ACEMAGIC「K1」はここ最近で搭載ミニPCが増えている、Ryzen 5 7430Uを採用した比較的安価なミニPCです。
2~3万円の激安ミニPCはCeleron N5095からIntel N100にかけて爆発的に売れ、今も日々新たな機種が登場しています。
一方で現在主流のIntel N100/N150はエントリークラスらしく、メモリが1スロットだったり、絶対性能は高いとは言えない(中負荷の作業でももっさり感が出る)など、必ずしも万人を満足させるものではありませんでした。
もう少し高い負荷や充実したインターフェースを求める需要に応えたのか、2024年にはRyzen 7 5700U/5825U搭載機が4万円前後のミドルクラス機として注目を集めました。
今回レビューする「K1」はその隙間、Ryzen 7の下位となるRyzen 5を搭載し、実売が3万円台前半からのミニPCとなります。
ACEMAGIC K1

| CPU | Ryzen 5 7430U |
|---|---|
| メモリ | 16~32GB DDR4-2666/3200 |
| ストレージ | 512GB M.2 SATA SSD |
| インターフェース | USB Type-C(Gen2)×1 USB3.2 Gen2×2 USB3.2 Gen1×4 HDMI 2.0 DisplayPort 1.4b 1GbE 有線LAN×1 オーディオジャック |
| wi-fi | Wi-fi 6+BT5.2 |
| 電源 | 65W (19V / 3.42A) |
| サイズ | 128.2×128.2×41mm |
GoodPoint
✔ 価格パフォーマンス高め
✔ OEMライセンス
✔ デュアルメモリ、デュアルM.2 SSD
✔ USBが7ポートもあり、うち3ポートがUSB3.2 Gen2
BadPoint
✖ SSDがSATA+NVMe/SATA
✖ Type-Cが前面のみ
✖ UEFIの設定可能項目が少ない
パッケージ

・電源アダプタ
・電源ケーブル
・VESAマウンタ
・VESAねじ
・HDMIケーブル
・マニュアル
「K1」のインターフェース

・USB3.2 Gen2(Type-C)
・USB3.2 Gen2×2
・オーディオジャック
・電源ボタン
・HDMI 2.0
・電源ジャック
・DisplayPort 1.4b
・1GbE 有線LAN
・USB3.2 Gen1×4
「K1」の内部

内部はメモリが2枚(隙間に熱伝導シリコンシート)、M.2 2280 SSD(2280)×2スロット、M.2スロットの下にWi-fiカードがあります。
M.2 SSD(2280)×2はどちらも2280サイズですが、片方はSATAオンリー、もう片方はNVMe/SATA両対応です。
「K1」のパフォーマンス
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
| CPU | Ryzen 5 7430U |
|---|---|
| グラフィック | AMD Vega 7 |
| メモリ | 32GB(16GB×2) DDR4-3200 |
| ストレージ | 512GB M.2 SATA SSD |
ストレージ

ストレージはRayson RS512GSSD310。
Rayson(晶存科技)は中国深センのフラッシュメモリーメーカーです。

実測値はリード551MB/s、ライト472MB/s。SATA SSDなのでこんなものかと。
NVMe SSDほど早くないことが、この後のベンチマークに影響しています。
総合


PassMarkは旧バージョン(v9)と新バージョン(v11)の両方を掲載。比較はv11で行っています。
Ryzen 5 7430UはZen3アーキテクチャなので、Zen2のRyzen 5 5500UとZen3+のRyzen 5 6600Uの間、Ryzen 5 6600U寄りという位置に収まっています。
Zen2でも8コアのRyzen 7 5700Uにはマルチスレッド性能では負けて、シングルスレッド性能は勝っています。
同じZen3アーキテクチャのRyzen 7 5825Uはシングルスレッド性能は同等、マルチスレッド性能はコア数の差(6コア対8コア)が出ています。
言ってしまえば驚く要素のない、収まるべき位置に収まっているCPUですね。
Intel N100比だとマルチスレッドが2.7倍、シングルスレッドが1.4倍なので、中負荷・高負荷の作業では操作感にかなりの差が出ます。
CPU
上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド
CPUのレンダリングパフォーマンスを調べるCINEBENCHでも、傾向としてはPassMarkと同じです。
Ryzen 5 7430UはUシリーズ、つまりTDP15Wなので、長時間の高負荷に強いH/HXシリーズとは違ってスコアは伸びません。
GPU
Ryzen 5 7430UのグラフィックはVega 7。VegaアーキテクチャはRyzen 6000シリーズでRDNA2となるまで、長く使われたグラフィックアーキテクチャです。
なので、同じVegaアーキテクチャのRyzen 5 5500UやRyzen 7 5700Uとはそれほど大きな差はありません。
Intel N100比だと3.3~3.7倍ほどの差があります。
外観
パッケージ

