2025年後半、格安ミニPC界隈に、モバイル向けRyzen 3000シリーズCPUを搭載したミニPCが突然登場しました。
モバイル向けRyzen 3000シリーズが発表されたのは2019年1月。実に6年前です。
そんなものが何でいまさら…?と当初は驚いたのですが、性能はざっくりIntel N100と同等かちょい下、それでいてPCIeが16レーンと多く、デュアルメモリにも対応しているということで、Intel N100の拡張性の低さ(9レーン、シングルメモリ)を補うCPUとして注目されたのだと納得しました。
そんなモバイル向けRyzen 3000シリーズからRyzen 5 3500Uを搭載したのが、GMKtec「NucBox G10」です。
GMKtec NucBox G10

| CPU | Ryzen 5 3500U |
|---|---|
| メモリ | 16GB DDR4-2666 |
| ストレージ | 512GB M.2 Gen3 SSD |
| インターフェース | USB Type-C(Gen1)×1 USB3.2 Gen1×2 USB2.0×1 HDMI 2.1 DisplayPort 1.4 2.5GbE 有線LAN×1 オーディオジャック |
| wi-fi | Wi-fi 5+BT5.0 |
| 電源 | 65W (19V / 3.42A) |
| サイズ | 103×98×42mm |
| 重さ | 0.3kg |
GoodPoint
✔ コンパクトなのにデュアルメモリ+デュアルSSD
✔ 静音性が高い
✔ 格安系だけど2.5GbE
BadPoint
✖ 絶対性能は低い
✖ 電源アダプタが19VオンリーなのにType-C
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パッケージ

・電源アダプタ
・電源ケーブル
・VESAマウンタ
・HDMIケーブル
・マニュアル
・保証カード
「NucBox G10」のインターフェース

・オーディオジャック
・USB3.2 Gen1×2
・電源ボタン
・電源ジャック(Type-C)
・USB Type-C(3.2 Gen1)×1
・USB2.0
・2.5GbE 有線LAN
・HDMI 2.1
・DisplayPort 1.4
「NucBox G10」の内部

内部はメモリが2枚にM.2 SSD(Gen3 2280)が2スロット、M.2スロットの下にWi-fiカードがあります。
最近のミニPCとしてはオーソドックスと言える構成ですが、Intel N100/N150搭載ミニPCでは取ることのできない構成です。
また、一般的なミニPC(およそ120mm角)より一回り小さい103×98mmでデュアルメモリ+デュアルSSDを実現しているのもポイント。
SSDの留めネジなんかフレームを削っていますし、これ以上のコンパクト化は相当に厳しいかと。
「NucBox G10」のパフォーマンス
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
| CPU | Ryzen 5 3500U |
|---|---|
| グラフィック | Vega 8 |
| メモリ | 16GB(8GB×2) DDR4-2666 |
| ストレージ | 512GB M.2 Gen3 SSD |
ストレージ

ストレージはAirDisk 512GB SSD。
おそらくはAirDisk P10です。PCle3.0 Gen3 x4接続で、仕様上はリード3,200MB/s、ライト1,700MB/sとされています。
参考 P10 M.2 2280 NVMe 固态硬盘:AirDisk

実測値はリード3,633MB/s、ライト2,718MB/s。仕様よりも結構早いですね。
総合


PassMarkは旧バージョン(v9)と新バージョン(v11)の両方を掲載。比較はv11で行っています。
Ryzen 5 3500Uは、マルチスレッド性能はIntel N100にやや及びませんが、シングルスレッドはわずかに上となっています。
CPU
上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド
CPUのレンダリングパフォーマンスを調べるCINEBENCHでは、シングル・マルチともにIntel N100より低い結果に。
過去のRyzen 5 3500U搭載ノート(HP 14s-dk0000)の記録だと、Intel N100の1.5倍くらいのスコアは出ているので、何かしらの問題がありそうです。
ちなみにPassMark 9のスコアも、「HP 14s-dk0000」に対してマルチスレッド性能で2割、グラフィック性能に至っては4割低いスコアとなっています。
静音性と引き換えに冷却があまり強くないようなので、長時間の高負荷に弱いのかもしれません。

