がじぇっとりっぷでは一年ほど前にUGREEN「NASync DXP2800」をレビューしました。

UGREENはNASメーカーとしては新参ながら、思った以上に完成度が高く、スマホアプリも使いやすいものでした。
その「NASync」シリーズから2026年モデルとして「DXP GT」シリーズが登場。使いやすさはそのままにCPUが強化され、ミドルクラスながら10GbEで接続できる製品が加わりました。
今回4+2ベイの「NASync DXP4800 GT」をレビューさせてもらえることになったので、見ていきたいと思います。
当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いていきます。
機材を提供いただいたUGREEN様には、この場をお借りして御礼申し上げます。
UGREEN NASync DXP4800 GT

| ■ DXP4800 GT | |
| CPU | Ryzen Embedded R2514 |
|---|---|
| メモリ | 8GB DDR4-3200 |
| ストレージ | 64GB eMMC 3.5インチ×4ベイ M.2 SSD×2スロット |
| インターフェース | USB Type-C(Gen2)×1 USB 3.2 Gen2×2 USB 2.0×2 HDMI 10GbE 有線LAN×2 SDXCカードリーダー |
| wi-fi | なし |
| 電源 | 150.1W |
| サイズ | 257.5×178×178mm |
GoodPoint
✔ 筐体がかっこいい
✔ お手軽セットアップ&操作
✔ デュアル10GbE
BadPoint
✖ 消費電力はやや大きめ
クーポンコード:TRIPGT06
対象機種:DXP4800 GT(公式ストアおよびAmazon)、DXP2800 GT(公式ストア)
クーポンコード:TRIPGT061
対象機種:DXP2800 GT(Amazon)
※Amazonのリンクは記事最後に掲載
Ryzen Embedded R2514って?
「DXP4800 GT」のCPUにはRyzen Embedded R2514というものが使われています。
聴きなれない型番ですが、Embeddedとは「埋め込まれた、組み込まれた」という意味があり、要は産業機器向けの組み込みタイプのCPUということです。
R2514の仕様はZen+アーキテクチャの4コア8スレッド、動作周波数は2.1~3.7GHz、TDPは15Wなどで、スペック的にはRyzen 5 3500Uとほぼ同等。
全コアでのターボ周波数は2.5GHzと低く(Ryzen 5 3500Uは3.0GHz)、代わりにメモリはDDR4-2666まで(同DDR-2400まで)とやや高速化しています。
要は高稼働高発熱な瞬発力より低温長寿命な安定性を重視したCPUということです。
また大きく違う点としてはPCIe Gen3が16レーン(同12レーン)と多くなっていることが挙げられます。
使ってみた
転送速度について
NASでまず気になるのは実測の転送速度だと思うので、まずはそこから。
「DXP4800 GT」は10GbE×2を持っています。
とはいえ束ねて20GbEというのは難易度が高いので、10GbEで接続します。
まずはHDD3台でRAID5を組んだ場合。

なんだか普通に10GbEの限界近くまで出ています。
HDDの速度じゃないので、メモリに乗っている分から読んでいるようです。
ランダムアクセスの書き込みはHDD本体の速度っぽい。
続いてSSDキャッシュを効かせた場合。
「DXP4800 GT」のM.2 SSDはGen3 x2接続となります。

読み込みは変わりませんが、書き込み速度がアップしています。
特にランダム書き込みの上昇は大きいですね。
次はM.2 SSDのみでRAID1を組んだ場合の読み書き。

SSDキャッシュとあまり変わらない結果に。
まぁこれは当たり前というか、SSDキャッシュ上にデータがあった場合はSSDとのやり取りだけになるので、同程度の速度になるのは当然です。
おまけでSDカードも測定。
使用したのはSanDisk Ultra 64GB。デジカメなどでもよくつかわれる、安価なカードです。

予想外に速くてびっくり。
ランダム速度がSSD並みです。SDカードでこの速さはありえないので、書き込みもメモリでいったん受け止めているんだろうか。
最後にUHS-IIのSDカード。