外箱は派手過ぎず、落ち着いた雰囲気。

裏側にはざっくり仕様と認証回り。
技適番号は「220-JP8702」となっています。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(220-JP8702)
LGAI Technological Center, S.A.というスペインの認証局との相互認証となっていました。

開けると内部の緩衝材も紙で、「おっ」となりました。
これで十分だと思います。

パッケージ全体。
付属品

マニュアルは多言語冊子。

マニュアルの日本語はいわゆる中華フォントが使われています。
「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、指摘することにしています。
また、文言の一部が日本語としておかしくなっています。

VESAマウンタとマウント用ネジ。

電源アダプタ。
プラグは3ピンのミッキータイプ。

出力は19V/3.42A(=64.98W)。
筐体

本体。

インターフェースは前後のみ。
最近はLANポートを注意書きでふさいでおくのがデフォルトになっていますね。
背面下部は排気口ではなく、吸気口です。

左右は排気口が大きく開いています。

底面には丸い吸気口。

ラベルのアップ。本体にも技適番号が書かれています。

本体重量は415.5g。
内部構造

内部にアクセスするにはゴム足の下のネジを外します。
最近丸ネジ(鍋ねじ)が増えてきてる…?

底面蓋が開くかと思ったら、インターフェース面と一体化していました。

電源ケーブルは底面蓋側に繋がっています。
勢いよく開くとケーブルが千切れる可能性もあるので注意が必要です。

蓋を留めるねじと、ボードをケースに固定するネジが兼用なので、そのままボードも取り外せました。これまでになかった構造ですが、なかなか合理的ですね。
こちらも天板側の筐体にWi-fi/Bluetoothアンテナが張り付けられているので、勢いよく外さないように注意。

再掲ですが、内部全体。

メモリは16GB×2構成で、間に熱伝導シリコンシートが挟まっています。

M.2 SATA SSD。

SSDの下にWi-fiカード。
SSDはデュアルスロットで、空きスロットはNVMe/SATA両対応となっています(※SSDが刺さっていた方はSATAのみ)。


ファンはおそらくNiPoGi「E3B」と同じものですね。
というか、よく見たらインターフェースの並びも上下逆になっているだけなので、ボードデザインも同じでは…?

システム
起動前

UEFIはAMIのBIOSタイプ。

設定可能項目はとても少なく、ファン制御やモード変更などはできません。

恒例のバックアップ。
使用したのは「Macrium Refrect Free」で、バックアップサイズは58.90GBでした。
システム情報

セットアップは最初からローカルアカウントを作成できるモードになっていました。

デスクトップ。
余計なものはありません。

ライセンスはOEM_DM。正規ライセンスですね。
その場合はサポートに連絡すればOEMキーを送ってもらえます。

OSはWindows 11 Pro 24H2。

HWiNFOの情報。

CPUはTDPが28W、PL1が28W、PL2が35W。最大ジャンクション温度は100度です。
ゲームベンチマーク
[中量級] Street Fighter 6


2023年6月に発売し、全世界で460万本(2025年3月時点)を売り上げたストリートファイター6。
思ったより動作し、”LOW/FHD”だと30FPS、”LOWEST/HD”だと60FPSで動作。
さすがにプレイは難しそうです。
[中量級] FF XIV 暁月の終焉

| 設定 | スコア | FPS | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1920×1080 最高品質 | 3154 | 21.57 fps | 設定変更 |
| 1920×1080 高品質 | 4307 | 29.69 fps | 普通 |
| 1920×1080 標準 | 5821 | 40.40 fps | 普通 |
| 1280×720 高品質 | 7395 | 52.38 fps | やや快適 |
| 1280×720 標準 | 9070 | 65.36 fps | 快適 |
中量級タイトルでは、Ryzen 7 5700Uよりちょっと低い程度の、Vegaアーキテクチャらしいスコアに。
”1920×1080 標準”では40fpsに届いていますが、現行の「黄金の遺産」では29.36fpsとわずかに30fpsに届いていないので、プレイできなくはないが快適とは言えない程度となります。
ガチプレイ向けというよりは、サブ垢を軽く動かす程度の使い方になりますね。
[重量級] FF XV Windowsエディション

