MonsterStorageは2023年初めに登場した、HIKSEMIに代表される「蝉族」と呼ばれる中華SSDブランドの一つです。
株式会社Taurus(2022年11月設立)が展開する自社ブランドで、株式会社TaurusはHIKSEMIの日本国内独占販売も行っています。
HIKSEMIのメーカーであるHikvision社を含め、自社製造をしていないファブレスメーカーに当たりますが、中国YMTC社の232層TLC NANDメモリを搭載した、高性能SSDを安価に販売しています。
レビュー品は2023年7月に購入したものです。現在では使用チップが変わっている可能性もあります。
MonsterStorage MS950
■ MS950G70PCIe4-04TB | |
容量 | 4TB |
---|---|
接続 | PCIe Gen 4.0 x4 NVMe 1.4 |
転送速度 | リード:7,100MB/s ライト:6,400MB/s |
NAND | YMTC TLC NAND |
キャッシュメモリ | なし |
耐久性 | 4000TBW |
保証 | 5年 |
MS950 | |||
容量 | 1TB | 2TB | 4TB |
モデル名 | 1TB:MS950G75PCIe4-01TB 2TB:MS950G75PCIe4-02TB 4TB:MS950G70PCIe4-04TB | ||
NAND | 3D TLC NAND | ||
DRAM | なし(HBMキャッシュ) | ||
読込速度 | 7400 MB/s | 7100 MB/s | |
書込速度 | 6600 MB/s | 6400 MB/s | |
TBW | 100TB | 2000TB | 4000TB |
保証 | 5年 | ||
参考価格 2024/12時点 | 14,980円 | 23,800円 | 49,800円 |
なぜか4TBモデルだけ、G75ではなくG70なんですよね。微妙に謎。
※セールで在庫切れとなり、マーケットプレイス品の価格が表示される場合があります。
本体外観
箱は横型。
2TBモデルとは表記が違うのみ。
ヒートシンクモデルとは、箱の形が違っています。
パッケージにはドライバーまで同梱。
マニュアルは日本語もばっちり。
2TBモデルと並べた本体裏表。
グラフェンヒートシンクがあると、容量表記以外で見分けがつきません。
グラフェンヒートシンクを剥がすと、チップ数の違いで見分けることができます。
コントローラーはMaxio MAP1602A-F3C。
NANDはYMTC製YMC6G008Tb78CA1C0。
2TBモデルのNANDはYMC6G008Tb78DA1C0なので、わずかに違います。
fidで見ると、YMTCの3dv4世代の232層3D TLC NANDが使われています。1枚当たり1TB(1024Gb×8層)となっています。
チェック環境
検証はLenovo「IdeaCentre Mini Gen8」と、システムとしてMonsterStorage「MS950(2TB)」を使用。
上がシステムSSD、下がレビューSSDです。
CrystalDiskInfoの情報です。
2TBモデルがNVMe 1.4接続なのに対し、4TBモデルはNVMe 2.0接続となっています。
この辺りに型番が違う理由がありそうですね。
容量は3815.43GB。
ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…
ベンチマーク
自然空冷状態で、エアフローのしっかりしたデスクトップ機に比べると、若干不利な環境となります。
また、機材の限界として、7,000MB/s付近が上限となります
CrystalDiskMark
CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。
シーケンシャルでリード6,871MB/s、ライト6,488MB/sを記録。上記の通り、リードは機材の壁があるとして、ライトは仕様(6,400MB/s)を上回っています。
64GiB時はシーケンシャルライトがやや落ち込み。ランダムライトが異様に落ち込んでいます。何度か試したものの、同じような結果になったので、たまたまの外れ値ではなさそう。
ランダムライトの低下自体はDRAMレスSSDはよく見られる現象ですが、さすがにこれは異常です。
4Kランダムのレイテンシ(1GiB時)は56.04μs。Maxio+YMTC系としては標準的なタイムです。
この辺りはCPU直結とか遅延要素を徹底的に排除しないと実力が見えないところなので、モバイル向けCPUならこんなものと言えるかと。
64GiB時のランダム4Kだけ、異様に時間がかかっていて、細かい単位での並列書き込みは極端に苦手としているようです。コントローラーの個体差だといいのですが…
なので、少なくとも今回のレビュー個体はゲームデータなどの大きいファイルの置き場としての用途の方が合っていそう。
AS SSD Benchmark
AS SSD Benchmarkでは総合4893ポイントとやや低め。
h2testw
h2testwは、低めの1.74GB/sでスタート。2TBモデルが1.94GB/sだったので、明らかに差があります。
2.7TB(67%)付近で負荷にスパイクが見られるように。速度もそのタイミングで落ちているので、NANDへの書き込みが発生しています。
2.8TBを超えると直接書き込みになり、速度は600~700MB/sに。
終了直前にSLCキャッシュが復活したようで、1.4GB/sまで回復しました。
トータルでは、書き込みは平均1.05GB/s、読み込みは平均1.30GB/sでした。
