【実機レビュー】KIOXIA EXCERIA PLUS G4(2TB):高速だけどヒートシンクなしでいける低発熱Gen5 SSD

レビュー

KIOXIA(キオクシア)は、2019年10月1日に東芝メモリからブランド名を刷新したストレージメーカーです。
国内工場でNANDチップ(BiCS FLASHシリーズ)を製造している、国産メーカーです。

EXCERIA PLUS G4」はそんなKIOXIAが初めて発売したGen5 SSDです。
今回その「EXCERIA PLUS G4」の2TBモデル「SSD-CK2.0N5PLG4N」をレビューする機会を頂いたので、見ていきましょう。
がじぇっとりっぷにとっても初Gen5 SSDです。

当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。
当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いていきます。
また、機材を提供いただいたKIOXIA様および、その販売代理店であるバッファロー様よりにはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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スペック

■ KIOXIA EXCERIA PLUS G4
容量 1~2TB
接続 PCIe Gen 5.0 x4
NVMe 2.0c
読込速度 10,000MB/s
書込速度 2TB:8,200MB/s
1TB:7,900MB/s
NAND BiCS8 TLC NAND
キャッシュメモリ なし
消費電力 5.3W
耐久性 1TB:600TBW
2TB:1200TBW
MTTF:150万時間
保証 5年

本体外観

パッケージデザインはわりとあっさり。
国産メーカーなのにあれこれ情報を詰め込もうとしてごちゃごちゃなデザインとなっていない点は好感触です。

中のスリーブは紙製。

小物家電に入っているような、1枚ぺらの説明書。

本体。
裏面はラベルだけの片面実装です。

斜めから。
グラフェンシートかと思ったら、単なるシール…?

剥がしてみたら、中心だけヒートスプレッダになっていました。
無駄に手が込んでるなぁ…

シールを剥がす行為は製品保証が無効となる可能性が高いです。安易にまねをしないでください。

コントローラーはPHISON PS5031-E31-61

PHISONのサイトを見ると、E31TはあってもE31はありません。
PHISONのE31Tの紹介記事を見るとE31Tのエンジニアリングサンプルが「PS5031-E31-75」となっているので、メーカー型番だと「E31T」になると思われます。

TSMCの7nmプロセス製造で、Cortex R5 CPUを3コア搭載。最大4チャネルのNANDに、各チャネル最大3600MT/sで接続、最大転送速度は10.6GB/sとなるコントローラーです。
「CS2433」とあるので、24年33週製造かな?

高速なGen4 SSDで使われるコントローラーは大体が最大2400MT/sなので、この時点で1.5倍高速ですね。

参考 PS5031-E31T:PHISON

NANDは「TH58LKT3T48BA8S CK9686 TWN 24429AE」の文字。
KIOXIA製の218層 3D TLC NAND(BiCS8)です。1Tb TLCでメモリ密度が18.3Gb/mm2、最大3.6Gbpsの転送速度を持つNANDを、1パッケージ当たり8チップ(1パッケージ当たり8Tb=1TB)重ねています。

参考 BiCS FLASH™ 第8世代適用新技術の紹介:KIOXIA

flash idの確認。
KIOXIA(ツール上では旧名の東芝として表示)となっています。HMBは64MBです。
旧名表示なのは、Manufacturer ID(0x98)が引き継がれているためと思われます。

チェック環境

検証はMinisforum「BD790i」と、システムとしてWD_BLACK SN850X(4TB)を使用。
奥がシステムSSD、手前がレビューSSDです。

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CrystalDiskInfoの情報です。規格容量は2000.3GB
接続はGen5 x4、規格はNVMe 2.0。

NAND的には2048GBのはずですが、48GBは予備領域に割り当てられているのでしょう。

フォーマット後の容量は1863.00GB。

NVMeのバージョンは転送速度とはあまり関係がなく、そもそもが通信プロトコルの規格名です。なので、バージョンによって使えるコマンドセットや機能に差があります。
ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…

「SSD Utilityマネージメントソフトウェア」という管理アプリが用意されています。
…せめて名称にKIOXIAと入れてほしかったなぁ…

接続規格やHMB割り当ても確認可能。
フォーマットのタブではSecure Eraseができます。

参考 SSD Utilityマネージメントソフトウェア:KIOXIA

ベンチマーク

ベンチマークはヒートシンクのない状態かつ、CPUファンの風が当たらないようにして計測しています。
自然空冷状態で、エアフローのしっかりしたデスクトップ機に比べると、若干不利な環境となります。
また、AMD系環境のため、4KランダムQ1T1がIntel系環境に比べて低く出る傾向にあります

CrystalDiskMark

CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。

シーケンシャルでリード10,256MB/s、ライト8,754MB/sを記録。リード・ライトともにさくっと仕様を上回っています。

64GiB時ではシーケンシャルはやや落ち込んだものの、それでも仕様を上回っています。
一方でランダムリード・ライトはガッツリ落ち込んでますね。
落ち込んでもQ32T16はGen4 SSDの3倍くらい早いんですけど。

4Kランダムのリードレイテンシ(1GiB時)は44.61μs。Gen4 SSDではだいたいが55μs前後だったので、2割ほど高速です。
測定環境が変わったことも影響しているとは思いますが、45μs切りは早いです。

この辺りはCPU直結とか遅延要素を徹底的に排除しないと実力が見えないところなので、モバイル向けCPUならこんなものと言えるかと。

AS SSD Benchmark

AS SSD Benchmarkでは総合9875ポイントと、5000ポイント前後をうろつくGen4 SSDと比較にならないくらいの高スコア。
4K/64スレッドのリード速度が主な要因です。

h2testw

h2testwは、3.1GB/sでスタート。Gen4 SSD(2~2.1GB/s)の約1.5倍です。
これ、コントローラーの速度に比例しているんですかね?

