ロボットカーキットもあり。Milk-V「Meles」は80ドルからのRISC-V搭載SBC

シングルボード

2024年6月4日、中国Milk-VはRISC-V(リスクファイブ)プロセッサのT-Head TH1520を搭載したSBC「Meles」を発売しました。

名称自体は2023年7月には登場していて、発売に1年近くかかったことになります。

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スペック

■ Milk-V Meles
CPUT-head TH1520
メモリ8~16GB LPDDR4X-4266
ストレージ最大128GB eMMC
インターフェースUSB Type-C(2.0)×1
USB 3.0×4
HDMI 2.0
1GbE 有線LAN×1
microSDXC
オーディオジャック
wi-fiWi-fi 5+BT5.0
サイズ85×56mm

特徴

「Meles」はがじぇっとりっぷが普段取り上げているARMアーキテクチャではなく、RISC-Vアーキテクチャに基づいたSoCを搭載したSBCです。

RISC-Vアーキテクチャについては下の記事内で解説しています。
簡単に言うと、ARMと違ってオープンソースライセンスなので米国の制裁を受けにくく、中国企業が積極的に採用していることで爆発的に成長しているアーキテクチャとなります。

安すぎない? StarFive Tech「VisionFive 2」はメモリ8GBで64ドルからのRISC-V

SoC

「Meles」のSoCはT-head社製のTH1520。Sipeed「Lichee Pi 4A」での採用例があります。

進化早くない? Sipeed「Lichee Pi 4A」はラズパイより使えそうなRISC-V SBC

T-Head社はAlibabaのチップ設計子会社で、TH1520もすでにAlibaba Cloudのエコシステム内で使用されています。

参考 Alibaba Cloud Unveils Chip Development Platform to Support Developers with RISC-V based High-performance SoCs:Alibaba Cloud Blog

その構成は1.85GHzのクアッドコアCPU「XuanTie C910」に、グラフィックはImagination Technologies「BXM-4-64」、NPUには「PowerVR AX3386」(4TOPS)、製造はTSMCの12nmプロセスとなっています。
「XuanTie C910」はRISC-V RV64GCベースの64bitプロセッサで、12ステップのスーパースカラー・パイプラインを備えています。

参考 Imagination’s GPU and AI Accelerator Licensed for the latest AIoT RISC-V-based applications:Imagination

そしてこのSoC、オープンソースなので中身も公開されているという。まぁ公開されていても個人じゃ作れないんですが。

参考 T-head-Semi / openc910:github
参考 データシート:alibaba.com ※PDF

性能についてはざっくり「Raspberry Pi 4」と同程度になるようです。
RISC-Vはまだ発展途上でツール側の最適化が済んでいない面もあるようで、RISC-V最適化済みのツールでコンパイルするとベンチマークスコアはかなり伸びるという結果も示されています。

メモリとストレージ

「Meles」のメモリは8GBまたは16GBのLPDDR4X-4266
調べた範囲では、発売されたのは8GBモデルのみのようです。

ストレージはeMMC(別売り)またはmicroSD。

その他

無線LANはWi-Fi 5(802.11ac)+BT5.0。画像から判断する限り、チップはAMPAK AP6256が使われているようです。
有線LANは1GbEです。

電源はType-Cで、標準で5V/3A、推奨は5V/4A。

OSはdebianベースのRISC-V向けディストリとなるRevyOSです。
ドキュメントは分かりやすく、丁寧に説明されています。

外観

本体です。
見た目上は一般的なSBCと変わりありません。
HDMIは1ポートのみで、Type-Cは電源入力です。

3つあるボタンはそれぞればらばらの位置・向きで、押し間違いを防ぐようになっています。

「Meles」を内蔵したロボットカーも。
公式製品なので、公式ドキュメント内で構築の仕方が丁寧に解説されています。

ロボットカーのパッケージ。

まとめ

「Meles」の価格はメモリ8GBで130ドル。販売サイトのAraceでは発売セールとして80ドル(13,200円)となっています。
また、記事執筆時点では128GB eMMCがおまけとして付属します。

ほか、taobaoでは999元、AliExpressでは元値に近い136.93ドル(記事執筆時点レートで22,333円)。

実用レベルの性能を持っていて、メモリ8GBで80ドルなら割とありかなと思いますし、RISC-Vを本格的に検討する上での検証機としてもよさそうです。

なお、ロボットカーはちょっと高くて、「Meles」8GBモデル込みで48,500円です。

関連リンク

製品ページ:Milk-V
ドキュメント:Milk-V
販売ページ:AliExpress
販売ページ:Arace

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