【実機レビュー】WD_BLACK SN7100:迷ったらこれ。書き込みも強い新定番Gen4 SSD

レビュー

WD(Western Digital)は、言わずと知れたストレージの老舗メーカーです。
WDはストレージのクラスを、フラグシップはBlack、NAS向けはRed、エンタープライズ向けはGoldといった具合に、色で分けています。

がじぇっとりっぷでも以前にGen4 SSDフラグシップモデルの「WD_BLACK SN850X」や一般モデルの「WD Blue SN5000」をレビューしています。

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今回レビューする「WD_BLACK SN7100」は2025年3月に発売された製品で、「WD_BLACK SN770」(当ブログでは未レビュー)の後継に当たります。
「WD_BLACK SN850X」の(多分)後継が「WD_BLACK SN8100」としてGen5 SSDになったので、「SN7100」が事実上Gen4 SSDの最上位となります。

当レビューは自腹購入です。
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スペック

■ WD_BLACK SN7100
容量 500GB~4TB
接続 PCIe Gen 4.0 x4
NVMe 2.0c
読込速度 4TB:7,000MB/s
1/2TB:7,250MB/s
500GB:6,800MB/s
書込速度 4TB:6,700MB/s
1/2TB:6,900MB/s
500GB:5,800MB/s
NAND WD TLC NAND
キャッシュメモリ なし
耐久性 4TB:2400TBW
2TB:1200TBW
1TB:600TBW
500GB:300TBW
保証 5年

本体外観

パッケージデザインはWD_BLACKシリーズ共通の、黒を基調とした、ゲーミングっぽい雰囲気。
箱の裏側からは中身をチラ見せしています。

中のスリーブはプラ製で、ねじはなし。
WDは説明書(正しくはサポートと保証について)が分厚いです。

本体。
NANDはSamsung「990 EVO Plus」と同じような2チップ構成となっています。
裏面はラベルだけの片面実装です。
WDのSSD事業はSanDiskに移管したため、ロゴはWestern Digitalではなく、SanDiskになっています

ちなみに2TB以下のモデルは1チップ構成で、シールはNAND上ではなく基板に貼られます。

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斜め方向から。

シールを剥がしたところ。

シールを剥がす行為は製品保証が無効となる可能性が高いです。安易にまねをしないでください。

コントローラーはSanDisk A101-000171-A1
SanDiskはフラッシュメモリー大手でしたが、2015年にWDが買収しています。

コントローラーのコードネームはPolaris 3とされていますが、WD(SanDisk)は詳細仕様を公開していないため、内部については不明です。

NANDは「SanDisk 028407 2T00」の文字。CHINAとありますが、最終パッケージングが行われた工場と思われます。
中身はKIOXIA製の218層 3D TLC NAND(BiCS8)です。
WD(SanDisk)はNAND製造を行う四日市工場などをKIOXIA(旧東芝)との共同出資で運営しています。

参考 BiCS FLASH™ 第8世代適用新技術の紹介:KIOXIA

チェック環境

検証はMINISFORUM「BD790i」と、システムとしてWD「SN850X(5TB)」を使用。
上がシステムSSD、下がレビューSSDです。

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CrystalDiskInfoの情報です。規格容量は4000.7GB
接続はGen4 x4、規格はNVMe 2.0。

NAND的には2048GBのはずですが、48GBは予備領域に割り当てられているのでしょう。

フォーマット後の容量は3726.01GB。

NVMeのバージョンは転送速度とはあまり関係がなく、そもそもが通信プロトコルの規格名です。なので、バージョンによって使えるコマンドセットや機能に差があります。
ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…

管理アプリ

WDは大手だけあって、管理アプリもきっちり用意されています。

ソフトウェアのダウンロード:SanDisk

ゲームモードのオンオフはちょっと簡素すぎでは?

ベンチマーク

ベンチマークはヒートシンクのない状態で計測しています。
また、AMD環境の特徴として、ランダム4K Q1T1のリードがIntel環境に比べて低く出る傾向があります。

CrystalDiskMark

CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。

シーケンシャルでリード7,288MB/s、ライト6,945MB/sを記録。リード・ライトともに仕様(7,000MB/s、6,700MB/s)を上回っています。
…2TBならほぼ仕様通りと言えるんですけど、本当に4TBだよね?

