【実機レビュー】KTC H27P27:安価に買える10.7億色表示対応の4Kモニター

レビュー

KTC「H27P27」は、デザインやクリエイティブ作業に向いた、広色域の4Kモニターです。
リフレッシュレートは60hzでゲーミングには向きませんが、その分安価で、手に取りやすい4Kモニターといえます。

当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。
当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いていきます。
また、機材を提供いただいたKTC様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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KTC H27P27

画面サイズ 27.0インチ
解像度 4K(3860×2160)
リフレッシュレート 60Hz
表示色 10.7億色(8bit+FRC)
輝度 400cd/m2 (Typ)
色域 135% sRGB
インターフェース HDMI2.0×2
DisplayPort1.4×1
オーディオジャック
サイズ 616×450.3×191mm
重さ 4.25kg

GoodPoint
安価な4Kモニター
輝度最大400nits
ゲーミング設定あり

BadPoint
60Hzなのでゲーミングはやや厳しい
Type-Cが欲しくなる
スタンドはチルトのみ

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クーポンコード:10TRIP27
終了日時:2025年8月31日23:59 JST

KTCとは

KTCは1995年に設立された、中華人民共和国広東省深センに本社を置く企業です。
正式会社名は「Shenzhen KTC Technology Co., Ltd.(深圳KTC科技有限公司)」で、日本国内では「KTC科技日本株式会社」として日本事業部を展開しています。

日本ではゲーミングディスプレイで進出しましたが、本国ではKTC Playとしてブランドを切り分けているようです。公式サイトを見ると、本業としてはテレビ、商用ディスプレイ、医療用ディスプレイなどを手掛けていますね。

LCDモニター、LCDターミナル、スマートTV、ディスプレイ-KTC
1995年に設立されたKTCは、フラットパネルディスプレイ端末製品、LCDモニター、商用LCD端末、医療用LCD端末の製造を専門としています。
深圳市康特智能显示有限公司
深圳市康特智能显示有限公司
-康冠公司官网|KTC|康冠科技|股票代码001308

ただ日本ではKTCといえば工具メーカーの京都機械工具株式会社が先に来るので、ブランディングが大変そう…

外観

外箱

仕様表にもあるように「H27P27」はリフレッシュレートが60Hzで、ゲーミングに向いているとは言えません。
でも外箱はKTC共通デザインでちょっとゲーミングっぽい雰囲気

中を開けると発泡スチロール。これは以前にレビューしたKTC製品と同じですね。

付属品

付属品はHDMIケーブルと電源アダプタ、スタンド脚と底部プレート。

電源アダプタは19V/3.42A(=64.98W)出力。4Kなので消費電力が高めです。
これ、ミニPCの65Wアダプタと同じ出力で一瞬迷いますが、PSE取得が「KTC科技日本」になっているのが見分けるポイント。
…自前で電源アダプタのPSE取得してるの初めて見た。

キャリブレーションレポート。
一台ずつのキャリブレーション結果というより、この基準を満たしていますよ的なものです。

マニュアルは日本語オンリーの日本向け専用。
イラストも交えた説明は文言で引っかかるところも少なく、翻訳精度はかなり良くなっています。しかし、いわゆる中華フォントが使われています

「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、がじぇっとりっぷでは中華フォントについては指摘することにしています。
といっても、「作成したPCでは日本語フォントだったんだけど、印刷所のPCに日本語フォントが入ってなくて…」みたいな事例もあるようです。

本体

本体背面。
「H27P27」はこれまでレビューしてきたKTC製品と同様に、下半分の左右が膨らんでいてグリップのようにフィットするのと、段差に指をひっかけられるので、とても持ちやすいです。
この構造は他のモニターにも真似してもらいたいくらい。

