2024年11月10日、HeadwolfはHelio G99を搭載した2.5Kタブレット「FPad6」を発売し、がじぇっとりっぷでも記事にしました。
久しぶりのまともな2.5Kタブレットということで注目していたのですが、試用する機会を得たので、じっくり使ってみました。
なお、「FPad6」には姉妹ブランドのAlphawolfから姉妹製品となる「APad2」(違いはストレージが256GBなだけ)も発売されています。
機材を提供いただいたHEADWOLF様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
HEADWOLF FPad6
■ Headwolf FPad6 | |
CPU | Helio G99 |
---|---|
メモリ | 8GB LPDDR4X |
ストレージ | 128GB UFS2.1 |
画面 | 8.4インチ IPS WQXGA |
インターフェース | USB Type-C(2.0)×1 microSD オーディオジャック |
カメラ | 前:800万画素 後:1600万画素 |
wi-fi | 802.11ac+BT5.0 |
4G/5G | 4G対応 B1/2/3/4/5/7/8/18/ 19/20/26/28AB/66/ 38/39/40/41 |
バッテリー | 6,500mAh |
サイズ | 203.7×125.8×8.5mm |
重さ | 385g |
GoodPoint
✔ 2.5Kディスプレイ
✔ 高輝度・高精細でコンテンツ消費に最適
BadPoint
✖ 充電が遅め
✖ ステレオスピーカーだけど片面だけ
✖ 高解像度はゲーム負荷の面で不利
パッケージ
・電源アダプタ
・USB CtoCケーブル
・ユーザーマニュアル
・カードスロット取り出しピン
技適は、技適番号までしっかり記載されています。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(219-248053)
技適情報を見ると、Fシリーズはこの先F7、F8、F10があるようです。
インターフェース
インターフェースは縦持ち型で、電源ボタン・音量ボタンともに右長辺にあります。
Type-C端子は中心位置にあり、充電しながらもスタンドに置きやすくなっています。
パフォーマンス
「FPad6」のSoCはHelio G99。2022年5月に発表された、割と新しいSoCです。
ARM Cortex-A76が2コア、Cortex-A55が6コアのbig.LITTLE構成で、GPUはMali-G57 MC2(2コア)。UNISOC T606/616はMali-G57 MC(1コア)なので、理屈の上では2倍近いグラフィック性能となります。
AnTuTu(v10)のスコアは総合40.9万点、CPU13.2万点、GPU6.3万点。
メモリのスコアがやや高めなのが総合点に影響し、Helio G99機の平均よりちょっといい程度のスコアとなっています。
GeekBench5ではシングル532点、マルチで1664点。「HPad 5」がシングル533点、マルチ1705点、「iPlay50 mini Pro」がシングル529点、マルチ1711点だったので、マルチ性能はちょっと低めのスコアですね。
PC向けCPUだとCeleron J4125が1500点前後、Ryzen 3 3200Uが1700点前後、Celeron N5095が2200点程度、Intel N100が2800点程度です。
メーカー | HEADWOLF | Alphawolf | Teclast | Amazon | Xiaomi | |
---|---|---|---|---|---|---|
モデル名 | FPad6 | APad2 | P40HD | Fire Max 11 | Pad5 | |
CPU | Helio G99 | Helio G99 | Unisoc T606 | MT8188 | Snapdragon 860 | |
メモリ | 8GB | 8GB | 6GB | 4GB | 6GB | |
ストレージ | 128GB UFS2.1 | 256GB UFS2.1 | 128GB UFS | 64GB | 256GB UFS3.1 | |
OS | Android 14 | Android 14 | Android 12 | Fire OS 8.3 | MI UI 12 (Android 11) | |
AnTuTu (v10) | 総合 | 409019 | 411184 | 267365 | 400934 | 748600 |
CPU | 132413 | 132520 | 82221 | 162579 | 204687 | |
GPU | 63004 | 62992 | 28416 | 61898 | 257712 | |
MEM | 108432 | 111044 | 99866 | 83452 | 139528 | |
UX | 105170 | 104628 | 56862 | 93005 | 147273 | |
GeekBench 5 | シングル | 532 | 525 | 308 | 705 | 771 |
