CFD SFT4000Gは、Gen4 SSDですがリードは最大4,400MB/sと、かなり遅めのSSDです。
がじぇっとりっぷも普段であればスルーしていましたが、たまたまセールで安かったのでアーカイブ用に購入しました。
スペック

■ CFD SFT4000G | |
容量 | 1~4TB |
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接続 | PCIe Gen 4.0 x4 NVMe 1.4 |
読込速度 | 4,400MB/s |
書込速度 | 3,800MB/s |
NAND | BiCS5 TLC NAND |
キャッシュメモリ | なし |
耐久性 | 1TB:220TBW 2TB:4400TBW 4TB:800TBW |
保証 | 3年 |
本体外観
Gen4ではエントリークラスのSSDですが、外箱はそこはかとなく高級感。
ネジなどの付属品はありません。
本体裏表。4TBですが片面実装です。
「SFT4000G」は日本のみの展開のようで、認証ロゴが少ないですね。
ヒートシンクは銅箔+グラフェンの二層構造。上位の「SFT6000e」と同じ構造で、エントリーモデルにしてはちょっと豪華です。
銅なので、剥がすとグネグネに折れます。綺麗に剝がすことは困難です。
コントローラーはRealtek RTS5772DL。
上位の「SFT6000e」と同じコントローラーで、「SFT6000e」では232層 3D TLC NANDの「B58R」と組み合わせることもできるコントローラーです。
本SSDに搭載されている「ゲーミングモード」はこのコントローラーがもつ機能です。
参考 SSD選びは“安心/低発熱/高コスパ”が大事、CFD販売×Realtekが新開発したSSDのポイントを聞く:AKIBA PC Hotline!
NANDは「ATTDB122D0HGAA 2342B025894」。KIOXIA(旧東芝メモリ)製の「BiCS5」です。
詳細は不明ですが、112層のTLC NANDと思われます。
参考 第5世代3次元フラッシュメモリ「BiCS FLASH™」の開発について:キオクシア株式会社
チェック環境
検証はLenovo「IdeaCentre Mini Gen8」と、システムとしてMonsterStorage「MS950(2TB)」を使用。
上がシステムSSD、下がレビューSSDです。

CrystalDiskInfoの情報です。規格容量は4096.7GB。YMTC系と同じ量量です。
メーカーによってはきっかり4000GBにするところもあるので、良心的ですね。
接続はGen4 x4、規格はNVMe 1.4。
実効容量は3815.43GB。
ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…
「SFT4000G」には製品ページ上に管理アプリが用意されています。
左上の「Gaming Mode」をオンにするるとターボとかブーストの状態になり、転送速度が向上します。
また、モード変更はSSD本体に記憶されるので、デバイスを入れ替えても維持されます。
参考 CFD SFT4000G シリーズ:CFD
ベンチマーク
自然空冷状態で、エアフローのしっかりしたデスクトップ機に比べると、若干不利な環境となります。
また、機材の限界として、7,000MB/s付近が上限となります
CrystalDiskMark
CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。
シーケンシャルでリード4,592MB/s、ライト3,886MB/sを記録。リード・ライトともに仕様を上回っています。
これが「Gaming Mode」だとリード5,288MB/s、ライト4,611MB/sとなり、リードは16%、ライトは18%上昇します。
「Gaming Mode」強いな…
64GiB時はリードが明らかに落ち込んでいます。
ランダム4Kの計測結果の落ち込みも大きいですね。
この傾向は「Gaming Mode」でも変わりません。
4Kランダムのレイテンシは1GiB時82.74μs、64GiB時128.48μs。
高性能モデルはだいたい50μs台なので、かなり遅い部類に入ります。
「Gaming Mode」では80.20μs、121.89μsとわずかに改善していますが、誤差レベルです。
AS SSD Benchmark
AS SSD Benchmarkでは総合5003ポイントと、なぜか上位クラス並みのスコアに。どうも4Kライトが強いのが大きいようです。
「Gaming Mode」ではシーケンシャルはわずかに向上しているものの、スコアは下がっています。