400GB(20%)付近でpSLCキャッシュが枯渇。
負荷が40%→65%に、書き込み速度も1.3~1.4GB/sに落ち込みました。

1.2TB(60%)を超えたあたりでpSLCのGCを含めた書き込みモードとなります。
負荷は80%近く、書き込み速度も1GB/sを切っています。

その後、負荷は80~90%に、書き込み速度は400~800MB/sできれいなギザギザを描くように。

ギザギザ速度と90%弱の負荷を維持したまま、フィニッシュ。

トータルでは、書き込みは平均0.98GB/s、読み込みは平均1.69GB/sでした。
Gen5 SSDでこのスコアはちょっと意外でしたが、Phison PS5018-E18+BiCS5なNextorage「NE1N4TB」でもギザギザ速度で似たような結果になっていたので、Phisonコントローラーの特徴かもしれません。

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ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
ライトは256KBから、リードは2MBからずっとピーク速度を保っています。

「EXCERIA PLUS G4」は細かいファイルの読み書きにはめっぽう強いようです

HD Tune Pro

HD Tune Proでは読み込みは全域ほぼフラットで、平均1,500MB/s。
速度のばらつきが極端に少なく、安定しています

ライトは1.2TBを超えたところで落ち込みましたが、やはりブレの少ないラインを描いています。
リードもですが安定度はかなり高いですね。

その他の計測結果。

3DMark Storage Benchmark

3DMarkは3344ポイント。
YMTC系が2300ポイント台、Gen4 SSDの中では最高クラスの性能だったSK hynix「Platinum P41」でも2575ポイントだった中、初めての3000ポイント台です。

ファイル転送(書き込み)

ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。

10GB(1GB×10)のファイル:2.848秒 (3595.506 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:28.423秒 (3602.716 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:547.239秒 (1871.212 MB/s)

ファイル転送(書き込み)では10GBは「SN850X」に次ぐ最速クラス。100GBはこれまでレビューしてきたSSDの中で初の30秒切りです。
一方で1TBはかなり遅く、「EXCERIA PLUS G4」が爆速なのは、pSLCキャッシュが切れる400GBまでという結論になりそうです。

いや、400GBあれば普通は十分なんですけどね。

温度について

「EXCERIA PLUS G4」の警告温度は83度、臨界温度は85度。かなり低めに設定されています。

温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
どちらも2種類の温度センサーが見えていますが、同じ温度を指しているので実質ひとつです。

センサー上はコントローラーが最大80度
温度が上がらないと見せかけて、どうも80度でサーマルスロットリングが発生しているようです。
といっても数10GB~数百GBを全力書き込みしないと80度まで行かないですし、実使用中にサーマルスロットリングを実感することはないと思います。

サーモグラフィーで見ると最大86.5度でした。Gen4よりも発熱するGen5 SSDで、かつヒートシンクなしでこの温度なので、(多少はサーマルスロットリングが発生するものの)冷却を考えずに使えますね。

まとめ

「EXCERIA PLUS G4」はGen4 SSDを超える速度でありながら、発熱も比較的少なく、pSLCキャッシュが枯渇する連続400GBまでは割と安定した性能の出せるSSDです。

1TBモデルの価格は1.6万円前後、2TBモデルの価格は2.7万円前後。
現行最速の14GB/sクラスには劣るものの、保証は5年も付いています。

ランダムアクセスリード(Q32T16)は「SN850X」の2倍の速度で、細かいファイルの読み込みが多いゲーミングでは、「SN850X」や「990 EVO Plus」を超える性能を出せると思います。
システムドライブに使ってもゲーミング用のデータドライブに使っても満足できるでしょう。

関連リンク

EXCERIA PLUS G4:KIOXIA

おまけ

fid情報のテキスト版。スクリーンショットじゃなくてテキストでシェアして!って書かれていたので。

Phison NVME & SATA SSD flash id (dll) v0.393a by Ochkin Vadim
OS: 10.0 build 26100
 0: (WD_BLACK SN850X 4000GB
 1: (KIOXIA-EXCERIA PLUS G4 SSD
Please select drive number:1
Drive   : 1(NVME)
Driver  : W10(1:3)
Model   : KIOXIA-EXCERIA PLUS G4 SSD
Fw      : EVFAJ1.0
HMB     : 65536 - 65536 KB (Enabled, 64 M)
Size    : 1907729 MB [2000.4 GB]
LBA Size: 512
F/W     : EVFAJ1.0 00
P/N     : 00000000
Bank00: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Bank01: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Bank02: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Bank03: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Bank04: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Bank05: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Bank06: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Bank07: 0x98,0x49,0xa9,0x3,0x7e,0xe6,0x0,0x0 - Toshiba TLC 16k 2048Gb/CE 1024Gb/die 4Plane/die
Controller    : PS5031-E31
Clk           : 1200-400-400-3600-3600
Flash CE      : 8
Flash Channel : 4
Interleave    : 2
Flash CE Mask : [++++++++ -------- -------- --------]
?Die per CE   : 2
?Block per CE : 3270
?Page perBlock: 5496
?Plane number : 4
?Bit Per Cell : 3(TLC)
?PE CycleLimit: 1070
Defects Early Read Prog Erase
Bank00:   61    0    0    0
Bank01:   31    0    0    0
Bank02:   55    0    0    0
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Bank06:   20    0    0    0
Bank07:   32    0    0    0
Total :  316    0    0    0

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