2025年5月18日ころ、MINISFORUMはCore i7-12800Hを搭載したミニPC「NAB8 Plus」を発売しました。
「NAB8 Plus」のポイントは、Intel CPUながらOCuLinkを搭載していること。
Intel系CPUというだけなら、より新しい世代のCore i9-13900Hや、最新のCore Ultra 9 285Hを搭載したミニPCも登場していますが、なぜかOCuLink搭載機はAMD Ryzen系ばかりで、Intel系では出ないんですよね。
今回はそんな地味に希少種なIntel+OCuLinkミニPCをレビューしていきます。
MINISFORUM NAB8 Plus

| CPU | Core i7-12800H |
|---|---|
| メモリ | 32GB DDR4-3200 |
| ストレージ | 1TB M.2 SSD |
| インターフェース | USB Type-C(USB4)×1 USB 3.2 Gen2×2 USB 2.0×2 OCuLink HDMI 2.1 DisplayPort 1.4 2.5GbE 有線LAN×2 オーディオジャック |
| wi-fi | Wi-fi Wi-fi 6E+BT5.3 |
| サイズ | 127×127.5×54.7mm |
GoodPoint
✔ 内部へのイージーアクセス
✔ OCuLink対応
✔ 2.5インチSSD/HDD内蔵可能
✔ 2面排気で冷却強化
BadPoint
✖ 最近の製品としてはややうるさめ
✖ M.2 SSDは1スロット
✖ メモリがDDR4
パッケージ

・電源アダプタ
・電源ケーブル
・VESAマウンタ
・HDMIケーブル
・ネジ類
・SATA端子ケーブル
・取扱説明書
・付録
「NAB8 Plus」のインターフェース

・USB3.2 Gen2×2
・オーディオジャック
・電源ボタン
・USB 2.0×2
・HDMI 2.1
・OCuLink
・2.5GbE 有線LAN×2
・DisplayPort 1.4
・USB4
・電源ジャック
「NAB8 Plus」は底面吸気、側面・背面排気という変わったスタイルを取っています。
「NAB8 Plus」の内部

内部はメモリ×2スロット、M.2 SSD(2280)×1スロット、Wi-fiカード。
外した天板に2.5インチHDD/SSDを装着できます。
反対側は2面排気ファン。
ヒートパイプも2本で、冷却面は結構強そう。

「NAB8 Plus」のパフォーマンス
「NAB8 Plus」の搭載CPUはAlder Lake世代のCore i7-12800H。
6P8Eの14コア20スレッドで、グラフィックはIris Xe(96EU)。
総合


PassMarkは旧バージョン(v9)と新バージョン(v11)の両方を掲載。比較はv11で行っています。
マルチスレッド性能はかなり高く、Ryzen 9 6900HXを上回っています。
一方で第13世代のCore i7-13700Hにはシングル・マルチともに及ばず、世代なりの性能と言えます。
第12世代最上位(といっても違いは動作周波数くらいですが)のCore i9-12900HKを搭載した「UN1290」よりスコアが高いのは、「UN1290」が省エネ寄りの設定なのが理由かなと。
PassMarkの公式スコアと比較すると「NAB8 Plus」のスコアはかなり高いので、「UN1290」が省エネ設定なのではなく、「NAB8 Plus」がパフォーマンス設定になっているのかも。
CPU
上段:マルチスレッド、下段:シングルスレッド
CPUのレンダリングパフォーマンスを調べるCINEBENCHでも、傾向としてはPassMarkと同じです。
PassMerkよりはCore i9-12900Hに近くなっていますが、上回っていることには変わりません。
GPU
グラフィック性能は、はっきりとCore i9-12900Hを下回っています。
このことから、CPU処理重視のチューニングをしているのかもしれません。
ストレージ

ストレージはKINGSTON OM8PGP41024N-A0。
OEM向けの1TB SSDで、中身がガチャ化していなければコントローラはPhison PS5021-E21、NANDはIntel 144層 QLC(N38A)となります。

実測値はリード4,064MB/s、ライト3,232MB/s。
Gen4 SSDとしては遅めですが、Gen3 SSDよりは早い程度ですね。
外観
パッケージ

外箱はシックというか、量販店向けっぽい雰囲気。

ラベルは裏面。

再掲ですがパッケージ全体。
付属品

マニュアルはサポートの案内、注意事項などが書かれた付録の2種類。

文言の一部が機械翻訳のような雰囲気(「UM690L Slim」と同じ)となっていますが、フォントが日本語フォントになっています。
「UM690L Slim」では中華フォントだったので、着実に改善されていますね。
あとは翻訳を頑張れば…


