【実機レビュー】KTC M27P6:デュアルモードでHDR1400なのに割安な、超コスパゲーミングモニター

レビュー

2025年2月、KTC(KEY TO COMBAT)から4K160Hz/FHD320Hzのデュアルモードに対応した、27インチゲーミングモニター「M27P6」を発売しました。

デュアルモードに加え、1152ゾーンのminiLED、VESA DisplayHDR 1400対応、最大320Hzのリフレッシュレートなど、ハイエンドゲーミングモニターにふさわしいスペックを備えています。

それでいて価格は定価89,980円、セール時は7万円台。DisplayHDR 1000/1400対応と言えば最低でも10万円というかつてのラインを大幅に下回る、コスト感に優れるKTCらしいモニターです。

当レビューはメーカーより機材提供を受けたものですが、内容自由で書かせてもらっています。当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いていきます。
また、機材を提供いただいたKTC様にはこの場をお借りして御礼申し上げます。
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KTC M27P6

画面サイズ 27インチ
解像度 4K(3840×2160)/160Hz
FHD(1920×1080)/320Hz
表示色 10.7億色(8bit+FRC)
輝度 1400cd/m2 (Typ)
分割数 1152ゾーン
色域 145% sRGB
インターフェース HDMI 2.1×1
DisplayPort 1.4×1
Type-C(65W給電)
USB3.0×3
オーディオジャック
サイズ 613.336×453.835×77.87mm

GoodPoint
スペックの割に安価
DisplayHDR 1400認証
4K/FHDのデュアルモード
3年保証

NotLikePoint
ジョイスティックが背面

KTC様より、ブラックフライデーセールに合わせた5%オフクーポンをいただきました!

クーポンコード:KTCXTRIP
クーポン対象:KTCの全商品
クーポン期限:11月21日~12月1日

KTCとは

KTC(KEY TO COMBAT)は1995年に設立された、中華人民共和国広東省深センに本社を置く企業です。
正式会社名は「Shenzhen KTC Technology Co., Ltd.(深圳KTC科技有限公司)」で、日本国内では「KTC科技日本株式会社」として日本事業部を展開しています。

日本ではゲーミングディスプレイで進出、現在は総合モニターブランドとして日本語サイトも開設しています。

KTC JP

ただ日本ではKTCといえば工具メーカーの京都機械工具株式会社が先に来るので、最近はKEY TO COMBATにリブランドしています。

デュアルモードについて

デュアルモードとは二つの動作モード、モニターの場合は冒頭の説明の通り、二種類のネイティブ解像度で動作することを指します。

比較的最近になって登場した技術で、2023年4月に発売されたRazer「Razer Blade 16」が、おそらく世界初のデュアルモードディスプレイです。
モニターだと2024年5月発売のLG「32GS95UE-B」、2024年9月発売のDELL「AW2725QF」、2024年11月発売のASUS「ROG Swift OLED PG32UCDP」(発表は2024年1月)、あたりが初期のデュアルモードモニターとなります。

現在でこそミドルクラス(5万円前後)で対応するモニターが登場していますが、の2024年~2025年前半まではデュアルモードはハイエンドモニターに搭載される機能であり、「M27P6」もその頃の製品となります。

DisplayHDRとは

DisplayHDRは、米国VESA(Video Electronics Standards Association)が策定した、PCモニターなどのディスプレイが持つHDR(High Dynamic Range)性能を保証するための規格です。

画面の輝度(明るさ)、コントラスト、色域、応答時間といった具体的な性能基準が定められていて、DisplayHDR 400からDisplayHDR 1400までの5段階および、有機EL向けのDisplayHDR TRUE BLACK 400からDisplayHDR TRUE BLACK 1000までの4段階の、計9レベルの認証が用意されています。

DisplayHDR 1400は現時点で最上位の認証となります。

Performance Criteria 1.2 241227 - VESA Certified DisplayHDR™
Summary of DisplayHDR Specs under CTS 1.2 The table below is a summary of the specifications for the VESA DisplayHDR and

