【レビュー】Shokz OpenRun Pro:全面的に進化した骨伝導イヤホンの新フラグシップ

レビュー

がじぇっとりっぷではこれまで「Aeropex」「OpenMove」と2回、Shokz(旧AfterShokz)の骨伝導マイクをレビューしました。

特に「Aeropex」は気に入っていて一番使用頻度の高いイヤホンとなっているのですが、さすがに発売が2019年ということもあり、2022年3月に新フラグシップの「OpenRun Pro」が登場しました。

OpenRun Pro:ShokzJP

今回はその「OpenRun Pro」をレビューする機会をいただきましたので、「Aeropex」と比べながら新旧フラグシップの違いを見ていきたいと思います。
機材をご提供いただいたCyberMedia Japan様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。

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Shokz OpenRun Pro

GoodPoint
急速充電対応
アプリで設定可能に
音質の向上
マルチポイントペアリングが活用できるように

BadPoint
インナー型にはさすがにまだ一歩劣る
充電ケーブルが1本に減った

製品ページを見る

スペック

※比較のため、「Aeropex」のスペックを併記しています。

製品名OpenRun ProAeropex
モデルS810AS800
発売年2022年2019年
Bluetoothバージョンv5.1v5.0
骨伝導技術第9世代第8世代
対応プロファイルA2DP, AVRCP, HSP, HFP
対応コーデックSBC
ワイヤレス範囲10m
再生周波数帯域20Hz~20KHz
感度105±3dB
マイク感度-38±3dB
バッテリー駆動時間10時間8時間
充電時間1時間2時間
急速充電5分の充電で1.5時間再生
0-60%:20分
0-90%:30分
非対応
バッテリー容量140mAh145mAh
充電端子磁気誘導
防水&防塵規格IP55IP67
(水泳非対応)
重量29g26g
フレーム素材チタン

パッケージ・外観

外箱です。

「Aeropex」ではギミック的だった内箱は。普通になりました。

パッケージ全体です。

箱がシンプルになった代わりに、持ち出し用のハードケースが追加されました。

付属の充電ケーブルは「Aeropex」と同じものですね。
「Aeropex」では予備ケーブルが入っていましたが、「OpenRun Pro」は一本だけに減っていました。

断線した場合は公式ストアでケーブルのみの購入をすることができます。

OpenRun/OpenRun Pro/Aeropex 充電用ケーブル:ShokzJP

マニュアルは図示がメインで分かりやすくなっています。

ユーザーガイドとメンテナンスマニュアルは日本語対応。
中華フォントでもなく、言葉遣いにもおかしなところはありません。

本体です。カラーはブルーですが、ブルー…?
まぁ、原色カラーにされるよりも装着したときに肌になじむ色なので、これはこれでいいかなと。

ひっくり返すとこんな感じ。

認証マークと技適です。
技適番号は「005-102773」でした。

参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(005-102773):総務省

反対側には海外の認証番号とモデル名が書かれていました。

重さは28g。仕様では29gでしたが1g軽いです。

「Aeropex」と比較

「Aeropex」と比較すると、耳掛け部はカーブ形状が変わり、フレーム一本分深くなっています
また、スピーカー部が大きくなっています。

分かりにくいですが肌と接する部分はかなり広くなりました。

スピーカー回りはメッシュに。

反対サイドもメッシュ。

目立たない上部にもさりげなくメッシュ。
計4方向にメッシュが入っている形です。

マイクも位置が変更されています。
声を拾うマイクはより口に近い位置に、ノイズキャンセリング用の環境音マイクは口元から遠い外側の位置になりました。

コントローラ部にも変更が入っていて、充電端子が斜めになっています
今形状の変更により、バッテリー容量が145mAhから140mAhへと、わずかですが減りました。

両方を比べましたがそもそも体に触れない部分ですし、数gの差も全く分かりませんでした。
アスリートならわかるのだろうか…?

ボタンについては少し大きくなっています。ちょっとの差ですがかなり押しやすくなりました。

操作について

基本操作
電源オン音量+を3秒長押し
電源オフ音量+を3秒長押し
ペアリング電源オフ状態から
音量+を10秒長押し
音楽
再生1回クリック
停止1回クリック
次の曲再生中に2回クリック
前の曲再生中に3回クリック
通話
応答1回クリック
終了1回クリック
通話拒否2秒長押し
2番目の着信に応答着信中に2秒長押し
通話を切り替え同時通話中にクリック
現在の通話を残し
その他の通話を切る
同時通話中に2秒長押し
その他
音声アシスタント2秒長押し
言語の変更ペアリングモード中に2回クリック
バッテリー残量再生停止中に音量ボタンクリック
(+でも-でもよい)
イコライザ切り替え音楽再生中に
音量+と-を同時長押し
マルチポイント接続ペアリングモード中に
ボタンと音量+を同時長押し
マルチポイント終了ペアリングモード中に
ボタンと音量-を同時長押し

