2019年2月15日、中国・深センのミニPCメーカーであるGPDがクラウドファンディングサイトのIndiegogoで、プロ向け(主にネットワーク管理者やシステム管理者向け)と位置づける6インチ液晶を搭載したUMPC「GPD MicroPC」の出資募集を開始しました。
スペック
メーカー | GPD |
名称 | GPD MicroPC |
発売日 | 2019/02 |
定価 | 299ドル 399ドル(一般) |
実売価格 | |
価格条件 | |
CPU | Celeron N4100 |
チップセット | |
メモリ | 4GB |
メモリ規格 | LPDDR4 |
メモリ増設 | × |
2.5inch | – |
M.2 | 128GB(2242、SATA) |
画面 | 6インチ |
解像度 | 1280*800 |
ベゼル幅 | 太 |
表面 | Gorilla Glass 4 |
タッチ対応 | × |
グラフィック | UHD 600 |
光学ドライブ | – |
USB2.0 | – |
USB3.0 | 3 |
USB3 Type-C | 1(3.0) |
USB PD | 2.0 |
HDMI | 2.0 |
LANポート | 1GbE |
wi-fi | 802.11 ac(1×1) |
Bluetooth | 4.2 |
office | × |
カードリーダー | microSDXC |
Webカメラ | × |
赤外線カメラ | × |
NFC | × |
指紋センサー | × |
Windows Hello | × |
オーディオジャック | ○ |
マイク | ○ |
スピーカー | モノラル? |
スピーカー位置 | 底面? |
サウンド | |
キーピッチ | |
キーストローク | |
キーボードバックライト | ○ |
バッテリー | 3100mAh x2 |
稼働時間 | 6〜8Hr |
ACアダプタ | 5V/3A〜15V/1.6A |
充電時間 | |
急速充電 | 30分50% |
幅 | 153mm |
奥行き | 113mm |
高さ | 23.5mm |
重量 | 440g |
開口角度 | 180° |
カラー | ブラック |
その他特徴 | RS232 アクティブファンスイッチ ストラップホール |
特徴
「GPD MicroPC」は「現場での使用」を想定して、いらないものは削って、管理業務に必要なものを付け加えた、「プロ向け」の名に恥じない仕様となっています。
153×113×23.5mm(幅×奥行き×高さ)というサイズの中に、フルサイズHDMI、USB×4(Type-A×3、Type-C×1)、LANポート(RJ45)、シリアルポート(RS232)と、大量のインターフェースをこれでもかというくらいに詰め込んできたのは見事と言えます。
特にシリアルポートはよく入ったなぁと。
LANポートは1000BASE-Tとなっていますが、実測だとどのくらいなんでしょうね?
ネットワーク管理者向けを謳うなら、940Mbps以上は出て欲しいところです。
ガラケー時代にはあったのにスマホでは消滅したストラップホールがついていて、日本人好みです。
こうして閉じているとポータブルゲーム機っぽいです。
ボディはこれも「現場」仕様で、1mm厚の耐衝撃性ABS合成樹脂(LG-DOW 121H)を使用しています。
燃焼性UL94規格はV-0です。
あまり聞いたことのない規格なので簡単に書くとこんな感じです。
試験方法:
・垂直に保持した試料の下端に 10秒間ガスバーナーの炎を接炎させる。燃焼が30秒以内に止まったならば、さらに 10秒間接炎させる。
条件(一部略):
・いずれの接炎の後も、10秒以上燃焼を続ける試料がない。
・試料の下方に置かれた脱脂綿を発火させる 燃焼する粒子を落下させる試料がない。
・2回目の接炎の後、30秒以上赤熱を続ける試料がない。
硬さについてはロックウェル硬度で109Rとなります。
この数字は鋼球(径12.7mm)を試料に押しつけ(荷重60kgf),そのときのくぼみの深さから算出される値(HRR=130-500h、h:へこみ深さ(mm))となります。
曲げ強度は26000kg/cm2です(試験計算方法は複雑だったので省略)。
一番わかり易いのは落下試験でしょうか。高さ5mの落下試験で97.63%がクリアとのことです。
5mというと、わかりやすいのは信号機の高さでしょうか。
信号機の高さから落としても動くデバイスって…ゲームボーイとかG-SHOCKでしょうか?
