【レビュー】 Topjoy「Falcon」はUMPCとしてコストと性能のバランスが取れた良機種でした

PC

がじぇっとりっぷでは時折UMPCを取り上げていますが、実のところ、これまで所有はしていませんでした。
外ではスマホで間に合うため、あまりモバイルしたいとも思っていなかったのですが、たまたま安く手に入れる機会があったので、一台くらいは持っておこうと購入したのがTopjoy「Falcon」です。

がじぇっとりっぷでもちょうど1年前に取り上げています。

Topjoyの8インチUMPC「Falcon」がKickstarterでファンディング開始
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Falcon

GoodPoint
使いやすいサイズ感
メモリ8GBの安心感
一通り揃ったキーボード

BadPoint
スクロールできない光学ポインタ
ファンが結構うるさい
グラフィックが非力

スペック

メーカーTopJoy
名称Falcon
発売日2018/10
定価399ドル(128GB)
469ドル(256GB)
実売価格59,800円
価格条件
CPUPentium N5000→J5005
グラフィックUHD 605
メモリ8GB
メモリ規格LPDDR4
メモリ増設×
2.5inch×
M.2128GB/256GB SSD
画面8インチ
400 lumen
解像度1920×1200
ベゼル幅
表面Gorilla Glass 4
タッチ対応
光学ドライブ
USB2.0
USB3.01(3.0)
USB3 type-c1
USB PD
HDMImini
LANポート
wi-fi802.11 ac
Bluetooth4.1
office×
カードリーダー×
Webカメラ×
赤外線カメラ×
NFC×
指紋センサー×
Windows Hello×
オーディオジャック
マイクデュアル
スピーカーステレオ(1W)
スピーカー位置側面
サウンド
キーピッチ
キーストローク
キーボードバックライト
バッテリー22WHr / 3.8V
稼働時間8Hr
ACアダプタ30W / 12V
充電時間
急速充電30分充電で3時間稼働
200mm
奥行き130mm
高さ20mm
重量0.65kg
開口角度360°
カラーシルバー
その他特徴アクティブペン(オプション)
2年保証

外観

「Falcon」の箱は真っ白な四角にロゴだけが入ったもので、品があります。
裏側にはスペックの記載されたラベルが貼ってありました。

中身はシンプルで、本体、電源アダプタ、スタイラスペン、説明書、保証書となっています。

電源はUSB Type-C接続で、12V@5A(=30W)です。
PSEマークもきちんと入っています。

スタイラスペンは某Surface Penに似ているような。
単6電池一本で駆動します。

右サイドにはUSB3.0 Type-C、miniHDMI、オーディオジャック、USB3.0が並んでいます。

左サイドは排気口のみとなっています。

キーボードは「OneMix」系のキー配列です。
サイズの割にキーの数が多いので、キーを探すことはあっても、この文字が打てないとなることはありませんでした。
何気に右シフトキーがあるのが助かります。

背面は無地です。
ごちゃごちゃしたのは苦手なので、このすっきりした背面は好感が持てます。

底面には吸気口とロゴがあります。

ロゴの下には技適マークも付いていました。

ヒンジ部は2段階になっていて、360°回転が可能な仕組みになっています。

ディスプレイを360°回転させると少し隙間ができます。
強く押すとくっつきますが、ちょっと強めにタッチするくらいでは動かないので、意外と使いづらくはないです。

メイン機である「ideapad 720S」と比較すると、半分以下のフットプリントです。

システム

起動直後のデスクトップはすっきりというか、素のWindows 10です。

CPUはPentium J5005、メモリは8GBでスペック通りです。世界的なIntelのCPU不足により、Pentium N5000が調達できなかったとかで、CPUが当初予定より変更されています。
ストレージ使用量は16.3GBと比較的少なめです。

CPU-Zはv1.85だとなぜかPentium J4105になりました。

一瞬焦りましたが、v1.90にバージョンアップすると正しく表示されました。

SSDはNetacという、聞いたことのないメーカーのものでした。

デバイスを見ると、SSDのメーカー名が違う上、モデル名から推測する128GBになっています。なんでだ・・・
Wi-fiはIntel AC3165なので、通信は802.11acに対応しているものの最大433Mbps、Bluetoothは4.0ですね。

CrystalDiskMarkではリード546MB/s、ライト477MB/sと、悪くない数字です。
UMPCではeMMCが多いので、500MB/s超えのSSDというのは優秀な部類となりますね。