マルチ | 1664 | 1664 | 1326 | 2026 | 2756 | |
Compute | 1465 | 1453 | 517 | 1039 | 2831 | |
GeekBench 6 | シングル | 710 | 706 | 367 | 948 | 1007 |
マルチ | 1822 | 1819 | 1360 | 2331 | 2874 | |
Compute | 1275 | 1278 | 448 | 1024 | 2615 | |
3DMark | Wild Life | 1104 | 1183 | 416 | 1104 | 3437 |
Wild Life Unlimited | 1206 | 1205 | 414 | 1086 | 3433 | |
Wild Life EX | 337 | 337 | 114 | 323 | 988 | |
Wild Life EX Unlimited | 331 | 331 | 311 | 970 | ||
Sling Shot | 3113 | 3119 | 1417 | 3495 | Maxed out | |
Sling Shot Unlimited | 3486 | 3491 | 1501 | 3685 | 8658 | |
Sling Shot EX | 2410 | 2412 | 952 | 2411 | Maxed out | |
Sling Shot EX Unlimited | 2525 | 2511 | 2521 | 6981 | ||
Steel Nomad L | 126 | 127 | メモリ不足 | |||
Steel Nomad L Unlimited | 127 | 127 | メモリ不足 | |||
IceStorm | Maxed out | Maxed out | Maxed out | Maxed out | Maxed out | |
IceStorm EX | Maxed out | Maxed out | Maxed out | Maxed out | Maxed out | |
IceStorm Unlimited | 30048 | 30221 | 16488 | 33912 | 68989 | |
PassMark | System | 9294 | 9273 | 6286 | 10925 | 9536 |
CPU | 25531 | 25558 | 2977 | 5371 | 4199 | |
Memory | 14493 | 14407 | 12065 | 25356 | 25175 | |
Disk | 125420 | 121087 | 68125 | 24240 | 95072 | |
2D | 19537 | 18824 | 14479 | 59916 | 41633 | |
3D | 25221 | 24871 | 10585 | 19241 | 64912 | |
ブラウザ | jetstream2 | 78.941 | 78.529 | 40.959 | 79.168 | 73.484 |
BaseMark | 336.62 | 380.49 | 215.73 | 300.28 | 410.86 | |
WebXPRT4 | 81 | 86 | 44 | 84 | 81 | |
MotionMark | 633.26 | 673.84 | 51.81 | 513.61 | 141.24 | |
Octane | 24533 | 24013 | 11126 | 32081 | 27894 | |
Speedometer 2.0 | 75.5 | 76.5 | 32.59 | 93.8 | 56.2 | |
Speedometer 3.0 | 4.93 | 4.82 | 6.33 | |||
PCMark | Work 3.0 | 9128 | 9150 | 7249 | 6353 | 11223 |
Battery (100%) | 6h05m | 5h52m | 4h29m | 7h16m | 7h33m | |
Battery (50%) | 8h41m | 7h37m | 7h48m | 18h50m | 13h32m | |
Burnout | 11.1 | 11.2 | 7.8 | 26.3 | 30.4 | |
AI-Benchmark | 191 | 191 | 38.1 | 302 | 153 | |
GeekBench ML | CPU Single | 457 | 425 | |||
CPU Half | 456 | 427 | ||||
CPU Quantized | 916 | 913 | ||||
GPU Single | 140 | 139 | ||||
GPU Half | 186 | 185 | ||||
GPU Quantized | 178 | 182 | ||||
NPU Single | 完走できず | 完走できず | ||||
NPU Half | 完走できず | 完走できず | ||||
NPU Quantized | 完走できず | 完走できず | ||||