VESAマウンタとHDMIケーブル。
「NAB8 Plus」は天面を開けるスタイルなので、予備のゴム足は付属していません。

電源アダプタ。
プラグは3ピンではなく2ピン+アースとなっています。

出力は19V/6.32A(=120.08W)。

「NAB8 Plus」は2.5インチHDD/SSDが1ベイあるので、SATAケーブルも付属します。
筐体

インターフェースは前後のみ。

左右は通気口が大きく開いています。
上にも書きましたが、CPUファンは側面と背面の2面排気です。

底面までホワイト。これ、意外と珍しい気が。

重量は本体のみで587g。
内部構造

内部にアクセスするには天面のプッシュマークを押すと…

蓋が開きます。
この仕組み、4年前にレビューした「U850」と同じで、懐かしかったり。


蓋の裏側には2.5インチHDD/SSDを収めるベイがあります。

再掲ですが、内部全景。

メモリは2スロットとも使用。
Woopositという中国メーカー製で、GMKTekやMinisforum製品で良く採用されているメーカーです。

CPU-ZでSPDを確認すると、DRAM NANDはSK Hynix製でした。

SSDはファン内蔵ヒートシンク付き。
ファン付きヒートシンクは、がじぇっとりっぷでは初ですね。

底面側はそもそも開ける前提となっておらず、小ねじではなくタッピンネジが使われていました。
固すぎてねじ山がつぶれるかと思った…

底面側内部。ヒートシンクが2面排気になっています。
CPUだけでなく、周辺チップも冷やせる形になっていますね。

ネジは筐体に直接食い込む形。
システム
起動前


UEFIはMINISFORUM共通のグラフィカルデザイン。

ファンはCPUとSSDの両方の回転数を取得できています。
…SSDファン、回転数高いなぁ…

恒例のバックアップ。
使用したのは「Macrium Refrect Free」で、バックアップサイズは56.09GBでした。
システム情報

セットアップは最初からローカルアカウントを作成できるモードになっていました。

デスクトップ。
余計なものはありません。

ライセンスはOEM_DM。正規ライセンスですね。

HWiNFOで見るCPU情報。

TDPは45Wで、PL1が45W、PL2が65W。
最大ジャンクション温度は100℃です。
ゲームベンチマーク
レビュー機のスペック
レビュー機のスペックは以下の通り。
| CPU | Core i7-12800H |
|---|---|
| グラフィック | Intel Xe (96EU) |
| メモリ | 32GB(16GB×2) |
| ストレージ | 1TB Gen4 SSD |
[中量級] Street Fighter 6

2023年6月に発売し、全世界で460万本(2025年3月時点)を売り上げたストリートファイター6。
NORMAL/FHDは途中でエラー。”LOW/FHD”でかろうじて30FPSで動作。
”LOWEST/HD”であれば60FPSで動作しますが、そこまで無理して「NAB8 Plus」単体でストリートファイター6をプレイするほどではないかと。
[中量級] FF XIV 暁月の終焉

| 設定 | スコア | FPS | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1920×1080 最高品質 | 4342 | 30.19 fps | 普通 |
| 1920×1080 高品質 | 6169 | 43.02 fps | やや快適 |
| 1920×1080 標準 | 8180 | 57.92 fps | 快適 |
| 1280×720 高品質 | 10812 | 77.01 fps | 快適 |
| 1280×720 標準 | 13476 | 97.86 fps | とても快適 |
中量級タイトルでは、設定次第ではFHD(1080p)でも60FPS前後でプレイできます。
3DMarkの時とはまた違った結果となり、思ったより高スコア。
[重量級] FF XV Windowsエディション

| 設定 | スコア | 評価 |
|---|---|---|
| 1920×1080 高品質 | 1647 | 動作困難 |
| 1920×1080 標準品質 | 2449 | 重い |
| 1920×1080 軽量品質 | 3153 | 普通 |
| 1280×720 標準品質 | 3710 | 普通 |
| 1280×720 軽量品質 | 4520 | やや快適 |
重量級タイトルだとさすがに厳しいものの、“1920×1080 軽量品質”であればぎりぎりプレイできるかもくらいの成績です。
消費電力・稼働時間・騒音・温度
消費電力