そもそも「DXP4800 GT」のSDカードスロットはSD3.0(UHS-I)仕様なので、速度的にはUHS-Iと変わりませんでした。
というわけで、最初から分かっていた結論ですが、HDD+SSDキャッシュが最も容量効率が良さそうです。いや、SDカードはちょっと予想外でしたが。
Gen4 SSD以上はオーバースペックですし、大容量だと価格が跳ね上がるので、SSDキャッシュにするなら256GBくらいのGen3 SSDでいいでしょう。
SSDの高騰がなければ、大容量SSDでもよかったんですけどね…
OSと内部接続について
「DXP4800 GT」のOSは、製品ページでは「UGOS Pro」と書かれています。
ただ、他メーカーを含めて基本はLinuxをカスタマイズして独自UIをかぶせたものであるので、裏側は何か、軽く見てみます。

SSHでログイン(標準では10分でポートが閉じるという、面白い設定になっています)、OSをチェックすると、ベースとなっているのは”Debian GNU/Linux 12″でした。
Debianは堅牢で安定したLinuxディストリビューションと言われているので、NAS OSのベースとしては最適でしょう。
続いてPCIeについてもチェック。

ちょっと見にくいですが、lspciの結果。
SATAの接続にはASMedia ASM1164 (PCIe 3.0 x2接続)が使われています。
10GbEはAquantia AQC113 (PCIe 3.0 x4接続)が2台。
そしてM.2 SSD (PCIe 3.0 x2接続)が2台(02:00.0のKIOXIAと0d:00.0のSamsungがM.2 SSD)で、Ryzen Embedded R2514が持つ16レーンのPCIeがきっちり使われていることが分かります。
「DXP2800」のIntel N100はPCIeは9レーンだったので、増えた分でデュアル10GbEを実現しているんですね。
消費電力について

| アイドル時 | 36.2~36.5W |
|---|---|
| 起動時(瞬間) | 96.9W |
| 稼働時(HDD) | 65.2W |
| 稼働時(SSD) | 65.3W |
| 稼働時(SSDキャッシュ) | 69.4W |
「DXP4800 GT」の消費電力は、HDD×4台+M.2 SSD×2枚を搭載した状態で、アイドル時が36W台。起動時は4台分のスピンアップがあるので100W近くに達します。
WD Red Plus×3台によるRIAD5への書き込みでは65Wを超える場面もありました。
M.2 SSD×2枚で組んだRAID1への書き込みでは最大65.3Wと、HDD×3台と同等という結果に。M.2 SSDって意外と電気を食います。
M,2 SSDをSSDキャッシュとした場合、つまりHDDとM.2 SSDが同時稼働する状況では最大69.4Wと70W近い消費電力となりました。
ストレージがトータル6台あるとはいえ、結構重い結果ですね。
ちなみに消費電力を平均37W(一日1時間動作でこのくらい)とすると、電気代は月800円弱(東京電力の29.80円/kWhで計算)となります。
外観
パッケージ

外箱は茶箱。これは「DXP2800」と同じパターンっぽい。

予想通り中に本当の箱が入っていました。このまま家電量販店で売られてそう。

箱の裏側。

開封防止シール。小さなところですが、こういったものの積み重ねがブランドのイメージを作っていきます。

・電源ケーブル
・LANケーブル(1m)
・HDMIケーブル
・取扱説明書
・保証書
・トレイキー×2
・ねじとドライバー
本体がでかいので、本体以外の内容物です。

HDMIは自社ブランドの市販品がそのまま入っていました。


LANケーブルも同じく、自社ブランドのカテゴリー7。
デュアルLANポートなので、LANケーブルも2本です。


電源アダプタは150W(19V/7.9A)出力。
PSEはユーグリーン・ジャパン名義で取得しています。こちらも自前ですね。


2.5インチ用のネジとドライバー、簡易鍵。
鍵はストレージベイのロックに使いますが、単に回すだけなので、チャイルドロック程度の効果と考えましょう。

マニュアルと保証書。

マニュアルは冊子ではなく、図解たっぷりの一枚ぺらの大判。
ちょっと昔の国産メーカーの説明書っぽい。

M.2 SSD用のサーマルパッド。
あまりに分厚すぎて、何枚か重なっているかと思ったらこれで一枚でした。
本体

本体全景。
カッパー(銅色)の挿し色がめちゃくちゃかっこいいです。
「DXP2800」の時は気付かなかったけど、HDDベイのナンバーのフォントもかっこいいですね。