バッテリーは22WHrで、このサイズとしては結構大容量です。

起動直後のメモリ使用量は1.4GBと少なめ。

スタートアップ登録アプリが素の状態なので、余計なものが起動していないからメモリ消費量も抑えられているようです。

ベンチマークアプリをUSBメモリから転送したら、コンスタントに110MB/s前後となりました。

使ってみた

「Falcon」は持ってみると結構ずっしりとしています。
表面は梨地加工になっていて、指紋が残りません。
ディスプレイを閉じると結構力強く閉じるので、そのままかばんに放り込んでもそうそう開くことはなさそうです。

動作感

動作はさくさくとまではいかないもののそれなりに動きますが、Core機に比べるともっさりしています。
タスクマネージャーを見ていると、メモリやストレージは余裕なのですが、アプリを開くたびにCPUが数秒〜十数秒100%に張り付いていました。

ネットサーフィンは、リッチに作られたサイトは結構重く感じます。
20タブくらい開いていると、メモリは余裕なのにCPUに余裕がなくなってきます。この辺りがPentiumの限界みたいです。

ただ、ブラウザで数枚タブを開いて、画像編集しながらタスクマネージャーで様子を見る、くらいであれば結構さくさく動いていたので、そこは4コアの面目躍如といったところでしょうか。

外でさっとブログを書くくらいなら問題なくこなせそうです。

キーボードについて

キーボードは、思ったよりは使いやすいです。
キートラベルは1.5mmくらいですが、キーを押し込むとフレームより0.5mmくらい下まで下がるので、指にフレームの角が当たります。キーの端を押す人は長時間使うと指の腹が痛くなるかもしれません。

幅の狭さはあまり気にならず、記号キー(アンダーバーとか)を探すのに最初戸惑うくらいでしょうか。
DeleteキーとBackSpaceキーはひたすら押し間違います。なんでDeleteが下やねん。

問題は光学ポインタです。
「ThinkPad」のトラックポイントより反応が鈍く、またちょっとピーキーな動きをするので、短期間の使用では慣れませんでした。
スクロールができないのもちょっとつらいです。

結局、矢印キーとショートカットキーを駆使して、なるべく光学ポインタに頼らないような使い方になりました。

ファンについて

ファンは5段階くらいに回転数が変化します。
一番低い時は気になりませんが、2段階目くらいから音が気になり始めます。
風切り音のようなフォーンという高音ではなく、高速でカリカリカラカラといった感じの音だったので、多分軸音です。
そして音の割に排気量が少ないという…

音量について、ディスプレイ手前30cmの位置で測定したところ、ファンが最大に回っている時で41.3dBでした。
音量の目安では図書館内、静かな深夜、会話に支障ないレベルとなっています。
遠くから聞こえる音なら気にならないでしょうが、近くで鳴っているので目安以上には気になります。

ファン停止のショートカットが用意されているので、静かな場所、隣に人が座っている場所では使いわけたほうが良さそうです。

タブレット的使い方

「Falcon」は2-in-1なので、ひっくり返して、タブレット的に使うことも可能です。
しかし実際にやってみると、可能というだけであって、使いやすいわけではありませんでした。

まず、通常の8インチタブレットに比べてベゼルが広く、全体的に幅があることと、厚みが結構あるのでかなり持ちづらいです。
持っていても手が疲れるので、タブレット的使い方はあまり実用的とは言えません。

テントモードにしても、「Falcon」は底面にスピーカーがあるわけではないので、特に音の聞こえが良くなるわけでもなく、普通にディスプレイを開いているのと変わりありません。
キッチンなどで水の飛びにくい向きにキーボードを向けておくことができる、くらいでしょう。

薄々気付いていましたが、2-in-1ってあまり使いどころが無いです…

ベンチマーク

対象アプリ一覧

※50音順

3D Mark v2.0.6799
BBench
CINEBENCH R15.0
CrystalMark 2004R7 v0.9.200.452
DQ X ベンチマーク v1.51
FF XIV 紅蓮の解放者
FF XV v1.2
Geekbench 4.4.2
Geekbench 5.0.1
PassMark 9.0
PCMark 10 v2.0.2115

※ベンチマーク条件

BBenchはキーストロークのみ、およびFF XIVループの2種類
DQ Xは1280×720・標準、および1920×1080・最高品質の2種類
FF XIVは1280×720・標準
FF XVは1280×720・標準

ベンチマーク結果

ベンチマーク結果を一言で言うと、CPU処理能力はシングルスレッド性能とグラフィック性能はCore m3-6Y30の3/4、マルチスレッドはCore m3-6Y30の1.5倍、といった感じでした。
がじぇっとりっぷでレビューしていないCPUも入れると、Celeron N4100の僅かに上になります。
※比較のためにNEC「HZ300/DAB」のスコアを併記します。

