これまで液晶タブレットメーカーは、スタンドアロンタイプとしてWindowsを内蔵したタブレットを出したりしていました。
とはいえ価格が非常に高く、割とマイナーな扱いでした。
2024年にHUIONとXPPenがWindows機に比べると安価なAndroidタブレットを発売、2025年にはラインナップを拡充したうえ、UGEEも参戦し、Android液タブの時代が本格的に訪れようとしています。
比較表
各名称 | UT2 | UT3 | Magic Drawing Pad | Magic Note Pad | Kamvas Slate 10 | Kamvas Slate 11 | Kamvas Slate 13 |
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メーカー | UGEE | UGEE | XPPen | XPPen | HUION | HUION | HUION |
発売日 | 2024年12月20日 | 2024年12月20日 | 2024年2月28日 | 2025年3月19日 | 2024年1月31日 | 2025年4月22日 | 2025年4月22日 |
価格 | 49,990円 | 79,990円 | 67,920円 | 59,999円 | 32,999円 | 49,999円 | 74,999円 |
カラー | スペースグレー | グレー | ダークグレー | ダークグレー | |||
OS | Android 14 | Android 14 | Android 12 | Android 14 | Android 12 | Android 14 | Android 14 |
画面サイズ | 10.36インチ 2,000×1,200 1677万色表示 | 14.25インチ 2400×1600 アスペクト比3:2 1677万色表示 | 12.2インチ 2160×1440 アスペクト比3:2 1677万色表示 | 11インチ 1,920×1,200 1677万色表示 | 10.1インチ 1,920×1,200 1677万色表示 | 10.95インチ 1,920×1,200 1677万色表示 | 12.7インチ 2,176×1,600 アスペクト比4:3 1677万色表示 |
色域 | 72% NTSC | 72% NTSC | 109% sRGB | 95% sRGB | 90% sRGB 65% NTSC | 99% sRGB | 99% sRGB |
リフレッシュレート | 60Hz | 60Hz | 90Hz | 90Hz | 不明 | ||
表面処理 | NanoMatte | NanoMatte | X-Paper | X-Paper | 柔光ガラス | 柔光ガラス | |
最大輝度 | 400nits? | 360nits | 400nits | 260nits | 350nits | 350nits | |
スタイラスペン | U-Pencil | U-Pencil | X3 Pro Pencil | X3 Pro Pencil 2 | HS200 | H-Pencil | H-Pencil |
ペン充電 | Type-C(1時間) | Type-C(1時間) | EMR | EMR | Type-C | Type-C | Type-C |
筆圧 | 4096段階 | 4096段階 | 16384段階 | 16384段階 | 4096段階 | 4096段階 | 4096段階 |
傾き検知 | ±60° | ±60° | 非対応 | ±60° | ±60° | ±60° | |
ON荷重 | 10g | 10g | 3g | ||||
読み取り高さ | 10~20mm | 10mm | 10mm | ||||
精度 | ±0.5 mm(中央) ±1.0 mm(端) | ±0.5 mm(中央) ±1.0 mm(端) | ±0.5 mm(中央) ±1.5 mm(端) | ±0.4 mm(中央) ±1.5 mm(端) | ±0.3 mm(中央) ±0.6 mm(端) | ||
解像度 | 2540 LPI | 5080 LPI | |||||
CPU | Helio G99 | Helio G99 | MT8771 | Helio G99 | Unisoc T616 | Helio G99 | Helio G99 |
メモリ・ストレージ | 6GB+128GB | 8GB+256GB | 8GB+256GB | 6GB+128GB | 8GB+128GB | 8GB+128GB | 8GB+256GB |
無線LAN | Wi-Fi 5/BT5.3 | Wi-Fi 5/BT5.0 | Wi-Fi 5/BT5.1 | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 5/BT5.0 | Wi-Fi 5/BT5.0 | Wi-Fi 5/BT5.0 |
USB | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 2.0 |
外カメラ | 800万画素 | 800万画素 | 1300万画素 | なし | 1300万画素 | 1300万画素 | 1300万画素 |
内カメラ | 800万画素 | 1300万+500万画素 | 800万画素 | 1300万画素 | 500万画素 | 800万画素 | 800万画素 |
バッテリー | 7,000mAh | 10,000mAh | 8,000mAh | 8,000mAh | 6,000mAh | 8,000mAh | 10,000mAh |
高速充電 | 18W | 27W | 20W | 18W | 18W | ||
重量 | 約466g | 約760g | 約599g | 約495g | 約575g | 約500g | 約682g |
サイズ | 247.06×156.82×7.53mm | 322.41×222.02×6.95mm | 279×192×6.9mm | 259×182×7mm | 243×161×8.6 mm | 256.8×168.3×7.5mm | 280.6×211.8×7.5mm |
スピーカー | ステレオ | クアッド | クアッド | ステレオ | ステレオ | クアッド 1W×4 | クアッド 1W×4 |
センサー | GPS 重力 光 ホール | GPS 重力センサー 近接センサー 光センサー ホールセンサー | 重力 光 ホール | ジャイロ 地磁気 ホール 光センサー | ジャイロ 地磁気 ホール 光センサー | ||
SDカード | ○(最大1TB) | 非対応 | ○(最大512GB) | 非対応 | ○(最大512GB) | ○(最大1TB) | ○(最大1TB) |
その他 | PaintPal | U-Key 3つのカラーモード | X-Paper Key 3つのカラーモード マグネットスロット XPPen Notes 替え芯×4 |
解説
HUION
Android液タブを最初に出したのはHUIONで、2025年は11インチと13インチの2モデルを発売しました。
しかしながら、どうにも力を入れているとは思えないんですよね…
付属のH-Pencilは、4096段階の筆圧感知と60°の傾き認識ということ以外は、読み取り精度や読み取り高さ、解像度などは不明。
重要項目のはずのペンの扱いが雑過ぎない…?