| アイドル時 | 8.2~12.8W |
|---|---|
| 画面オフ時 | 7.6~11.6W |
| スリープ時 | 0.03~3.8W |
| CINEBENCH(S) | 41.6W |
| CINEBENCH(M) | 88.5W |
| 最大 | 113W / 106W |
消費電力は瞬間最大で113W、PL2の時間を過ぎると106Wくらいで安定します。
上の方でも少し触れましたが、Core i9-12900HKを搭載した「UN1290」は、CINEBENCH(M)時で72.5W、最大で78.7Wだったので、スコア差=消費電力の差であることがこれで分かりました。
アイドル時の消費電力はやや高め。
画面オフ時はHDMIへの出力がカットされる分低くなった程度です。
騒音

| 状況 | 音量 |
|---|---|
| 電源オフ | 35.0dB |
| アイドル | 35.5dB |
| アイドル(SSDファンなし) | 35.5dB |
| 高負荷 | 38.1dB |
| 最大 | 39.3dB |
| 最大(背面) | 42.2dB |
| 騒音レベル[dB] | 音の大きさのめやす | 自室内の聞き騒音 | |
|---|---|---|---|
| うるさい | 70 | 掃除機 騒々しい街頭 |
非常にうるさい |
| 60 | 普通の会話・チャイム 時速40キロの自動車の内部 |
非常に大きく聞こえうるさい 声を大きくすれば会話ができる |
|
| 普通 | 50 | エアコンの室外機 静かな事務所 |
大きく聞こえる 通常の会話は可能 |
| 40 | 深夜の市内 図書館 |
多少大きく聞こえる 通常の会話は十分に可能 |
|
| 静か | 30 | ささやき声 深夜の郊外 |
非常に小さく聞こえる |
| 20 | ささやき 木の葉のふれあう音 |
ほとんど聞こえない | |
「NAB8 Plus」はCPUファンとSSDファンの二つの騒音源を持っています。
CPUファンもSSDファンも回転数可変式なのですが、HWMonitorでもHWiNFOでも回転数が表示されないため、最高回転数は不明。
CPUファンはやや高めの音で、遠くの掃除機の音を少し高くしたくらい。高負荷時は当然気になりますが、アイドル時でも静かな部屋だと音が聞こえるくらいにはうるさめです。
SSDファンは結構高回転で、4ピンなので一応制御は入っているはずですが、アイドル時でも風切り音が耳につきます。
とはいえ、CPUファンがうるさいので、そこに音が少し加わるくらいの感じですね。
なので、SSDファンの電源を抜いても騒音値は変わりません。
温度
「NAB8 Plus」の最大ジャンクション温度は100℃に設定されています。


