がじぇっとりっぷでは2025年の終わりにM.2 SSD専用NAS「F4 SSD」をレビューしました。

M.2 SSD専用ということで非常にコンパクトなシステムでしたが、NASの本流と言えばHDDによる大容量外部ストレージでしょう。
というわけで、6月23日に発売したばかりの4+3ベイNAS「F4-425 Pro」をレビューします。
当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いていきます。
機材を提供いただいたTERRAMASTER様には、この場をお借りして御礼申し上げます。
TerraMaster F4-425 Pro

| ■ F4-425 Pro | |
| CPU | Intel Core 3 N350 |
|---|---|
| メモリ | 16GB DDR5-4800 |
| ストレージ | 3.5インチ×4ベイ M.2 SSD×3スロット |
| インターフェース | USB Type-C(Gen2)×1 USB 3.2 Gen2×3 HDMI 5GbE 有線LAN×2 |
| wi-fi | なし |
| 電源 | 90W |
| サイズ | 150×181×219mm |
GoodPoint
✔ 変わらない高品質筐体
✔ AIネイティブになったTOS 7
✔ 4+3ベイで最大152TB
BadPoint
✖ 10GbEは非対応
使ってみた
転送速度について
NASでまず気になるのは実測の転送速度だと思うので、まずはそこから。
「F4-425 Pro」は5GbE×2を持っています。
今回は機材の都合上、シングルポートで検証。WXR-11000XE12の10GbEポートを経由して、10GbEを持ったPCから計測します。
まずはHDD3台でTRAID(TerraMaster同時のRAID形式)を組んだ場合。

ファイルサイズ1GiBでは、シーケンシャルは5GbEのほぼ限界となる580MB/sオーバー、ランダムライトも20MB/sを超えています。
明らかにHDDの速度じゃないので、書き込みはメモリで受け止めた速度でしょう。
次に、メモリ容量を超える32GiBで計測した場合。

なぜか書き込みはそれほど落ち込まずに、ランダム読み込みが低くなる結果に。ちょっと意外でした。
…え、書き込みって素でこの速度なの…?
次にSSDキャッシュを効かせた場合。

ファイルサイズ1GbEではシーケンシャルの多並列書き込みが早くなったくらいで、他はHDDのみと変わらない程度。
最後に、SSDキャッシュ+32GiB。

HDDのみのパターンと比べれば明らかですが、全く速度が落ちていません。

アプリから見ると、きっちりSSDキャッシュで受け止めています(画像左)。
SSDキャッシュから遅れてHDDに書き込みされている様子も確認できます(画像右)。
TOS 7について

TerraMasterは2011年から、TOS(TerraMaster OS)と名付けたOSを、NAS OSとして使い続けています。
2025年12月15日に第7世代となるTOS 7のパブリックベータを公開、カーネルにLinux 6.12を採用し、UIデザインにもかなり手を入れました。
ISOファイルのマウント機能、ポート単位の帯域制限機能、ストレージ管理の可視化、Ubuntu公式リポジトリの統合など、細かいところにも手を加えられています。

アプリではOnlyOfficeをベースとしたOnline Officeの導入が気になるところ。
Word、Excel、PowerPointファイルをオンライン上で編集でき、複数人での同時編集もできるアプリです。
オンラインでのドキュメント編集は他社では早くから取り入れられていましたが、ようやくTerraMasterも追いつきました。
個人的に気になるアップデートが盛りだくさんですが、その中でも目玉となるのはOpenClawのネイティブ対応でしょう。
パブリックベータ版の時は「オールインワンのプライベートクラウド基盤」で、AIなんて一言も言及していなかったのが、正式版では「世界初のAIネイティブNAS OS」が謳い文句となっています。
常時起動のNASは、エージェント系のAIを使うにはちょうどいいデバイスですし、余剰リソースが多いのもエージェント系AIは都合がいいので、相性はかなりいいんですよね。
OpenClawについて
「F4-425 Pro」の売りの一つが、上で書いたように「AIネイティブ」なことです。
カーネルレベルからOpenClaw AIを統合して構築しており、自然言語でシステムを操作できるとのこと。
ChatGPTやGeminiといったAIにPCの操作権限を渡すことで「指示を出しておけばAIが自分のパソコンを操作してくれる」というものです。
例えばメールアプリにアクセスしてメールを整理したり(指示次第では返信の下書きまで!)、ブラウザを操作・サイトを巡回してトピックスをまとめたり、売り上げデータをExcelで集計してグラフ付きレポートを作るなど、アプリをまたいだ動作ができます。