なお、一般的な落下試験だと、机の上からの落下を想定した76cmで行われるので、ケタ違いの堅牢性ということが分かります。
PCとしての仕様はCPUがCeleron N4100となります。
4コア4スレッドで、「LIVA Z2」や「LIVA Q2」、mouseの「MousePro P116B」などに採用されています。
過去にはパソコン工房の11.6インチノート「STYLE-11HP014-C-CE」(完売)やmouseの11.6インチノート「m-Book C」シリーズ(現在は販売終了)などにも採用されていました。
性能としてはそこそこです。
下記はUMPCで使われるCPUの比較表です。
CPU | Celeron N4100 | Celeron 3865U | Celeron 3965Y | Core m3-7Y30 | Core m3-8100Y | Atom Z8350 |
世代 | GeminiLake | KabyLake-U | KabyLake | KabyLake | AmberLake-Y | CherryTrail |
コア/スレッド | 4 /4 | 2 / 2 | 2 / 2 | 2 / 4 | 2 / 4 | 4 /4 |
動作周波数 | 1.1GHz | 1.8GHz | 1.5GHz | 1.0GHz | 1.1GHz | 1.44GHz |
バースト周波数 | 2.4GHz | – | 2.6GHz | 3.4GHz | 1.92GHz | |
グラフィック | UHD 600 | HD 610 | UHD 615 | UHD 615 | Gen8 | |
TDP | 6W | 15W | 6W | 4.5W | 5W | 4W |
passmark | 1001 / 2333 | 1030 / 1941 | 787 / 1619 | 1279 / 3532 | 1337 / 3461 | 417 / 1269 |
geekbench | 1745 / 4917 | 2106 / 3449 | 1791 / 3097 | 2766 / 5358 | – | 850 / 2191 |
CherryTrai世代(Atomシリーズ)よりは遥かに性能が高いけれども、AmberLake-Yと比較すると6割程度です。
何気に「GPD Pocket2(Amber Black)」のCeleron 3965Yよりスコアが高いです。
このスコアであればネットサーフィンだけでなくOfficeアプリの操作にも不自由はしないでしょう。
メモリはLPDDR4の4GBで、ここだけが唯一の不満点です。
ストレージはM.2(2242)仕様のSSD(SATA接続)で、容量は128GBです。
先日がじぇっとりっぷが購入したものと同じですね。
ディスプレイは6インチで解像度は1280×800、広色域パネルにCorning®Gorilla®Glass 4となっており、スマホやタブレットと同じ耐久性を持っています。
でもタッチパネルじゃないんですよね。もったいない…
キーボードの正面画像がないのでこんな画像になっていますが、一番目を引くのが右上を大きく占めるタッチパッドでしょう。
キーはなっるべくサイズを確保しているようで、全体の幅(153mm)を考えると、キーピッチは10mmか11mmくらいでしょうか。
左上が右クリック/スクロール/左クリック、電源を挟んで真ん中のスライドスイッチが冷却ファンのON/OFFです。
実際の使用時はこんな感じで両手持ちになるので、親指操作を考えると理にかなっていると思います。
内部の冷却はサイド吸気、背面排気となっています。
底面にはVESAアダプタ用のホールがあり、スタンドに取り付けることができます。
手持ち以外の方法があるところもニクいですね。
まとめ
「GPD MicroPC」は3ヶ月ほど前の2018年12月12日に発表されました。
この時は大雑把なスペックと数枚の画像が公開され、募集開始時期と価格も発表されましたが、詳細なスペックまでは不明でした。
予想以上に「プロ向け」な作りをしており、これが299ドル(約33,000円)というのは驚きです。
募集期間は3月19日まで(終了まで56日となっていますが、ソースコード上では3月19日と書かれています)、発送は2019年8月となっています。
ちょっと先になりますね。
Celeron N4100は海外でTV Boxや安価なノートPCによく採用されているせいか、GPDでは2000個ほどしか確保できなかったという話もあります。
最近のIntelのCPU供給不足問題の煽りも受けているのでしょう。
市販価格(399ドル)も設定されてはいますが、悩んでいたら手に入らないモデルになるかもしれません。
が、メモリ8GBモデルが用意されそうな気もするので、悩みどころです。
※2019年3月7日追記:メモリが当初の4GBから6GBに増やされました。4GBモデルはなくなり、4GBで出資した方には6GB変更に合わせて10ドルの追加出資が求められています。
コメント