UGREEN「NASync DXP2800」のレビューについて、全部一記事に入れるとちょっと長くなってしまったので、2記事に分けています。
前回レビューではセットアップとスマホのバックアップまで見ていきました。

後編となるこの記事では、面白かったアプリや実用・応用的な使い方を考えていきます。
「NASync」シリーズ自体は公式ストアおよびECサイトにて販売されています。

機材を提供いただいたUGREEN様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
UGREEN NASync DXP2800

■ DXP2800 | |
CPU | Intel N100 |
---|---|
メモリ | 8GB DDR5-4800/最大16GB |
ストレージ | 32GB eMMC 3.5/2.5インチ×2ベイ M.2 SSD×2スロット |
インターフェース | USB Type-C(Gen2)×1 USB 3.2 Gen2×1 USB 3.2 Gen1×1 USB 2.0×2 HDMI 2.5GbE 有線LAN |
wi-fi | なし |
電源 | 12V/5A |
サイズ | 231.8×109.4×178.4mm |
重さ | 2.54kg |
バックアップ&同期(PC)
スマホアプリだと同期がなく、バックアップのみでしたが、PCからは同期とバックアップの両方ができるようになっています。
スマホだとストレージ容量を開けることがメインの使い方になるので同期よりバックアップが望ましいことや、初心者だと同期・バックアップの使い分けを間違える可能性があるなどの理由なのでしょうが、こういう割り切り方は好ましいですね。
PC内のデータを同期するのは、ブラウザからはできず、クライアントアプリが必要となります。
上の画像はブラウザから見たときの表示です。
ブラウザから「同期とバックアップ」アプリを起動します。
上で設定したスマホの同期がオンラインと表示されていますね。
同期タスクを作成していきます。
フォルダを選択し、同期方向を決めます。
同期方向が決められるのって、地味にいいですね。
同期タイミングもリアルと手動が選べます。
同期開始。
同期&バックアップの接続情報にPCが加わりました。
同期とは別に、バックアップタスクも用意されています。
バックアップするファイルのフィルタリングもできます。
バックアップ中…
とにかく、同期もバックアップも直感的にできるので、ライトユーザーでも戸惑うことはなさそうです。
便利な使い方・応用編
インターネット経由でアクセス
UGREEN NASyncシリーズにはUGREENlinkという、外部アクセスサービスが用意されています。
このサービスを利用することで、独自ドメインやDDNSへの登録なしに、「NASync」デバイスへアクセスすることができます。
「コントロールパネル」→「デバイス接続」→「リモートアクセス」でUGREENlink経由でのアクセス用の短縮URLが表示されています。
このURLを入力することで、デバイスごとに割り振られたURLでNASにアクセスすることができます。
なお、PCクライアントだとスマホアプリと同様、意識することなくシームレスに移行します。
そのため、ファイルのアップロード・ダウンロードはできますが、UGREENlinkを利用してネットワークストレージとしてマウントしたり、NAS上のファイルを編集するということはできません。
ドキュメント編集
「NASync」のアプリセンターには、「オンラインドキュメント」というものがあります。
Google DriveのNAS版で、ブラウザ上で編集します(スマホアプリやPCのクライアントアプリ上では開けません)。
中身はラトビアの企業Ascensio System SIAが開発しているOSS(オープンソースソフトウェア)のONLYOFFICEです。
参考 ONLYOFFICE – ビジネス向けオンライン オフィス アプリケーション:ONLYOFFICE
Google Driveほどに何でもありというわけではなく、ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォームの4種類。
ドキュメントは、普通にWordっぽい。
エクスポート形式にPDFやODT(OpenOffice形式)など、複数の形式を選ぶことができます。
スプレッドシートは400以上の関数や数式をサポート。グラフも書けます。
ちなみにODT(OpenOffice形式)のスプレッドシートも開くことができました。
実体を持ったファイルで保存されるので、他のアプリでも編集可能(他のアプリで編集しても同期はされません)。
ONLYOFFICEでは2024年6月にあらたにPDFエディタをリリースしているので、そのうち「NASync」アプリもアップデートで対応するかもしれませんね。
使うときだけ起動する
上で見たように、「DXP2800」はアイドル時の消費電力で15W程度となります。
常時15Wを消費すると、一か月あたり10kWh(≒300円程度)。アクセスがない月でも固定費としてかかるので、決して安くはない費用です。
そこで、使うときだけ起動する方法を考えてみます。
使うのは、停電自動復帰機能。
コントロールパネルで停電自動復帰にチェックを入れます。
そしてNASをこういったスマートプラグに接続します。
こうすれば、スマートプラグをオフ→オンすることで停電復帰機能が働き、起動します。
従来の手法としてWake on LANを使う手もありますが、設定が結構大変です。
スマートプラグであれば初心者でも設定できるうえ、大体の製品はネット対応なので、外出先からでもスマホから起動させることができるというメリットがあります。
外付けLANを使う
「DXP2800」はLANポートが一つしかありません。
つまり、ネットワーク回りに不具合が発生すれば、一発で通信ができなくなります。
そこで、外付けでLANポートを増やせるか、確認しておきます。
使うのは以前にレビューしたBenQ「GR10」。USB4に対応し、値段もお高めですが2.5GbEを内蔵したドッキングステーションです。

