【実機レビュー】 Samsung 9100 PRO (4TB):爆熱だけど冷やせばド安定な、最高クラスのGen5 SSD

レビュー

Samsung「9100 PRO」は、SSD界の王者陥落と言われていたSamsungが、2025年に発売したフラグシップGen5 SSDです。
Samsungはコントローラ、NAND、DRAMに至るまで自社製造、SSDそのものも自社ファブ製造の完全自社製SSDで有名ですが、「9100 PRO」も例に漏れず、完全自社製です。

その「9100 PRO」、2025年のブラックフライデーに買ったはいいものの、直後に高騰が始まり、「これレビューしても買う人いないのでは?」とモチベーションが下がって放置していました。
久しぶりに価格を見たら、2026年8月ころから狂乱的な暴騰が少し落ち着いたようなので(それでも2025年に比べれば3倍くらいの価格ですが)、重い腰を上げてレビューしてみます。

当レビューは自腹購入です。
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スペック

■ Samsung 9100 PRO
容量 1~8TB
接続 PCIe Gen 5.0 x4
NVMe 2.0
読込速度 4/8TB:14,800MB/s
1/2TB:14,700MB/s
書込速度 2/4/8TB:13,400MB/s
1TB:13,300MB/s
NAND V-NAND TLC
キャッシュメモリ 1~8GB LPDDR4X
耐久性 8TB:4800TBW
4TB:2400TBW
2TB:1200TBW
1TB:600TBW
保証 5年

本体外観

パッケージデザインは黒を基調とした、シンプルなデザイン。

販売元はITGマーケティング。アイオーデータの連結子会社で、日本サムスン販売特約店です。
検索すれば分かりますが、Samsungは自前の公式ページすら作らず(ヒットするのはUS向けの直販ストアくらい)、ITGマーケティングのサイトがヒットします。

中のスリーブは紙製。

マニュアルは冊子状。

本体。
4TBですが片面実装です。
ちなみに8TBモデルはさすがに両面実装となるようです。

ラベルを剥がして中を確認。

シール・ラベルを剥がす行為は製品保証が無効となる可能性が高いです。安易にまねをしないでください。

コントローラーはS4LY027。Prestoというコードネームで呼ばれています。
放熱のためにニッケルコーディングされています。
自社の5nmプロセス製造で、Cortex R8 CPUを5コア搭載。最大8チャネルのNANDに、各チャネル最大2400MT/sで接続しています。

DRAMチップは「K4UBE6Q4AB-MGCL」
Samsung製の32Gb(=4GB)のLPDDR4X-4266。

NANDは「K90YGY8 J5BCCK0」
Samsung製の第8世代236層3D TLC V-NANDです。

チェック環境

検証はMinisforum「BD790i」と、システムとしてWD_BLACK SN850X(4TB)を使用。
奥がシステムSSD、手前がレビューSSDです。

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CrystalDiskInfoの情報です。規格容量は4000.7GB。
接続はGen5 x4、規格はNVMe 2.0。

フォーマット後の容量は3726.01GB。

NVMeのバージョンは転送速度とはあまり関係がなく、そもそもが通信プロトコルの規格名です。なので、バージョンによって使えるコマンドセットや機能に差があります。
ざっくり調べた感じだと、NVMe 2.0ではZNS Command SetやKV Comman Setが追加され、HDDをサポートするように。
NVMってNon-Volatile Memory(不揮発性メモリ)の頭文字(eはExpress)なのに、磁気ディスクをサポートとは…

Samsungは「Magician」という管理アプリを用意しています。

ステータス確認やスキャンのほか

オーバープロビジョニング(容量の一部を予備領域に回すことで、パフォーマンスや耐久性の向上を図る手法)の設定も可能。

参考 Samsung Magician Software:Samsung

ベンチマーク

ベンチマークはヒートシンクのない状態で計測しています。
ヒートシンクを装着し、エアフローのしっかりしたデスクトップ機に比べると、若干不利な環境となります。
また、AMD系環境のため、4KランダムQ1T1がIntel系環境に比べて低く出る傾向にあります

CrystalDiskMark

CrystalDiskMarkではサイズを1GiB・64GiBにして測定。

シーケンシャルでリード14,125MB/s、ライト13,373MB/sを記録。リード・ライトともに仕様(14,800/13,400 MB/s)にはわずかに届いていませんが、ここまでくれば誤差でしょう

64GiB時はリードがちょっと伸びました。

4Kランダムのリードレイテンシ(1GiB時)は53.51μs。意外なことに、50μsを切りませんでした。
同じGen5 SSDでもPHISON PS5031-E31のKIOXIA「EXCERIA PLUS G4」が44.61μs、INNOGRIT IG5666のADATA「LEGEND 970 PRO」は66.70μsだったので、コントローラによるとしか言えなさそう。

この辺りはCPU直結とかIntel CPUとAMD CPUの差とか、遅延要素を徹底的に排除しないと実力が見えないところなので、モバイル向けCPUでの検証は参考程度に見てください。

AS SSD Benchmark

AS SSD Benchmarkでは総合12590ポイント。
5000ポイント前後をうろつくGen4 SSDと比較にならないくらいの高スコアです。

仕様上は同等性能のHanye「E500P」(12190ポイント)をわずかに上回っています。
違いを見てみると、4Kランダムの64スレッド並列読み込みが「E500P」比1.2倍くらいの速度となっていますね。

CrystalDiskMarkでもRND4K Q32T16のリードスコアが高かったので、そういう特性なのでしょう。

h2testw

h2testwは、3.2GB/sでスタート。Gen4 SSD(2~2.1GB/s)の約1.5倍程度です。
コントローラが3600MT/s×8チャンネルだった「E500P」(3.4GB/sスタート)に比べるとやや遅めですね。