参考 OpenRun Pro マニュアル:Shokz

「OpenRun Pro」は音量ボタン(+は電源ボタン兼用)とマルチファンクションボタン一つの合計3つしかボタンを持っていないのですが、できる操作がめちゃくちゃ多いです。

とはいえ「Aeropex」の経験上、電源オンオフと再生/停止以外はほぼ使いません。

というのも、音量は最初に決めたちょうどいい音量から動かすことは少なく、通話だって誰からかかってきたかスマホを見て確認するので、デバイス側で操作することはまずないです。
一応機能としてはできるということは覚えておく程度でいいと思います。

使ってみた感想

接続について

「OpenRun Pro」は「Aeropex」と同様、電源オフ状態から電源兼用の音量+ボタンを10秒ほど長押しするとペアリングモードに入ります。

サクッとつながりますし、接続先を切り替えるときも本体のみで操作できるのがとても便利です。

マルチポイント接続は2台のデバイスに同時接続できるのですが、ちょっと手順が面倒なのと、基本的に2番目に接続した方が主となり、切り替え方法がアプリしかない(本体でもできるっぽいけど切り替え方法がマニュアルに載っていない)ので、アプリなしだといまいち使いづらいです。

アプリについて

Shokzは最近スマホ向けの設定アプリをリリースしました。
現時点では対応製品は「OpenRun Pro」のみで、今後増えると思われます。

アプリはシンプルながらまとまっていてわかりやすいです。
アプリ経由だとバッテリーが1%単位で確認できます。

マルチポイントペアリングの設定の他、言語の変更、ファームウェアアップデートなどが行えます。

マルチポイントの切り替えはアプリ経由の方がダントツに使いやすいというか、上で書いたように本体のみだと使い方がよくわからなかったのでとても助かりました。

がじぇっとりっぷの場合、スマホとPCに同時につないで、スマホは設定変更のコントローラーにしてPCで曲を聴くというスタイルに落ち着きました。

外出時はアプリでPC側の接続を外してスマホの曲を聞き、帰宅時にアプリで再接続。PC側での接続操作は不要なので結構便利です。

Shokz - Google Play のアプリ
Shokzイヤホン用アプリ
‎Shokz
‎主な特徴 1)豊かなオーディオ体験 OpenRun Proは2つのEQモード(標準とボーカル)、OpenFitは4つのEQモード(標準、ボーカル、バスブースト、トレブルブースト)を内蔵し、さらにOpenFitのEQをパーソナライズして自由に聴覚のごちそうを楽しむことができます 。 2) コントロールのカスタマイズ

かけ心地について

「OpenRun Pro」のかけ心地は「Aeropex」に比べてちょっと固いかなぁといったところ。
とはいえこれは「Aeropex」も当初は同じだったので、「OpenRun Pro」も使い続ければこなれてきて、固さは取れるでしょう。

装着感は、「Aeropex」とは結構違います。
並べた画像でも見たように耳掛け部分の深さに差があり、「Aeropex」だとストッっという感じでフィットするのですが、「OpenRun Pro」はスッポンとはまり込むような印象。固定感は「Aeropex」より高いです。
その分ふわっと感というか遊びが小さくなるので、「Aeropex」から移行すると感覚の違いに戸惑うかも。

骨伝導マイクの特性上、スピーカー部をこめかみに押し付ける必要があるので、軽くではありますが左右から圧迫されます。
「Aeropex」より接触面積が広い分、圧力が分散していますが、それでも5~6時間ほど装着していると少し頭が痛くなります。
これも使い続けていると柔らかくなり、必要以上の圧迫なしに装着できるようになると思います。

圧迫感があるような書き方になっていますが、インナーイヤーと違ってそもそも耳には触れないので耳の穴が痛くなることもなく、負荷とか違和感といった点ではインナーイヤー型よりはるかに軽いです。

フレームについて

上の画像でもわかるように、「OpenRun Pro」は後頭部をぐるっと回るようにフレームが位置しています。

「Aeropex」の時もそうでしたが、この位置だとフード付きコートなどを着た状況で上を向くと、服と干渉します。
あと、ゴロゴロと寝ながら使うのにも向きません。

まぁそもそも、トレーニングや運動中の仕様が主用途で、厚着も、寝ながらの使用も用途の範囲外なので文句を言うべきポイントではないのですが、シーンを選ばず使えるイヤホンではないということは念頭に置いておいた方がいいかと。

音質について

音質については明らかに「Aeropex」より向上しています。
中音・高音についてはインナーイヤー型にかなり近いところまできました。
スピーカー自体はインナーイヤー型と変わらないかそれ以上の再現力を持っていますが、骨伝導の特性上、解像度の高さはどうしてもインナーイヤー型には一歩劣ります。

「Aeropex」と比べると、まず最初に違うのがアナウンス。
「Aeropex」ではこもった声だったのがクリアになっています。
単に撮り直しただけなのでしょうが、第一印象が全然違うので、あとの聞こえ方にもバイアスがかかります。

