GMKtec「NucBoc M8」はRyzen 5 PRO 6650Hを採用した、5万円前後のミドルクラスのミニCPUです。
アーキテクチャはZen3+で、グラフィックがRDNA2になった世代なので、VegaアーキテクチャだったRyzen 5000に比べてグラフィック性能が格段に向上しています。
「NucBoc M8」はフットプリントが一般的なミドル~ハイエンドミニPCの120~130mm四方前後より一回り小さく、代わりに高さが高めとなっています。
高さがあるので分厚いファンが使えるわけで。
ヒートシンクのスペース確保の都合上、ファンの大型には限界がありますが、その辺りの兼ね合いがどうなっているかも見ていきたいと思います。
当ブログの方針として、悪い点も包み隠さず書いていきます。
機材を提供いただいたGMKtec様には、この場をお借りして御礼申し上げます。
GMKtec NucBoc M8

| CPU | Ryzen 5 PRO 6650H |
|---|---|
| メモリ | 16GB LPDDR5-6400 |
| ストレージ | 512GB Gen3 SSD |
| インターフェース | USB Type-C(USB4)×1 USB3.2 Gen2×3 USB 2.0×1 HDMI 2.1 OCuLink 2.5GbE 有線LAN×2 オーディオジャック |
| wi-fi | Wi-fi 6E+BT5.2 |
| 電源 | 100W (20V / 5A) |
| サイズ | 107×111×63mm |
| 重さ | 0.49kg |
GoodPoint
✔ 個人的にデザインが好み
✔ Zen3+RDNA2でそれなりに快適
✔ USB4+OCuLink対応
✔ USB PD給電対応
BadPoint
✖ メモリ増設不可
✖ ファン速度は比較的一定だがややうるさめ
パッケージ

・電源アダプタ
・電源ケーブル
・HDMIケーブル
・マニュアル
・保証案内
「NucBoc M8」のインターフェース


・USB4
・OCuLink
・USB3.2 Gen2×2
・オーディオジャック
・電源ボタン
・USB3.2 Gen2×1
・USB 2.0×1
・HDMI 2.1
・DisplayPort 1.4
・2.5GbE 有線LAN×2
・電源ジャック
「NucBoc M8」の内部

内部はM.2 SSD(2280)が2スロットとWi-fiカード。
メモリはオンボードでCPU側にあるようです。
「NucBoc M8」のパフォーマンス
「NucBoc M8」の搭載CPUはRyzen 5 PRO 6650H。
Zen3+アーキテクチャの6コア12スレッドで、グラフィックはRDNA2世代のAMD Radeon 660M。
総合


PassMarkは旧バージョン(v9)と新バージョン(v11)の両方を掲載。比較はv11で行っています。
マルチスレッド性能は20,000ポイントにあと一歩届かず。とはいえ、ミドルクラスとしては問題のない性能です。
ちょうど前後がZen2(Ryzen 7 5700U)とZen3(Ryzen 5 7545U)で、シングルスレッド性能は両者の中間くらいと分かりやすいですね。
Zen3+アーキテクチャは名前の通り、Zen3アーキテクチャのリフレッシュ版に当たりますが、Zen3のRyzen 7 5800Hと比べても、シングルスレッド性能は向上しています。
CPU
上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド
CPUのレンダリングパフォーマンスを調べるCINEBENCHでは、同じZen3+世代のRyzen 7 6800Uに肉薄。
TDPが15W(15~28W)と45W(35~54W)で違いますが、6コアと8コアの差をここまで縮められるんですね。
GPU
Ryzen 5 PRO 6650HのグラフィックであるRadeon 660Mは、CU数が6。
Ryzen 7 6800UのグラフィックRadeon 680M(12CU)の半分です。
TDPの差もありますが、コア数が半分なのにRyzen 7 6800U比で66~71%というスコアは、悪くはないと言えるでしょう。
ストレージ

ストレージはAirDisk APF10-512G。
GMKtec製品やCHUWIの製品などで見かけるM.2 Gen3 SSDです。
公式サイトには掲載がなく、公式スペックについては不明。

実測値はリード3,562MB/s、ライト2,724MB/sで、Gen3 SSDとしては高速。
外観
パッケージ

外箱はGMKtec製品に共通する、箔押しロゴの白箱。

左から「G10」、「G9」、「M8」。製品によって箱のサイズが異なります。


底面も割とシンプル。

再掲となりますがパッケージ全体。

他のミニPCとのサイズ感。左上が128×126×52mmで、ミニPCとしては標準的なサイズとなります。
「NucBoc M8」は107×111×63mmなので、フットプリントは一回り小さく、高さは+10mmといったところです。
付属品