端子がType-Cなので、前面に接続。
LANの接続を本体のポートから「GR10」に変更しましたが、何の設定もすることなく、認識しました。
「GR10」が大丈夫なら、世に出回っているUSB LANの大半はそのまま使えると思います。
これで本体のLANポートが故障しても安心ですね。
まぁ経験として、電源回りかコンデンサがダメになる方が先だとは思いますが…
Obsidianを同期する(その1)
がじぇっとりっぷは最近、エディターをMeryからObsidianに乗り換えました。
Obsidianは複数デバイスでの同期機能を持ち、公式のSync(有料)のほか、iCloudや自前でホストするなど、複数の手段が用意されています。

というわけで、「NASync DXP2800」でもできる同期方法を試してみます。使うのはWebDAVです。
「コントロールパネル」→「ファイルサービス」→「WebDAV」で機能をオンにします。
「詳細設定」でHTTPをオンに。証明書が入っていないので、HTTPSだとうまくいきませんでした。
共有フォルダ直下のアクセスは弾かれるので、「ファイル」アプリで共有フォルダの下に適当なフォルダを作っておきます。今回はDXP2800という名称のフォルダにしています。
ブラウザからアクセスできることを確認。
ObsidianにはRemotely Saveプラグインを導入し、以下を設定。
サーバーアドレス:http://192.168.1.xxx:5005/DXP2800/ ※各環境に合わせる
ユーザー・パスワード:NASのユーザーとパスワード
Schedule For AUTO RUN: every 5 minute (何分でもOK)
「Check Connectivity」のCheckボタンを押して、接続できているか確認します。
しばらくすると、同期ファイルが生成されました。
今回はPCで確認していますが、スマホやタブレットのObsidianアプリも同じ設定で同期が可能です。
がじぇっとりっぷの環境では、ルーターのルーティングを設定すればIP直打ちでインターネット上からも同期できることを確認しましたが、上記の理由から実用上はローカル内でのみの使用にとどめた方がいいでしょう。
Obsidianを同期する(その2)
その1ではObsidianの機能を使いましたが、「NASync」ならもっと手っ取り早い方法があります。
Obsidianの機能ではなく、上で説明した同期機能を利用する方法です。
Obsidianのデータはすべて一つのフォルダ内に置かれているので、そのフォルダを同期すれば、PC限定ではありますが、インターネット越しでも同期できるようになります。
まとめ
いくつか使い方を挙げてみましたが、うまく噛み合えば結構いろいろできそうだなというのが「DXP2800」の印象です。
アプリストアでは「オンラインドキュメント」があるとは思っていなかったので、これは個人的に高得点でした。
それでいてDockerや仮想マシンにも対応していてディープな使い方もできるので、初心者だけでなく中級者もカバーできています。上級者?彼らはラックサーバーを買うから…
今回はしませんでしたが、中身的にはIntel N100 PCなので、UbuntuなどにOSを入れ替えることもできます。
「NASync DXP2800」の価格は55,800円。プライムデーセールでは19%オフの45,263円となります。
NASとしても安価ですし、デザインの優れたIntel N100/2+2ベイミニPCとして扱うこともできる、ガジェット好きにも刺さりそうなデバイスと言えそうです。
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