【実機レビュー】HEADWOLF FPad7:AnTuTu50万オーバーな8.4インチ2.5Kタブレットはちょっと重め

レビュー

2025年1月21日、HeadwolfはDimensity 7050を搭載した8.4インチタブレット「FPad7」を発売しました。

これは強い。Headwolf「FPad7」はDimensity 7050搭載の8.4インチ2.5Kタブレット
2025年1月21日、HeadwolfはDimensity 7050を搭載した8.4インチタブレット「FPad7」を発売しました。スペック■ FPad7CPUDimensity 7050メモリ8GB(+拡張8GB)ストレージ256GB UF

つい先日、HelioG99/2.5Kな「FPad6」をレビューしたばかりでの新機種投入ですが、「FPad6」は2.3万円弱、「FPad7」は2.7万円弱(いずれも記事執筆時点)と、価格帯を分けて併売されます。

【レビュー】HEADWOLF FPad6:現代スペックで復活した8.4インチ2.5Kタブレット
2024年11月10日、HeadwolfはHelio G99を搭載した2.5Kタブレット「FPad6」を発売し、がじぇっとりっぷでも記事にしました。久しぶりのまともな2.5Kタブレットということで注目していたのですが、試用する機会を得たので
当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。
機材を提供いただいたHEADWOLF様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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HEADWOLF FPad7

■ FPad7
CPU Dimensity 7050
メモリ 8GB(+拡張8GB)
ストレージ 256GB UFS3.1
画面 8.4インチ IPS WQXGA
インターフェース USB Type-C(2.0)×1
microSD
オーディオジャック
カメラ 前:800万画素
後:1600万画素
wi-fi Wi-fi 6+BT5.2
4G/5G 4G対応
FDD:B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28AB
TDD:38/39/40/41
バッテリー 6,500mAh
18W充電
サイズ 203.7×125.8×8.5mm
重さ 385g

GoodPoint
2万円台でAnTuTu 50万点オーバー
高精細な2.5Kディスプレイ
付属の充電器が15W
思ったよりカメラがいい

BadPoint
385gとやや重め
分厚く感じる
スピーカーの音質はいまいち

パッケージ

内容物
・本体
・電源アダプタ
・USB C to Cケーブル
・ユーザーマニュアル
・カードスロット取り出しピン

技適は、技適番号までしっかり記載されています。

参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(219-239286)

技適はF6(FPad6)と共通。
F8とF10があるので、少なくとも2製品先まではWi-fi 6+BT5.2となるようです。

インターフェース

インターフェースは電源ボタン・音量ボタンともに長辺にあり、電源ボタンが下になります。

Type-C端子は縦持ち時の下辺の中心。
そもそも「FPad7」は縦置き時ステレオ、つまり縦持ちが正位置なので、スマホと同じく端子が辺の中心にあります。

Dimensity 7050はUSB 3.0非対応なので、端子規格はUSB 2.0、なので映像出力も非対応です。

パフォーマンス

「FPad7」のSoCはDimensity 7050(MTK6877)。2023年4月に発表されたSoCですが、そもそもがDimensity 1080(2022年10月発表)のリネーム品です。
ARM Cortex-A78を2コア、Cortex-A55が6コアのbig.LITTLE構成で、GPUはMali-G68 MC4。製造プロセスはTSMC 6nm。

同ランクとなるSnapdragon 6 Gen 1はARM Cortex-A78を4コア、Cortex-A55が4コアのbig.LITTLE構成で、GPUはAdreno 710。製造プロセスは4nmなので、コア構成や製造プロセスではちょっと負けています。

AnTuTu(v10)のスコアは総合56.3万点、CPU17.3万点、GPU11.9万点。
Snapdragon 6 Gen 1は総合55.4万点、CPU19.6万点、GPU9.4万点だったので、予想通り計算性能は負けていますが、グラフィック性能は上回りました。

「FPad6」(Helio G99)は総合40.9万点、CPU13.2万点、GPU6.3万点だったので、前世代比だと総合で4割増の大幅な性能アップです。

しかし、あくまでこれは総合的な話。

3DMarkのストレステストでは2270点台でスコアは全く落ちず。
このストレステスト、Snapdragon 6 Gen 1は平均2390点だったので、AnTuTuでの結果と逆転しています。

これ実はちゃんとカラクリがあって、AnTuTuベンチマーク時、Snapdragon 6 Gen 1はAPIがVulkan、「FPad7」はOpenGLでの計測でした。
一方3DMark WildLifeはVulkan 1.1なので、APIが変わった結果スコアが逆転した、ということのようです。

