2025年5月、INNOCNがHDR1000相当の輝度を持つ、24.5インチMiniLEDゲーミングモニター「25M2S」を発売しました。
DisplayHDR1000/1400はほぼ27インチまたは32インチで、24インチクラスは皆無であり、「25M2」が初の、24インチクラスでのHDR1000相当のモニターとなります(※現在は別のメーカーからも出ています)。
ちなみになぜ”HDR1000相当”かというと、DisplayHDRの認証製品一覧に名前がない自称だからです。
INNOCN 25M2

| 画面サイズ | 24.5インチ |
|---|---|
| 解像度 | WQHD/240Hz |
| 表示色 | 10.7億色(8bit+FRC) |
| 輝度 | 1107cd/m2 (Typ) |
| 分割数 | 1152ゾーン |
| 色域 | 99% DCI-P3 |
| インターフェース | HDMI 2.1×2 DisplayPort 1.4×1 オーディオジャック |
| スピーカー | 3W |
| サイズ | 558×498×195mm |
GoodPoint
✔ 数少ない24インチクラスのHDR1000相当モニター
✔ スピーカー内蔵
✔ 豊富なゲーミング機能
BadPoint
✖ HDMIはQHD/240Hz非対応
✖ 1000nits以上が出る条件が限られている
✖ 設定が5ボタンで使いにくい
✖ 保証は1年と短い
INNOCNとは
INNOCNは2014年に設立された企業のブランドで、中華人民共和国広東省深センに本社を置いています。
正式会社名は「Guangxi century United Innovation Display Electronics Co., Ltd.(深圳市世纪联合创新科技有限公司)」で、記事執筆時点では日本法人は設立していないようです。
自社ブランドとしてINNOCNのほか泰坦军团(Titan Army)、INNOBILDがあり、acer、msi、Changhong、Xiaomi、HANSUNG(韓国のメーカー)、Changhong(中国の大手電機メーカー)、Skyworth(中国の家電メーカー)などにOEM出荷しているそう。
DisplayHDRとは
DisplayHDRは、米国VESA(Video Electronics Standards Association)が策定した、PCモニターなどのディスプレイが持つHDR(High Dynamic Range)性能を保証するための規格です。
画面の輝度(明るさ)、コントラスト、色域、応答時間といった具体的な性能基準が定められていて、DisplayHDR 400からDisplayHDR 1400までの5段階および、有機EL向けのDisplayHDR TRUE BLACK 400からDisplayHDR TRUE BLACK 1000までの4段階の、計9レベルの認証が用意されています。
DisplayHDR 1400は現時点で最上位の認証となります。
外観
外箱

外箱はシンプルな茶箱。

中は2段の発泡スチロール。この辺りは他のメーカーと変わりません。
付属品

付属品はDisplayPortケーブル、電源アダプタ、スタンド。
ツールレス組み立てなので、ドライバーは付属していません。また、HDMIケーブルも付属していません。
考えてみればHDMIケーブルって大体PC側にも付属するので、モニター側でも付属させるとダブるんですよね。


電源アダプタは19V/6.32A(=120.08W)出力。HDR1000相当ですが、画面サイズが(27インチに比べれば)大きくないので、その分消費電力が低いのかな。

スタンド。ケーブルホルダーも付いています。
スタンド脚はプラスチック製で、そこまで重くありません。というか、モニター本体も27インチに比べれば軽いので、金属スタンドで重心を下げずとも、比較的安定します。

キャリブレーションレポートは一台ずつのキャリブレーション結果(sRGBとAdobeRGB基準での計測)を記載。
こんながっちりしたレポートが付くのか…

マニュアルと保証案内。

ざっと見た範囲では中華フォントではなくちゃんと日本語フォントですし、文章としておかしいところもありません。
日本に拠点のないメーカーで、ここまでしっかりしているところは少ないです。
本体

本体背面。INNOCNの名前が広がるきっかけとなった「27M2V」と同じ台型形状。
インターフェースは下向きです。

「25M2」は公称で1000nitsを超える高輝度モニター。つまりその分発熱も大きいので、厚みを持たせて吸気口を大きく取っています。
ちなみに3Wのスピーカーも組み込まれていますが、モニター内蔵スピーカーならこんなものかなってところ。
ないよりはましですが、音を楽しむ用途には厳しいです。

上部には明るさ自動調節用の光センサー。
デフォルトではオフになっています。

操作は最近ではだいぶ減ってきた5ボタンタイプ。コスト的にジョイスティックタイプより安いんだろうか…?
画面下部にあるので手は届きやすいのですが、ちょっと固めなので操作感はあまり良くないです。

インターフェースはHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1、オーディオジャック。Type-Cはありません。
Type-Cがないだけで、オールドタイプに見える不思議。


