2025年4月15日、ミニPCメーカーのGMKTecは、Ryzen AI Max+ 395を搭載したミニPC「EVO-X2」の予約受付を開始しました。
デポジット(一部前払い)制で、本注文は5月7日16時以降となります。
2025年4月30日追記:4月29日にAmazonの販売ページが公開されました。最大34%オフクーポン適用で211,193円からです。
予約ページ:GMKTec
スペック

■ EVO-X2 | |
CPU | Ryzen AI Max+ 395 |
---|---|
メモリ | 64~128GB LPDDR5X-8000 |
ストレージ | 1~2TB Gen4 SSD |
インターフェース | USB Type-C(USB4)×2 USB 3.2 Gen2×3 USB 2.0×2 HDMI 2.1 DisplayPort 1.4 SDXC 2.5GbE 有線LAN×1 オーディオジャック×2 |
wi-fi | Wi-fi 7+BT5.4 |
電源 | 230W |
サイズ | 186×192×77mm |
重さ | 1.3kg |
特徴
Ryzen AI Max+ 395を搭載したミニPCは、Framework DesktopやHP「Z2 mini G1a」などが発表されていますが、Framework Desktopは日本配送に未対応、「Z2 mini G1a」は5月発表予定で、記事執筆現在で国内で購入(予約)できるのは「EVO-X2」のみです。
ノートPC/タブレットPCだと、ASUS「ROG Flow Z13 (2025) GZ302」やHP「ZBook Ultra G1a」が発売されています。
GMKTecは「EVO-X2」にかなり力を入れていて、3月18日に北京で開催された2025 AMD AI PCイノベーションサミットにも出店、展示しています。
参考 AMD CEO リサ・スー博士のサイン入り!:GMKTec Blog
CPU
「EVO-X2」のCPUは、Ryzen AI Max+ 395。
コードネームはStrix Haloで、16コア32スレッドのZen5アーキテクチャCPUに、40CU(コンピュートユニット)のRDNA3.5グラフィックスで構成されるRadeon 8060Sを内蔵しています。
また、NPUとして50TOPSのXDNA2を内蔵。
Ryzen AI 9 HX 375が16CUなので、単純計算で2.5倍のグラフィック性能となります。
Ryzen 7 8845HS(12CU)比だと、3.3倍ですね。
TDPは55W、cTDPは45~120Wです。
Ryzen AI Max+ 395は現状で販売されているのはASUS「ROG Flow Z13 (2025) GZ302」のみで、冷却面が弱いタブレットPCのスコアとなります。
CPUスコアはTDP55Wながら、名だたるデスクトップ向けCPUと並んでいます。
デスクトップ向けコアをモバイル向けにパッケージングしたRyzen 9 7945HXには(おそらく電力配分の関係で)やや及びませんが、モバイル向けCPUとしては圧倒的な性能と言えるでしょう。
圧巻なのが、グラフィック性能。
ざっくりですが、デスクトップ向けのRTX 3060とRTX 4060の間、RTX 4060寄りのスコアを叩き出しています。
CPU内蔵グラフィックとしては断トツの性能ですね。
さらに、Ryzen AI Max+ 395はLPDDR5Xのみの対応。換装不可のデメリットと引き換えに、256GB/sのメモリ帯域幅を実現したユニファイドメモリを採用、最大96GBまでをVRAMとして割り当てられます。
つまり、VRAM量が重要要素であるLLM(Large Language Model、大規模言語モデル)において、大きなアドバンテージを持っているわけです。
例えばRTX 4090のVRAMは24GB。
ざっくりですが、30b(300億パラメータ)の4bit量子化モデル(Q4_K_M)くらいまでがメモリに載る限界です。
性能のいい70b(700億パラメータ。メモリを50GBくらい使う)だとVRAMに乗り切らず、性能が大幅に落ち込みます。
Ryzen AI Max+ 395の場合、これが割り当てたVRAM上に載ってしまうので性能低下が起こらず、GMKTecによると、Llama 3 70bではRTX 4090の2.2倍の速度とされています。
記事執筆時点で最新のLlama-4-Scoutは、4bit量子化モデル(Q4_K_M)でも60GB前後、2bit量子化でも40GB前後が必要となるので、どうやってもRTX 4090のVRAMには乗り切らず、Ryzen AI Max+ 395の方が早くなると思われます。
メモリとストレージ
メモリは64GBまたは128GBのLPDDR5X-8533。
CPU側の制限で、LPDDR5X-8000相当として動作します。
上でも書いていますが、Ryzen Al Max+ 395はメモリ帯域幅を確保する(8チャンネルで動作)ために、オンボードメモリオンリーです。
ストレージは1TBまたは2TBのGen4 SSD。
内部的にはデュアルGen4 SSDに対応しています。
その他
無線LANはWi-fi 7(802.11be)に対応。チップはRZ717(MT7925)で、Bluetoothはv5.4です。
有線LANは2.5GbE。チップはRealtek RTL8125BGです。
ちなみにWi-fi 7でメジャーなのはIntel BE200チップですが、AMD CPUとすこぶる相性が悪く、だいたいは動作しません(たまに動作報告がある)。
電源アダプタは230W(19.5V/11.8A)。
かなりの大容量ですが、「EVO-X2」はTDP120W動作(ピーク時最大140W)を標準としているようなので、おそらくシステム全体では最大で150Wくらいになると思われます。
外観
画像が小さいのですが、本体です。
186×192×77mmなので、通常のミニPCより二回りほど大きく、Lenovo「ThinkCentre M75q」やMINISFORUM「MS-A1」を二つ重ねたくらいのサイズ感です。
小さくはないですが、RTX4060に近いグラフィックを搭載していると考えれば、かなり小さめです。
インターフェース。
USB4が前後に1ポートづつ、映像出力はHDMI+DisplayPort+USB4です。
冷却はトリプルファンで行い、GMKTecではMax3.0と名付けたようです。
「ルームメイトを起こすことなくゲームができる」が謳い文句です。
まとめ
「EVO-X2」の価格は64GB+1TBが1,499ドル、128GB+2TBが1,999ドル。
デポジットではそれぞれ100ドル/200ドルを予約金として支払うことで、200ドル/400ドルの割引を受けられ、支払合計は1,399ドル/1,799ドルになります。日本円換算(VISAレート)だと、約20.3万円/約26.2万円。
なお、予約を取り消してもデポジットで支払った分は返金されません。
参考 Exchange Rate Calculator:VISA
決して安くはありませんが、RTX 4060を搭載したメモリ128GBのゲーミングデスクトップを買おうとすれば、もっと高くなります。そう考えれば、意外と良心的な価格です。
2025年4月30日追記:4月29日にAmazonの販売ページが公開されました。64GB+1TBはクーポン適用で211,193円、128GB+2TBが271,853円、獲得ポイント(Amazonカード利用)まで入れるとそれぞれ203,770円、262,476円です。発送は5月27日予定なので公式ストアより後になりそうですが、Amazonのサポートがあるのは大きいですね。
Windowsをメインに使っていて、ローカルでChatGPTもどきを動かしたい場合は、これ以上ない選択肢となるでしょう。
なお、Windowsにこだわらず、予算も潤沢にあるならMac Studio(M3 Ultra/512GBで約150万円)が個人レベルにおけるLLMの最適解となります。
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