電源アダプタは3極のミッキープラグでやや大きめ。
出力は20V/5.0A(=100W)です。
ちなみにUSB PD給電(最大100W)での動作にも対応しています。

上のパッケージ一覧でも分かりますが、マニュアルはなんだか大きめ。

一部中華フォントが残っているのと、全体的に機械翻訳のような雰囲気となっています。
※「放置すると世界的にこれが”正しい日本語の漢字”と思われるようになる」という意見を見てからは、がじぇっとりっぷでは中華フォントについては指摘することにしています。
筐体

本体全景。ツートンカラーがオシャレです。

本体を正面から見ると、上下に隙間が空いています。
下部分はカバー自体に吸気口が開いていますが、上部分はこの隙間が吸気口です。

インターフェースは前後。
OCuLinkとかUSB4は前面に集中していて、常時接続ではなく、必要に応じて接続という想定のようです。

左右は排気口が大きく開いています。

前述の通り、底面には大きく吸気口が開いています。

技適番号は「210-187391」。製造メーカーとしてのGMKtec(ShenZhen GMK Technology Co., Ltd.)が申請者の相互認証ですね。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(210-187391):総務省


重量は本体のみで481g、電源アダプタ込みで997.5g。
内部構造

内部にアクセスするにはゴム足一体型のネジを外します。
ツールレスですが、側面が金属でつるつるなので、結構強くつまむ必要があります。

カバーを外すと下からファン(SSDファン)がお目見え。
このファンは普通にねじ止めなので、結局ドライバーは必要です。

底面側にはシロッコファン。
…なんか思ったよりファン口径が小さいなぁ…ヒートシンクのスペースを確保しようとすれば、このくらいが限界なのかな。
ファンの周りを囲んでいるのはウレタン系の防振材です。

カバーを外した後の側面排気口はこんな感じ。
ちょっと雰囲気が変わります。

SSDファンは蓋側に固定されているので、ケーブルを千切らないように注意。

内部全体。
何気にファンが自社製品なのがちょっと驚き。

斜めから。
Wi-fiアンテナが側面に張り付けられています。

OCuLinkは別基板となっていました。
地味にコストがかかっていますね。
システム
起動前

UEFIは旧BIOSタイプ。
パワーモードはパフォーマンス・バランス・サイレントの3モードを選択できます。
ベンチマークはデフォルトのバランスモードで行っています。

ファンの回転数はCPU・SSDの両方を取得できています。

ファン速度は設定可能。
基本は設定自体をオフ(オートモード)でいいでしょう。

恒例のバックアップ。
使用したのは「Macrium Refrect Free」で、バックアップサイズは47.96GBでした。
システム情報

セットアップは最初からローカルアカウントを作成できるモードになっていました。
というか、Wi-fi設定画面がスキップされたんだけど…?

デスクトップ。
余計なものはありません。

ライセンスはOEM_DM。正規ライセンスですね。


OSはWindows 11 Pro 24H2。

HWiNFO。
メモリはSpectekなるメーカー。
SpecTekはMicronのサブブランドで、Micronの選別落ちチップのうち、マシなものを低品質・低価格チップとして再利用しているようです。
要は、普通に使う分にはいいけどオーバークロックは無理だよってメモリですね。

CPUはTDPが45W、PL1、PL2ともに35W。
ゲームベンチマーク
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
| CPU | Ryzen 5 PRO 6650H |
|---|---|
| グラフィック | AMD Radeon 660M |
| メモリ | 16GB(4GB×4) |
| ストレージ | 512GB Gen3 SSD |
比較対象
[中量級] Street Fighter 6