GPU
Ryzen 5 3500UのグラフィックはRadeon Vega 8 Gpadhics。
現行のRDNA系の前に、Ryzen 5000シリーズまで使われ続けたアーキテクチャです。
当時は「CPU内蔵グラフィックなのに強い」という評価だったものの、Intel N100にも届いていません。
外観
パッケージ


外箱はグレーの化粧箱。
GMKtecは過去の製品もすべて化粧箱だったので、格安ミニPCでも手を抜いていません。

内部の固定材は紙製で、接触部にはウレタンシートを巻いています。ここ最近のGMKtec製品はこのスタイルが多いです。

再掲ですがパッケージ全体。
付属品

紙類は2種類。

VESAマウンタとHDMIケーブル。プレートに隠れていますが、マウント用ネジも同梱されています。

電源アダプタはプラグは3ピンのミッキータイプで、PCとの接続はType-C端子。

端子形状はType-Cなのに、出力は19Vのみ。
これ、結構あちこちで指摘されているはずなのですが、一向に変更される様子がありません。
間違って5V専用デバイスに接続してしまうと故障、下手をすれば発火をする危険もあるので、タグシールを付けるとか、このアダプタは封印して一般的なUSB PD充電器を使うとか、対策をしておくべきでしょう。
筐体

本体。シルバーでちょっと高級感のある佇まいですが、全面樹脂製です。

インターフェースは前後のみ。

サイズがコンパクトな分背面に排気口スペースが取れず、側面排気となっています。

吸気口は底面。ファンが吸気口に接するくらいに近く、吸気に問題はなさそうです。
そういえば最近はRyzenシールを底面に貼って、天面はすっきりさせるのがトレンドですが、「NucBox G10」は天面にシールを貼っていますね。
技適番号は「210-187391」となっています。いっぺんにまとめて取得していて、モデル名はG15、K15、M15まで確認できます。
ざっくり詳細を見た感じ、「NucBox 5」を使って認証を取得しているようです。
参考 技術基準適合証明等を受けた機器の検索(210-187391):総務省

本体重量は283.3g。300gを切っています。
内部構造

「NucBox G10」は底面ではなく、天面側にメモリやSSDが置かれています。
天面の蓋は8本の爪でひっかけているだけなので、ツールレスで開けることができます。
ただし、見ての通り爪はそれほど太くないので、慎重に開ける必要があります。何度「あ、これ折れたな」と思ったことか…まぁ、他のミニPCやノートでも同じように思うんですけど。

蓋を開けたところ。
蓋には何も繋がっていないので、線を千切る心配はありません。

内部。本当、良く詰め込んだなぁ…
ファンはありませんが、上の画像で分かるように蓋との間に隙間があって、熱気を逃がすようになっています。
また、Gen3 SSDなのでGen4/Gen5 SSDほどには発熱しないというのもあります。

SSDは片面実装。

メモリはGMKtec謹製。

SSDの下にWi-fiカードが入っています。
システム
起動前

UEFIはBIOSスタイル。

静音・バランス・ハイパフォーマンスの3つのモードが選べます。

CPUファンの回転数を取得できています。
制御もできますが、今回はデフォルトのままとしました。

恒例のバックアップ。
使用したのは「Macrium Refrect Free」で、バックアップサイズは36.83GBでした。
システム情報

セットアップは最初からローカルアカウントを作成できるモードになっていました。

デスクトップ。
余計なものはありません。

ライセンスはOEM_DM。正規ライセンスですね。

OSはWindows 11 Pro 24H2。

HWiNFO。

CPUは情報が少なくて、TDPが15W。最大ジャンクション温度は93度です。
ゲームベンチマーク
[中量級] FF XIV 黄金の遺産

| 設定 | スコア | FPS | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1920×1080 最高品質 | 647 | 3.44 fps | 動作困難 |
| 1920×1080 高品質 | 1439 | 9.62 fps | 設定変更 |
| 1920×1080 標準 | 1590 | 10.61 fps | 設定変更 |
| 1280×720 高品質 | 2500 | 18.11 fps | 設定変更 |
| 1280×720 標準 | 2753 | 19.61 fps | 設定変更 |
中量級タイトルのベンチマークとなる「FF14 黄金の遺産」では、すべての設定で”動作困難”または”設定変更が必要/推奨”でした。
一番下の”1280×720 標準”ですら20fpsに届かず、プレイは困難です。
[重量級] FF XV Windowsエディション

