【実機レビュー】EarFun OpenJump:ボーカルが聞きやすい、1万円切りなのにLDAC対応なオープンイヤーイヤホン

レビュー

2025年4月、イヤホンブランドのEarFunはブランド初となる耳掛け式のオープンイヤーイヤホン「OpenJump」を発売しました。
今回はその「OpenJump」をレビューしていきます。

EarFunのイヤホンをレビューするのは、2021年の「EarFun Air Pro」以来ですね。

【レビュー】EarFun Air Pro:音質が劇的に向上し、ノイズキャンセリングまで付いた8000円のワイヤレスイヤホン
がじぇっとりっぷでは以前に「EarFun Air」という、左右分離型の完全ワイヤレスイヤホンのレビューを行っています。レビューしたのは11月ですが、実はそのちょっと前の2020年9月にはドライバー径が10mmとなった(「EarFun Air
当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。機材を提供いただいたEarFun様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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EarFun OpenJump

Bluetoothバージョン v5.3
対応コーデック SBC、AAC、LDAC
ドライバー径 14.2mm
バッテリー容量 60mAh(本体)
550mAh(ケース)
バッテリー駆動時間 約11(8)時間(本体)
約42(30.5)時間(ケース込)
カッコ内はLDAC時
充電時間 約1時間(本体)
約2時間(ケース)
約3.5時間(ワイヤレス)
急速充電 10分充電で2時間再生
充電端子 USB Type-C(ケース)
5V/1A
防水&防塵規格 IPX7
重量 約15.6g(本体)
約73.5g(ケース込)

GoodPoint
14.2mmの大型ドライバー
LDAC対応
IPX7防水

BadPoint
LDACとマルチポイント接続が排他関係
タッチの反応が良すぎる
アプリはユーザー登録必須

EarFunについて

EarFunは2018年10月に設立した、深圳市丽耳科技有限公司(Shenzhen EarFun Technology Co., Ltd.)のブランドです。

日本市場には2019年頃に進出、公式サイトの特商法に基づく表記ではEarfun Technology (HK) Limitedとなっていて香港を拠点とする企業のように見えますが、上記の通り中国の深圳を本拠地としています。

パッケージ

内容物
・イヤホン本体
・充電ケース
・充電ケーブル
・ユーザーマニュアル
・保証書

操作について

設定
電源オン・オフ ケース開け閉め
ペアリングモード ケースボタン3秒長押し
音楽
再生/停止 左/右2回タッチ
次の曲 右3回タッチ
前の曲 左3回タッチ
音量アップ 右タッチ
音量ダウン 左タッチ
通話
応答/終了 左/右2回タッチ
転送・マルチ通話 左/右3回タッチ
着信拒否 左/右2秒長押し
機能
音声アシスタント 左/右長押し
ゲームモード アプリ
リセット ケースボタン9秒長押し

「OpenJump」はタッチセンサー式。
タッチの反応は良く、イヤホンのポジションを調整しようとすると結構な確率で反応します(タッチエリアははっきりしているので、気を付ければいいだけの話ですが…)。

左右で同じ設定を割り当てられているパターンが多いのですが、アプリである程度入れ替えられます。

使ってみた

接続について

接続は特に問題なし。
というか、Google Fast Pairに対応しているので、蓋を開けた時点でポップアップが表示されて、「さぁ接続しろ」と言わんばかりにアピールしてきます。

対応コーデックはデフォルトではSBCとAACのみ

アプリ上で有効化すると、LDACにも対応します
LDACは消費電力の都合上マルチポイント接続と排他関係にあり、デフォルトではマルチポイント接続が有効化されています。

アプリについて

「OpenJump」はEarFunアプリで管理できます。利用にはユーザー登録が必須です。
この手のイコライザアプリで毎回言っているのが、ユーザー登録必須の必要はあるの?という疑問。
例えばアプリ上からデバイス登録すれば延長保証が受けられる、みたいなメリットがあるのならまだしも、EarFunアプリにはそういったものもありません。

デバイス登録で延長保証(18か月から24か月に延長)は、アプリではなく公式サイトのサポートページからの登録なんですよね…

個人情報は未記入でもいけました。そもそもこれ、聞く必要あるの?

メイン画面。
基本機能は網羅していますね。

イコライザ。
プリセットだけで30種類あります。

前述の通り、LDACとマルチポイント接続は排他関係

音声ガイダンスは日本語が設定できます
「イヤホンを探す」ではピーピーと音を鳴らせます。音量はかなり大きく、ちょっと広いリビング程度でも聞こえると思います。

「製品チュートリアル」でユーザーマニュアル(の日本語ページ部分)が表示されます
これ、地味に便利というか、他のメーカーでも導入して欲しい機能ですね。

面白い機能が、ホーム画面の「発見」タブ。

アプリに環境音が内蔵されていて、集中したいや睡眠時に利用できます。
タイマー機能(最大120分)もあるので、時間を区切って作業を行うことにも使えます。

イヤホンメーカーも数が多く、差別化に苦労しているなぁというのが見て取れるわけですが、これはあって困らない機能ですね。

かけ心地

「OpenJump」はがじぇっとりっぷでも何度かレビュー経験のある、耳掛け式のオープンイヤーイヤホンです。
ワイヤー部分はチタン合金ワイヤーに液体シリコンという、ミドルクラス以上の製品に見られる組み合わせです。
しっとりとした質感でこすれ感がなく、装着感に優れています。