全体的に音の角がしっかりしていて、鮮明感が高くなっているというか、聞き比べると「Aeropex」の音はややボケた感じなのだなぁと。
「Aeropex」単体だと気になる程度でもなかったのですが、一緒に効くと金属音の尖り具合などが全然違いました。

低音の出方も全然違っていて、「Aeropex」は違いが分かる程度に音が軽く聞こえます。

中音・高音もヴェールが1枚はがれたような感じで音が少しクリアになりました。
そのため、「Aeropex」ではつぶれていた細かい音もだいぶ聞こえるようになり、全体の解像度が高くなっています。

人の話し声はコントラストを強くした感じで、ここは「Aeropex」の方が自然な感じです。
でも聞きやすさの点では「OpenRun Pro」に軍配が上がります。

イコライザーについて

「OpenRun Pro」はノーマルモードとボーカルモードのふたつのモードを切り替えられます。
ボーカルモードは中音を持ち上げて話し声を聞きやすくするというものです。

切り替えると確かに中音が持ち上がるのですが、楽曲で適用するとシャカシャカ感が強くなり、ギターやピアノなど中音を出す楽器の音の方が持ち上げられて逆にボーカルがややかすむという。
説明通り、音楽を聴くならスタンダードモードの方がいいです。

なのでボーカルモードというよりはトークモードと考えたほうがいいでしょう。

音漏れについて

骨伝導イヤホンは音の出る位置が体表上にある以上、音漏れについては相応にあります。
どのくらいかというと、80%の音量だと60~70cm離れていても普通に聞こえるくらいです。

「Aeropex」と比べた場合、気持ち程度ですが漏れる音が大きくなっている気がします。
メッシュ構造になった分大きくなったのかなとも思いますが、はっきり大きくなったとは断言できない程度の差です。

防水防塵について

「OpenRun Pro」の防水防塵性能はIP55で、「Aeropex」のIP67から下がっています。

IPX5:3分間の噴流(12.5L/分)に耐える
IPX7:水面下1mに30分放置しても水が浸入しない

まぁ、比較写真で見たように、メッシュを多用する構造に変更されているので水没は厳しいということはわかります。

それに名称に「Run」と入るように、あくまでターゲットとしているのは運動中の使用であり、汗とか雨に耐えたうえで「Aeropex」以上の音を、というのが「OpenRun Pro」に求められるところです。

Shokzでは先日、水泳でも使える「OpenSwim」をリリースしたので、「Aeropex」のような万能性をやめて(と言っても「Aeropex」も水泳不可ですが)、使用シーンに合わせて最適化する方向に舵を切ったということでしょう。

駆動時間について

「OpenRun Pro」の駆動時間は仕様では10時間とされています。

TWS(完全ワイヤレスイヤホン)に比べて動作時間が長いので経過は省略しますが、音量80%で計測したところ、10時間で残り17%、12時間8分で充電アナウンス(残り2%)、12時間24分で電源オフとなりました。音量80%は少々うるさいくらいなので、実使用時はさらに長時間となるでしょう。

「Aeropex」は音量・中で820分(13時間40分)だったので、バッテリー容量がわずかに減ったとはいえ、同程度の使用時間は確保できていることになります。

充電についても仕様通り1時間程度。レビュー期間中に何度か充電しましたがさっと充電完了です。
比較用の「Aeropex」を充電したときは、そろそろ終わったかな?と見ても「あれ?まだ赤い(充電中)」となったのに、そういうストレスがありませんでした。

音域について

音域テストには「WaveGene」というアプリを使用しています。

テスト信号発生ソフト WaveGene

※昨年末か今年の初めころに開発者サイトが閉鎖されましたが、archive.orgでダウンロードできます。

低音域は40Hzから出ています。こめかみがプルプルします。鼓膜で聞くと30Hzから鳴っているので、この10Hz分が骨伝導で伝わらない低音部となります。
200Hzがいちばんくすぐったいというか、耳の中の空気が振動してこそばゆいです。400Hzを超えるとこそばゆさはなくなります。

高音は13,000Hz付近で聞こえなくなりました。鼓膜で聞いた場合は15,000Hz付近まで聞き取れたので、この辺りに骨伝導の弱さを感じられます。

また特性として5,500Hz~6,500Hz付近が弱く、9,700Hz付近をピークとして9,000~10,500Hz付近が強めです。
これは音の角が尖って聞こえる要因の一つかなと。

まとめ

AfterShokzがShokzとブランド名を変更してから初のフラグシップとなる「OpenRun Pro」は、「Aeropex」から順当にかつ全面的に進化しつつ、運動中の使用に特化した製品と言えます。

装着感が深くなったのも激しい運動中に外れないことが目的でしょうし、マルチポイントペアリングとスマホアプリの組み合わせは家の外と内をスムーズにつなぐ一助となっています。

2週間程度では「Aeropex」との装着感の差に慣れないですが、音質が向上しましたし、アプリが便利ですし、今後は外に出るときは「OpenRun Pro」がメインですね。

関連リンク

OpenRun Pro:ShokzJP

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