h2testw
h2testwは、1.7GB/sでスタート。4,400MB/sのエントリークラスとしては結構出ている感があります。
1.1TB付近でSLCキャッシュが切れたのか、負荷が跳ね上がり、速度が顕著に落ち込みました。
負荷は80%台のまま、速度は130~300MB/s程度に。
その速度と負荷を維持したまま、フィニッシュ。
トータルでは、書き込みは平均337MB/s、読み込みは平均1.05GB/sでした。
全域書き込みでは平均値が大幅に低くなりましたが、1TBまでは1.7GB前後を維持していたので、実用上はそこまで気にする必要はないかと。
ATTO Disk Benchmark
ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
通常モードでは128KBを超えると3.3~3.9GB/sですが…
「Gaming Mode」では3.9~4.5GB/sと、大幅に速度が向上しています。
おそらく小さなファイルの読み書きが「Gaming Mode」の肝なんでしょうね。
HD Tune Pro
HD Tune Proでは何回か試したものの、なぜか最初の300GBくらいが低く出ます。
300GB以降は謎のスパイクを発生させながら、トータルでは平均1,924MB/s。
アクセスタイム(下の黄色い点)のばらつきはおおよそ2段階で、分散の度合いは低いですね。
ライトは同じくスパイクがありますが、全域でほぼフラット。最後にちょっと乱れています。
アクセスタイムはところどころに飛び値があり、高速モデルよりは安定性に欠ける印象です。
その他の計測結果。
ランダムアクセスは平均タイムがかなり低め。一方で最大タイムが5ms台だったり、やっぱりばらつきが出ています。
3DMark Storage Benchmark
3DMarkは1749ポイント。
これまでレビューしてきた中では低いスコアです。
「Gaming Mode」ではアクセスタイムの平均がわずかに下がり、スコアがわずかに向上しました。
ファイル転送(書き込み)
ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。
10GB(1GB×10)のファイル:2.961秒 (3458.291 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:38.287秒 (2674.537 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:412.568秒 (2481.474 MB/s)
ファイル転送(書き込み)では何気にYMTC系並みのタイムに(「MS950」は10GB:2.842秒)。
h2testwでも見たように、1TB以下の範囲であれば高速ですね。
温度について
温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
どちらも温度センサーの表示は一つだけ。エントリーモデルだからか、こういうところもコストダウンされているのでしょうか。
センサー上はコントローラーが最大70度とかなり低め。
サーモグラフィー(FLIR ONE Pro)で見ても、最大80.2度でした。
平気で95度とかに達するSSDもあるなか、かなり低いです。低速SSDだからこそと言えますね。
まとめ
「SFT4000G」は4,000MB/sクラスのエントリーモデルながら、上位モデルと同じコントローラーを使い、「Gaming Mode」での速度アップが可能なSSDでした。
1TB程度までなら速度も問題ないですし、低速ゆえの低発熱と、銅箔+グラフェンの二層構造ヒートシンクにより、ピークでも80度前後なのはポイントが高いです。
とはいえ転送速度やレイテンシを考えると、アーカイブ向けと考えた方がいいでしょう。
また、元から国内向けのみの小規模な展開だったことから、年明けくらいから入手性が悪くなっています。Amazonではすでにラインナップから4TBが消えています。
コントローラーの「RTS5772DL」はメーカーインタビューでかなり自信のあるような口ぶりだったものの、実際にはぱっとしない性能でしたし(Maxio MAP1602A+YMTC NANDのSSDが異常すぎたともいう)、どうにも人気が出る要素がないので、おそらくは遠くないうちに終売を迎えるものと思われます。まぁ発売が2024年3月なので、1年で消えるのは不思議ではありませんが。
…さぼらずにもうちょっと早くレビューしておくべきだったなぁ…
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