GeekBench6ではシングル965点、マルチ2477点。
Snapdragon 6 Gen 1はシングル940点、マルチ2923点だったので、シングルスレッドでは勝ってマルチスレッドで負けています。ここは予想通りです。

メーカー HEADWOLF ALLDOCUBE
モデル名 FPad7 FPad6 iPlay60 mini Turbo iPlay60
CPU Dimensity 7050 Helio G99 Snapdragon 6 Gen1 UNISOC T606
メモリ 8GB 8GB 8GB 4GB
ストレージ 256GB UFS3.0 128GB UFS2.1 128GB UFS2.2 128GB
OS Android 14 Android 14 Android 14 Android 13
AnTuTu (v10) 総合 563618 409019 554305 完走できず
CPU 173186 132413 196030 完走できず
GPU 111925 63004 94389 完走できず
MEM 137419 108432 135353 完走できず
UX 141088 105170 128533 完走できず
GeekBench 5 シングル 745 532 724 313
マルチ 2255 1664 2924 1262
Compute 2673 1465 1501 517
GeekBench 6 シングル 966 710 940 379
マルチ 2477 1822 2923 1362
Compute 2394 1275 1311 452
3DMark Wild Life 2274 1104 2354 420
Wild Life Unlimited 2295 1206 2395 422
Wild Life EX 626 337 604 91
Wild Life EX Unlimited 609 331 597 101
Sling Shot 5103 3113 5458 2268
Sling Shot Unlimited 5664 3486 5672 2452
Sling Shot EX 3846 2410 4026 2274
Sling Shot EX Unlimited 4257 2525 4485 2498
Steel Nomad L 225 126 199 メモリ不足
Steel Nomad L Unlimited 242 127 199 メモリ不足
IceStorm Maxed out Maxed out Maxed out Maxed out
IceStorm EX Maxed out Maxed out Maxed out Maxed out
IceStorm Unlimited 40401 30048 60283 16939
PassMark System 11426 9294 13751 5302
CPU 31581 25531 37533 2412
Memory 19136 14493 25561 12047
Disk 92057 125420 123052 99553
2D 22080 19537 31708 13244
3D 33664 25221 25437 13724
ブラウザ jetstream2 80.542 78.941 91.848 54.4
BaseMark 357 336.62 391.56 229.75
WebXPRT4 77 81 101 57
MotionMark 43.4 633.26 990.62 372.81
Octane 36154 24533 32912 13537
Speedometer 2.0 98.5 75.5 96.8 45.5
Speedometer 3.0 7.57 4.93 5.94 3.38
PCMark Work 3.0 9924 9128 9465 完走できず
Battery (100%) 6h00m 6h05m 6h15m 完走できず
Battery (50%) 9h03m 8h41m 15h13m 完走できず
Burnout 22.5 11.1 18.2 7.6
AI-Benchmark 398 191 731 37.3
GeekBench ML CPU Single 571 457 277
CPU Half 570 456 279
CPU Quantized 1190 916 600
GPU Single 240 140 157
GPU Half 324 186 214
GPU Quantized 324 178 216
NPU Single 完走できず 完走できず 54
NPU Half 完走できず 完走できず 54
NPU Quantized 完走できず 完走できず 139
AiTuTu v3 総合 75564 41945 288861
Super Resorusion 1096 800 29024
Style Transfer 7399 4187 149879
画像分類 39880 21204 43581
オブジェクト検出 27189 15754 66307

他の製品との比較。

ストレージ

「FPad7」のストレージは256GB UFS3.1

カードスロットはmicroSD+nanoSIM。

ストレージ速度の計測結果。#2が内部ストレージ、#1がmicroSD(Sandisk Extreme Pro 128GB)です。

内部ストレージはリード1.29GB/s、ライト556MB/s
「FPad6」(UFS2.2)がリード486MB/s、ライト384MB/sだったので、大幅な速度アップです。

microSDもリード81.7MB/s、ライト50.8MB/sで実用レベルの速度。
実用レベルと言っても内蔵ストレージの速度進化が大きすぎて、相当遅いストレージになっちゃったんですけどね。

ここまで速度差が出ちゃうと、microSDを無くしてしまう(データのやり取りはネットワーク経由でできるアプリを用意する)デバイスが増えるのもわかる気がします。

使ってみた

ディスプレイ

「FPad7」のディスプレイは8.4インチWQXGA(2560×1600)
数年前に流行した解像度で、近年だとユアユー「P30」、直近では「FPad6/APad2」で復活しました。

