お試し向け? Banana Pi「BPI-F3」は約1万円の8コアRISC-Vプロセッサ搭載SBC

シングルボード

2024年5月2日、Banana PiはRISC-VプロセッサのSpacemiT K1を搭載したSBC「BPI-F3」を発売しました。

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スペック

■ BPI-F3
CPUSpacemiT K1
メモリ2~4GB LPDDR4x
ストレージ8~16GB 3MMC
インターフェースUSB Type-C(電源)×1
USB 3.0×4
HDMI 1.4
1GbE 有線LAN×2
microSDXC
オーディオジャック
wi-fiWi-fi 6+BT5.2
サイズ148×100mm

特徴

「BPI-F3」はRISC-Vプロセッサ搭載SBC(シングルボードコンピューター)です。
2024年2月初めに発表されたもので、発表から発売まで3か月は、Banana Piにしては早い方です。

Banana Piは2019年にBPI-K210というRISC-Vプロセッサ搭載SBCを手掛けていて、最近ではStarFive「VisionFive JH7100」(「VisionFive 2」ではなく、1の方)に大きく関わっています。

安すぎない? StarFive Tech「VisionFive 2」はメモリ8GBで64ドルからのRISC-V

SoC

「BPI-F3」のSoCはSpacemiT K1
SpacemiTは2021年に設立した中国のスタートアップ企業です。

参考 SpacemiT Key Stone K1:SpacemiT

ざっくり説明すると、RISC-Vとは2010年に登場した、オープンソースライセンスで提供されている命令セットアーキテクチャ(ISA)です。

現在のマーケットではARMアーキテクチャが隆盛を誇っていますが、ライセンス回りが割と面倒(独自カスタムが実質的に厳しい)なことやライセンス料の問題から、資金力に乏しい新興メーカーがRISC-Vに切り替える事例が増えてきています。
もう一つは、オープンソースライセンスゆえに制裁を受けにくいことから、中国企業が積極的に取り込んでいます。

SpacemiT K1は8コアのX60 RISC-Vプロセッサを内蔵しています。
性能的には、シングルスレッドではCortex-A55を30%上回るとされています。
また、独立したNPUは持っていないようですが、AI向け性能は2TOPSとなります。

ブロックダイアグラム図。
PCIeが5レーンあるのが大きなポイントですね。

性能は、GeekBench6でシングルスレッドが70前後、マルチスレッドが320~330程度。
Amlogic S905Xがシングル130、マルチ380くらいなので、絶対性能としてはあまり高いとは言えません。

性能はいまいちなものの、稼働温度の範囲が―40℃~80℃と広い、工業グレードのSoCだったりします。

メモリとストレージ

「BPI-F3」のメモリは2GBまたは4GBのLPDDR4x
ストレージはeMMCで、2GBモデルは8GB、4GBモデルは16GBとなります。

また、microSDとM.2 SSD(PCIe 2.1 x2接続)がボード上に用意されています。

その他

無線LANは仕様上では「2.4G/5G WiFi and Bluetooth 4.2」となっていますが、モジュールはRTL8852BS。このチップはWi-fi 6+BT5.2です。
いまどきBT4.2どまりもなさそうな気がするので、Wi-fi 6+BT5.2が正しいのかなぁと。

有線LANはデュアルGbE。チップはRTL8211F×2です。
片方はPoEに対応しています(要PoE HAT)。

電源はType-CまたはDC IN。
どちらも12V/3A入力となります(PD非対応)。

OSはBianbu Linux(SpacemiTがメンテしているSpacemiT SoC向けのディストリ)と、Armbian。

外観

インターフェースです。
表側にはPCIe、裏側にはM.2 SSDスロット。

やや側面から。

「BPI-F3」におけるブロックダイアグラム図。
SpacemiT K1はPCIeが5レーン(x1/USB3.0+x2+x2)ありますが、x1がUSBハブチップ(VL817)に、x2がそれぞれminiPCIe(x1のみ使用)とM.2 SSDに使われています。

HDMIは1.4(最大1080p/60Hz)です。

まとめ

「BPI-F3」の価格は、AliExpressの公式ストア2GB+8GBモデルが63.16ドル(記事執筆レートで約10,100円)、4GB+16GBモデルが73.69ドル(同約11,800円)。

あまり強いとは言えない内容ですが、円安のせいで1万円超えです。
高いけれど動作可能温度の範囲が広いので、過酷な環境で使うのはアリかも。

Banana piはフォーラムが活発でイメージファイルやツールもきっちり揃っているので、RISC-Vはどんなものかと試してみるにはいいかもしれません。

関連リンク

製品ページ:BananaPi
Banana Pi BPI-F3:BananaPi wiki
ドキュメント:BananaPi Docs
販売ページ:AliExpress

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