| 設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 1920×1080 高品質 | 485 | 動作困難 |
| 1920×1080 標準品質 | 626 | 動作困難 |
| 1920×1080 軽量品質 | 852 | 動作困難 |
| 1280×720 標準品質 | 1115 | 動作困難 |
| 1280×720 軽量品質 | 1431 | 動作困難 |
重量級タイトルのFF15も、まぁ無理ですね。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力

| アイドル時 | 7.6~9.1W |
|---|---|
| 画面オフ時 | 7.1~8.0W |
| スリープ時 | 0.47~0.73W |
| CINEBENCH(S) | 21.6W |
| CINEBENCH(M) | 20.2W |
| FF14 | 22.4W |
| 最大 | 23.6W |
消費電力は、アイドル時は7.6~9.1Wと、ミニPCとしては高め。これは12nmプロセスの旧世代CPUだから、というのが大きな要因でしょう。
不思議なのがCINEBENCH。なぜかシングルスレッドテストとマルチスレッドテストが逆転しています。
これ、明らかに何らかの制限が発生していますね。
これが、ベンチマークスコアがやたらと低かった原因でしょう。
騒音

| 状況 | 音量 |
|---|---|
| 電源オフ | 34.8dB |
| アイドル | 35.2dB |
| FF14ベンチ時 | 36.5dB |
| 最大 | 36.7dB |
| 最大(側面) | 37.0dB |
| 騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
|---|---|---|---|
| うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 |
非常にうるさい |
| 60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 |
非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる |
|
| 普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 |
大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
| 40 | 深夜の市内 図書館 |
多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 |
|
| 静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 |
非常に小さく聞こえる |
| 20 | ささやき 木の葉のふれあう音 |
ほとんど聞こえない | |
騒音については、恐ろしいほど静か。夜中の静かな環境に置いて初めて、ファン音が確認できるレベル。
正直普段は全く音が聞こえません。
音がしないというのはファンが高速で回っていないということでもあるので、上述のサーマルスロットリングと合わせて、排熱に問題がありそうです。
温度
HWiNFOのデータより、「NucBox G10」の最大ジャンクション温度は93℃と、比較的低めに設定されています。


