
「H25T7」はゲーミングモニターですが、外箱は特に強い主張もなく、一般的なモニターっぽい感じです。
中を開けると発泡スチロール。
最近はウレタンフォームの方を見ることが多いので、発砲スチロールは久しぶりに見ました。
低価格で提供するために、本体以外のコストは徹底的に抑えるという意志を感じます。
2段目に本体。
付属品
付属品はHDMIケーブルと電源アダプタ、ベースプレートを留めるねじと簡易ドライバー。
最小限と言えるレベルですね。
電源アダプタは12V/3A(=36W)出力。
ベースプレート。特にひねりもない、鉄の板ですね。
マニュアルの日本語はいわゆる中華フォントが使われています。
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。
といっても、「作成したPCでは日本語フォントだったんだけど、印刷所のPCに日本語フォントが入ってなくて…」みたいな事例もあるようです。
あと、開梱方法をここに書かれても、開けた後なんだけど…?(箱にも図は載っています)
本体
本体背面。
インターフェースはHDMI2.0×2、DisplayPort1.4×1、オーディオジャック。
HDMI、DisplayPortともにFHD/180Hz対応です。
スピーカーは内蔵していないので、サウンド出力には外付けスピーカーが必要です。
脚に隠れる位置にOSD操作用のジョイスティック。
指を後ろまで回す必要があるので、ちょっと操作しにくいところがありますが、致命的というほどではありません。前から手を入れて届くので、背面の変な位置にあるよりはましです。
致命的なのはこっち。脚が外せません。
なので、モニターアームを使うと、脚がカブトガニの尻尾みたいに付いたままということに…
2024年12月15日追記:読者からの指摘により、脚は根元の見えない位置でねじ止めされていて、外すことができることが判明しました。
組み立て…といっても底部プレートをねじ一本で止めただけですが、組み立てるとこんな感じ。
スタンドはチルト(-5°~15°)のみ対応。
使ってみて
接続
接続時は右上に表示。
スペック通り、FHD/180Hzで接続できました。
設定では50Hzから180Hzまで選択可能。
OSD
OSDは中央に表示(撮影時は60Hz接続でした)。
ゲーミングメニューはさすがに機能豊富とはいかないようです。
ブラックイコライザはゲーミングメニューではなく通常メニューに。
ショートカットメニューは右下に表示。
よほど細かく設定するのでなければ、このくらいで十分ですね。
パネルについて
比率 | カバー率 | |
---|---|---|
sRGB | 114.0% | 99.5% |
Adobe RGB | 84.5% | 79.0% |
DCP-P3 | 84.1% | 84.1% |
NTSC | 80.8% | 75.5% |
色域実測はsRGB比114.0%と仕様よりはやや低い数字でしたが、100%は超えてきました。
赤は広く、青がやや狭いようです。
ガンマ特性はやや青が弱いものの、比較的まっすぐで歪みの少ない線を描いています。
「H25T7」はFast IPSですが、ドット形状はよくある>の字型です。
斜め表示はこんな感じ。
非光沢パネルなので映り込みがなく、目が疲れにくいです。
カラー表示と白黒表示。
ドットが大きいからか、輪郭がはっきりしているというか、メリハリが効いていて見やすいです。
リフレッシュレートについて
「H25T7」の最大リフレッシュレートは180Hz。
というわけで、簡単にUFO Testで確認。UFOの速度は960pixel/s、シャッタースピードは1/1000秒です。
残像は出ていますが、それぞれ1フレーム前の分だけですね。
180Hzでも色が濃く、高リフレッシュレートでもきっちり輝度が上がっていることが分かります。
高リフレッシュレートの意味
ゲーミング分野ではとにかく低遅延、高リフレッシュレートのモニターが求められます。
例えばストリートファイター6の描画は60FPSですが、PCからの信号と描画のタイミングを図に表すと、このようになります。
あくまで単純に考えた例ですが、同じタイミングで信号を受けても、180Hz・遅延4msと60Hz・遅延4msでは、描画のタイミングに2/180秒、0.66フレームの差が出ます。
1フレームの差で戦うゲーマーからすれば、大きいですね。
しかし180Hzでも遅延が大きいと実際に描画されるまでに時間がかかり、10msを超えてくると結局は60Hzと変わらない程度のタイミングとなって、高リフレッシュレートの意味がなくなってしまいます。
ゆえに、高リフレッシュレートであると同時に低遅延であることも求められるというわけです。
また、残像が消えるのも早く、キャラクターがぶれて見えにくいのも高リフレッシュレートの特徴。
キャラクターの動きがはっきりと見えるのはコマンドの選択にもかかわってくるので、これも併せて高リフレッシュレートが求められるというわけです。
輝度について
明るさ | 輝度(cd/m2) |
---|---|
100 | 409 |
90 | 375 |
80 | 355 |
70 | 334 |
60 | 313 |
50 | 292 |
40 | 260 |
30 | 216 |
20 | 182 |
16 | 158 |
10 | 123 |
0 | 61 |
「H25T7」の明るさは仕様上は最大350nitsとされていますが、実測では400nits超と明るい結果に。
これはちょっとうれしい誤算ですね。
なお、明るさ0でも61nitsなのは白表示で、黒表示は0nits表示となりました。
明るさ100での各ポイントの輝度。
さすがに輝度ムラが結構あります。
ブラックスタビライザーについて
上から順に、0、50、100。明るさは100に設定。
ハイエンド機ほどではありませんが、それなりに暗いところが持ち上がります。
その他表示例
まとめ
「H25T7」の価格は記事執筆時点で14,000円(クーポン込)。
セールのタイミングだと、1.3万円台にまで下がります。
冒頭でも書いたように24インチ前後で180Hzというのは群雄割拠、最近では低価格帯にも付加機能で差別化を図る動きが出ています。
おそらく「H25T7」も、数年もしないうちに陳腐化というか「低価格だけど機能が少なすぎる」なんて言われるようになるでしょう。
とはいえ現状では安価に180Hzを体験できるモニターであることに変わりはなく。
ゲーミング入門用としては十分ですし、ミニPCと合わせてもよし、ゲーミングUMPCを大画面でプレイする用にもよし。
財布への負担が少なく使い勝手のいいモニターと言えるでしょう。
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