64GiB時ではリード・ライトはともにやや落ち込んだものの、それでも仕様を上回る速度を維持しています。

4Kランダムのリードレイテンシ(1GiB時)は48.42μs。Gen4 SSDではだいたいが55μs前後だったので、50μs切りはかなり高速です。

この辺りはCPU直結スロットを使うとか遅延要素を徹底的に排除しないと実力が見えないところなので、モバイル向けCPUでの測定だとこの辺りが限界です。

アロケーションユニットサイズをデフォルトの4KBから128KBに増やすと、Ryzen環境でも4Kランダムで100MB/sを超えると聞いて実験。
セキュアイレイズをかけたうえで、128KBでフォーマットし直して計測したところ…

確かに100MB/sを超えました。

リードレイテンシも40.54μsまで短縮。かなり効果がありますね。

なお、あとで試したところ、セキュアイレイズをかけなくても、クイックフォーマットだけでも効果がありました。

AS SSD Benchmark

AS SSD Benchmarkでは総合9475ポイントと、高スコア。
4K/64スレッドのライト速度が主な要因ですが…ずいぶんと速いです。

h2testw

h2testwは、2.6GB/sでスタート。Gen4 SSDとしてはかなり高速(多くの場合は2.1~2.3GB/s)です。

1TBを過ぎたあたりで負荷が少し上昇。
転送速度はいまだ2.4GB/sと高速です。

1.3~1.4TB付近で負荷が85%に達するとともに書き込み速度も500MB/sを切るように。
SLCキャッシュの枯渇によるものと考えられますが…全容量の(多分)1/3(1.33TB)をキャッシュに割り当てていたと考えると、結構豪快ですね。

その後は負荷が60~90%のノコギリ状に、速度も100MB~1.9GB/s台のノコギリ状となっています。

最後までギザギザのまま、フィニッシュ

トータルでは、書き込みは平均0.99GB/s、読み込みは平均1.48GB/sでした。
最終的な平均速度は平凡気味ですが、いっぺんに1TB以上を連続書き込みしなければ書き込み速度は2GB/s以上となるので、普通に優秀ですね。

ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
リードは64KBから、ライトは1Mからピーク速度に。48MBと64MBのリードの落ち込みが気になるところ。

HD Tune Pro

HD Tune Proでは読み込みは全域ほぼフラットで、平均1,915MB/s
アクセスタイムはややばらついていますが、おおよそ0.05ms以下に納まっています。

ライトも全域フラット。速度も平均2,630MB/sと優秀です。

その他の計測結果。
Extra Read testsの8MB以下だけ落ち込んでいますが、他はおおむねフラットで、アクセスタイムも低くまとまっています。

3DMark Storage Benchmark

3DMarkは3094ポイント
がじぇっとりっぷの過去レビューで3000ポイントを超えているのはKIOXIA「EXCERIA PLUS G4(2TB)」だけ。
Gen4 SSDでは初です。

ファイル転送(書き込み)

ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。

10GB(1GB×10)のファイル:2.451秒 (4177.887 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:39.072秒 (3405.161 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:299.804秒 (3415.565 MB/s)

ファイル転送(書き込み)はとんでもない結果に。10GBは4,000MB/sオーバーで、過去レビューでは断トツ(次点が「SN850X」の3,700MB/s)。
100GBは平凡ですが、問題は1TB。転送書き込みが300秒切り、平均3,415MB/sです。「SN850X」やYMTC系SSDですら2,400MB/sだったので、圧倒的です。

温度について

温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
どちらも3種類の温度センサーが見えていますが、うち二つは同じ温度を指しているので実質2種類です。

HWiNFOによると、警告温度は90度、臨界温度は94度。

ファンの風が当たっている状態だと、コントローラーの温度は最大でも68度。全く問題のない温度で、とても扱いやすそうです。

問題は、無風の場合。

センサー上では最大107度に達します

サーモグラフィーで見ると風が当たっていれば最大64度前後。

ファンの風を遮った無風状態だと、97度を超えました。
逆に言えば実測で100度を超えるようなことはなかったということで。

実測値で104度近くに達したSamsung「990 EVO Plus」と比べても、SSD的に安全な温度範囲で運用できているとも言えます。

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まとめ

「WD_BLACK SN7100(4TB)」は、キャッシュ切れ後の速度こそ平凡なものの、全容量の1/3までキャッシュを効かせることで、連続1.33TBまで高速書き込みを維持できる、優秀なSSDです。
多少でもエアフローがあればヒートシンクレスでも問題なく運用できる程度の発熱なので、耐久面でも問題なさそう。

中華SSDと違って信頼性も高く、管理アプリや5年保証など、サポートもしっかりしています。

価格は2TBで2.2万円前後、4TBで4.6万円台。セール時には4TBモデルは4万円切りまで下がることもあります。
最近の中華系TLC NAND SSDの相場は2TBで1.6万円前後、4TBは安くて3.4万円前後(おおむね3.5万円前後)なので、以前と比べて差は小さくなっています。

メインストレージで迷ったら「SN7100」を買っておけば間違いはないでしょう。

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