ALLDOCUBE「iPlay50 Mini」からの8インチクラス再ブームは、8.4インチWUXGA(1920×1200)が中心で、2.5Kは希少です。

明るさごとの比較。
「FPad7」のパネルは最大400nitsとされているので、100%だとちょっと明るめ。70%くらいが使いやすい明るさです。
0%でもそこまで暗くならず、室内なら(暗いけど)普通に操作できる程度です。

「FPad6」は500nitsだったので、実は最大輝度は少し下がっています

サウンド

「FPad7」は縦持ち時にステレオとなるデュアルスピーカーを内蔵

横持ち時ステレオじゃないのか…と嘆きたくなるところですが、「縦で使え。横向きで動画を見たいなら10インチ以上のタブレットを使え(Headwolfのタブレットは10インチ以上は横向きが正位置になっている)」とメッセージを示されている以上、文句は言えません。

あくまでも8インチクラスはスマホの延長として、「スマホより大きい画面でネットサーフィンやSNS、電子書籍を見る」デバイスと位置づけているのでしょう。

話をスピーカーに戻すと、音量は十分。100%にするとわずかにビビリ音が発生するくらいです。

音質については、やや低め。
低音が弱いのは仕方ないところですが、中音・高音はフラット気味。

チープというわけではないのですが、ボーカルの感情表現が薄く感じられます。
一方でドラマや映画のクリップでは効果音がはっきりしていて、臨場感の向上に一役買っています。

音質はデバイス側のチップや再生ソフトなど、視聴環境によっても大きく変化します。また、聴き手の好みやジャンルによっても左右されます。
あくまでもレビュー者の個人的感想である点にご注意ください。

動画

「FPad7」のWidevineはL1で、VOD(動画配信)サービスのHD画質視聴に対応
NetflixのHD再生にも対応していますが、契約していないので未確認です。

Amazon PrimeではFHD(1080p)再生表示を確認。といっても8.4インチは動画視聴にはいささか小さいので、あくまでマイナス要素ではないというだけですね。

WidevineとはDRM(Digital Rights Management、デジタル著作権管理)のひとつで、Google独自のデジタル著作権管理テクノロジーです。
他のDRMにはMicrosoftのPlayReady、AppleのFairPlayなどがあります。

WidevineにはL1(最高)からL3(最低)の3段階があり、Amazon PrimeではHD画質以上での再生にはL1(と独自のAmazon認証)が必要となります。
NetFlixなどもWidevineDRMを採用しており、L1でないとHD画質での再生ができません。

ゲーム

PUBG

PUBGは選択できるのは”HDRのウルトラ”まで。Helio G99が”HDの高”までなので、ワンランク違います。
Snapdragon 6 Gen 1では“ウルトラHDRのHDR”まで選べたので、やはりグラフィックはSnapdragon 6 Gen 1より低いか、あるいは解像度の影響が大きいようです。

原神

原神は、最低画質で”スムーズ”、低画質で”非常に高い”。
2.5Kという高解像度なので、内部的なレンダリング解像度は低くても、負荷が高くなるようです。

しかし実際のプレイでは高画質/60FPSでも特に処理落ちすることなく動作します。

計測してみると高画質でもスメールシティを適当に走り回って平均30FPS程度は出ていました。
大量のモンスターと相対するとかでもなければ、特に重く感じることはなさそうです。

カメラ

カメラはリアが1600万画素(4640×3480)、フロントが800万画素(3624×2448)です。
タブレットのザ・標準といった感じの解像度です。

カメラアプリは設定項目が「FPad6」とは異なるものの、同じ系列とわかるアプリがプリインストールされています。
これ、推測ですがMediatekのカメラアプリなのかなぁと。

下の画像は幅800に縮小した以外の加工はしていません。

リアカメラでの撮影。赤みが強いのは「FPad6」と似ていますが、映り具合が全然違います。
花びらのディティールもしっかりしています。

等倍での切り抜き。文字もくっきりはっきり。

一方でフロントカメラは色味が変に強調されています。

等倍表示。
フォーカスが甘いものの、「FPad6」に比べればざらつきが少なくなっています。

バッテリー

バッテリーは「FPad6」と同じ6,500mAh、ディスプレイ輝度100%で6時間00分、輝度50%で9時間3分でした。
SoCの性能が上がった(=消費電力が増えた)分、ディスプレイの最大輝度を下げる(=消費電力を下げる)ことで6時間を確保した、といったところでしょうか。

なので明るさ50の時は逆に「FPad6」(8時間41分)より延びていたりします。

消費電力

「FPad7」は18W急速充電に対応(20Wと書いてあるサイトもありますが、メーカーに確認したところ18Wとのことでした)。
しかし実際の計測では19.5Wを確認。これやっぱり実は20Wなのでは…?