2023年6月に発売し、全世界で460万本(2025年3月時点)を売り上げたストリートファイター6。
思ったより動き、”LOW/FHD”で30FPSオーバー、”LOWEST/HD”なら60FPS張り付きで動作。
この辺りはCU数が少なくてもRDNA世代ですね。
[中量級] FF XIV 暁月の終焉

| 設定 | スコア | FPS | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1920×1080 最高品質 | 4151 | 28.80 fps | 普通 |
| 1920×1080 高品質 | 5809 | 40.38 fps | 普通 |
| 1920×1080 標準 | 7489 | 53.09 fps | やや快適 |
| 1280×720 高品質 | 9051 | 65.55 fps | 快適 |
| 1280×720 標準 | 10277 | 76.90 fps | 快適 |
中量級タイトルでは、低くもなく高くもなく、普通な結果に。
とはいえ設定次第ではFHD(1080p)でも50FPS前後でプレイできますし、ミドルクラスPCとしては十分かなと。
[重量級] FF XV Windowsエディション

| 設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 1920×1080 高品質 | 1605 | 動作困難 |
| 1920×1080 標準品質 | 2263 | 重い |
| 1920×1080 軽量品質 | 2724 | やや重い |
| 1280×720 標準品質 | 3972 | 普通 |
| 1280×720 軽量品質 | 4805 | やや快適 |
重量級タイトルだとさすがに厳しいですね。
HD(1280×720)であれば”普通”評価になりますが、これをもってプレイ可能とは言えないでしょう。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力

| アイドル時 | 8.9~9.6W |
|---|---|
| 画面オフ時 | 8.4~8.6W |
| スリープ時 | 2.8~3.3W |
| CINEBENCH(S) | 21.5-26.5W |
| CINEBENCH(M) | 53.4W |
| FF14ベンチ時 | 39~57W |
| 最大 | 57W |
消費電力は瞬間最大で57W。TDPは45WですがPL1/PL2が35Wということで、そこまで高消費ではありません。
アイドル時とスリープ時の消費電力はやや高め。
省エネ性は世代が更新されるごとに高まるので、こういったところは世代の古さを感じます。
騒音

| 状況 | 音量 |
|---|---|
| 電源オフ | 35.1dB |
| アイドル | 40.2dB |
| FF14 | 43.6dB |
| 最大 | 45.7dB |
| 最大(背面) | 44.9dB |
| 騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
|---|---|---|---|
| うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 |
非常にうるさい |
| 60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 |
非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる |
|
| 普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 |
大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
| 40 | 深夜の市内 図書館 |
多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 |
|
| 静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 |
非常に小さく聞こえる |
| 20 | ささやき 木の葉のふれあう音 |
ほとんど聞こえない | |
「NucBoc M8」はCPUファンとSSDファン、二つのファンを内蔵。
このうち、CPU側のシロッコファンが思ったほど静かではありませんでした。
音としてはやや大きめで、卓上扇風機を使っている感じ。
ファンの回転数は2300~3000RPMで、最大時は45.7dBという数字ほどには大きく感じませんし、卓上扇風機と同じで、慣れてくるとノイズとして処理されて気にならなくなります。
問題はアイドル時で、ファンが停止・回転を繰り返すので、回転し始めるたびに気になります。
UEFIの設定ではオートモードでいいと言いましたが、常時40~60%の方が騒音としてはましかもしれません。
温度
「NucBoc M8」の最大ジャンクション温度は93℃、HTC温度制限は115.5℃、サーマルトリップ制限は125℃。


温度はHWMonitorとHWiNFOで測定。
HWMonitorでは最大78.0度、HWiNFOでは最大79.1度でした。熱に関しては余裕そう。
消費電力についてもCPU・GPUともにきっちり35Wまでとなっています。
TDPの高いHシリーズながら、消費電力も発熱も控えめで納まっている理由ですね。
まとめ
記事執筆時点での「NucBoc M8」の価格は49,998円。
メモリ・ストレージの高騰でミニPCも値上げされる中、5万円を切っています。
楽天でも同じく5万円切りで販売されています。
フットプリントもコンパクトですし、デザインもいいので、ファン速度を控えめにして事務用途にするような使い方にも合いそうです。
CPU性能としてはミドルクラスですし、メモリの増設もできませんが、USB4とOCuLinkを持つミニPCとしては安価ですし、価格と性能のバランスが取れた一台だと思います。
関連リンク