外観

外箱

外箱はKTC共通デザインではなく、フルカラーの化粧箱です

中が発泡スチロールなのは以前にレビューしたKTC製品と変わりません。

付属品

付属品はDisplayPortケーブルとType-Cケーブル、電源アダプタ、スタンド脚。
ツールレス組み立てなので、簡易ドライバーは付属していません。また、HDMIケーブルも付属していません
考えてみればHDMIケーブルって大体PC側にも付属するので、モニター側でも付属させるとダブるんですよね。

電源アダプタは24V/10A(=240W)出力。さすが超高輝度モニター、消費電力も高そうです。

マニュアルとキャリブレーションレポート。
キャリブレーションレポートは一台ずつのキャリブレーション結果というより、この基準を満たしていますよ的なものです。

マニュアルは日本語オンリーの日本向け専用。
ざっと見た範囲では中華フォントではなくちゃんとした日本語フォントになっていました。

本体

本体背面。ハイエンドモニターとしては珍しく、白系(灰白色)です。
中央のスタンド固定部はVESAマウンタにも対応。左下にOSD操作用のジョイスティックが見えます。

「M27P6」は最大で1400nitsを超える高輝度モニター、つまりその分発熱も大きいので、吸気口が大きく取られています

ジョイスティックのアップ。
本体に結構厚みがあるので、下からは指が届きづらく、横から触りに行く必要があります。

個人的には、これだけ厚みがあるならジョイスティックを底辺側に持ってきて欲しいなぁと思うところなのですが、メーカーに確認したところ「正面からの美観を保つための設計」とのことでした。
ポリシーを持ってのデザインなら仕方ありませんが、ジョイスティック周りを広くへこませて、正面から見て飛び出さないようにする、じゃダメだったんだろうか…

インターフェースはHDMI 2.1×2、DisplayPort 1.4×1、Type-C(65W PD給電対応)、KVM対応のUSBハブ、オーディオジャック。
左右がやや詰まっているので、あまり端子部の大きなケーブルは干渉しそうです。

KVM機能はType-CとUSB Type-B(USB UPと書かれているポート)で、Type-Aポートにつないだキーボードやマウスなどを共有できる機能です。

組み立てはツールレス。
スタンド脚をはめ込んで…

スタンド台座を固定すれば完成。

スタンドの可動範囲。

使ってみて

「M27P6」のデフォルトは4Kです。
HDRモードにすると、明るさ上限は1,015nits。…1400nitsだったのでは…?

デュアルモードでFHDに切り替えると、明るさ上限が1,405nitsとなりました。
FHDモードでは2×2ピクセルを束ねて1ピクセルとして扱うので、輝度を稼ぎやすいというわけですね。
また、320Hzまで選択できるようになっています。

ちなみにFHDモードに切り替えた時だけ、こんな表示が(4Kモードに戻したときは出ない)。

OSD

OSDは中央に表示。

ちなみにFHDモードと4Kモードでは表示サイズが異なります

DDC/CI(Display Data Command Interface、PCとの双方向通信規格。アプリで明るさやコントラストなどを調整できるようになる)にも対応。

…ああ、うん。カタカナってわかりにくいよね…

ショートカットメニューは右下に表示。
よほど細かく設定するのでなければ、このくらいで十分ですね。

初期ロットのレビューではファームウェアバージョンがJPN-1.0.2でしたが、レビュー機はJPN-1.0.5となっていて、ショートカットにデュアルモードを割り当てることができるようになっていました(※JPN-1.0.3からショートカット登録できるようになったそう)。
初期のレビューではショートカットにデュアルモードが割り当てられずに不便という評価が見られたので、大きな改善ですね。

「M27P6」はUSBメモリを使ったファームウェアアップデートに対応していて、ファームウェアも公開されています(メーカーに確認したところ、記事公開時点のバージョンは1.0.8とのこと)。