| 設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 1920×1080 高品質 | 1286 | 動作困難 |
| 1920×1080 標準品質 | 1751 | 動作困難 |
| 1920×1080 軽量品質 | 2328 | 重い |
| 1280×720 標準品質 | 2957 | やや重い |
| 1280×720 軽量品質 | 3733 | 普通 |
重量級タイトルだと“1280×720 軽量品質”でかろうじて”普通”評価。
プレイは困難です。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力

| アイドル時 | 5.1~5.5W |
|---|---|
| 画面オフ時 | 4.3~4.8W |
| スリープ時 | 0.77~0.98W |
| CINEBENCH(S) | 26.5W |
| CINEBENCH(M) | 45.5W / 36.7W |
| 最大 | 45.4W |
消費電力は瞬間最大で45.5W。グラフィックがそこまで電力を消費しないので、CPUのみに高負荷をかけた時が最大消費となります。
全体的にやや低めの数字で、特に不審な点もなし。
これなら常時稼働しても平均20Wくらいになりそうですし、そうすると月の電気代も500円くらいで納まりそうです。
騒音

| 状況 | 音量 |
|---|---|
| 電源オフ | 34.8dB |
| アイドル | 34.9dB |
| 最大 | 42.1dB |
| 最大(背面) | 41.4dB |
| 騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
|---|---|---|---|
| うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 |
非常にうるさい |
| 60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 |
非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる |
|
| 普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 |
大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
| 40 | 深夜の市内 図書館 |
多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 |
|
| 静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 |
非常に小さく聞こえる |
| 20 | ささやき 木の葉のふれあう音 |
ほとんど聞こえない | |
騒音については、フルロード時こそそこそこの音ですが、軽い負荷程度では耳を近づけないと聞こえない程度。
高周波成分も少なく、遠くの掃除機とか、窓を閉めた状態での雨音とか、そういう感じのあまり気にならないタイプの音です。
「E3B」と違って吸気口を大きく開けているのが功を奏していますね。
温度
HWiNFOのデータより、「K1」の最大ジャンクション温度は100℃、HTC温度制限は115.5℃、サーマルトリップ制限は125℃と、かなり高めに設定されています。


