2022年1月15日、SBCメーカーのRadxaは「ROCK3 Compute Module Industrial」(Radxa CM3I)向けのキャリアボード「Radxa E25」を発表、11月18日に発売しました。
スペック
■ Radxa E25 | |
CPU | Rockchip RK3568 |
---|---|
メモリ | 2~8GB LPDDR4 |
ストレージ | 8~32GB eMMC M.2 B-Key(SATA) |
インターフェース | USB Type-C(電源)×1 USB 3.0×1 microSDXC 2.5GbE 有線LAN×2 |
wi-fi | 不明 |
サイズ | 75×70mm |
特徴
冒頭にもあるように、製品そのものの発表は2022年の初めです。この時点では”Industrial”ではない「Radxa CM3」と、そのキャリアボード「Radxa E23」が発売されました。
「Radxa E25」も同時に発表されてはいたものの、10ピンGPIOを26ピンにするなど設計の見直しが入り、かなり時間が経っての発売となります。
「Radxa CM3I」は「Radxa CM3」の上位製品的な位置づけのようですが、「Radxa E25」とのセット扱いなのか、いまだに「CM3I」単体での説明や販売ページがなく、まとまった詳細が公開されていません。
なお、「Radxa E23」は「Raspberry Pi Compute Module 4」(RPi CM4)互換製品ですが、「CM3I」は見た目からしてサイズも違うので、互換性はないと思われます。
「Radxa CM3I」について
「Radxa E25」は「Radxa CM3I」のキャリアボードなので、SoCやメモリ、ストレージといった主要機能は「Radxa CM3I」の方に搭載されています。
詳細が適当で、判明しているのはRockchip RK3568を搭載していること、裏面のコネクタが100ピン×4なことなどで、基本は「Radxa CM3」に準ずるようです。
その”Iなし”「Radxa CM3」と「RPi CM4」との比較が以下。
Radxa CM3 | Raspberry Pi CM4 | |
---|---|---|
コネクタ | 3 x 100Pin B2B connector | 2 x 100Pin B2B connector |
SoC | Rockchip RK3566 2.0GHz Cortex-A55 ×4 | Broadcom BCM2711 1.5GHz Cortex-A72 ×4 |
サイズ | 55 × 40 × 4.7mm | |
メモリ | 1~8GB LPDDR4-3200 | |
ストレージ | 0~32GB eMMC 最大250MB/s | 0~32GB eMMC 最大100MB/s |
Wi-fi | Option for WiFi5/BT5 | |
有線LAN | 1GbE(RTL8211F) | 1GbE |
USB | 1 × USB 2.0 1 x USB 3.0 | 1 × USB 2.0 |
PCIe | 1 × PCIe 1-lane Host, Gen 2 ( 5Gbps ) | |
SATA | 2 x SATA (USB3 or PCIe共有) | なし |
映像出力 | 1 x HDMI (4K60) 1 x eDP up to 4K60 | 2 x HDMI 2.0 (4K60) |
MIPI | MIPI DSI: – 2 × 4-lane MIPI DSI – 1 x 4-lane LVDS MIPI CSI-2: – 1 × 2-lane MIPI CSI – 1 × 4-lane MIPI CSI | MIPI DSI: – 1 × 2-lane MIPI DSI – 1 × 4-lane MIPI DSI MIPI CSI-2: – 1 × 2-lane MIPI CSI – 1 × 4-lane MIPI CSI |
SD | 1 x SDIO 3.0 | 1 × SDIO 2.0 (CM4Liteのみ) |
オーディオ | Audio Codec | N/A |
GPIO | 50ピン | 28ピン |
RK3568とRK3566の違いは以下。
CPU面では変わらず、インターフェースが違います。
Rockchip RK3566 | Rockchip RK3568 | |
---|---|---|
CPU | Quad-core Cortex-A55 | |
GPU | Mali-G52 2EE | |
NPU | 0.8 TOPS | |
メモリ | DDR3/DDR3L/DDR4 LPDDR3/LPDDR4/LPDDR4X | |
ECC対応 | × | ○(DDR3/DDR3L/DDR4) |
ストレージ | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 8K OTP | NOR flash SPI NAND eMMC 5.1 SATA 3.0 x3 8K OTP |
映像出力 | デュアルディスプレイ | トリプルディスプレイ |
ネットワーク | Gigabit Ethernet (GMAC) x1 | Gigabit Ethernet (GMAC) x2 QSGMII |
USB | USB 2.0 host x2 USB 2.0 OTG x1 USB 3.0 host | USB 2.0 host x2 USB 3.0/2.0 OTG USB 3.0 host |
PCIe | PCIe 2.1 1×1 lane | PCIe 2.1 1×1 lane PCIe 3.0 1×2 lane or 2x 1-lane |
その他 I/Os | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x2 | SDIO 3.0 UART x10 SPI x4 PWM x16 I2C x6 SARADC x8 CAN FD x3 |
パッケージ | FCCSP565L (15.5mm x 14.4mm) | FCBGA636L (19mm x 19mm) |
性能面ではCPU性能はBCM2711とほぼ同等。グラフィック部分は不明ですが、AI向けのNPUとインターフェースの多さはRK3566に分があります。
「Radxa CM3」はボード単体だとメモリ、ストレージ、無線LANの有無をそれぞれ選択して購入できますが、「E25」は2GB/8GB、4GB/16GB、8GB/32GBのパターンのみとなるようです。無線LANは不明(後述)です。
wikiの仕様表は古くて、いまだにGPIOが10ピンなのであてになりません。
外観
インターフェースです。
旧バージョン(V1.3)の画像が使われていて、GPIOは26ピンと書いているのに10ピンになっています。
M.2スロットとminiPCIeスロットがあり、M.2 SATA SSD(2242サイズ)や4G/5Gカードなどが使えます。ちゃっかりSIMスロットも実装されています。
公式wikiによると、Quectel EM05、EM05、RG200はサポートしているようです。
またデュアル2.5GbEを搭載しているので、ネットワーク接続前提の用途にも強そう。
電源が確保出来たら4G/5G to 有線ルーターにもなりそうですね。
こっちが最新のV1.4の画像です。
GPIOが26ピンになり、ユーザーボタンの上にあった4ピンUARTがなくなっています。
他にもM.2 B-KeyスロットとminiPCIeスロットの間の実装が大幅に変更されています。
背面は変わらないように見えて、「CM3I」がV1.1からV1.2に変更されていますね。
仕様表には無線LANは書かれていないのに、この画像ではしっかり搭載されているので、無線LANについては不明としています。
「E25」はケースまでセットです。
ファンレスケースになりますが、フィンが波打っているなど結構手が込んでいます。
ケース内部のイメージ。
個人的ポイントは上から2番目の「PWM RGB light bar」
…光るのかぁ…
まさかのギミックですが、トラブル時に赤く光れば分かりやすそう。
公式が提示した使用アプリ群。
M.2 SSD(SATAですが)が使えるので、プライベートサーバー、ホームサーバー的用途がいけるようです。
まとめ
「RADXA E25」の価格は2GB/8GBで59ドル(約8,000円)。8GB/32GBだと109ドル(約15,000円)です。
デュアル2.5GbEにM.2スロットとminiPCIeスロットの両方があってSIMも使えてケースも付いてこの価格は、そっちの方向で探していた人からすれば安いんじゃないかと。
似たような構成のSBCって意外とないので、「ニッチだけどオンリーワン」な立ち位置を確立できそうです。
関連リンク
Radxa E25:Radxa wiki
Radxa E25 実装図(V1.4):Radxa wiki ※PDF
Radxa E25 販売ページ:Allnetchina
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