温度はHWMonitorとHWiNFOで測定。
どちらも最大93℃となりました。
HWiNFOで表示されているように、温度ではなく、電力制限を理由としたサーマルスロットリング(というか抑制)もしっかり発生。
CINEBENCH R23マルチスレッドで、ベンチマーク中の6~9%くらいの時間で抑制されていました。
まとめ
「NAB8 Plus」は、サーマルスロットリングが発生するくらいには性能を使い切っていました。
ただ絶対性能はCPUなりで、現行最新世代には一歩及ばない感じです。
価格は16GB+1TBモデルが6.4万円台、32GB+1TBが7.0万円台。性能的にも金額的にもミドルクラスと言えるでしょう。
最大の特徴はツールレスで内部にアクセスできる、イージーアクセス機能。これに関しては他のどのメーカーよりも優れています。
そんなに何度も開け閉めを繰り返すものではありませんが、これを経験すると、底面のすべり止めを外して、隠しネジを回して―ってやるのがとても面倒になります。
もう一つ、OCuLinKを搭載していることも特徴です。冒頭でも書いたように、Intel+OCuLinKの組み合わせを実現した機種はほとんどありません。
ミニPC界隈では基本的にRyzenの方がコスパ面で優勢。かなりニッチですがIntel派でかつOCuLinkを使いたいのであれば、「NAB8 Plus」はちょうどいい選択肢になるでしょう。
関連リンク
付録
ベンチマーク結果一覧
| メーカー | MINISFORUM | |
|---|---|---|
| モデル名 | NAB8 Plus | |
| CPU | Core i7-12800H | |
| GPU | Irix Xe | |
| メモリ | 16GB×2 DDR4-3200 |
|
| ストレージ | 512GB Gen4 | |
| PassMark 9 | Total | 7205.9 |
| CPU Single | 3904 | |
| CPU Multi | 27867.1 | |
| 2D | 1029.8 | |
| 3D | 3639.9 | |
| Memory | 3402.2 | |
| Disk | 27470.1 | |
| PassMark 11 | Total | 5277.8 |
| CPU Single | 3755 | |
| CPU Multi | 27866.9 | |
| 2D | 803.8 | |
| 3D | 3582 | |
| Memory | 3165.4 | |
| Disk | 27049.1 | |
| 3DMark | TimeSpy | 1731 |
| Graphics | 1514 | |
| CPU | 9356 | |
| FireStrike | 5085 | |
| Graphics | 5360 | |
| Phisics | 24322 | |
| Combined | 1978 | |
| NightRaid | 19905 | |
| Grapihics | 21709 | |
| CPU | 13535 | |
| WildLife | 13722 | |
| Graphics | 82.17 fps | |
| SteelNomad | 179 | |
| Graphics | 1.79 fps | |
| SteelNomadLight | 1246 | |
| Graphics | 9.24 fps | |
| CINEBENCH R15 | OpenGL | 113.43 fps |
| CPU(M) | 2087 cb | |
| CPU(S) | 252 cb | |
| CINEBENCH R23 | CPU(M) | 13184 pts |
| CPU(S) | 1723 pts | |
| CINEBENCH 2024 | CPU(M) | 737 pts |
| CPU(S) | 103 pts | |
| CrystalMark | Mark | 987983 |
| ALU | 374752 | |
| FPU | 204475 | |
| MEM | 206947 | |
| HDD | 145093 | |
| GDI | 28614 | |
| D2D | 7372 | |
| OGL | 20730 | |
| CrystalMark Retro | All | 10453 |
| CPU-Single | 11896 | |
| CPU-Multi | 120353 | |
| 2D-text | 11588 | |
| 2D-square | 17418 | |
| 2D-circle | 14663 | |
| 2D-image | 22640 | |
| 3D-scene1 | 1273 | |
| 3D-scene2 | 802 | |
| 3D-scene1-CPU | 172 | |
| 3D-scene2-CPU | 151 | |
| CrystalMark Retro2 | All | 10190 |
| CPU-Single | 11587 | |
| CPU-Multi | 114764 | |
| 2D-text | 13090 | |
| 2D-square | 19487 | |
| 2D-circle | 15025 | |
| 2D-image | 19271 | |
| 3D-scene1 | 100 | |
| 3D-scene2 | 100 | |
| 3D-scene1-CPU | 1230 | |
| 3D-scene2-CPU | 757 | |
| GeekBench5 | Single | 1698 |
| Multi | 9829 | |
| OpenCL | 18450 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| GeekBench6 | Single | 2410 |
| Multi | 10536 | |
| OpenCL | 15455 | |
| OpenCL(dGPU) | – | |
| PCMark | ALL | 6007 |
| Essensial | 10684 | |
| Productivity | 7172 | |
| DigitalContent | 7678 | |
| VR Mark | 2484 | |
| DQ(DX9) | 1920・最高 | 9973 とても快適 |
| 1280・標準 | 10922 すごく快適 |
|
| FF XIV(DX11) 暁月の終焉 |
1920・最高 | 4342 普通 30.19 fps |
| 1920・高 | 6169 やや快適 43.02 fps |
|
| 1920・標準 | 8180 快適 57.92 fps |
|
| 1280・高 | 10812 快適 77.01 fps |
|
| 1280・標準 | 13476 とても快適 97.86 fps |
|
| FF XIV(DX11) 黄金の遺産 |
1920・最高 | 2629 設定変更 18.38 fps |
| 1920・高 | 6237 やや快適 43.88 fps |
|
| 1920・標準 | 6646 やや快適 46.20 fps |
|
| 1280・高 | 8627 快適 62.91 fps |
|
| 1280・標準 | 9245 快適 66.84 fps |
|
| FF XV(DX11) | 1920・高 | 1647 動作困難 |
| 1920・標準 | 2449 重い |
|
| 1920・軽量 | 3153 普通 |
|
| 1280・標準 | 3710 普通 |
|
| 1280・軽量 | 4520 やや快適 |
|
| ブラウザ | jetstream2 | 339.9 |
| BaseMark | 1633 | |
| WebXPRT4 | 315 | |
| MotionMark | 2087.16 | |
| SpeedMeter2.0 | 515 | |
| SpeedMeter3.0 | 29.5 | |
| Octane | 95757 | |
| Octane Multi | 870185 | |
ベンチマーク結果画像



































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