温度はHWMonitorとHWiNFOで測定。
どちらも最大84.9℃となりました。
消費電力もきっちり35W(PL1で設定された数値)までしか出ておらず、非常に安定していると言えます。
まとめ
「ACEMAGIC K1」は、性能はIntel N100/N150の2.5~3倍でありながら、騒音も少なく、消費電力もそこそこに抑えられています。
高性能機ほどの絶対性能はありませんが、Intel N100/N150では物足りないとか、メモリを2スロット使いたい、デュアルSSDにしたいという層にはちょうどいい塩梅です。
「K1」の価格(記事執筆時点の実売価格)は、メモリ16GBモデルが3.3万円強、メモリ32GBモデルが4.3万円弱。
メモリ16GBは8GB×2と16GB×1の両方が報告されていますが、メモリ16GBは5,000円もしないので、メモリ16GBモデルを買って、足りなさそうなら増設するというやり方で良さそうです。
日常使用レベルではもっさり感もなく、価格に対するパフォーマンスも良好。運用コスト(電気代)も低め。
こういうのが出てくると、オーソドックスな構成のIntel N100/N150機は厳しくなりそうです。
関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
| メーカー | ACEMAGIC | |
|---|---|---|
| モデル名 | K1 | |
| CPU | Ryzen 5 7430U | |
| GPU | Vega | |
| メモリ | 16GB×2 DDR4-3200 |
|
| ストレージ | 512GB SATA | |
| PassMark 9 | Total | 4552.1 |
| CPU Single | 2916 | |
| CPU Multi | 16783.8 | |
| 2D | 857.6 | |
| 3D | 2796.6 | |
| Memory | 1983.8 | |
| Disk | 3922.7 | |
| PassMark 11 | Total | 2569.4 |
| CPU Single | 3063 | |
| CPU Multi | 16408.6 | |
| 2D | 724.7 | |
| 3D | 2485.2 | |
| Memory | 2593 | |
| Disk | 3712 | |
| 3DMark | TimeSpy | 1361 |
| Graphics | 1200 | |
| CPU | 5700 | |
| FireStrike | 3445 | |
| Graphics | 3930 | |
| Phisics | 17223 | |
| Combined | 1103 | |
| NightRaid | 14447 | |
| Grapihics | 15860 | |
| CPU | 9603 | |
| WildLife | 6834 | |
| Graphics | 40.93 fps | |
| SteelNomad | 207 | |
| Graphics | 2.08 fps | |
| SteelNomadLight | 1121 | |
| Graphics | 8.31 fps | |
| CINEBENCH R15 | OpenGL | 99.73 fps |
| CPU(M) | 1285 cb | |
| CPU(S) | 219 cb | |
| CINEBENCH R20 | CPU(M) | 2943 pts |
| CPU(S) | 530 pts | |
| CINEBENCH R23 | CPU(M) | 7584 pts |
| CPU(S) | 1380 pts | |
| CINEBENCH 2024 | CPU(M) | 460 pts |
| CPU(S) | 82 pts | |
| CrystalMark | Mark | 544887 |
| ALU | 225968 | |
| FPU | 113157 | |
| MEM | 119000 | |
| HDD | 42084 | |
| GDI | 20060 | |
| D2D | 6888 | |
| OGL | 17730 | |
| CrystalMark Retro | All | 11501 |
| CPU-Single | 9871 | |
| CPU-Multi | 63969 | |
| 2D-text | 8968 | |
| 2D-square | 13269 | |
| 2D-circle | 12380 | |
| 2D-image | 12112 | |
| 3D-scene1 | 32786 | |
| 3D-scene2 | 15955 | |
| 3D-scene1-CPU | 7381 | |
| 3D-scene2-CPU | 4612 | |
| CrystalMark Retro2 | All | 11572 |
| CPU-Single | 9863 | |
| CPU-Multi | 63780 | |
| 2D-text | 8942 | |
| 2D-square | 13144 | |
| 2D-circle | 12212 | |
| 2D-image | 12244 | |
| 3D-scene1 | 100 | |
| 3D-scene2 | 100 | |
| 3D-scene1-CPU | 31887 | |
| 3D-scene2-CPU | 15463 | |
| GeekBench5 | Single | 1442 |
| Multi | 6580 | |
| OpenCL | 13079 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| GeekBench6 | Single | 1924 |
| Multi | 7374 | |
| OpenCL | 12864 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| PCMark | ALL | 5473 |
| Essensial | 9247 | |
| Productivity | 8604 | |
| DigitalContent | 5593 | |
| VR Mark | 1918 | |
| DQ(DX9) | 1920・最高 | 10439 すごく快適 |
| 1280・標準 | 16759 すごく快適 |
|
| FF XIV(DX11) 暁月の終焉 |
1920・最高 | 3154 設定変更 21.57 fps |
| 1920・高 | 4307 普通 29.69 fps |
|
| 1920・標準 | 5821 普通 40.40 fps |
|
| 1280・高 | 7395 やや快適 52.38 fps |
|
| 1280・標準 | 9070 快適 65.36 fps |
|
| FF XIV(DX11) 黄金の遺産 |
1920・最高 | 1873 設定変更 12.44 fps |
| 1920・高 | 3994 設定変更 27.56 fps |
|
| 1920・標準 | 4303 普通 29.36 fps |
|
| 1280・高 | 6233 やや快適 44.23 fps |
|
| 1280・標準 | 6662 やや快適 46.99 fps |
|
| FF XV(DX11) | 1920・高 | 1286 動作困難 |
| 1920・標準 | 1751 動作困難 |
|
| 1920・軽量 | 2328 重い |
|
| 1280・標準 | 2957 やや重い |
|
| 1280・軽量 | 3733 普通 |
|
| ブラウザ | jetstream2 | 304.379 |
| BaseMark | 1593 | |
| WebXPRT4 | 258 | |
| MotionMark | 2226.6 | |
| SpeedMeter2.0 | 371 | |
| SpeedMeter3.0 | 23 | |
| Octane | 76658 | |
| Octane Multi | 598553 | |
ベンチマーク結果画像






































コメント
記事のあちこちに「UM690L Slim」ってのが残ってるんですが、何の記事なのかよくわからないです
コメントありがとうございます。
テンプレートのコピペ元の部分が残っていました。
現在は修正しています。