また、使用感で書いたように、大量のブラウザタブを開くとCPU使用率が100%になって、ゲームベンチループ時と大して変わらない結果(7496秒)となったので、キーストロークのみとなっています。

グラフィック能力が低いのは意外でしたが、CPUについては実際に使ってみた感触とだいたい一致しています。

メーカーTopjoyNEC
モデル名FalconHZ300/DAB
CPUPentium J5005Core m-6Y30
GPUUHD 605HD 515
メモリ8GB4GB
ストレージ256GB128GB eMMC
PassMarkTotal1313.21405.8
CPU Single12071277
CPU Multi2667.43061.4
2D297.9365.9
3D367.7555.9
Memory974.21286.8
Disk4144.3834.2
GeekBench4Single19882665
Multi60134258
OpenCL962211289
OpenCL(dGPU)
GeekBench5Single456598
Multi15111018
OpenCL16002548
OpenCL(dGPU)
CrystalMarkMark156272113067
ALU4535728514
FPU2454620117
MEM2941424787
HDD3809119697
GDI1042510020
D2D28564000
OGL55035932
CINEBENCH R15OpenGL15.63fps20.43fps
CPU(S)78cd81cd
CPU(M)239cd132dc
1.2GHz
PCMarkALL18621806
Essensial48134803
Productivity29102768
DigitalContent12521205
3DMarkNightRaid16391933
Grapihics18482122
CPU10011286
TimeSpy135169
Graphics118149
CPU880830
CloudGate31343057
Graphics34321897
Phisics24051743
FireStrike394394
Graphics423434
Phisics35152453
Combined139134
SkyDiver15341696
Graphic14341656
Phisics25912184
Combined14171476
IceStorm2272728220
Graphics2213131607
Phisics2509720525
IceStormEX1651320223
Graphics1502520163
Phisics2527420419
IceStormUnlimited3525037979
Graphics3626143656
Phisics3211826100
DQ(1280・標準)28773060
DQ(1920・最高)11391389
FFXIV(1280・標準)10821003
FFXIV(1920・最高)
FFXV(1280・標準)343390
FFXV(1920・最高)
bbench軽度(web)19609(5.45Hr)15364(4.27Hr)
強度(FF XIV)6526(1.81Hr)4949(1.37Hr)

消費電力・騒音

消費電力は高めですが、気になるほどではありません。
充電しながらベンチマークを回すと定格の30Wを超える瞬間があったのはちょっと驚きましたが、そのくらいですね。

アイドル時7.0W
スリープ時0.6W
充電中(アイドル)24.0W
充電中(OFF)16.5W
CINEBENCH(S)10.8W
CINEBENCH(M)14.2W
最大25.9W
最大(Charge)31.0W
騒音(最大)41.3dB

ベンチマーク結果画像

まとめ

「Falcon」は1年前の製品ですが、性能面はまずまず、モバイルできるサイズ感は文句無しで、重さもカバンに入れる分にはペットボトルが一本増えたくらいの感覚です。
今どきはだいたいスマホで完結できますが、出先でのメール返信やブログ作成など、ライトな用途でかつ長文入力する必要がある場面などには十分使えると思います。

一方で、全てを台無しにしているのが光学ポインタです。
操作している間、何度「小さくてもいいからタッチパッドが欲しい」と思ったことか…
一応タッチディスプレイで代用できなくもないのですが、一度キーボードに手を置くと、ディスプレイに手を伸ばすのって結構面倒なんですよね。

とはいえ、昨今のトレンドであるCore m3-8100Y搭載UMPCも、全て同じ問題を抱えています。
この問題をクリアしているのは8.9インチの「MAG1」ですが、CPUがAtom x5-Z8350なので、これはこれでどうなんだろうと。
GPD「MicroPC」も良さげですが、6インチディスプレイとキーボードの小ささは、使ってみないことには評価が難しいです。
GPD「P2 Max」はタッチパッドがあっても右シフトキーがないので、がじぇっとりっぷの中では論外枠になっています。

これは期待。 Magic-Ben「MAG1」は狭額ベゼルな8.9インチUMPCでキーボードが良さげ
UMPCからUltrabookへ。GPD「P2 Max」は8.9インチでWQXGAなモバイルノート
プロ向けなのに安い! 「GPD MicroPC」は6インチ液晶にCeleron N4100にタフボディで299ドル!

価格的にも高価でなく(amazonで59,800円)、コストバランス的には優れているので、現時点では一番おすすめできる機種です。
でも「MAG1」の後継機かスペックアップ機が出たら、多分そっちをおすすめすると思う…

関連リンク


Topjoy Falcon

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