でも、オフが4K、オンがFHDというのは分かりにくいので、普通に4K/FHDって書いて欲しい…

メニュー レベル1 レベル2 レベル3
ディスプレイ 明るさ 0~100
コントラスト 0~100
ブラックイコライザ 0~100 (10刻み)
プリセット ユーザー設定/映画/写真/Eco/読書/RTS/FPS
アスペクト比 Full/16:9/4:3
鮮明さ 0~100 (10刻み)
Proモード ネイティブ/sRGB/AdobeRGB/DCI-P3/BT.2020
カラー 色温度 標準/暖色/寒色/ユーザー設定
ガンマ値 Off/1.8/2.0/2.2/2.4
色相 レッド/グリーン/ブルー/シアン/パープル/イエロー
彩度 レッド/グリーン/ブルー/シアン/パープル/イエロー
ブルーライト 0~100 (25刻み)
色の範囲 自動
ゲーミング設定 Adaptive-Sync On/Off
応答時間 オフ/標準/高速/超高速/ダイナミックOD
ゲームアシスト タイマー オフ~90分(15分刻み)
クロスヘア― 6種類
FPSカウンター On/Off
RGBライト オフ/ブリージング/レッド/グリーン/ブルー
MPRT On/Off
低い入力ラグ On/Off
デュアルモード On/Off
詳細設定 HDR Off/VESA/ゲーム/シアター/HDR600
ローカル調光 オフ/自動/低い/標準/高い
KVM Off/自動/USB UP/Type-C
DDC/CI On/Off
OSDスタイル オレンジ/ブルー/レッド/グリーン
入力 自動選択/Type-C/DP/HDMI
システム設定 言語 日本語など9言語
OSD設定 水平位置 0~100
垂直位置 0~100
表示時間 15~60秒(15秒刻み)
透明度 0~100(20刻み)
OSD回転
OSDスタイル オレンジ/ブルー/レッド/グリーン
LED オフ/薄暗い/明るい
サウンド設定 ミュート On/Off
ボリューム 0~100
ホットキー 左右・下の割り当て(上は固定)
ソフトウェア更新
リセット

メニュー内容の一覧。一覧には出していませんが、パープルがペープルになっていたり、意味は通じるけどカタカナのミスがやたらと多いです。

パネルについて

比率 カバー率
sRGB 145.1% 100.0%
Adobe RGB 107.6% 93.8%
DCP-P3 107.0% 96.9%
NTSC 102.8% 91.2%

色域実測はsRGB比145%と、仕様通りの超広色域。

ガンマ特性はSDRモードとHDRでちょっと異なっています。
SDRでは予想以上に見事な直線を描いていますが、HDRではやや弧を描く形となり、中間付近ではやや強く発色する傾向にあるようです。

i1Display Proによる色精度。補正後の結果ですが、驚異の平均ΔE=0.6を叩き出しました。
ゲーミングにとどまらず、色に厳しいクリエイター用途でも十分使えますね。

ちなみに、HDR時の色精度は平均ΔE=7.8。
そもそもこの色精度がSDRを基準としている以上、HDR時はでたらめな数値になることは避けられません。
SDRできっちり精度が出ている以上、HDRモードでの数字を語るのはお門違いというものです。

カラー表示は特に違和感なし。
青の部分が紫がっているのはカメラ側の特性です。

斜め表示はこんな感じ。

照明を消した状態。

リフレッシュレートについて

「M27P6」の最大リフレッシュレートは320Hz(FHD時)。

というわけで、簡単にUFO Testで確認。960FPSのスーパースローで撮影しています。

人間の目で見ると、40fpsはコマ落ち、80fpsはコマ落ち感は少ないけれど背景の星が線に見える、160fpsと320fpsはどちらも滑らかな動きだけど、160fpsの方が心持ちカクついているかなぁといったところ。