外観

外箱は白箱に箔押しのロゴでちょっと高級感。
底面の表記もあっさりしていますが、技適番号も入れてほしかったですね(本体に記載されているので違反ではありませんが)。

パッケージ全体。
SIM取り出しピンはついにホールがなくなりました。

同梱物

電源アダプタは5V/3A、9V/2.22A、12V/2.67A(=20W)の出力。
格安タブレットの呪縛(同梱アダプタが10W)をついに破りました。10Wアダプタって予備にするにしても出力が低くて扱いに困るから、20Wになったのは素晴らしいですね。

マニュアルは図解入りの冊子。

マニュアルの日本語は文章はかなり日本語になっていますが、まだ機械翻訳感が残っています。
また、一部に中華フォントが残っています
がじぇっとりっぷも最近まではそんなものと流していましたが、「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。

本体

本体。
本体サイズは実は「iPlay60 mini Turbo」とほぼ同じ
しかし「iPlay60 mini Turbo」はベゼルが太く見えたのに、なぜか「FPad7」はそれほど太く感じません。

何が違うのかなぁと考えたところ、ディスプレイの角が直角でシャープな印象があること、ちょっと分かりにくいですがフィルムが数mm小さいことでベゼルの上にラインが入り、縦ボーダーだと痩せて見える原理に近いものが起きているんじゃないかと。
ちょっとした差ですが、よくできています。

インターフェース。
電源ボタンとボリュームボタンの間にあるのがリセットホール。もう一つの穴がマイクホールと思われます。

「FPad7」は厚さ8.5mmと「iPlay60 mini Turbo」(厚さ7.9mm)や「Legion Y700 2023」(同7.6mm)より厚め。
1mm以下の差ですが、かなり分厚く感じます

背面デザインはHeadwolf共通。
というか、筐体そのものは「FPad6」と同じかも。

カメラ(再掲)。
前述の通り、マイクは側面です。

保護フィルムは標準で張られていますが、ちょっと爪でこすっただけでも跡が残り、いいフィルムとは言えません。
真面目に使うのであればフィルムは張り替えた方がいいでしょう。

システム

「FPad7」のOSは、Android 14。OSの独自カスタムはなく、壁紙と独自アプリくらい。

アプリ一覧。
独自要素は「Headwolf」アプリくらいです。

その「Headwolf」アプリは実質的に関連リンク集。
また、見てわかるようにいまだにPrimeDayバナーであったりと、メンテもあまりされていません。

“設定”画面は素のAndroidそのままです。

Androidバージョンは14
セキュリティ・システムはともに2024年10月です。
なお、ビルドは2025年1月10日付となっていました。

まとめ

「FPad7」の価格は記事執筆時点でクーポン込み26,999円
「iPlay60 mini Turbo」(同24,999円)よりは価格が高くなっていますが、ディスプレイが2.5Kであることと、ストレージが256GB(「iPlay60 mini Turbo」は128GB)であるという違いがあります。

過去のタブレットの例でも128GBモデルと256GBモデルでは3,000円差とかなので、これはむしろ「FPad7」の方が割安と言えるくらいですね。

ただし検証した通りDimensity 7050はゲーム系についてはSnapdragon 6 Gen 1に後れを取っています。
一方で縦持ちで使うネットサーフィンや読書においては2.5Kの強みを存分に生かせるので、メイン用途は何かを考えて選択するのが良さそうです。

なお、2025年の小型タブレットは脱Helio G99が進み、ミドルクラスやローハイエンドが増える気配があるので、一通り出揃うまで様子見するのも一つの手です。
まぁゲームメインでもない限り「FPad7」でもオーバースペック気味なんですけどね。

おまけ

「FPad7」は素の状態だと1カラムのスマホUIです。

が、開発者向けオプションの”最小幅”を720dp以上に設定することで、2カラムのタブレットUIにすることができます。
他のタブレットでもできますが、”最小幅”の設定は解像度によって変わります。

最小幅の数字が減っていますが、これは右カラムの幅ですね。
元に戻すときは最小幅を400dp以下に設定、1カラムに戻った後に600dpに再設定します。

関連リンク

付録:ベンチマーク スクリーンショット

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