温度はHWMonitorとHWiNFOで測定。最大温度は65.8~66.8℃となりました。
サーマルスロットリングが発生していると思っていたのですが。この温度ではサーマルスロットリングは起こりえませんね。
代わりに注目して欲しいのが、パッケージ電力。パッケージ電力がほぼ15Wできっちり止まっていて、コア側は7W台にとどまっています。
つまりここまでのベンチマークの不振は、TDPに忠実かつ、CPUコアは7W分のパワーしか出していなかったためということが推測できるわけです。
この辺りを解消するにはUEFIで設定をする必要がありますが、パワーを上げれば静音性と引き換えになるでしょう。
まとめ
「NucBox G10」は、デフォルトのままで使うとIntel N100/N150のちょっと下という、やや低性能なミニPCとなります。
正直なところ、普段使い用としてはかなり厳しいです。
しかしこれが、常時稼働向けとなると話が変わり、2.5GbEにデュアルSSD、最大でも25Wに届かない消費電力に高い静音性を兼ね備えているので、メディアサーバーやファイルサーバー、管理画面の常時表示などには最適となります。
というよりも、構成的に最初からそういう用途を狙っているんじゃないかなぁと。
販売ページでは”図書館”というキーワードも出ているので、静かな環境での検索端末なども視野に入っていそうです。
というわけで、日常用途にはそこまで向きませんが、用途を絞ればIntel N100/N150搭載機より使いどころの多そうなミニPCと言えそうです。
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関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
| メーカー | GMKTec | |
|---|---|---|
| モデル名 | G10 | |
| CPU | Ryzen 5 3500U | |
| GPU | Vega 7 | |
| メモリ | 8GB×2 DDR4-2666 |
|
| ストレージ | 512GB Gen3 | |
| PassMark 9 | Total | 2696.1 |
| CPU Single | 1889 | |
| CPU Multi | 6801.6 | |
| 2D | 432.8 | |
| 3D | 1181.5 | |
| Memory | 1491.2 | |
| Disk | 14935.7 | |
| PassMark 11 | Total | 1882.6 |
| CPU Single | 2142 | |
| CPU Multi | 5940.6 | |
| 2D | 355 | |
| 3D | 1187.5 | |
| Memory | 1894.8 | |
| Disk | 20737.8 | |
| 3DMark | TimeSpy | 312 |
| Graphics | 273 | |
| CPU | 1661 | |
| FireStrike | 996 | |
| Graphics | 1083 | |
| Phisics | 6051 | |
| Combined | 350 | |
| NightRaid | 2636 | |
| Grapihics | 2870 | |
| CPU | 1803 | |
| WildLife | 1468 | |
| Graphics | 8.79 fps | |
| SteelNomad | 60 | |
| Graphics | 0.61 fps | |
| SteelNomadLight | 243 | |
| Graphics | 1.81 fps | |
| CINEBENCH R15 | OpenGL | 21.79 fps |
| CPU(M) | 330 cb | |
| CPU(S) | 121 cb | |
| CINEBENCH R20 | CPU(M) | 734 pts |
| CPU(S) | 297 pts | |
| CINEBENCH R23 | CPU(M) | 2352 pts |
| CPU(S) | 858 pts | |
| CINEBENCH 2024 | CPU(M) | 160 pts |
| CPU(S) | 47 pts | |
| CrystalMark | Mark | 226716 |
| ALU | 56567 | |
| FPU | 43069 | |
| MEM | 37749 | |
| HDD | 73039 | |
| GDI | 7353 | |
| D2D | 3086 | |
| OGL | 5853 | |
| CrystalMark Retro | All | 5516 |
| CPU-Single | 5061 | |
| CPU-Multi | 16956 | |
| 2D-text | 3031 | |
| 2D-square | 4835 | |
| 2D-circle | 4577 | |
| 2D-image | 5263 | |
| 3D-scene1 | 8042 | |
| 3D-scene2 | 2744 | |
| 3D-scene1-CPU | 1822 | |
| 3D-scene2-CPU | 885 | |
| CrystalMark Retro2 | All | 5368 |
| CPU-Single | 4883 | |
| CPU-Multi | 17008 | |
| 2D-text | 3090 | |
| 2D-square | 4783 | |
| 2D-circle | 4355 | |
| 2D-image | 5122 | |
| 3D-scene1 | 100 | |
| 3D-scene2 | 100 | |
| 3D-scene1-CPU | 7632 | |
| 3D-scene2-CPU | 2595 | |
| GeekBench5 | Single | 849 |
| Multi | 2187 | |
| OpenCL | 5502 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| GeekBench6 | Single | 1040 |
| Multi | 2238 | |
| OpenCL | 4806 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| PCMark | ALL | 2667 |
| Essensial | 5602 | |
| Productivity | 5356 | |
| DigitalContent | 1717 | |
| VR Mark | 376 | |
| DQ(DX9) | 1920・最高 | 1331 重い |
| 1280・標準 | 2809 やや重い |
|
| FF XIV(DX11) 暁月の終焉 |
1920・最高 | 1119 設定変更 fps |
| 1920・高 | 1444 設定変更 fps |
|
| 1920・標準 | 2336 設定変更 fps |
|
| 1280・高 | 2869 設定変更 fps |
|
| 1280・標準 | 3929 設定変更 fps |
|
| FF XIV(DX11) 黄金の遺産 |
1920・最高 | 647 動作困難 fps |
| 1920・高 | 1439 設定変更 fps |
|
| 1920・標準 | 1590 設定変更 fps |
|
| 1280・高 | 2500 設定変更 fps |
|
| 1280・標準 | 2753 設定変更 fps |
|
| FF XV(DX11) | 1920・高 | 485 動作困難 |
| 1920・標準 | 626 動作困難 |
|
| 1920・軽量 | 852 動作困難 |
|
| 1280・標準 | 1115 動作困難 |
|
| 1280・軽量 | 1431 動作困難 |
|
| ブラウザ | jetstream2 | 154.767 |
| BaseMark | 717 | |
| WebXPRT4 | 151 | |
| MotionMark | 718.54 | |
| SpeedMeter2.0 | 159 | |
| SpeedMeter3.0 | 9.78 | |
| Octane | 38804 | |
| Octane Multi | 211310 | |
ベンチマーク結果画像

































コメント
設定のせいで性能が制限されている、との事でしたが、設定を高くした際の性能や音などについても知りたいです!