側面にはUGREENのロゴ。


正面と背面。
正面はType-CとType-Aに加え、SDカードスロットも用意されています。
致命的な問題ではありませんが、M.2 SSDのアクセスランプはありません。

SDカードはこのくらいはみ出します。

背面インターフェース。見づらいですが、有線LANがデュアル10GbEです。
「DXP2800」では”LAN”とだけ書かれていて速度が分からなかったのですが、「DXP4800 GT」では”10GBASE-T”と表記が改められています。
ささやかですが、良アップデートポイントですね。

背面のダストメッシュはマグネット固定で簡単に外せます。

メモリ・M.2 SSDは底面からアクセスします。

底面ラベルのアップ。
この手のラベルを見るとつい技適番号を探してしまいますが、「DXP4800 GT」は無線LAN非搭載なので技適番号はありません。

メモリスロットの蓋は、内側のばねではね上げられるので、取り外しやすいです。

デュアルメモリスロットとデュアルM.2 SSDスロット。M.2 SSDは両スロットともGen3 x2接続です。
HDDと違い、M.2 SSDはホットスワップ非対応(電源オフ時にしか入れ替えができない)なので、抜き差し時は注意。

メモリはKimtigo製のDDR4-3200でした。Zen+アーキテクチャなので、DDR5は非対応です。
聞いたことのないブランドですが、中国名は金泰克。2000年に設立された中国・深圳に拠点を置くグローバルな半導体・データストレージブランドとのこと。

M.2 SSDを追加するとこんな感じになります。
比較

「DXP2800」との比較。「DXP2800」がめちゃくちゃ地味に見えます。

インターフェースの差はLANポートの数くらい。

高さはほぼ同じですが、奥行きは異なっています。
HDD

HDDはWD RED Plus(4TB)を3台にWD Blue(6TB)を1台の計4台。本来ならWD RED Plus×4台が理想なのですが、手元にないので数合わせです。
デスクトップ向けの「WD Blue」や「Seagate BarraCuda」などは安価ですが、年間通電時間は2400時間程度(1日8時間・週5日程度)が目安で、振動検知センサー(NASでは隣り合うHDDからの振動の影響を受けるので、割と重要)も入っていません。
デスクトップ向けも技術向上で壊れにくくなったとはいえ、保証期間も短く、データ復旧サービスも付属しないなど、値段なりの差があるので、できればNAS向け以上を選ぶようにしましょう。

HDDトレーはてこの原理で接続を外し、引き抜くことができます。
ホットスペア(電源を入れたままHDDを入れ替える)に対応しています。


トレーの一部を広げることで、HDDを装着します。
外れる部品がないので、パーツを無くすというリスクが減りますが、手が込んでるなぁ…

実際に装着するときはこんな感じ。

HDDトレーを外した、NASの内部。
SATAボードはいい感じに肉抜きがされていて、エアフローを邪魔しません。

あと、手元に機材がないので確認はできないのですが、ベイ1とベイ2はU.2 SSDに対応しているそう。
U.2ってPCIe(NVMe)接続なんだけど、CPUのPCIeレーンは全部使っているはずだし、どうやって実現しているんだろう…?

半信半疑で確認したら、SATAコネクタに追加のデータ線があって、確かにU.2接続に対応していました。
セットアップ
「NASync」はPCとスマホ、どちらからでもセットアップできます。
PCからは同一ネットワーク上からURL: https://find.ugnas.comにアクセスすると、自動的にLANないデバイスを検索します。
スマホからはGoogle PlayとAppStoreでそれぞれスマホ・タブレット用アプリをダウンロードします。
参考 NASync シリーズの初心者向けガイド:UGREEN NAS
前回はPC(ブラウザ)からセットアップしたので、今回はスマホからセットアップをしてみます。

まずはGoogle Playからインストール。


アプリを起動して「新しいデバイスの登録」をクリックすると、LAN内にあるデバイスを自動検索してくれます。
デフォルトIDはシリアル番号の下4桁なので、実用時は変更することを推奨します。