AiTuTu v3 | 総合 | 41945 | 41990 | 動作不可 | ||
Super Resorusion | 800 | 786 | 動作不可 | |||
Style Transfer | 4187 | 4227 | 動作不可 | |||
画像分類 | 21204 | 21214 | 動作不可 | |||
オブジェクト検出 | 15754 | 15763 | 動作不可 |
他の製品との比較。
同じHelio G99相手だと平均的なスコアですが、UNISOC T606やT618に比べれば高い性能を誇り、その分できることも多くなっています。
ストレージ
「FPad6」のストレージは128GB UFS2.1。最近ではUFS2.2が標準くらいになっていますが、珍しいUFS2.1です。
microSDも対応しています。
カードスロットはmicroSD+nanoSIMのコンボスロット。
今回はSanDiskのExtreme PRO 128GBを使って測定しました。
ストレージ速度の計測結果。
#2が内部ストレージ、#1がmicroSDです。
内部ストレージはリード486MB/s、ライト384MB/s。
姉妹機の「APad2」はリード652MB/s、ライト406MB/sなので、リードが少し遅め。おそらくはアクセスの並列化などが影響しているのだと思われます。
microSDはリード79MB/s、ライト46MB/sで、1万円台後半~2万円台のタブレットとして平均的な速度です。
使ってみた
ディスプレイ
「FPad6」のディスプレイは8.4インチWQXGA(2560×1600)。
冒頭でも書きましたが、まともな8.4インチ2.5Kタブレットは久しぶりです。
前回のブームは2018~2019年頃で、この頃はHelio X20とかX27とかが主流でした。
その後ぱたりと8インチクラスの新製品が途絶え、8インチクラスのブームが復活したのは2023年のALLDOCUBE「iPlay50 Mini」がきっかけとなります。
しかしながら再ブームとなった8.4インチは解像度がWUXGA(1920×1200)に後退。
唯一2.5Kだったのがユアユー「P30」(高級モデルだと8.8インチ2.5KなLenovo「Legion Y700」シリーズなどがある)ですが、筐体は厚めだわ、やたらプチフリが発生するわで、個人的には使い物にならないという判定でした。
なので、「FPad6」は姉妹機Alphawolf「APad2」と並んで実質的に5年ぶりのまともな格安2.5Kタブレットとなります。
明るさごとの比較。「FPad6」の最大輝度は500nitsなので、100%はかなり明るく感じます。屋外でも陽の光が弱ければ十分に視認できます。
一方0%はかなり暗く、かろうじて見えるくらい。室内でも0%での操作は無理なレベルです。
周囲が暗い状態で0%にすると、こんな感じ。
一応何が映っているのかは見えますが、うすぼんやりとしすぎて操作は困難です。
「iPlay50 mini Pro」と輝度100%でHDR動画の再生を比較。
上が「iPlay50 mini Pro」、下が「FPad6」ですが、太陽や照明など明部の明るさが全然違いますね。
なお、外部環境に合わせた明るさの自動調節機能はありません。
個人的には自動調節は苦手なので、なくても平気ですけどね。
書籍
電子コミック(佐藤秀峰:ブラックジャックによろしく)を開いた時の、「iPlay50 mini Pro」との比較。
「iPlay50 mini Pro」のWUXGA(1920×1200)でもドットは見えないので十分綺麗なのですが、2.5Kだとそこに滑らかさが加わります。
文字もくっきりはっきりで読みやすいです。
横持ちで見開きもできますが、さすがに縦が文庫本より小さくなるので、あまりお勧めはしません。
動画
「FPad6」のWidevineはL1で、VOD(動画配信)サービスのHD画質視聴に対応。
NetflixのHD再生にも対応していますが、契約していないので未確認です。
Amazon PrimeではFHD(1080p)再生表示を確認。せっかくの2.5Kディスプレイですが、1080pまでのようです。
Widevineの影響がないYouTubeでは1440pまでの再生に対応。
明るいパネルだけあって、陽光や炎など明るいものはしっかりと明るく見えます。
輝度の幅が広いので、所もちょっとだけ明るく持ち上がっていますが、暗いところはしっかりと暗く、それでいて黒つぶれが少ないという感じなので、夜のシーンなどは照明とのコントラストがかなり美しいです。
ひとつ難点を挙げるとすれば、映画を見るには8インチはちょっと小さい…ってことくらいですね。
ゲーム
PUBG
PUBGは選択できるのは”HDの高”まで。
ただプレイ中は割と滑らかに動くので、グラフィック性能分の差はある感じです。
原神
原神は、”最低”画質で”スムーズ”、”低”画質で”非常に高い”になりました。
「HPad 5」だと”低”画質で”やや高い”、”中”画質で”非常に高い”だったので、高精細化の影響を受けていますね。
サウンド
「FPad6」はステレオスピーカーを内蔵。
ただし縦持ち時に底辺左右となる位置なので、横持時は実質モノラルです。