スマホアプリもブラウザUIも目立つ位置にアイコンが置かれています。


モデルテンプレートは多分ほとんどのサービスに対応しているので、自分が契約しているサービスを探してAPIキーの入力と使うモデルを選びます。

あとはチャット画面で指示するだけ。
“Check System Health”の指示はアプリ領域外にアクセスしていることが分かりやすいですね。

スマホ画面だと狭くて見づらいので、ブラウザからの方が良さそう。
何気にスマホとPC(ブラウザ)でセッションを共有できるのがいいですね。
OSについて

「F4-425 Pro」はターミナルが使えるので確認したところ、Ubuntu 22.04をベースとしていることが分かりました。
カーネルが6.12なのもTOS 7の説明通りですね。

HDDのSATAコントローラはSATA×2のASMedia ASM1062、5GbEはRealtek RTL8126が使われています、
「F4-425 Pro」のCPUはIntel Core 3 N350。Intel N150と同じ世代の8コア8スレッドCPUです。
Intel N150と同じということで、PCIeレーンはGen3×9レーンしかありません。さらに、うち2レーンはSATAと排他関係のようです。
というわけで、PCIeの内訳は
・M.2 SSD(Gen3 x1接続)が3スロット
・SATAが2レーン
・ASM1062が2レーン(Gen2 x2接続)
・RTL8126(Gen3 x1接続)が合わせて2レーン
となり、デュアル5GbEが搭載できる限界だったことが分かります。
消費電力について

| アイドル時 | 24.1/30.2W |
|---|---|
| 起動時(瞬間) | 83.0W |
| 稼働時(HDD) | 50.3W |
| 稼働時(SSDキャッシュ) | 62.0W |
「F4-425 Pro」の消費電力は、HDD×4台+M.2 SSD×1枚を搭載した状態で、アイドル時がほぼ24W。HDD稼働状態で30Wちょい。
起動時は4台分のスピンアップがあるので瞬間的に83Wに達しましたが、それもほんの2秒程度で、その後は30W台で推移しています。
WD Red Plus×3台によるTRAIDへの書き込みでは50Wを超える場面もありました。
HDD×4台(1台はホットスペア)にM.2 SSD×1枚をSSDキャッシュとした場合、瞬間的に60W近くに達することも。
SSDキャッシュでいったん受け止めての遅延書き込みとなるので、書き込み中でも30W台半ば~50W台後半と、ばらつきが大きいです。
ちなみに消費電力を平均30Wとしても、電気代は月650円弱(東京電力の29.80円/kWhで計算)となります。
外観
パッケージ

外箱は黒の化粧箱。
“ちょっとお高めの家電”感があります。

・電源ケーブル
・LANケーブル(1m)
・HDDシール
・取扱説明書
・保証書
・ゴム足×2
・ねじ
本体がでかいので、本体以外の内容物で。

LANケーブルはCat6ケーブルが入っていました。
デュアルLANですが、一本だけです。
実際問題、慣れた人なら設置環境に合わせた長さのケーブルを用意するでしょうし、付属ケーブルを使うような層はリンクアグリケーションとか使わないと思うので、一本で十分なんですよね。


電源アダプタは90W(12V/7.5A)出力。
そういえば「F4 SSD」はケーブルタイがTERRAMASTERのロゴ入りでしたが、普通のビニールタイに戻っていますね。

エンジニアが喜ぶやつ。
実運用だと管理番号とか交換日時が書かれてそう。

2.5インチ用のネジとゴム足。
予備のゴム足が入っているのは珍しいです。

マニュアルと保証書。

マニュアルは、フォントはほぼ合っているのですが、日本語として変。
本体

本体はアルミ色そのままの外装と、マットブラックなプラスチック部分の組み合わせ。
過去製品に比べて側面ロゴの主張が小さくなっています。


正面と背面。
インターフェースを縦に置くことで、ファンサイズを最大化しています。
「F4-425 Pro」では高さ150mm(ゴム足込み。ゴム足抜きだと実測で144mm)の中に120mmファンが組み込まれています。

文字が横になるのでちょっと見づらいですが、デュアル5GbEです。
USBはType-Cやフロント含めてすべてUSB3.2 Gen2(10Gbps)と、結構豪華。

底面には吸気スリット。

底面のネジを外すと、中が引っこ抜けます。

TerraMaster伝統の、筒形アルミ外装。

インターフェースの並びから分かるように、メインボードは側面に配置。

ボード上にはM.2 SSDが3スロット。

TerraMaster印の16GBメモリが使われていました。
HDD

HDDはWD RED Plus(4TB)を3台にWD Blue(6TB)を1台の計4台。本来ならWD RED Plus×4台が理想なのですが、手元にないので数合わせです。
デスクトップ向けの「WD Blue」や「Seagate BarraCuda」などは安価ですが、年間通電時間は2400時間程度(1日8時間・週5日程度)が目安で、振動検知センサー(NASでは隣り合うHDDからの振動の影響を受けるので、割と重要)も入っていません。
デスクトップ向けも技術向上で壊れにくくなったとはいえ、保証期間も短く、データ復旧サービスも付属しないなど、値段なりの差があるので、できればNAS向け以上を選ぶようにしましょう。