付録
ベンチマーク結果一覧
| メーカー | GMKtec | |
|---|---|---|
| モデル名 | NucBox M8 | |
| CPU | Ryzen 5 PRO 6650H | |
| GPU | AMD 660M | |
| メモリ | 4GB×4 | |
| ストレージ | 512GB Gen3 | |
| PassMark 9 | Total | 5336.3 |
| CPU Single | 3195 | |
| CPU Multi | 19053.2 | |
| 2D | 883.6 | |
| 3D | 4632.2 | |
| Memory | 1704.3 | |
| Disk | 20546.1 | |
| PassMark 11 | Total | 5013.2 |
| CPU Single | 3361 | |
| CPU Multi | 19633.8 | |
| 2D | 825.3 | |
| 3D | 4251.9 | |
| Memory | 2273.3 | |
| Disk | 22652.6 | |
| 3DMark | TimeSpy | 1747 |
| Graphics | 1553 | |
| CPU | 6024 | |
| FireStrike | 4602 | |
| Graphics | 4964 | |
| Phisics | 20165 | |
| Combined | 1702 | |
| NightRaid | 18879 | |
| Grapihics | 21343 | |
| CPU | 11414 | |
| WildLife | 10449 | |
| Graphics | 62.57 fps | |
| SteelNomad | 252 | |
| Graphics | 2.53 fps | |
| SteelNomadLight | 1414 | |
| Graphics | 10.48 fps | |
| CINEBENCH R15 | OpenGL | 104.82 fps |
| CPU(M) | 1607 cb | |
| CPU(S) | 237 cb | |
| CINEBENCH R20 | CPU(M) | 3901 pts |
| CPU(S) | 579 pts | |
| CINEBENCH R23 | CPU(M) | 9937 pts |
| CPU(S) | 1484 pts | |
| CINEBENCH 2024 | CPU(M) | 492 pts |
| CPU(S) | 81 pts | |
| CrystalMark | Mark | 1039083 |
| ALU | 277515 | |
| FPU | 139916 | |
| MEM | 156931 | |
| HDD | 74929 | |
| GDI | 19647 | |
| D2D | 6014 | |
| OGL | 364131 | |
| CrystalMark Retro | All | 18637 |
| CPU-Single | 10422 | |
| CPU-Multi | 80508 | |
| 2D-text | 8203 | |
| 2D-square | 14212 | |
| 2D-circle | 12979 | |
| 2D-image | 12231 | |
| 3D-scene1 | 49402 | |
| 3D-scene2 | 57921 | |
| 3D-scene1-CPU | 10935 | |
| 3D-scene2-CPU | 18452 | |
| CrystalMark Retro2 | All | 18655 |
| CPU-Single | 10384 | |
| CPU-Multi | 79686 | |
| 2D-text | 8267 | |
| 2D-square | 14019 | |
| 2D-circle | 13130 | |
| 2D-image | 12343 | |
| 3D-scene1 | 100 | |
| 3D-scene2 | 100 | |
| 3D-scene1-CPU | 47690 | |
| 3D-scene2-CPU | 62704 | |
| GeekBench5 | Single | 1462 |
| Multi | 7043 | |
| OpenCL | 18767 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| GeekBench6 | Single | 1972 |
| Multi | 7723 | |
| OpenCL | 14392 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| PCMark | ALL | 5950 |
| Essensial | 8565 | |
| Productivity | 10130 | |
| DigitalContent | 6590 | |
| VR Mark | 2275 | |
| DQ(DX9) | 1920・最高 | 7875 とても快適 |
| 1280・標準 | 10178 すごく快適 |
|
| FF XIV(DX11) 暁月の終焉 |
1920・最高 | 4151 普通 28.80 fps |
| 1920・高 | 5809 普通 40.38 fps |
|
| 1920・標準 | 7489 やや快適 53.09 fps |
|
| 1280・高 | 9051 快適 65.55 fps |
|
| 1280・標準 | 10277 快適 76.90 fps |
|
| FF XIV(DX11) 黄金の遺産 |
1920・最高 | 2406 設定変更 16.29 fps |
| 1920・高 | 5419 普通 37.84 fps |
|
| 1920・標準 | 5695 普通 39.61 fps |
|
| 1280・高 | 7062 やや快適 51.67 fps |
|
| 1280・標準 | 7532 やや快適 54.71 fps |
|
| FF XV(DX11) | 1920・高 | 1605 動作困難 |
| 1920・標準 | 2263 重い |
|
| 1920・軽量 | 2724 やや重い |
|
| 1280・標準 | 3972 普通 |
|
| 1280・軽量 | 4805 やや快適 |
|
| ブラウザ | jetstream2 | 310.192 |
| BaseMark | 1442 | |
| WebXPRT4 | 245 | |
| MotionMark | 2641.09 | |
| SpeedMeter2.0 | 360 | |
| SpeedMeter3.0 | 23.2 | |
| Octane | 83144 | |
| Octane Multi | 595412 | |
ベンチマーク結果画像































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