音質としては、タブレットとしては標準レベル。
音量についても結構出ますが、最近のタブレットは全体的にかなりの音量が出るようになっているので、普通レベルの範囲を超えるものではありません。
カメラ
カメラはリアが1600万画素(4632×3480)、フロントが800万画素(3624×2448)です。
カメラアプリはAndroid標準っぽい。
下の画像は幅800に縮小した以外の加工はしていません。
リアカメラでの撮影。かなり素直な映りで、フォーカスもきちんととれています。
フロントカメラでの撮影。
左右反転で、ややコントラストが強め。比較的輪郭が強調されるので、WEB会議などで使えそう。
オートフォーカスはないもののフォーカスも割としっかり取れているので、web会議には十分使えそうです。
バッテリー
「FPad6」は8.4インチというコンパクトサイズながら、バッテリーは6,500mAhとなかなかの容量を搭載しています。
バッテリーはディスプレイ輝度100%で6時間5分、輝度50%で8時間41分でした。もうちょっと輝度を落とせば、10時間超えもできるようです。
高解像度(=消費電力が大きい)かつ、最大500nitsという明るいパネル(=消費電力が大きい)なので、これだけ持てば十分でしょう。
消費電力
アイドル(輝度100%) | 7.3W |
---|---|
アイドル(輝度50%) | 6.7W |
アイドル(輝度0%) | 6.4W |
GeekBench(輝度100%) | 13.1W |
GeekBench(輝度0%) | 7.3W |
原神(輝度100%) | 7.7~14.7W |
充電中(画面オフ) | 13.0W |
充電中+GeekBench(輝度100%) | 13.0W |
充電中+原神(輝度100%) | 14.7W |
よく分からなかったのが消費電力。
「FPad6」の最大充電速度は公開されていませんが、ラベルには5V/2A(=10W)と書かれています。
といっても、「iPlay50 mini Pro」もラベル上は5V/2Aで、実際は18Wまでなので、おそらく「FPad6」も同様に最大18Wと予想。
実測では充電中+原神で瞬間的にですが14.7Wまで出たので、おそらくは最大18Wで合っています。
「APad2」でも充電速度は出なかったので、充電時間の短縮よりもバッテリーの劣化を抑える方向で制御しているのかもしれません。
外観
外箱はシンプルながら、ちょっと高級感。
パッケージ全体。
同梱物
電源アダプタはPSE取得済み。最大で5V/2A(=10W)の出力です。
カードスロット取り出しピンの形状が、これまでの一般的なものと違っています。なんか最近はこのタイプが多いような気がします。
マニュアルは8か国語で掲載
マニュアルの日本語はかなり日本語フォントになっていますが、一部に中華フォントが残っています。
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。
日本語も一部は違和感がありますが、かなり良くなっています。
本体
本体。
ベゼルが極端に細いとかもなく、タブレットとしては平均的な見た目です。
ちなみに、商品ページではディスプレイの角が丸くなっていましたが、現物は角が直角です。これはうれしい誤算。
インターフェース。
背面はグレー一色。筐体はアルミニウム合金の金属ボディで、上部のアンテナ格納部だけ樹脂となっています。
カメラはそこそこの厚み。
重さは370.0gでした。
比較
「iPlay50 mini Pro」との比較。ベゼルがやや太く、角の丸みが小さいです。
姉妹機の「APad2」とは壁紙が違うくらい。
システム
「FPad6」はほぼ素のAndroidです。
アプリ一覧。
独自要素でHeadwolfアプリが用意されています。
中身はプロモーションや操作ガイドのリンク集です。
設定画面は2カラムのタブレットUI。
Androidバージョンは14。
セキュリティアップデートは2024年5月。システムは2024年11月11日更新のようです。
ストレージの使用量とメモリ拡張設定。最大8GBのメモリ拡張ができますが、内蔵メモリが8GBあるので、よほどのことがない限りは拡張しなくても大丈夫でしょう。
ディスプレイ設定。
カラーの選択は3種類と見せかけてスライダーで15段階に変えられます。
暖色(暖かい)と寒色(涼しい)ではかなり色合いが変わるので、好みに応じて合わせるといいでしょう。
BluetoothはSBC・AAC・LDACに対応していました。
まとめ
「FPad6」の価格は記事執筆時点でクーポン込み22,999円。
現在では希少な2.5Kタブレットの割には、意外とお手頃価格。
姉妹機の「FPad6」が25,999円とちょっとお高めなので、余計にコスパがよく見えます。
とはいえ「APad2」もストレージが256GBと多く、リード速度が速いので3,000円差は飲み込める範囲なんですけどね。
ストレージ容量を使わない動画視聴とか電子書籍メインなら128GBの「FPad6」で十分なので、用途によってどちらにするか決めるといいでしょう。
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