HDDトレーはてこの原理で接続を外し、引き抜くことができます。
ホットスペア(電源を入れたままHDDを入れ替える)に対応しています。


トレーの左右パーツを外して装着します。

HDDトレーを外した、NASの内部。
SATAボードは下半分だけで、上半分は強度の高い金属フレームを使って細く仕上げています。
エアフローを邪魔しないという点では、これ以上は厳しいってくらいにまでやっていますね。
ちなみにファンは25mm厚。低回転でも風量が稼げるので、かなり静かです。
セットアップ
「F4-425 Pro」はPCとスマホ、どちらからでもセットアップできるようになっています。

が、レビュー当時はスマホアプリがTOS 7に対応していなかったため、今回はブラウザからのセットアップを行いました。

なお、6月18日のアップデート(v3.5)でスマホアプリもTOS 7に対応しました。

ブラウザからNASにアクセス。
IPについてはスマホアプリ、または「TNAS PC」というアプリから調べることができます。
「TNAS PC」はNASのIPアドレスの変更やWake on LAN(リモート起動、NAS側の設定が必要)を行えます。
参考 ダウンロードセンター:TerraMaster

システムを入れるHDDを選択。
3台あっても選択できるのは最大2台までです。
システム領域についてはNASのUI上からは見えず、ユーザーが意識しなくて済むようになっています。

システムをインストール。

インストールが完了し、次はセットアップです。

といってもデバイス名とスーパーユーザー(管理者アカウント)、メールアドレスを設定するだけ。

さくっと終わって、簡単なチュートリアルが始まります。

それもすぐに終わってセットアップ完了です。
全く迷う要素はなく、初心者でも悩むことはないでしょう。

サイドバーからダッシュボードを見ることができます。

ストレージは何も設定してなかったものの、自動でTRAIDの構築が始まっています。
こだわるユーザーにはあとから変更できる余地を残しつつ、極力裏を見せないスタイルですね。

4TB×3台で約15時間かかりました。

特に設定もなしにWindowsからアクセス可能。


コントロールパネルやアプリセンターなど。
アプリセンターは起動時に「アプリの入れすぎ注意」のアナウンスが出ます。
HDDを追加する
3台でTRAIDを組んだので、4台体制にしてみます。

追加ストレージをどう扱うかの確認が表示されました。
スマホアプリについて
上でも書きましたがスマホアプリ「TNAS Mobile」は、6月18日にTOS 7に対応したv3.5がリリースされました。


OpenClawに目が行きがちですが、何気にアプリセンターが追加されています。


基本機能についてはブラウザとほぼ同じことができるようになりました。

まだちょっと完全には対応しきれていないっぽい。
まとめ
「F4-425 Pro」の価格はAmazonで129,990円。公式ストアでは879.99ドルです。
発売記念セールでAmazonは20%オフの103,992円、公式ストアでは25%オフの659.99ドルとなっています。
定価だと147円/ドル、セール価格でも157円/ドルなので、何気にAmazon価格が安いです。
また、「F4-425 Pro」にはCPUがIntel N305、メモリが8GBとなる下位モデルもあり、こちらはAmazonが109,990円(セール価格87,992円)、公式ストアが769.99ドル(セール価格577.49ドル)となっています。
Intel N350+メモリ16GBで4+3ベイ構成でデュアル5GbEというミドルクラス構成で10万円ちょいは、TerraMasterらしいコスパの高さが伺えます。
欲を言えばPCIeレーン数の多いCPUを使って10GbE対応にして欲しかったところですが…そうなるとミドルの域を超えちゃうかな。
NASとエージェントAIの相性がいいとはいえ、ベータ版にはなかったOpenClawを突貫工事で導入したのはやはり驚きです。
ただ、OpenClawはファイルやコマンドの操作ができるという仕組み上、悪意ある攻撃者から狙われやすいアプリでもあるので、使用には十分以上の注意が必要です。
OpenClawを除いても、NAS OSとしての堅牢性と、Ubuntuベースに由来する自由度を兼ね備えているというのは、結構面白いなぁと。
初心者でも十分に使いこなせる作りですが、どちらかと言えばエンジニアの方が楽しめそうなNASですね。


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