独自のアプリや独自の機能もないので、一般的なタブレットの表面処理だけカスタマイズしたものにペンを付けただけ、という印象をぬぐえません。
というわけで探してみたら、「Kamvas Slate 13」と同じ外観デザインの製品を見つけました。
参考 平板电脑12.7英寸Android14平板电脑8 + 128/256gb八核FHD IPS 2k内置屏幕娱乐平板电脑:Alibaba
ただ、Helio G99モデルは見当たらなかったので、金型やカメラといった部分を使いまわしただけかもしれませんが。
「Kamvas Slate 13」は特徴がなさ過ぎて似たものがヒットしまくるので、特定できず。
HUIONもそれなりに手を入れているのでしょうが、XP-PenやUGEEに比べてスペックが貧相な割に割高なので…2025年モデルは選択肢とはならなさそうです。
UGEE
液タブ分野の後発メーカーであるUGEEは、Android液タブも後発となりましたが、その分じっくりと戦略を練ってきたのか、他者と雰囲気が違います。
下位の「UT2」は普及モデルとして他メーカーとあまり変わらない程度のスペックと価格ですが、上位の「UT3」は14.25インチと、本記事の中で最大となります。
「UT3」はさらにU-keyによって3つのカラーモード(標準/カラー/モノクロ)を切り替えられます。
公式スペック表にはこのU-Keyを「NXTPAPERキー」と表記している箇所があるので、TCLの「紙のようなディスプレイ」ことNXTPAPERを使っているようです。
というか、TCL「NXTPAPER 14」が同じ14.25インチ2400×1600(NXTPAPER 3.0)で、後ろのカメラバンプの形状とか、珍しいデュアルフロントカメラとか特徴が一致するので、「NXTPAPER 14」と「T-PEN」をセットにしたもののOEM品となるようです。
「NXTPAPER 14」は国内販売がなかったので、1年遅れながら国内で現実的な価格で入手できるようになったと考えれば、それほど悪くはないですね。
XP-Pen
2024年は12.2インチのやや大型なタブレットでしたが、2025年は11インチと小型化。
その代わり、X-Paper Keyで3つのカラーモード(ネイチャーカラー/ライトカラー/インクペーパー)を切り替えられます。
これもNXTPAPERかなと思ったのですが、断定はできず。
XP-Penは2024年モデル(Magic Drawing Pad)は、TCL「NXTPAPER 12 Pro」をベースに、独自の筆圧16384段階EMRペンを付属した製品でしたが、2025年モデル(Magic Note Pad)は類似品が見当たりません。
X-Paper Keyで3つのカラーモード(ネイチャーカラー/ライトカラー/インクペーパー)を切り替えられるとあるので、これもNXTPAPERかなと思ったのですが、断定はできず。
さすがにパネルレベルから開発できるほどのメーカー規模ではないので、どこかしらのOEMだとは思うのですが…
「Magic Drawing Pad」は完全に液タブとしての使い方に特化していて、背面はカメラを削除し、完全なフラットに。
表側には縦持ち時にグリップを兼ねるペンホルダースペースが用意されています。
ペンは引き続き筆圧16384段階対応のEMRペンですが、「X3 Pro Pencil」から「X3 Pro Pencil 2」にアップデート。精度が±0.5mmから±0.4mmになりました。
タブレットとしてのスペックはHelio G99/6GB/128GBですが、書き味は液タブと遜色ないという話ですし、カラーモードやペンといった付加価値まで考えると、実売約6万円という価格は、絵描きからすれば納得の範囲内じゃないかなぁと。
まとめ
個人的な感想ですが、お絵かきタブとしては「Magic Note Pad」が最有力、次点でUGEE「UT3」ですね。
「Magic Note Pad」は充電不要のEMRペン(ワコムのEMR技術に関する特許が切れたので、他社も使えるようになった)に、NXTPAPERと同様のカラーモード、置いたときにがたつかない背面フラットなど、液タブとしての用途に特化しています。
「UT3」は「NXTPAPER 14」のOEMですが、14.25インチという大画面とNXTPAPERパネルがポイント。液タブ用途だけでなく、コンテンツ消費にも向いています。
今後はPCとつないだら液タブになる機能とかが登場すれば面白いのですが…元のパイの大きさを考えると、そこまで力を入れて開発してくれるかどうか…
PCにつないでもスタンドアロンでも使える液タブとか、面白いと思うんですけどね。
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