【実機レビュー】UGREEN NASync DXP2800:お手軽操作でスマホのバックアップ。初心者でも使えるNAS【セットアップ&計測編】

レビュー

がじぇっとりっぷでは過去2回にわたりUGREEN「NASync」シリーズを紹介しています。

これは気になる。UGREEN「NASync」シリーズがもうすぐファンディング開始:がじぇっとりっぷ
2ベイから6ベイまで。UGREEN「NASync DXP」シリーズが国内ファンディング中:がじぇっとりっぷ

現在ではファンディングは終了し、公式ストアおよびECサイトにて販売されています。

UGREEN NASync DXP2800 - 64TB大容量とRAID保護
Intel 4コアと8GBメモリ搭載、UGREEN 2ベイ NASは2.5GbE高速転送とリアルタイム監視で膨大なデータもスムーズにバックアップ。
UGREEN: NASYNC
Ugreen Nas

NAS分野では新興ながら、モバイル系ガジェットメーカーとしては実績のあるUGREENということで期待(とメーカーに対する信頼)も高く、注目を集めた製品となっています。

さすがにデビュー当初はアプリも少なく、ソフトウェア面も「今後に期待」な状況だったみたい(当時のレビュー記事による)ですが、登場から1年経ち、アップデートを重ねて安定性も増し、アプリストアのラインナップも増えています。

今回機会に恵まれて2ベイの「NASync DXP2800」をUGREEN様より提供いただけきたので、現時点(2025年6月時点)ではどの程度のものなのか、レビューしていきたいと思います。

長くなったので、2回に分けています。

【実機レビュー】UGREEN NASync DXP2800:割と柔軟に中級者も楽しめそうなNAS【実用&応用編】
UGREEN「NASync DXP2800」のレビューについて、全部一記事に入れるとちょっと長くなってしまったので、2記事に分けています。前回レビューではセットアップとスマホのバックアップまで見ていきました。後編となるこの記事では、面白かっ
当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。
機材を提供いただいたUGREEN様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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UGREEN NASync DXP2800

■ DXP2800
CPU Intel N100
メモリ 8GB DDR5-4800/最大16GB
ストレージ 32GB eMMC
3.5/2.5インチ×2ベイ
M.2 SSD×2スロット
インターフェース USB Type-C(Gen2)×1
USB 3.2 Gen2×1
USB 3.2 Gen1×1
USB 2.0×2
HDMI
2.5GbE 有線LAN
wi-fi なし
電源 12V/5A
サイズ 231.8×109.4×178.4mm
重さ 2.54kg

GoodPoint
筐体品質が高い
お手軽セットアップ&操作
USB多め
OS用のストレージ内蔵

BadPoint
LANが1ポート
デフォルトIDが弱い

Amazonプライムデー(7月11~14日)の期間中、公式ストアでも19%オフの45,263円となります。

外観

パッケージ

外箱は茶箱。
SDGsに配慮したエコパッケージかな?それにしても製品名すらないのか…なんて考えながら開けたら…

中に本当の箱が入っていました。
ちなみに茶箱は配送用の段ボールに入っていたので、実に三重構造。PCかと。…いや、ある意味PCか。

箱の裏側。

側面には中身とスペック表示。
多分これ、家電量販店でも販売する前提でデザインされていますね。

テープは改ざん防止シールが使われていました。

内容物
・本体
・電源アダプタ
・電源ケーブル
・LANケーブル(1m)
・取扱説明書
・保証書
・トレイキー×2
・ねじとドライバー

LANケーブルは先端のカバー付き。

カテゴリー7だと…!?
UGREENのロゴも入っていて…そういえばUGREENはLANケーブルも売ってましたね。そうか、自前かぁ…

電源アダプタは60W(12V/5A)出力。
PSEはユーグリーン・ジャパン名義で取得しています。こちらも自前ですね。

2.5インチ用のネジとドライバー、簡易鍵。

鍵はストレージベイのロックに使います。
単に回すだけなので、チャイルドロック程度の効果と考えましょう。

マニュアルと保証書。
保証は2年です。

さすが長く日本で活動しているだけあって、ちゃんと日本語フォントだし文章も問題ありません。
当たり前のようだけれど、この当たり前ができていないメーカーが多いわけで。NASなんて販売数で言えば他の製品よりずっと少ないだろうに、それでもきちっとしてくるあたり、ちゃんと日本市場にも力を入れているメーカーだということがよく分かります。