2TBモデルに比べれば遅いものの、速度が二桁MB/sになるような致命的な場面もなく、大きな問題とは言えません。
というか、4TBを一気に書き込むシーンなんて、ベンチマーク以外にないよね…
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
グラフを見た感じ、リード・ライトともに2MBがピークですね。
HD Tune Pro
HD Tune Proでは全域フラットで、平均2,063MB/s。
2TBモデルはオシロみたいなグラフだったので、傾向が全く違います。
ライトも上下はしていますががおおよそフラットで、平均2,270MB/sでした。
アクセスタイム(下の黄色い点)も安定して低レイテンシですね。
その他の計測結果。
3DMark Storage Benchmark
3DMarkは2211ポイント。
2TBモデルが2317ポイント、「HE70」が2422ポイントだったのでやや低め。
ファイル転送(書き込み)
ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。
10GB(1GB×10)のファイル:3.486秒 (2937.464 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:38.292秒 (2674.188 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:428.992秒 (2386.991 MB/s)
ファイル転送(書き込み)では10GBがやや早く、1TBはかなり早い結果に。
まぁ、2TBモデルだと容量の50%書き込みなのに対し、4TBモデルだと25%、SLCキャッシュに収まる範囲となるので、早いのは当然の結果とも言えます。
温度について
温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
HWiNFOは合計3種類の温度センサーが見えていますが、HWMonitorではひとつしか見えていません。
HWiNFOのセンサー上はコントローラと思しきものが最大79度でした。
2TBモデルが最大69度だったので、4TBモデルはかなり熱を持つようです。
サーモグラフィーで見ると、最大71.3度。2TBモデルは実測で63.5度だったので、7度以上の差があります。
とはいえ警告温度(90度)や臨界温度(95度)には程遠いので、エアフローの悪い環境でもよほどのことがない限りサーマルスロットリングは発生しなさそう。
まとめ
「MS950G70PCIe4-04TB」は評判のいい「蝉族」の4TBモデル。2TBモデルに比べると若干性能が低いようですが、十分高性能の範囲です。ただし、細かいファイルの大量書き込みは苦手な模様。
2TBモデルに比べれば発熱はあるものの、SSD全体から見れば低温の範囲。ノートPCのようなヒートシンクを付けられない環境でも問題なく利用できるでしょう。
書き込み耐性についてはPC Watchにて同じ蝉族のHIKSEMI「HS-SSD-FUTIRE 1024G」の検証が行われていて、仕様の8割程度の書き込みで異常ステータスになったとのこと。
少なくとも仕様の5~6割程度の書き込み量なら問題なく使えそうです。
最近では一時期の特需が過ぎて値上がりしているものの、MAP1602+YMTC 232Lは異様なまでに性能がいいので、特価で見かけたら買っておいて損はないでしょう。
関連リンク
おまけ
fid情報のテキスト版。スクリーンショットじゃなくてテキストでシェアして!って書かれていたので。
Maxio NVME SSD fid v0.34a by Ochkin Vadim OS: 10.0 build 22631 0: (MS950G70PCIe4 4096G 1: (MS950G75PCIe4 2048G Please select drive number:0 Drive : 0(NVME) Scsi : 1 Driver : W10 Model : MS950G70PCIe4 4096G Fw : HS12717 HMB : 40960 - 40960 KB (Enabled, 40 M) Size : 3907018 MB [4096.8 GB] LBA Size: 512 Firmware id string[0C0] : MKSSD_101000000127173100,Jun 15 2023,15:55:04,MAP1602,1SSYBB5C Project id string[080] : r:/Congming_Hao/MAP1602-X3-9070-4T-Branch-SN12595-Close-pyrite Controller : MAP1602 NAND string : CYAxxTE1B1xC3B List may not be complete Ch0CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die Ch1CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die Ch2CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die Ch3CE0: 0x9b,0xc6,0x59,0x71,0x30,0x0,0x0 - YMTC 3dv4-232L(x3-9070) TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die
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