2022年12月25日、AIoTデバイスメーカーのSipeedは、SoCにRISC-Vプロセッサを採用したコンピュートモジュールとドーターボード「Lichee Pi 4A」を発表しました。
記事執筆時点ではデポジット制の予約を行っています。
スペック
■Lichee Pi 4A | |
CPU | T-head TH1520 |
---|---|
メモリ | 4~16GB LPDDR4-3733 |
ストレージ | 最大128GB eMMC |
インターフェース | USB Type-C(2.0)×1 USB 3.0×4 HDMI 2.0 1GbE 有線LAN×2 microSDXC オーディオジャック |
wi-fi | 802.11ax+BT5.0 |
モデル名 | Lichee Pi 4A |
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メーカー | Sipeed |
発売日 | 2022/12 |
価格 | |
価格(日本円) | |
CPU | T-Head TH1520 (4コア) (RISC-V 1.8GHz C910 ×4) |
GPU | BXM-4-64 |
NPU | 4TOPS |
メモリー | 4〜16GB LPDDR4X-3733 |
サポートOS | debian Android OpenWrt |
有線LAN | 1GbE x 2 |
Wi-fi | 802.11ax 802.11b/g/n |
Bluetooth | 5 |
チップ | |
ストレージ | eMMC microSD |
USB | 3.0 x 4 2.0(Type-C) x 1 |
GPIO | 20pin x 1 |
映像 | HDMI (2.0) MIPI-DSI (4lane) |
カメラ | MIPI CSI ×2 (4lane+2lane) |
オーディオジャック | ○ |
その他インターフェース | |
消費電力 | |
電源 | DC 5V Type-C |
幅 | |
奥行き | |
高さ | |
その他 |
特徴
「Lichee Pi 4A」はがじぇっとりっぷが普段取り上げているARMアーキテクチャではなく、RISC-Vアーキテクチャに基づいたSoCを搭載したSBCです。コンピュートモジュール(LM4A)とドーターボード(インターフェースボード)で構成されています。
RISC-Vアーキテクチャについては下の記事内で解説しています。
簡単に言うと、ARMと違ってオープンソースライセンスなので米国の制裁を受けにくく、中国企業が積極的に採用していることで爆発的に成長しているアーキテクチャとなります。
製品名に”Pi”とありますがラズパイクローンというわけではなく、「Lichee Pi」シリーズを展開していて、その新モデルという位置づけです。
ただ、めちゃくちゃ意識はしているようで、製品ページにも「Raspberry Pi 4B」とのスペック比較表が掲載されています。
なお、Licheeはライチ(LycheeまたはLitchi)を表すようです。検索汚染を避けて綴りをもじったものと思われます。
ところでライチパイって美味しそうなイメージがわかないんだけど?
SoC
「Lichee Pi 4A」のSoCはT-head社製のTH1520。
T-Head社はAlibabaのチップ設計子会社で、TH1520もすでにAlibaba Cloudのエコシステム内で使用されています。
参考 Alibaba Cloud Unveils Chip Development Platform to Support Developers with RISC-V based High-performance SoCs:Alibaba Cloud Blog
その構成はクアッドコアCPU「XuanTie C910」に、グラフィックはImagination Technologies「BXM-4-64」、NPUには「PowerVR AX3386」(4TOPS)、製造はTSMCの12nmプロセスとなっています。
「XuanTie C910」はRISC-V RV64GCベースの64bitプロセッサで、12ステップのスーパースカラー・パイプラインを備えています。
参考 Imagination’s GPU and AI Accelerator Licensed for the latest AIoT RISC-V-based applications:Imagination
そしてこのSoC、オープンソースなので中身も公開されているという。まぁ公開されていても個人じゃ作れないんですが。
参考 T-head-Semi / openc910:github
参考 データシート:alibaba.com ※PDF
性能についてはざっくり「Raspberry Pi 4」と同程度になるようです。
RISC-Vはまだ発展途上でツール側の最適化が済んでいない面もあるようで、RISC-V最適化済みのツールでコンパイルするとベンチマークスコアはかなり伸びるという結果も示されています。
メモリとストレージ
メモリは4GBから16GBのLPDDR4X-3733。すでに現行世代のARM SoCと並んでるんですけど?
ストレージは最大128GBのeMMCまたはmicroSDです。
eMMCはコンピュートモジュール上に実装(換装不可)、microSDはドーターボード上となります。
その他
無線LANはWi-Fi 4(802.11 b/g/n+BT5、またはWi-Fi 6(802.11ax)+BT5。
無線LANチップはコンピュートモジュール上ではなく、ドーターボード上に実装されます。
有線LANはデュアル1GbEです。
電源はDC5VまたはType-C。ドーターボード上にはPoE用のピンホールもあり、PoEもできるようになっています。
操作方法やイメージファイルはSipeed Wikiにまとめられるようですが、記事執筆時点では「Lichee Pi 4A」は未掲載です。発売までには掲載されるでしょう。
外観
コンピュートモジュール(LM4A)です。
260ピンなのでSO-DIMM規格とは思いますが、高さ(奥行き)がありますね。
基板上の回路はかなりゆったりしていますが、SoC部分の縦の並びがいっぱいいっぱいなので、ここに合わせるしかなかったっぽい雰囲気です。
DIPスイッチの説明は、記事執筆時点ではありません。
ドーターボードを含めたインターフェースです。
電源はType-C入力で、GPIOは20ピン。
ガワ付きだと、「Lichee Router 4A」と呼び名が変わります。
GPIOピンが横向きなので、ケースがあっても使えるようになっています。
また、この画像でようやく、microSDスロットが電源ポートの下にあることが判明しました。
コンピュートモジュールのメリットとして、集積化が容易という点が挙げられます。
公式でも最大7枚のLM4Aを挿せる、Mini-ITX規格のクラスターボード(Lichee Cluster 4A)が用意されています。
ほんとに出るのか怪しい気がしますが、6インチの「Lichee Phone 4A」と10.1インチの「Lichee Pad 4A」も計画しているようです。
まとめ
「Lichee Pi 4A」は予約を開始しているものの、記事執筆時点では価格が公表されていません。一応2023年Q1中の発売を目指しているようです。
発売時はAliExpressの公式ストアでも販売するとのこと。
ちなみに予約は10ドルのデポジットを払うことで、20ドルの割引と優先配送が受けられるというものです。予約の取り消し(メール)もできます。
ただ、モノは期待できそうなだけに、ここまでやって価格未公表だとか、Phone/Padとかが不穏な感じなのがなんとも言えず。
とりあえずちゃんと発売されるといいなぁ…
まぁ、Sipeedは多数のAIoT製品を発売しているので発売はされるでのでしょうが…不安だ…
2024年1月14日追記:販売ページを記載しました。価格は8GB+32GBで20,536円、16+64GBで27,229円(いずれも追記時点のレート)です。
関連リンク
Lichee Pi 4A
Sipeed Wiki ※記事強執筆時点では未掲載
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