組み立てはツールレス。
スタンド脚をはめ込んで…

スタンド台座を固定すれば完成。


スタンドの可動範囲。
実はスイベル(左右)に対応していません。そこまで重くないから台座ごと動かせってことのようです。

背面にはRGBに光るLEDが組み込まれています(消灯可能)。
使ってみて

初起動時、何やら表示が…

言語設定でした。

入力があっているかの確認で、初期セットアップは終了。

「25M2」の解像度はWQHD(2560×1440)。
HDRモードでの明るさ上限は1,107nits。
OSD

OSDは中央に表示。
「ゲーム設定」が二つあるんですけど…?
設定可能項目はかなり多いです。






アプリで明るさやコントラストなどを調整できるようになる、DDC/CI(Display Data Command Interface)にも対応。


ゲーム設定の「画像補正」

ゲーム設定の「ゲームアシスタント」
ゲーミング機能は十分なくらいに搭載されています。

ショートカットメニューは右下に表示。
パネルについて

| 比率 | カバー率 | |
|---|---|---|
| sRGB | 141.6% | 99.8% |
| Adobe RGB | 105.0% | 92.2% |
| DCP-P3 | 104.4% | 96.8% |
| NTSC | 100.3% | 90.0% |
色域実測(SDR)はsRGB比141%と、広色域。
DCI-P3ですらカバー率96.8%と、クリエイター向けモニターとしても十分に通用します。


ガンマ特性はSDRモードとHDRでちょっと異なっています。
SDRでは直線的にずれていきますが、HDRではRGBがほぼ一致。暗い部分ではややブレがあるものの、綺麗な直線を描いています。

i1Display Proによる補正後の色精度。SDR時平均ΔE=1.7で、2.0を下回りました。

カラー表示は特に違和感なし。

照明を消した状態。
輝度について

| 明るさ | 輝度(cd/m2) HDR |
輝度(cd/m2) HDR(時間経過後) |
輝度(cd/m2) SDR |
|---|---|---|---|
| 100 | 600 | 401 | 456 |
| 90 | 537 | 371 | 411 |
| 80 | 480 | 342 | 369 |
| 70 | 422 | 306 | 323 |
| 60 | 367 | 281 | 280 |
| 50 | 331 | 264 | 233 |
| 40 | 280 | 235 | 193 |
| 32 | – | – | 160 |
| 30 | 230 | 206 | 153 |
| 20 | 180 | 171 | 110 |
| 16 | – | 159 | – |
| 10 | 132 | 132 | 68 |
| 0 | 84 | 84 | 28 |
輝度についてはi1Displayで測定。
「25M2S」の明るさは仕様上はピーク輝度が最大1000nits以上とされています。
計測(全白)してみると、HDR時のピーク輝度は3秒程度で、その後は徐々に下がり、7~8秒後には右の時間経過後の輝度で落ち着きました。
動画やゲームでは長時間の強い光というシーンはそれほど多くないので、実用上はそれほど大きな影響はないでしょう。

HDR時・明るさ100での各ポイントの輝度。
上記の通りピーク輝度ほ保持時間が短いため、計測値がぶれています。
おおざっぱに、周辺輝度の低下は控えめだなくらいに見てもらえればいいかと。

輝度テストでも600nits前後までしか出ません。
これ、1000nitsが出るのはAPL(画面における白の割合)が1%とか、1秒未満の一瞬だけだったりする?
ちなみに、DisplayHDR1000の要件の一部を抜粋すると以下のようになります。
| 画面の明るさ | ピーク輝度(APL2%):1000nits 全白フラッシュ輝度:600nits 全白持続輝度:600nits |
|---|---|
| 黒色の黒さ | 0.05nits |
| コントラスト比 | 30000:1 |
| 色深度 | 10bit(8b+2) |
| 色域 | DCI-P3 95%以上 |
明るさ、特に持続輝度を満たしていないので、認証が取れず、自称HDR1000となっているわけです。
光漏れについて
「25M2S」は、1152ゾーンのminiLED液晶です。

明るいところで正面から見ると違和感はありません。

暗いところだと黒も締まって見えます。

が、斜めから見ると光漏れが起きていて(ハロー現象)、有機ELのような完全な黒ではないことが分かります。

明るいところだと表面反射で色がかなり褪せて見えます。
シャドウバランスについて
「25M2S」では黒の持ち上げをシャドウバランスと呼んでいます。KTCモニターのブラックスタビライザと同じ機能ですね。
シャドウバランスは0から100までの101段階。標準は50で設定されています。



SDRモード。予想以上に画面が明るくなったというか、やりすぎレベルでちょっと笑いました。

HDRモードだと設定不可。

写真だと分かりにくいのですが、HDRモードだと画像補正機能はすべてブラックアウト。


ついでに言うと、「ゲーム設定(上)」のモード選択と、「ピクチャー設定」もほぼブラックアウトで、HDR時はモニター側での調節はほぼ何もできません。
その他表示例
表示例とはしていますが、そもそも画像はSDRなので、モニターの明るさを正しく表現できていません。実際の目で見ると、砂漠のシーンはこんなぼんやりした太陽ではなく、中心がもっと明るいですし、原神もコントラストがしっかりしています。





まとめ
「25M2S」の価格は記事執筆時点で39,999円。セール時には3.8万円弱になることもあります。
DIsplayHDR1000の要件は満たせていませんが、24インチクラスのMiniLEDモニターが発売されただけマシですし、使いにくさを含めても、値段を考えたら妥協できる範囲です。
とはいえ2025年後半は27インチクラスのminiLEDモニターの競争が激化し、デュアルモード対応のHDR1400モニターですら相場が6~7万円まで下落しています。
27インチ/WQHDなら「25M2S」と変わらない4万円弱まで下落しました。
そんなわけで、サイズ的な不都合がなければ27インチから選んだ方が満足感は高くなるでしょう。
27インチだと窮屈な場所や、24インチモニターの入れ替えで買うのであれば、安価ですし、割とアリな選択肢です。




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