ワイヤー部分は2.9mmと細く、眼鏡との干渉も気にならない範囲です。
また、この細さがかなり根元の方まで続いているので、耳の根元部分に隙間ができ、こすれて痛くならないのも高ポイントですね。

耳掛け式なので固定感も高く、頭を振ったり走り回っても落ちる気配はありません。

やっておくといいのは、耳の内側のふちに入れ込むようにすること

公式の画像でも3点サポートとして耳の内側のふちも固定ポイントとしています。
ここでの押さえのあるなしで固定感も音質(特に低音)も変わってきます。

音質について

「OpenJump」は14.2mm径のドライバーを内蔵しています。
インイヤー型ではできない、大口径ドライバーです。

オープンイヤーイヤホンの苦手とする低音に対しては、大口径ドライバーに加えて独自の低音強化技術「BassSurge」を用いることで、強化しています。

以下は特に言及がない限り、LDAC接続でイコライザーを設定しないデフォルトの音質での感想となります。プリセットだけで30種類もあるからね。

音質としては中音が強く、ボーカルが浮いています。
楽器が一歩引いて、ボーカルの輪郭がはっきりしていて、ポップミュージックがとても聞きやすいですね。

低音は前述のように強化していると謳う通り、ある程度音量を上げれば結構ずっしりとした音が出ます。
さすがにインイヤー型に比べれば劣りますし、力強いというにはあと一歩ですが、1万円以下のオープンイヤーイヤホンが出す音と考えれば十分に評価できる音です。

中音は持ち上げ気味で非常にクリア。低音・高音に比べて輪郭がよりはっきりしていて解像感も高いので、ボーカルが非常に聞きやすいです。

高音はやや控えめ。あまり伸びはなく、キーの高い声も抑制されます。
破裂音は丸すぎず尖り過ぎずで、ある程度角は立っているのだけれどもそこまで耳が疲れない程度となっています。

分かりやすいところだと「レット・イット・ゴー(松たか子)」のAメロ・Bメロが情感たっぷりで素晴らしく、期待が高まったところでキーの高いサビがいまいち(あくまで期待したほどではないという意味)と感じてしまうくらいに、高音は弱いです。

シアターモードにすると音の鳴る位置が頭の真ん中というか耳を結んだ中央辺り(イヤホンを使う人なら分かるはず)から、左右の耳元に移動し、ステレオ感が強化されて音の広がりがぐんと増します。
代わりに全体的に軽い音となるので、音楽鑑賞というよりはモード名の通り映画鑑賞に向いていますね。

音質はデバイス側のチップや再生ソフトなど、視聴環境によっても大きく変化します。また、聴き手の好みやジャンルによっても左右されます。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。
また、長時間にわたる大音量での視聴は聴覚障害を引き起こす可能性があります。

音漏れについて

「OpenJump」には指向性伝音構造で音漏れを抑えるようにはなっていますが、最近増えている音漏れ防止システム(外向きに逆位相音を流す)は搭載されていません。

普通に聞いている音量だと、1mの距離だとシャカシャカ音が聞こえ、50cmの距離だと何を聞いているかまで判別できます。
心持ち小さめの音量にすれば音漏れはぐっと軽減されます。

外観

外箱は過去のレビューと同じく、ブランドカラーの黄色を上下側面にあしらっています。

過去レビューではスリーブ式だったりブックタイプだったりと凝っていましたが、「OpenJump」は蓋身式(ツーピースタイプ)の箱。
最近はメーカー問わず、蓋身式が増えている印象ですね。

再掲ですが、パッケージ全体。

同梱品

マニュアルは冊子タイプで、(失礼ながら)意外なことに日本語フォントも文言も全く問題がありません

ケースと本体

ケースは1万円超えの高級機より一回り大きく、3,000円台のコスパ機より二回りくらい小さい程度。
ただし質感は安っぽく、コンパクトさ優先でコストをかけている感があります。

背面には充電用のType-Cポート。
ちなみにワイヤレス充電にも対応しています。

蓋を開けるとこんな感じに収まっています。
真ん中にあるのがペアリング/リセットボタンです。

蓋の内側には認証情報。
技適番号は210-241244でした

参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(210-241244)

本体裏表。
指向性を持たせるため、スピーカー口が独特な形をしています。

マイクは片側当たりふたつ。通話用マイクと、通話ノイズキャンセリング用のマイクです。
側面にもスピーカー口が開いていますが、逆位相音機能はないため、内部反響を逃がすためのものと思われます。

スピーカー口のアップ。
ちゃんとメッシュも貼られていますね。

猛者は本体が15.7g、ケース込みで73.0g。
おおよそ仕様通りと言えます。

まとめ

「OpenJump」は1万円を切る価格ながら、大型ドライバーと低音強化技術で、ボーカル曲が聞きやすいイヤホンでした。
一番大きなジャンルを手堅く押さえたイヤホンと言えるでしょう。

多少再生時間が短くなりますがLDACにも対応していますし、防水がIPX7なので、雨でもキッチンでも使うシーンを選びません。

価格は8,990円。記事執筆時点ではクーポンで7,790円となっています。

逆位相技術など高級機向けの機能はありませんが、価格に見合った音と装着感は備わっているので、1万円以下でオープンイヤーイヤホンを探しているのであれば、候補の一つに入れてもいいと思います。

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