HDD

UGREENから、本体とは別にもう一つ荷物が届きまして。

WD RED Plus(4TB)が2台入っていました。
考えてみれば速度の出ない古いHDDとか使われても性能が正しく出ませんし、それはメーカーとしても困るわけで。
HDDについては事前に聞いていなかったので(実は自前でも用意していた)、個人的にはサプライズでした。

NASは24時間稼働が前提で常時電源が入りっぱなしとなるので、NAS向け、あるいはエンタープライズ向けのHDDを選択する必要があります。
デスクトップ向けの「WD Blue」や「Seagate BarraCuda」などは安価ですが、年間通電時間は2400時間程度(1日8時間・週5日程度)が目安で、振動検知センサー(NASでは隣り合うHDDからの振動の影響を受けるので、割と重要)も入っていません。
デスクトップ向けも技術向上で壊れにくくなったとはいえ、保証期間も短く、データ復旧サービスも付属しないなど、値段なりの差があるので、できればNAS向け以上を選ぶようにしましょう。

本体

本体は231.1×109.2×177.8mm。
正面は手のひらを広げた半分よりちょっと大きい程度で、ざっくりティッシュ箱3つ~4つ分の大きさです。

正面と背面。

背面インターフェース。
正面と合わせるとUSBは合計5ポートと、NASとしては異例なくらい、ポート数が多いです。

規格についても分かりやすいように書かれていますが、ここまでするのならLANポートにも”2.5G”と入れて欲しかったですね。

背面のダストメッシュはマグネット固定で簡単に外せます。

HDDトレーは簡単に引き抜けます。
RAID1時はホットスペア(電源を入れたままHDDを入れ替える)に対応します。

トレーの一部を広げることで、HDDを装着します。
外れる部品がないので、パーツを無くすというリスクが減るわけですが、手が込んでるなぁ…

3.5インチHDDを装着したところ。

2.5インチHDDは底面をねじ止めします。
また、側面の爪が干渉するので、外す必要があります。

そのまま押し込んでいけば、取り付け完了です。

HDDトレーを外した、NASの内部。
SATAボードはいい感じに肉抜きがされていて、エアフローを邪魔しません。

内部側面にM,2 SSDスロット
M.2 SSDはもともとホットスワップ非対応(電源オフ時にしか入れ替えができない)とはいえ、こんな位置にあるとは…

この位置だとねじ止めなんてできないので、SSDの端を抑え込む方式です。

底面にはメモリスロット。

メモリスロットの蓋は、内側のばねではね上げられるので、取り外しやすいです。
これ、地味な部分ですがこの手の蓋を持つデバイス全部に導入して欲しい…

メモリはSAMSUNG製でした。

今回ネットワークへの接続にはBuffalo「WXR-11000XE12」を使用。
10GbEを2ポートもっているので、Wi-fiルーターがボトルネックになることはありません。

【レビュー】 Buffalo WXR-11000XE12:6GHz帯に対応した、10GbE搭載トライバンドルーター
がじぇっとりっぷ宅では現在、Wi-fiルーターとしてBuffalo「WXR-5950AX12」を利用しています。このルーター、後継の「WXR-6000AX12」シリーズはAX12SとかAX12BとかAX12Pとか、細かく型番を変えながらちま

セットアップ

「NASync」シリーズはPCとスマホ、どちらからでもセットアップできます

PCからは同一ネットワーク上からURL: https://find.ugnas.comにアクセスすると、自動的にLAN内デバイスを検索します。
スマホからはGoogle PlayAppStoreでそれぞれスマホ・タブレット用アプリをダウンロードします。

参考 NASync シリーズの初心者向けガイド:UGREEN NAS

よそのレビューはスマホからのセットアップ解説が多く、PCからのセットアップが見当たらなかったので、あえてPC(ブラウザ)からセットアップをしてみます。

https://find.ugnas.comにアクセスすると、自動的に検索、デバイスを発見してきました。

「接続」をクリックしてセットアップ開始。

管理者アカウントとパスワードを登録。
ちなみにパスワードには6文字以上で大文字と小文字を含むという制限が設けられています。
デフォルトのデバイスIDは4桁なので、もうちょっと長めのIDにすることを推奨します(理由は後述)。

