2024年11月29日、Orange PiはRockchip RK3588を搭載したSBC「Orange Pi 5 Ultra」を発表、発売しました。
スペック
■ Orange Pi 5 Ultra | |
CPU | Rockchip RK3588 |
---|---|
メモリ | 4~16GB LPDDR5 |
ストレージ | eMMCソケット M.2 Key-M(2280) |
インターフェース | USB Type-C(給電)×1 USB 3.0×2 USB 2.0×2 HDMI 2.1 HDMI 2.0 In 2.5GbE 有線LAN microSD オーディオジャック |
Wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
サイズ | 89×57mm |
特徴
「Orange Pi 5 Ultra」は「Orange Pi 5」、「Orange Pi 5B」、「Orange Pi 5 Plus」、「Orange Pi 5 Pro」、「Orange Pi 5 Max」に続く、「Orange Pi 5」シリーズ6作目です。ずいぶんと増えたなぁ…
ざっと調べた限り、2024年7月にはgithubのビルドコード内に設定ファイルが登場しています。
参考 orangepi-xunlong/orangepi-build:Github
SoC
「Orange Pi 5 Ultra」の搭載SoCはRockchip RK3588。
Rockchip RK3588Sではなく、Sの付かないRK3588です。RK3588Sとの違いは以下の通り。
RK3588S | RK3588 | |
---|---|---|
CPU | Cortex A76 ×4 Cortex A55 ×4 | |
GPU | Mali-G610 MP4 | |
NPU | 6TOPS | |
メモリ | LPDDR4x/LPDDR4/LPDDR5 最大32GB | |
映像出力 | HDMI 2.1/eDP ×1 DisplayPort ×1 MIPI DSI ×2 | HDMI 2.1/eDP ×2 DisplayPort ×2 MIPI DSI ×2 |
映像入力 | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP | 48MP ISP MIPI CSI 4×2lane DVP HDMI-IN (4K/60Hz) |
ネットワーク | 1GbE ×1 | 1GbE ×2 |
USB | USB3.1 Gen1(OTG) ×1 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (HOST) ×2 | USB3.1 Gen1(OTG) ×2 USB3.1 Gen1(HOST) ×1 USB2.0 (OTG) ×2 |
PCIe | – | PCIe 3.0 x4 |
Combo PIPE | 2ポート | 3ポート |
低速I/O | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC CAN bus ×3 | SPI ×5 I2C ×9 UART/GPIO ×10 12bit ADC |
サイズ | 17×17mm | 21.45×21.45mm |
CPU/GPU/NPU構成はRK3588とRK3588Sは同じ。インターフェース周りとパッケージサイズが異なっています。
ボード上に実装できるインターフェースの限られるクレカサイズSBCではRK3588Sを採用することが多いのですが、「Orange Pi 5 Ultra」ではあえてRK3588を採用することでフルスペックなインターフェースを実現しています。
CPUは4コア2.4GHz Cortex-A76+4コア1.8GHz Cortex-A55、GPUはMali-G610 MP4、NPUは6.0TOPSとされています。
参考 RK3588S データシート:CNS Software ※PDF
RK3588のデータはOrange Pi 5 MaxのGeekbenchスコアを流用。
性能はSBC向けSoCの中では群を抜いて高く、Celeron N5095の2倍、Intel N100の9割程度のスコアを叩き出しています。
Snapdragon比だとSnapdragon 865とSnapdragon 888の間くらい。
AnTuTu(v9)スコアは無印のRK3588が53~54万点で、グラフィック等も含めたトータルだとSnapdragon 865(64~66万点)より一段低い程度になります。
メモリとストレージ
メモリは4GB~16GBのLPDDR5。
ストレージはeMMC(~256GB)とM.2 Key-M(2280)、microSDが選べます。
RK3588を採用したことでM.2 SSDはPCIe Gen3 x4接続となります。
その他
無線LANはWi-fi 6E+BT5.3。チップはAMPAK AP6611Sです。
Wi-fi 6E対応ですが1T1Rなので、速度面では最大600Mbpsとなります。
有線LANは2.5GbE。チップはRTL8125BGです。
電源はType-C入力で、5V/5Aが必要です。
以上をふまえた、「Orange Pi 5」ファミリーの比較表が以下。
Orange Pi 5 | Orange Pi 5B | Orange Pi 5 Plus | Orange Pi 5 Pro | Orange Pi 5 Max | Orange Pi 5 Ultra | |
---|---|---|---|---|---|---|
SoC | RK3588S | RK3588S | RK3588 | RK3588S | RK3588 | RK3588 |
メモリ | ~16GB LPDDR4/4X | ~16GB LPDDR4/4X | ~32GB LPDDR4/4X | ~16GB LPDDR5 | ~16GB LPDDR5 | ~16GB LPDDR5 |
M.2 | Gen2 x1 (2242) | – | Gen3 x4 (2280) | Gen2 x1 (2280) | Gen3 x4 (2280) | Gen3 x4 (2280) |
映像 | HDMI 2.1 ×1 DP1.4 (Type-C) | HDMI 2.1 ×1 | HDMI 2.1 ×2 DP1.4 (Type-C) HDMI IN ×1 | HDMI 2.1 ×1 HDMI 2.0 ×1 | HDMI 2.1 ×2 | HDMI 2.1 ×1 HDMI 2.0 ×1 |
Wi-fi | – | Wi-fi6+BT5.3 | M.2 Key-E | Wi-fi5+BT5.0 | Wi-fi6+BT5.3 | Wi-fi6+BT5.3 |
有線LAN | 1GbE | 1GbE | 2.5GbE×2 | 1GbE | 2.5GbE | 2.5GbE |
サイズ | 100×62mm | 100×62mm | 100×75mm | 89×56mm | 89×57mm | 89×57mm |
基本的には、「Orange Pi 5 Max」のHDMIを片方、HDMI-Inに変更したものと考えればよさそうです。
外観
インターフェースです。
「Orange Pi 5 Max」の時も書きましたが、よくこのサイズに詰め込んだなぁと感心します。
背面に2280サイズのM.2 SSDスロット(Gen3 x4接続)があるので、ストレージ面も不安なし。
最大の特徴であるHDMI-InはHDMI2.0で、4K/60Hzまで対応。
遅延次第では配信用にも使えるかも…?
まとめ
「Orange Pi 5 Ultra」の価格は以下の通り。AliExpressの公式ストアで販売されています。
8GB:95ドル (約14,800円)
16GB:125ドル (約19,500円)
価格は「Orange Pi 5 Max」と同じですね。記事執筆時点では、4GBモデルはありません。
「Orange Pi 5 Max」とはHDMI×2かHDMI+HDMI-Inかというだけの違いですが、これだけでターゲット層ががらりと変わりますし、バリエーションの増やし方としてはうまいかなと。
問題はこれ、「Orange Pi 5 Plus」と食い合うんじゃないかな…?
「Orange Pi 5 Plus」は100×75mmと一回り大きいものの、メモリ32GBモデルもあるし、デュアルHDMI+HDMI-Inだし、デュアル2.5GbEだし、それでいて価格はほぼ同じと、「Orange Pi 5 Ultra」を上回っているんですよね…
関連リンク
Orange Pi 5 Ultra:orangepi.org
Orange Pi 5 Ultra:orangepi.cn (中国語版)
Orange Pi 5 Ultra:Orange Pi wiki
Orange Pi 5 Ultra (16GB):AliExpress
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