続いて管理者アカウント(ローカルアカウント)とパスワードを登録。
パスワードには8文字以上で大文字と小文字を含むという制限が設けられています。
任意ですが、インターネット経由でのアクセス(リモートアクセス)を考えている場合はメールを登録。
分かりにくいのですが、管理者とは別の、UGREEN Cloudアカウントの登録となっています。
本来は次のステップでUGREEN Cloudアカウントのパスワード登録を求められると思うのですが、登録済みメアドを使ったのでパスワード登録はスキップされました。

これで事前準備は完了、初期化に入ります。

初期化完了し、アプリホーム画面のチュートリアルに入ります。

画面説明から流れるようにストレージセットアップがスタート。

ストレージプールとは複数のディスクを束ねて(もちろん単体も可)、ひとつのストレージとして見せる、論理領域のこと。
ハードディスクを選択すると、各RAIDスタイルごとの容量も表示されます。

今回は3台を使ってRAID5を選択。
ファイルシステムはext4とBtrfsを選べます。
ext4はLinuxの標準的なファイルシステム。
Btrfsは2007年に登場したファイルシステムで、耐障害性や修復機能、スナップショット、容易な管理といった点に焦点が当てられています。
どちらを選んでも使い心地は変わりませんし、スナップショットについてはソフトウェアでも対応しています。

後はポンポンと進めて、ストレージのセットアップが完了です。
容量にもよりますが、ストレージプールの構築は時間がかかります。4TB×3で20時間程度でした。

20時間後再開。さらにチュートリアルが続きます。

最初のフォルダの作成とリモートアクセスの確認。
リモートアクセスに必要なURLが表示されています。
このリモートアクセス用URL、セットアップ時のデバイス名が使われているので、デフォルトだと実質4桁のIDでログイン画面にまでたどり着けることになります。
パスワード認証もあるので即アクセスされるというわけではありませんが、ログイン画面にたどり着かせないことがセキュリティの第一歩なので、先のシリアル番号が使われている件と合わせて、実用時は長めのIDに変更すべきでしょう。

以上でセットアップとチュートリアルが完了しました。
アナウンスも出るので終わりが分かりやすいですね。
なお、このままだとWindowsから検出できません。


コントロールパネルから辿ってwsdd2サービスをオンにすることで…

Windowsの”ネットワーク”にアイコンが出てくるようになります。
HDDを追加する
3台でRAID5を組んだので、4台体制にしてみます。

ストレージプールの画面から”ストレージプールの拡張”をクリック、”追加”を選びます。

追加したHDDは6TB(論理容量は5.4TB)ですが、増える容量は4TB(同3.6TB)になります。
UGREENではフレキシブルなRAIDは開発しておらず、基本のJBOD/Basic/RAID0/1/5/6/10のみとなっているため、容量違いのHDDの組み合わせは不得意です。
歴史的にも実績のあるRAIDのみを扱っていると言い換えることもできます。

“Hot Spareの管理”から、HDD故障時の自動交換(Hot Spare)に設定することもできます。
まとめ
「DXP4800 GT」の価格は99,880円。記事執筆時点では発売記念20%オフの79,900円となっています。
Amazonだとポイント込みで同価格ですが、Amazon Prime Mastercard会員はポイント+2%があるので、実質価格では公式ストアより安くなります。
2+2ベイの「DXP2800 GT」は、69,880円から20%オフの55,900円。
SDカードリーダーはなくなり、シングル10GbEとなりますが、おそらく10GbE内蔵NASの最安値モデルになりますね。
4ベイは「DXP4800」が終売。エントリークラスの「DH4300 Plus」、「DXP4800 GT」に「DXP4800 Plus」という3機種体制となります。
「DXP4800 GT」は定価ベースで「DXP4800」から1万円アップなので、「DXP4800 Plus」との間が詰まり、「DH4300 Plus」との間が空いてしまったのが気になるところ。
とはいえデュアル10GbEになったことでチーム作業でも不足しない転送速度を得ましたし、価格に見合った仕様となったことも事実です。
というかこれ、CPU性能ではまだ「DXP4800 Plus」の方が上ではあるけど、「DXP4800 Plus」じゃないとできないってことがなくなったのでは…?




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