任意ですが、インターネット経由でのアクセス(リモートアクセス)を考えている場合はメールアドレスを登録。
タイミング的にローカル管理者アカウントとメアドの紐づけのようにも見えますが、説明の通りローカル管理者アカウントとは別の、UGREEN Cloudアカウントの登録となっています。

なので、次のステップでUGREEN Cloudアカウントのパスワード登録を求められます。

これで事前準備は完了、初期化に入ります。

初期化完了。

ログイン画面。

ファーストログインガイドが表示されて、これでセットアップ完了です。

ファーストログインガイドから流れるようにストレージセットアップがスタート。

手順の説明。
ストレージプールとは複数のディスクを束ねて、ひとつのストレージとして見せる、論理領域のこと。
ストレージ空間(ストレージスペース)はストレージプールから切り出した実際の利用領域、PCでいうパーティションみたいなものです。

ストレージプール作成画面。
ハードディスクを選択すると、各RAIDスタイルごとの容量も表示されます。
今回は転送速度の限界も見たいので、RAID0を選択。
RAID1であれば、片方ずつHDDを入れ替えて容量を拡張するなんてこともできます。

NASを障害に強いバックアップ先として使う場合、耐障害性のあるRAID1やRAID5/6(3ベイ以上の場合)で使うべきでしょう。

ファイルシステムはext4とBtrfsを選べます。
ext4はLinuxの標準的なファイルシステム。
Btrfsは2007年に登場したファイルシステムで、耐障害性や修復機能、スナップショット、容易な管理といった点に焦点が当てられています。
どちらを選んでも使い心地は変わりませんし、スナップショットについてはソフトウェアでも対応しています。

後はポンポンと進めて、ストレージのセットアップが完了です。

さらにチュートリアルが続きます。

確認しておいた方がいいのは、リモートアクセス(インターネット経由でのアクセス)について。
リモートアクセスに必要なURLが表示されています。

ここで気にして欲しいのが、このリモートアクセス用URL。
セットアップ時のデバイス名が使われているので、デフォルトのままだと実質4桁のIDでログイン画面にまでたどり着いてしまいます

パスワード認証もありますが、ログイン画面にたどり着かせないことがセキュリティの第一歩なので、長めのIDにすべきと述べたのは、これが理由です。
「NASync」シリーズは初心者向けを謳うNASでもあるので、この辺りはUGREEN側で調整した方がいいんじゃないかなぁ…

ちなみにIDは「コントロールパネル」→「デバイス接続」→「リモートアクセス」から変更できます。

以上でセットアップとチュートリアルは完了です。

なお「NASync」シリーズの場合、HDDは完全にデータ用で、システム領域は内蔵のストレージに置かれます。
「DXP2800」は32GB eMMCです。上位機種は128GB SSDとなります。

他社だと4~8GB程度と必要最低限な中、贅沢な仕様となっています。

PC用クライアント

UGREENではPC用のクライアントも用意されています

参考 ダウンロードセンター:UGREEN NAS

クライアントアプリを起動すると、ログイン画面。
「他の接続」をクリックすると、LAN内のデバイスを検索してくれます。
ブラウザからセットアップするより、こっちの方が分かりやすかったかも。

ログイン後の画面はブラウザ版と同じでした。

レビュー中にもアップデートが降ってきたので、登場から1年経った現在でも更新は活発なようです。

転送速度について

PCからのアクセスを簡単にするため、2点設定します。

「コントロールパネル」→「ファイルサービス」から、SMBサービスを有効にします。

続いて「詳細設定」からwsdd2サービスを有効にします(Windowsの場合)。

これでWindowsエクスプローラーのネットワークに表示されるようになりました。

NASのユーザーIDとパスワードを入力すれば、「共有フォルダ」にアクセスできるようになります。

なお、スマホアプリからも「コントロールパネル」→「ファイルサービス」から設定できます。
wsdd2サービスは、「検出サービス」配下ですね。
ただしスマホアプリでは最小限の項目しか設定できないので、詳細に設定したい場合はPCからとなります。

CrystalDiskMarkではフォルダから共有フォルダを選択。

速度はリード・ライトともに290MB/sオーバーなので、2.5GbEの限界まできっちり出ているとみてよさそうです。

消費電力について

アイドル時 15.0W
起動時(瞬間) 44.9W
稼働時(HDDのみ) 28.8W

「NASync DXP2800」の消費電力は、起動時こそ瞬間的に45W近くに達しますが、ほんの1~2秒の話で、その後は20W程度で起動シークエンスが進みます。
通常使用時は、2ベイ同時書き込み時(CPU使用率は40%程度)で最大29W程度
過去のIntel N100ミニPCレビューでの消費電力(瞬間最大23.8W)を見るに、CPU使用率40%+HDD2台の数字としては体感としても合っているかなと。

