2025年3月3日、MinisforumはRyzen 9 7945HX3Dを搭載したMini-ITXマザーボード「BD790i X3D」を発売しました。
スペック

■ BD790i X3D | |
CPU | Ryzen 9 7945HX3D |
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メモリ | SO-DIMM DDR5-5200×2 |
ストレージ | M.2 Gen5 SSD×2 |
インターフェース | PCIe 5.0 x16コネクタ ×1 USB Type-C(Gen2)×1 USB3.2 Gen1×2 USB2.0×2 HDMI2.0×1 DisplayPort1.4×1 2.5GbE 有線LAN オーディオジャック |
wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.3 |
サイズ | 170×170mm |
電源 | 24ピン |
特徴
Minisforumは、実は2023年からオンボードCPUマザボを多数販売しており、これで10枚目だったりします。


1枚目の「AD650i」と2枚目の「BD770i」は記事にしていて、その後はCore i9-13900HXを搭載した「AR900i」、「BD770i」のCPUをRyzen 9 7945HXに変更した「BD790i」、SSDをGen5→Gen4にしてSSDファンやWi-fiを省いた廉価版の「BD790i SE」など次々と発売してきました。
「BD790i X3D」はその名の通り「BD790i」をベースとし、CPUをRyzen 9 7945HX3Dに変更、「BD790i SE」とは違って廉価仕様になっていない、「BD790i」の後継機、もしくはアップデートモデルと言えるものになっています。
CPU
「BD790i X3D」のCPUは前述の通り、Ryzen 9 7945HX3D。
Ryzen 9 7945HXをベースにL3キャッシュを増量した、ゲーミング向けのCPUです。
Ryzen 9 7945HX3Dは8コアのCCD(Core Complex Die)を2基で16コアを実現しています。
CCDはそれぞれ8コアで共有する32MBのL3キャッシュを持ち、X3Dモデルでは片方のCCDに64MBのL3 3D-Vキャッシュを追加。つまり、L3キャッシュが32MB+96MBの合計128MBという構成になっています。
ちなみに追加キャッシュのない方のCCDは動作クロックを高くして、キャッシュ量がものをいうアプリ(主にゲーム)と、動作周波数がものをいうアプリ、どちらでもパフォーマンスを最大化できるような戦略となっています。
Ryzen 9 7945HX3DのTDPは55~75W(Minisforumでは最大120Wとされる)なのですが、TDP120Wクラスのデスクトップ向けCPUと遜色ない性能を叩き出しています。
現行世代だと対抗できるのはRyzen 9 9950Xで、Ryzen 7 9800X3Dは置いてけぼりです。
dGPUなしだとフルロードでも140W程度(Ryzen 9 7945HX実測値)なのに、とんでもなさ過ぎて笑えて来ますね。
ちなみに、AMDによるとTDPは高すぎない方が3D-V-cacheの効きが良くなり、逆にフレームレートが向上するのだとか。
一方で統合型内蔵グラフィック、AMD Radeon 610Mの性能はおまけ程度。
ゲーミングなどはdGPUと組み合わせることが前提で、内蔵グラフィックはdGPUが壊れて全く表示できないということを防ぐ、お守り程度になります。
もしくはサーバー的用途であれば内蔵グラフィックでも足りますね。
メモリとストレージ
メモリはSO-DIMM DDR-5200が2スロット。最大96GBまで対応…とありますが、CPU的には公式には64GBまでなんですよね。
まぁ、CPUの開発時点では32GBモジュールまでしかなかったということなのでしょうが。
ストレージは、M.2 Gen5 SSDスロットが2スロット。「BD770i/790i」以来の、デュアルGen5 SSDです。
Gen5 SSDは転送速度が10~14GB/sと高速な分、発熱も大きいのでアクティブファン付きのヒートシンクが付属します。
残念ながらSATAポートは非搭載。
その他
無線LANはWi-Fi6E(802.11ax)対応。Bluetoothはv5.3です。
有線LANは2.5GbE。
あくまでCPU付きマザーボードという位置づけなので、電源などはなし。CPUファン、ケース・電源・メモリ・ストレージ・GPU・OSは自前で用意する必要があります。
電源は200W以上(dGPU非搭載の場合)とされています。GPUを搭載する場合は、GPUに合わせた電源を選びましょう。
外観
ボード全景。
Mini-ITXのマザーボードに巨大なヒートシンクが鎮座しています。
対応するCPUファンは12cmで、noctua「NF-A12x25 PWM」あたりが定番ですが、Thermaltake「TOUGHFAN 12」がほぼ同一スペックで安価なのでおすすめです。
なお、ファンの固定プレートはPCIeスロット側とSSD側、どちらにはみ出すか選べます(ほとんどの人はSSD側でしょう)。
バックプレートとインターフェース。
2.5GbEの下の2ポートがUSB2.0です。
Bluetooth接続のキーボードだとBIOS(UEFI)に入れないので、USB接続(無線USB含む)のマウス・キーボードを接続するのにちょうどいいですね。
ファンコネクタはCPU、SSD、ケース×2の4つ。
BIOS上ではそれぞれ独立した設定ができます。
底面には何もなし。
まとめ
「BD790i X3D」の価格は記事執筆時点で定価124,990円から25,010円引きの99,800円。Amazonだとクーポンにポイント還元まで入れると9.6万円台になります。
Ryzen 9 7945HX3Dのベースとされるデスクトップ向けのRyzen 9 7950X3D(実売11万円台)よりも安くてマザーボードまで付いてきます。
モバイル向けに動作周波数が抑えられているとはいえ、その性能は最上位クラスのデスクトップ向けCPUと遜色ありませんし、FPSの限界を極めようというのでもなければ十分でしょう。
Mini-ITXとはいえ同レベルの性能のCPUと、デュアルGen5 SSDに対応したマザーボードを買うより数万円は安くなりますし、コンパクトにゲーミングPCを組みたい場合にはかなり有力な選択肢になると思います。
…まぁ、一式揃えるとdGPU抜きでも15~17万円になるので、必要な性能を考えながら、BTO PCと比較することをおすすめします。
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