960GB(24%)付近でpSLCキャッシュが枯渇。
負荷が28%→70%に、書き込み速度も1.3GB/s前後に落ち込みました。

その後は負荷60~70%と1.3~1.5GB/s程度の速度を維持しながらフィニッシュ。

トータルでは、書き込みは平均1.52GB/s、読み込みは平均1.92GB/sでした。
書き込みは「LEGEND 970 PRO」(平均1.89GB/s)や「E500P」(平均1.72GB/s)に負けていますが、極端な落ち込みもなく、安定した結果となっています。

ATTO Disk Benchmark

ATTO Disk Benchmarkはファイルサイズが小さなファイルにおけるスループットを計測するベンチマークです。
リードは256KBから、ライトは2MBでピーク速度に達しています。

「E500P」はリード128KB、ライト256KBからピーク速度だったので、「9100 PRO」は細かいファイルにはあまり強くないようです。

HD Tune Pro

HD Tune Proでは読み込みは意外なことにフラットではありません。

一方でライト側は素晴らしいくらいのフラット。
まったく落ち込みを見せず、過去のレビューでここまで綺麗だったのはWD「SN7100」くらいです。

その他の計測結果。
ランダムアクセスでサイズ問わずにmax.access timeが1.3ms台にとどまっているのが印象的。

3DMark Storage Benchmark

3DMarkは3554ポイント。
過去のレビュー最高スコア(KIOXIA「EXCERIA PLUS G4」の3344ポイント)を大幅に更新しています。

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ハイエンドGen5 SSDだと「E500P」ですら2949ポイントと、3000ポイントの壁を越えられていなかったのに、ぶっ飛ばしています。

なぜこのようになっているかというと、3DMark Storage Benchmarkはゲームでの動作をイメージしているからですね。
ゲームの読み込みや録画、保存、データ移動などを想定したテスト、つまりは「9100 PRO」の得意分野なので、高記録が出たわけです。

ファイル転送(書き込み)

ファイル転送は「DiskBench」を使って計測。

10GB(1GB×10)のファイル:4.145秒 (2470.446 MB/s)
100GB(1GB×100)のファイル:44.462秒 (2303.090 MB/s)
1TB(1GB×1000)のファイル:351.976秒 (2909.289 MB/s)

ファイル転送(書き込み)では10GB/100GBはかなり平凡な結果に。
多数のファイル移動での速度落ち込みはないものの、3,000MB/sを超えることはできていません。

とはいってもレビューで過去最速だったWD「SN7100」と比べても100GB程度では10秒にも満たない差ですし、1TBの移動でも60秒以下。
実用上はそれほど気にならないでしょう。

温度について

「9100 PRO」の警告温度は84度、臨界温度は88度。

温度はHWMonitorと、HWiNFOの2種類で調査。
どちらも3種類の温度センサーが見えています

センサー上はコントローラーが最大115度。見間違いかと思ったけど、115度です。溶けそう。
よく見たらディスク警告も「はい」になっています。
でも、ここまでのベンチマーク結果を見るに、極端なサーマルスロットリングは発生していないっぽいんですよね。ギリギリのところで性能を維持しています。

サーモグラフィーで見ると最大110.5度でした。実温度で110度は怖すぎる…

ファンの風が当たるようにすると温度は一気に下がり、コントローラが74.5度、NANDが52.1度に。

まとめ

「9100 PRO」に感じたのは、ベンチマークでの成績が高く出やすい短距離選手タイプではなく、長くアクセスが続いても性能が落ち込まないマラソン選手型であるということ。
瞬間最大速度は競争せず、極端に速度が落ち込むシーンを徹底的に排除したという印象です。

実際、個々のベンチマークで見ると割と平凡なスコアが多いのに、実運用ベースの3DMark Storage Benchmarkではトップスコアをとるあたり、なんというか短期集中動作のベンチマークは眼中にないって感じがします。
細かいファイルや書き込みはあまり得意としていないので、サーバー用途にはあまり向かず、ゲーミング用途が最適でしょう。
最高クラスではあるものの、王者奪還と言えるかどうか、微妙なラインです。

記事執筆時点の価格は、1TBが50,000円強、4TBで20万円。
冒頭にて「狂乱的な暴騰が少し落ち着いた」と書きましたが、気軽に買える値段じゃないですね。

Samsungは「9100 PRO」発売前には第9世代286層 3D TLC V-NANDをすでに量産していたのに、第8世代にとどめたのも不満点。
第9世代は容量密度も高く、速度も2400MT/sから3200MT/sに向上しているので、採用されていれば小ファイル系や書き込みも強いSSDとなっていたでしょう。

とはいっても、発売時はともかく、現在では情勢も変わっていて。
第9世代 NANDはNVIDIA CMX(コンテキストメモリーストレージ、VRAMとSSDの間に入るKVキャッシュの保存先)に使われていると言われています。
NVIDIA CMXは2027年には1億TBを消費するとも言われており、世界の年間NAND生産量(10億TB)の1割に達すると見込まれています。
なお、2026年時点のSamsungの生産能力は2.5億TB。すでに製造ラインの60%を第9世代 NANDに振り分けていると言われています。

他にも第9世代 NANDはスマホなどで使われるストレージの次世代規格UFS5.0に対応していて、2027年以降のフラグシップスマホなどで採用される見込みです。
…こうして見ると、コンシューマ向けSSDに回すどころか、どこぞのメモリメーカーみたいにコンシューマ向けを切り捨ててもいいくらいの状況なわけで。
第8世代 NANDとはいえ、販売しているだけましって状況なんですよね…

関連リンク

9100 PRO SSD (M.2/NVMe):ITG MARKETING
ニュースリリース:Samsung Global Newsroom

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