OSD操作用のジョイスティックは正面からみると右下の位置。
位置的に右下の角を握るように操作するので、モニターの右側にはそれなりのスペースが必要になります

インターフェースはHDMI2.0×2、DisplayPort1.4×1、オーディオジャック。
安価な製品ですがHDMIが2ポートあるのはいいですね。

背面ラベル。

組み立てはスタンド脚とスタンドプレートをはめ込むだけのシンプル設計。

スタンドはチルト(-5°~15°)のみ対応。

使ってみて

「H27P27」の非表示領域はベゼル込みで左右約9mm。

HDMIで設定できるのは60Hzと30Hzのみ
HDRもオンにできて、輝度は最大400nitsとされています。

DisplayPortだと10bit入力に対応します。

HDRオフ(SDR)とHDRの差。
分かりにくいですが、HDRは暗いところは暗くなり、コントラストが強く出ています。

OSD

OSDは中央に表示。
60HzですがOSDの内容は共通のようで、ゲーミングの項目があります

プリセットは割と種類多め。

ゲーミングメニューはオーバーライドやアシスト機能など。

そのほかの設定。

ショートカットメニューは右下に表示。
よほど細かく設定するのでなければ、このくらいで十分ですね。

メニュー レベル1 レベル2 レベル3
ディスプレイ 明るさ 0~100
コントラスト 0~100
ブラックイコライザ 0~100 (10刻み)
鮮明さ 0~100 (10刻み)
プリセット ユーザー設定/Movie/Photo/Eco/読書/RTS/FPS
アスペクト比 Full/16:9/4:3
Professional Modes Native/sRGB/DCI-P3
Color 色温度 Normal/Cool/Warm/ユーザー設定
ガンマ値 Off/1.8/2.0/2.2/2.4
色相 Red/Green/Blue/Cyan/Magenda/Yellow
彩度 Red/Green/Blue/Cyan/Magenda/Yellow
ブルーライト 0~100 (25刻み)
色の範囲 Auto / Full Range / Limited Rande
ゲーミング Overdrive Off/Standard/Advanced/Ultra Fast/Dynamic Overdrive
ゲームアシスト タイマー
クロスヘア―
FPSカウンター
詳細設定 HDR Off/Auoto
DDC/CI On/Off
Ultra vivid On/Off
入力 自動選択/HDMI1/HDMI2/DP1
System 言語 日本語など8言語
OSD設定 H Position 0~100
V Posision 0~100
Timeout 5~60秒
透明度 5段階
OSD size Normal/Big
OSDスタイル 4色
LED On/Off
Audio Mute On/Off
Volume 0~100
ホットキー 左右・下の割り当て(上は固定)
Reset

メニュー内容の一覧。

パネルについて

比率 カバー率
sRGB 126.9% 98.9%
Adobe RGB 70.8% 70.6%
DCP-P3 93.5% 91.2%
NTSC 89.9% 85.2%

色域実測はsRGB比126.9%で、かなり広め。
B(青)方向がsRGBとちょっとずれていますが、R(赤)とG(緑)方向含め全体的に広いです。

※2025年8月15日追記:色域グラフでAdobe RGBのところ、Apple RGBとなっていたので画像を差し替えました。

ガンマ特性は全体的に弧を描いていて、中間付近が持ち上がり気味。

補正後の色精度。ΔE<2.0が基準とされる中で、平均ΔE=0.6はかなりいいんじゃないかと。
補正前は計測し忘れました。

カラー表示。
気持ち程度に青の鮮やかさが足りない気がします。

斜め表示はこんな感じです。

ターンテーブルを利用しての斜め表示確認。

リフレッシュレートについて

「H27P27」の最大リフレッシュレートは60Hz。

というわけで、簡単にUFO Testで確認。

輝度について

明るさ 輝度(cd/m2)
100 353 (412)
90 345 (399)
80 327 (378)
70 296 (343.0)
60 265 (304.3)
50 233 (269.1)
40 200 (230.5)
30 150 (173.1)
20 99 (114.6)
10 64 (73.8)
0 46 (53.5)

輝度についてはi1Displayと、安物の輝度計(カッコ内の数字)で測定。
全体的に15~16%程度の誤差が出ていますが、i1Displayの経年劣化なのか、輝度計の校正不足なのかが分からないため、併記しています。

「H27P27」の明るさは仕様上は最大400nits。全白実測では350nits程度となりました。

明るさ100での各ポイントの輝度。
輝度ムラの傾向は「H25T7」や「H24T27」と同じで、左が暗くなりがちな結果に。

最大輝度は輝度計で477nits。i1Displayだと推定で410nitsくらいですね。

光漏れについて

「H27P27」はminiLEDや有機ELではない、一般的なエッジライト液晶です。
そのため、構造的に黒表示でも外縁部ではわずかに光が漏れてしまいます。

こんな感じで、黒い場面でもうっすらとパネルのふちが分かります

斜めから。

ブラックスタビライザーについて

ブラックスタビライザは0から100までの11段階。標準は50で設定されています。

ハイエンド機ほどではありませんが、それなりに暗いところが持ち上がります

HDRモードだと効果は薄いです。

その他表示例

まとめ

「H27P27」の価格は記事執筆時点で25,040円。4Kモニターとしては激安です。

それでいて最大400nitsと比較的明るめで(安物は300nits程度が多い)、色域はかなり広く、DisplayPort限定ながら10.7億色表示にも対応。
Type-Cなしやチルトのみのスタンドといった点を許容できる、オフィス向けなどの用途であれば十分でしょう。

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関連リンク

コメント

  1. 匿名 より:

    「パネルについて」のadobe RGBの数値間違ってると思います。
    グラフをみるとApple RGBで計測されたようです。

    • がじぇっとりっぷ より:

      コメントありがとうございます。
      思いっきり間違えていましたね…現在はAdobe RGBに修正しました。
      ご指摘ありがとうございました。

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