TDP6WのCPUだけあって、かなり低めに抑えられていますね。

Dockerや仮想マシンで常時稼働アプリ/サーバーを複数起動させたり、M.2 SSDを追加したりしても、運用中に40Wを超える場面はそうそう発生しないでしょう。

実際に使ってみた(スマホ編)

スマホで「UGREEN NAS」アプリを起動します。
セットアップは完了しているので、デバイスを選択してログインすれば、簡単なチュートリアルを経て利用できるようになります。

トップ画面は最低限ながら必要な情報はしっかり押さえられています。

Wi-fiを切断

スマホアプリは、Wi-fi時とインターネット経由時がシームレスに繋がります

Wi-fiを切ると、デバイスが切断され、接続失敗のアナウンス。
下の「接続」をタップするとインターネット経由での接続に切り替わり、Wi-fiのアイコンがないのに「デバイスの切断」の文字が消え、使えるようになりました。
この手軽さはちょっと驚きでした。

アプリと設定

「アプリセンター」を開くと、必須レベルのアプリのインストールを促されます。
少なくとも、上ふたつは入れておくべきでしょう。

アプリはユーティリティが18種類、メディアとシステム管理が4種類ずつの全26種類
他社に比べれば少ないものの、必要最低限というか、需要の高いところは押さえているので、9割くらいの層はカバーできているんじゃないかな。

一部アプリはPC(ブラウザ)オンリーとなっています。

個人的にすごいなと思ったのが「タスクマネージャー」
CPU使用率やストレージの現在の転送状況だけでなく、各アプリの状況(プロセスマネージャ)まで見ることができるとは思いませんでした

写真をバックアップしてみる

「写真」アプリを起動。
この時、「すべて許可」を選択しないと画像データにアクセスできないので注意
がじぇっとりっぷは思いっきりハマリました。

左が「制限付きアクセス許可」にした場合、右が「すべて許可」にした場合。
左の状態だと”戻る”以外のアクションが取れません。権限によるものと気付くまでしばらくかかったので、ここは何かしら改善が欲しいポイントです。

「写真」アプリからの手動でもいいのですが、「同期とバックアップ」アプリで一気にバックアップします。

バックアップ実行中。
「写真」アプリに戻ると、画像データがバックアップできていることが確認できます。

「写真」アプリのアルバムには複数の分類が用意されています。
ツールボックス→設定→スマート設定 で、人物識別やペット識別などのプラグインを導入することで分類できるようになります

文字認識で試したところ、消費電力も特に増えず、「接続がタイムアウトしました」と表示されることもあったので、プラグインによってはサーバーサイド処理(UGREENのサーバー側で処理して、アプリ側に結果を表示する)となっているようです。

次は写真の共有について。

「写真」アプリまたは「ファイル」アプリでファイルを選択し、共有を選べば共有のためのリンクまたはQRコードが発行され、UGREEN NAS専用ドメインのug.link配下に画像共有ページが作成されます。
URLを配れば手軽に共有できるのは便利ですね。

QRコードはこんな感じの画像として保存されます。
友人との旅行中などに共有するなら、QRコードを画面に表示、読み込んでもらった方が早いかも。

まとめ

冒頭でも書いたように、UGREENはNAS分野では新参者です。
アプリの数こそまだ少ないものの、基本というかよく使われそうなところは抑えていますし、セットアップもアプリの導入も戸惑うことなく進められ、思った以上に完成度が高いなぁという印象です。

スマホアプリの完成度も高く、写真や動画の管理と共有程度であれば、スマホで完結できるのもいいですね。

「NASync DXP2800」の価格は55,800円。プライムデーセールでは19%オフの45,263円となります。

最近は各NASメーカーが企業向けに集中するようになり、個人向け機種の相場が高騰する中、数年前の相場価格というのはある意味驚異的です。
アップデートも頻繁に行われていますし、「初めてのNAS」に選んでも失敗はなさそうです。

【実用&応用編】では「DXP2800」のアプリから気になったものをピックアップしたり、外付けLANやスマートプラグを使った応用的な利用法を紹介しています。

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