輝度について

明るさ 輝度(cd/m2)
HDR
輝度(cd/m2)
SDR
100 667 592
90 601 572
80 543 552
70 478 542
60 428 522
50 367 502
40 314 410
30 258 329
20 201 234
12 157 159
10 147 149
0 90 53

輝度についてはi1Displayで測定。
「M27P6」の明るさは仕様上はピーク輝度が最大1400nits。全白実測では660nits程度となりました。

HDR時・明るさ100での各ポイントの輝度。カッコ内は輝度計での計測。
数年使い込んだi1Displayと安価な輝度計なのでどちらも数値の信頼性が微妙なのですが、どちらも右上が明るくて左下が暗いという傾向が出ています。

仕様より数字が低いじゃないか!と思うかもしれませんが、ピーク輝度ではきっちり1400nits以上出ています。

光漏れについて

「M27P6」は、1152ゾーンのminiLED液晶です。

明るいところで正面から見ると違和感はありません。

暗いところだと黒も締まって見えます。

が、斜めから見ると光漏れが起きていて(ハロー現象)、有機ELのような完全な黒ではないことが分かります。
とはいえ、調光技術もどんどん改良されているので、来年あたりには低ハローを謳うモニターが出てくるんじゃないかなぁと。

消費電力について

明るさ FHD/320Hz
HDR
FHD/320Hz
SDR
0 36.7W 19.9W
15 45.9W 30.0W
100 76.1W 56.8W
明るさ 4K/160Hz
HDR
4K/160Hz
SDR
0 42.3W 25.3W
15 50.8W 35.3W
100 77.9W 62.0W
瞬間最大 90.8W

実験的に消費電力も計測してみました。
デスクトップ画面表示で計測しましたが、さすがにHDRモードで明るさ100だと4KでもFHDでも結構消費します。

ただ、あまり意味なかったかなぁと。
というのも、上の画像はがじぇっとりっぷが検証でよく使っているYouTubeの「Morocco 8K HDR 60FPS (FUHD)」を全画面で表示させたときのものですが、シーンによって消費電力が大きく変動していることが分かります。

消費電力を考えるというのであれば、瞬間消費電力ではなく一か月とかの長いスパンで計測しないと、実態は掴めないでしょう。

ブラックイコライザについて

暗部を持ち上げるブラックイコライザは0から100までの11段階。標準は50で設定されています。

SDRモード。それなりに暗いところが持ち上がり、割と使い勝手が良さそう

HDRモードだとさらに効果が強く出るというか、白くなりすぎですね。
なんというか、HDRのいいところを潰すだけの結果となっているので、HDRモードではほどほどに抑えた方が良さそうです。

その他表示例

表示例とはしていますが、そもそも画像はSDRなので、モニターの明るさを正しく表現できていない点に注意
実際の目で見ると、砂漠のシーンはこんなぼんやりした太陽ではなく、中心がもっと明るいですし、原神もコントラストがしっかりしています。

まとめ

「M27P6」の価格は89,980円セール時には7.2万円程度になることもあります。

1400nitsを超える明るさは強烈で、YouTubeのHDR動画は生々しさというかリアル感が強く出ます。映画をはじめとした動画鑑賞からゲーミングまで、気持ちよく使えます。
ハロー現象も、正面から見る分には気にはなりませんし、部屋を真っ暗にして見るとかでもない限りは意識することもないでしょう。

輝度の調整に癖があるのか、ほんの一部だけ明るいのは苦手なようで、画面の3割程度が明るくないと本領を発揮しないのは惜しいところ。
まぁそれでも並みのモニターに比べればはるかに明るいのですが。

ジョイスティックの位置とか不満もないことはないのですが、価格を考えれば文句はないレベル。
10万円以下のモニターとしては十分におすすめできる一台と言えます。

KTC様より、ブラックフライデーセールに合わせた5%オフクーポンをいただきました!

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